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「美奈子ー。そろそろ始めるかー？」

「そうね。そうしましょう」

　そう言って立ち上がったあの２人は……季節違いのコートを脱ぎ捨てて。

「……！」

　目の前にいたのは、初代怪盗レッド。

　おじさんと、美華子さん！

「圭一くん。何故今まで気付かなかったんだ？いつもはマジックのトリックにも気付くってのに」

　おじさんが……多分僕に言って、弾かれたようにマッドが立ち上がる。

　そうだ。

　マッドは気付いていなかった！

「ハハッ……怪盗レッド、か。かなり予定を狂わせてくれたようだね」

　右ポケットに隠し持っていたのか、タブレット端末をチラッと見たマッドはおじさん達に歩み寄る。

「おじさん！みｋ……ミナコさん！」

　僕の声は、昼間の空港に、ただ虚しく響くだけだった。