二次創作小説(紙ほか)

Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 1000参照ありがとう! ( No.61 )
日時: 2016/02/07 11:23
名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448

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39話:「出会えて良かった」

ずっと、考え事をしていた。いつの間に夜の11時になっていた。
時間の進みが、なぜこんなに早いのかわからない。結局、アキヒトを探す気も失せてしまい、
トイレにいるコトネを出しにいく。トイレに行き着くと、寝ているコトネを見つけた。

「こんなところで寝て…症状悪化するぞ」

「……んん……ヒビキくん? 伝えてくれた?」

真っ直ぐ見つめてくる、その目が辛かった。

「ごめん、伝えられてない」

「…大丈夫だよ、しょうがないよ。見つからないのは…私も知ってるから」

コトネは、元気が無さそうに笑った。

「知ってる?」

「うん、夢で見たの。アキヒトくん…幸せだよね。皆から愛されてる。
 なのに、どうしてみんなを恨んでるんだろう……もっと皆を大切にしてほしい…」

皆を大切に…そうだ。みんなを大切にしなきゃ、ポケモンを大切にできるわけがない。

「あはは、なに言ってんだろうね私。…ヒビキくん、ソファールームに行こう」

そう言って、俺の腕を引っ張った。無駄のないシンプルな部屋に連れてこられた。
何をするのかと思えば、コトネがソファーに座った。

「疲れたよね、寝よう」

「え? 寝んのかよ、ここで」

寝るよ、とでも言いたそうな顔をして、頷かれた。
何を言っても絶対聞かないと思うから、コトネの隣に座った。

「これで…良いだろ?」

すると、コトネは嬉しそうに目を瞑った。俺も目を瞑る。
もう少しで、このゲームも終わりだ。あと、少しの辛抱だ。絶対逃げ切ってやるんだ。
そんなことを思っていると、寝てしまった。


起きると、ゲーム終了まで五分だった。コトネももう起きていた。少し、コトネと駄弁ることにした。

(会話タイム)

「…おはようヒビキくん」

「おはようコトネ、よく眠ったな。どうだ? 今の心境は」

「どうしてそんなこと聞くの?」

「あと終了まで五分だからだよ」

「あ、そっかあ。うーんとね、やっぱりそろそろ終わりかあ…って思うよ。
 だってそうじゃないかな?アキヒトくんから逃げなくてもよくなるんだから」

そう言うと、コトネは立ち上がった。

「ヒビキくん、これが終われば帰れるんだよ! みんなで無事に帰ろうね。こっちには
 ヒビキくんだって、シルバーだって、レッドさんだっているんだから!!」

「何言ってんだお前は。無事に帰れるに決まってんだろ」

そう、俺たちなら無事に帰れる。

「ヒビキくん、帰ったら伝えたい事があるんだ。なんでって聞かれたって言わないからね」

わかってると返すと、コトネは安心したように笑った。

「よし、そろそろ終わるし、部屋に戻るか───…」


そのときだ、コトネの後ろにアキヒトがいるのが気づいたのは。

「コト……!!」

ものすごい勢いで、コトネを捕まえた。声をかけようにも、もう駄目だ。

「捕まえた♪」

アキヒトがニヤリと笑った。コトネが絶望に満ちた表情を見せる。

「えっ……?」

その瞬間、コトネの体が消え始めた。

「ああ…う、あ……嘘…でしょ…?」

俺の心がヒシヒシと、怒りの色に染まっていく。

「アキヒト!!! てめえ何しやが……」

「ヒビキくん」

「………コトネ……」

コトネは、寂しそうに笑って俺の名前を呼んだ。言葉が出てこない。
体が半分になっても喋るというのか…?

「もう、言わなきゃいけないみたい。……ヒビキくん、
 あなたの事が、昔から大好きだった。もうお別れ、言うの遅くなっちゃった。君に出会えて良かった。
 ありがとう…………」

「コトネ_____!!!」

俺はコトネの体を掴もうと手を伸ばすが、その手は虚しくも宙を舞った。
膝がガクッとなり、力を失う。俺の心に、ポッカリと穴が開いたような感覚だった。

「……あああああ……う、ああああああああああああああ……!!!」

静まり返った部屋に、一人の泣き叫ぶ声がこだました。

『ヒビキくん、これが終われば帰れるんだよ! みんなで無事に帰ろうね』

コトネが言ったこの言葉が、俺に痛みを与えた。



続く


あとがき

あああああああああアキヒトオオオオオオオオ貴様あああああああああ
こういう展開になることはもう今までの話の中でわかったと思います。
アキヒトがこんな事をしたのはちゃんと理由があります。次回の話でわかるでしょう……

ではまた次回!!さよなら!!


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