二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.49 )
- 日時: 2016/05/05 11:26
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
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31話:幻覚(シルバー視点) ※ちょっとホラー要素ありかも
携帯が壊れたかもしれないと気づいたのはコトネに言われてからのことだ。
携帯の時間を見てみてと言われ見たは良いものの、夕方の五時だった。
あれ? さっきまで朝だった筈だと思っていたが、コトネは夜の八時だと言う。
ヒビキは十一時だと言うし、誰の携帯が合っているのかわからないが、誰も合っていないだろう。
ごろごろと過ごしていればあっという間に夜だし…現在は夜中の二時。
なぜわかるかって?
目がぱっちり開いていて、寝れないからさ。
…昨日ヒビキからおかしな話を聞いた。それも寝れない原因の一つだ。トイレに行けない。
部屋にトイレはあるが、壊れている。苛ついて思いっきりトイレのドアを蹴ってやったら傷がついた。
意外に脆くて焦った。ま、今日はそのトイレと1度も目を合わせずに一日を過ごした。トイレなんか嫌いだ。
あー、トイレ行きてえ…ってか寝れねえ……!! しゃーない…一階のトイレに行くか…
─────・・・
「暗いな…灯りがなきゃ見えねえ…」
用を足して部屋に戻るための廊下を使った。書庫とか大切な部屋が並んでいる。
しかし!
この廊下。これが何とも言えないくらい暗い(駄洒落じゃねーよ?)
行くときはそんな暗く感じなかったが、戻り道は結構な暗さだ。
ガチャン!
「……!! な、なんだ!?」
多分今…トイレがある方向から音がした。う、丑三つ時って何時位だっけか…?
確か、今の時間帯だった気がする…なにかがこちらに向かって来るようだし、戦闘準備でもするか。
「その声…シルバー?」
暗闇の中から聞き覚えのある高めの声がした。目を凝らすと、いつもと違う感じの少女がいた。
コトネだ。毎日のようにツインテールをしているから髪を解いていると、変な感じがする。
別に似合っていないとかいうことを言いたいわけではない。
でも、自分の部屋にトイレがあるのに、何故一階のトイレに来たのだろうか。
「良かったああ…一人でここのトイレに来るの、すっごい勇気いるんだよねー…
ここに来るまでに十分悩んだもん」
あははと笑った。怖がりな奴だったらトイレするの我慢するだろうな。
「でもお前何で自分の部屋にトイレあるのに、こっちのトイレ来たんだよ。
因みに俺はトイレ壊れてたからここに来たんだけどな」
「あー…ヒビキくんがトイレ入っちゃっててね〜。お腹壊しちゃったんだって。
全く、昔から無理するのは変わらないんだから」
暗闇の中だから、どんな表情をしているのかあんまり分からない。だが、困っているように見えた。
でもそれも気のせい。目を細めて優しく微笑んでいるのが見えた。可愛い。
でもコトネがこんな顔するのは、特別に思っている奴の話をしているときや、一緒にいるときだけだ。
凄く貴重な顔だから写真を撮って、残しておきたい。
「真っ暗だからよく見えないね。んでも暗闇に目が慣れてきたや。戻ろっか、部屋に」
「ああ、そうだな。」
やっぱり俺…この笑顔、大好きだ。守ってやりたくなる。
「……なあ、コトネ」
「ん?どうしたの、シルバー」
俺の前にいたコトネが振り返る。きょとんとした顔で俺を見つめた。今からでも言いたい。
守ってやりたいと。でも…俺にそんなことを言える勇気はない。
「いや、やっぱ何でもない」
俺はコトネから目を逸らした。言いたいことも言えない自分が情けなくて嫌いだ。
「ちょっとー、そう言われると凄く気になるんだけどー!!」
むすっとしている。言えないものはしょうがない。
「まあいいや! 言いたくなったら言いなよ、待ってるからさ。」
なんか泣きたくなってしまった。コトネの言ったことが嫌とか悪いとかそういうことじゃない。
今言った言葉が最期だったら怖いからだ。待ってるからって…その言葉が1番怖い。
「コト…ってうわあ!」
「な、なに!? くっ…立てない!」
いきなり地震のように揺れ、体制が崩れる。あまりの揺れで、立つことができない。
少し経つと揺れは治まった。
「だ、大丈夫かコトネ。立てるか?」
コトネに近寄った。寝そべっている。
「う、うん。大丈夫。シルバーは…うん、大丈夫そうだね」
俺のことを確認すると、ゆっくり立ち上がりあたりを見回した。何か気になることでもあるのかもしれない。
でも、そんなに気にすることあるか?
