二次創作小説(紙ほか)
- Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.108 )
- 日時: 2015/07/06 18:31
- 名前: マイタケ (ID: /OJeLYZk)
34話 下と上で
試合が始まるか始まらないかの時。
金髪の方——小泉青山が剣城の方へ近寄った。先ほどの武市の態度を見ていた雷門はすぐに身構えた。
「剣城君、真一がすまなかったな」
「……いや、別に」
静かに首を横に振る。
「真一は試合になると見境がない。気をつけてくれ」
それだけ言うと、自分のポジションに戻った。
「へぇ〜、僕と同じだー」
柊は武市を興味津々に見つめていた。その武市は剣城に殺気立った目で睨んでいた。
「…ぁ」
雷門ベンチにいたミラが小さな声を上げた。ミラの顔を、葵が覗き込む。
「どうかしたの?」
「ぁ……いえ、何でもないです……」
そう言うとまた俯いてしまった。
葵のシャツの裾をしっかりと掴んでいる華奢な手は微かに震えていた。
「「………」」
「わー、始まる〜!!楽しみかな〜!!」
武市をどうやって殺すか算段中の柚樹と椿姫の隣にいる少女はバタバタと足をばたつかせた。
赤と黒のショートボブ。背丈は小柄な柚樹より更に小さい。体の凹凸は無いに等しいが可愛らしい顔立ちにぴったりだった。
『……準備は整ったの?麗夢』
武市に殺気を放つことを忘れることなく、プラカードだけで聞いた。勿論憎悪の視線は武市にgo。
「もっちろーん!!うちの計画にぬかりな——し!!」
少女——鬼灯麗夢は柚樹に負けず劣らずの無邪気な笑みを浮かべた。
いつもなら、常にぬかりあるけどねーと柚樹が楽しそうにコロコロ笑うだろう。が、当の本人はターゲットを変更し、届かないのに凄まじい殺気を放ち、武市をガン見していた。いつもでは絶対に考えられぬほど、無表情が完璧に抜け落ちている。
「……だから、嫌だったんだ」
「俺も同意……」
頭を抱える黎と、表情を若干歪める流星は、殺気立つ人外コンビから距離を置いた。
その距離、約50メートル。
「ねぇつばっきー、あのえらそーな茶髪、地獄の釜で煮詰めちゃう?」
「生温いわ。生きながらの死の苦しみを味わって殺してくれと泣きながら懇願するくらいのことをしないと」
男2人に目もくれず、そしていつもの数百倍饒舌な椿姫に驚きもせず、
「そうだねー」
と、のほほんと笑う。
「京介を虐めた人には天罰だよねー」
金と赤のオッドアイを、冷たい怒りでメラメラと燃やす。風も無いのにゴスロリがはためいた。椿姫も熱風で浴衣がはたはたと動くのを気にもとめない。
女って怒らせると怖い。
これが黎と流星が覚えたことである。