二次創作小説(紙ほか)

Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.102 )
日時: 2015/06/22 13:02
名前: マイタケ (ID: lcGOSbxj)  

32話 危険因子
「…で?」
「で?って倉間先輩、眉間の皺スッゴいですよ?」
「じゃねぇよ。結局コイツは何なんだ」
倉間の鋭い視線に、ミラは困ったように目を泳がせる。
「何なんだ、って言われても、一言だととてもとても…」
「いいから教えろ」
神童の援護射撃に、薫は諸手を上げた。
「わかりました。じゃあ一言で言うと、屍鬼です」
『しき?』
全員の声がハモる。
「屍に鬼と書いて屍鬼。冥界神ハデスに捧げられた生贄」
「生贄!?」
天馬が声を上げた。他の面々も目を見開いている。
「ほらよくあるじゃん?神の怒りを鎮めるために女の子を殺すって奴。で、屍鬼はその生贄が人間から変形した感じ」
「え、それってミラちゃん…」
葵の声に、「ああ」と頷いた。
「50年くらい前の生贄」
その言葉に、全員絶句した。
どう見ても自分達より年下の容姿を持つミラは50年ほど自分達より上だった。そのことにただただ驚いている。
「それにああ見えてボクらより精神年齢高いしねー。そんな風に見えないけど」
しれっと何気に追い討ちをかけながら、真顔になった。
「でも、ミーちゃんは屍鬼だから、結構…いや、かなりの危険因子だから、消される可能性大だよ」
「ちょっ、消されるって、そんなの聞いてないぞ!?」
「そりゃあ言ってませんから」
そう言うと、ミラを皆の前に出した。
「じゃあよろしく」
「はっ!?なんで…」
「ボクらがいくら頑張っても連中の大将さんが無効にしてしまうから。その間皆の護衛にはミーちゃんが適任何ですよ」
一度口火を切るとこれ以上にないほど爽やかな笑顔を向けた。
「と、いうわけで後は夜・露・四・苦☆」
悪戯っ子のようにウィンクすると走り去っていた。
つまり、逃げた。
『薫、待て—————!!!』
「すいまっせ—————ん!!!!シフト入ってるんで——————————!!!!!!」
嘘だけどね。と心の中で呟きながら。
追いかけようとした時には、薫の背はかなり遠いところにあった。相変わらず、逃げ足だけは早い。
雷門はゆっくりと振り返った。
全員の注目の的になったミラは静かに目を伏せて視線から避けていた。その可憐な姿は薫の言う危険因子には見えない。
見えない、のだか…
「……はぁーっ……」
誰かの重々しい溜め息が、誰も喋らない異様な空間に奇妙なほど鈍く響き渡った。



それからすぐに、薫の言う“危険因子”の意味を、最悪な形で知ることになるとは知らずに。