「シルバー…私ね、ヒビキくんが言ってたことって本当だと思うんだ。
シルバーとレッドさんは信じてないかもだけど、私は本当だと信じてる」
「俺は、非現実的なことはあんま考えないから信じることはできない。
だけど、もしかしたらそういうこともあるのかもなって感じてる。
ヒビキは…俺とレッドさんが話を信じてないから拗ねてると思う。だから、なんか言っておいてくれ」
「わかった、言っておく。…って…シ、ルバー…あれ、何…?」
頷いたと思ったら俺の後ろの方を見て震えだした。何かと思って、俺も振り向く。
そこには、うじゃうじゃと動くものがたくさんいた。目を細め、よく見てみる。
正体は──……腕だ。
「う、腕だ。…しかも、腕しかない…胴体がない。」
恐怖で退く。コトネも俺が退くと共にしがみついてきた。
カタカタと震えており、歯が噛み合っていなかった。
「うっ、腕…? う…あ、ああ…」
様子を見ていると、1本の腕がこちらに気づいたようだった。猛スピードで向かってきた。
続いて他の腕も大量に向かってくる。逃げようと思っても、もう遅かった。気づいたころには、
口を塞がれていた。コトネも同様口を塞がれ、もがいていた。
「んぐう…! ぐうう!! ううう……! ……」
気絶したのか何なのかわからないが、コトネの体がだらんとした。
「ふふへ(コトネ)!!」
マズい…このままじゃ息ができなくて、窒息死だ…!! 何とかして抜けないと…
駄目だ…もがいてももがいても塞ぐ力が強くなっていくだけだ…!
「んぐ…ぐっ……」
苦しい、死ぬ…誰か助けてくれ…
────・・・
視界が明るくなり、目を覚ます。起きたらそこは、俺の部屋と少しつくりの違う部屋だった。
俺の隣にはコトネが寝ていた。ということは、ここはヒビキとコトネの部屋なのかもしれない。
「…起きたか!? シルバー!」
バタバタと歩く音…というか走る音がした。ヒビキが汗だくで俺の隣に座った。
はぁはぁと息が乱れている。そんなに走ったのか…?
「なあヒビキ。何があった…?」
「それはこっちのセリフだ!!」
怒鳴りつけられた。更に睨みつけられて、何も言えなくなる。
「シルバー! お前とコトネに一体何があったんだよ!!
コトネがいつまで経っても帰って来ないと思ったらトイレの近くでお前と一緒に倒れてるし!
こっちはすげー焦ったよ!!」
ボロッとヒビキの目から涙が溢れた。
それが俺には衝撃的だった。ヒビキが泣くとこなんて1回見たことあるかないかの具合だ。
こんなの見たらおろおろするしかない。
「ヒビキ…落ち着けって……」
「血はそこらへんにポタポタ落ちてるし…一瞬死んだのかと思っちゃったじゃねーか……くそう…
コトネはまだ起きねえしよぉ……もうわけがわからねえよ……」
体育座りの態勢で、膝に顔を埋めた。俺は、そんなヒビキの様子を黙って見ることしかできなかった。
口を塞がれていた気持ち悪い感覚が、口に残っていた。あの腕は…幻覚では無いのだろう……
続く
あとがき
私自身、幻覚とか見たことはありません。ですが、見えるはずのないものが視えたら
怖い気がします。でも今回の話は、見たものが幻覚のようで幻覚では無い感じです。
もし貴方の目に大量の腕が映ったら…しかも胴体がない。怖いですよね…
私なんて考えただけで怖く感じますよ!
次回は新展開が起こると思っていてください。必ず新展開を起こさせてみせます。
…作者が何言ってんだか……
ではまた次回!さよなら!!
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