二次創作小説(紙ほか)
- Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.129 )
- 日時: 2015/08/12 13:41
- 名前: マイタケ (ID: lcGOSbxj)
42話
その頃、黄昏の流星は会合を開いていた。
「ミーちゃん、どう視えた?」
薫はミラにそう聞いた。
「あ…恐らく、自分達の意志での行動だと思います」
「月影柚樹は?あの子、いきなり現れたよね。瞬間移動の能力かな」
薫はそう聞いた。ルチャードが口を挟んだ。
「私は空間操作だと思います。瞬間移動では逆さまになるなどありえませんから」
「なるほど、そうなの?」
ミラはコクリと頷いた。
「他にも…力を大きくする能力もあると…」
「増幅か…レアものばっかりだねぇ」
薫は頬杖をついた。
これは色々とマズい。もし柚樹が大変なことをしでかせば、生体研究部が動き出すのも時間の問題だ。そうなると、さすがの薫でも抑える口実を消されてしまう。
生憎と口合戦は好きではない。それにいくら地位が高くとも、自分はただの中学生に過ぎない。
軽く目を閉じ、考える。
しばらくして、深緑色の瞳が半分だけ露わになる。
「…レイスを呼べ」
周囲がざわめいた。ルチャードだけが唯一静かに頷く。
「ミーちゃんは葵ちゃんのところに戻って」
「あ、はい…」
ミラは溶けるようにその場から去っていった。
「じゃあこれで解散。見回りの方よろしくねー」
会合が終わり、部屋には薫とルチャードだけになる。
「で、重要な報告って?」
「はい」
ルチャードは口を薫の耳に寄せた。
ルチャードの『報告』が1分前後まで続く。全てを聞き終えた薫は一瞬だけ目を見開く。が、すぐにニヤリと笑った。
「へぇ、いい度胸してるじゃん」
「どうしますか?」
「レイスが来るまで泳がせておく」
「目には目を、歯には歯を……ですね?」
「さすがルチャード。よくわかってるね」
その言葉にルチャードも不敵な笑みを浮かべた。
「さてルチャード。キミに特別任務を与える」
ルチャードはスッと背筋を伸ばした。薫を見るどこか威圧感を醸し出す沈着な顔だ。
「言わなくてもわかるよね?…頼んだよ」
「御意」
即答と同時に、闘争本能剥き出しの獰猛な笑みが冷静沈着の仮面に亀裂を刻む。
最も信頼のおける部下の本性を垣間見て、薫は満足げに嗤う。
ルチャードが出ていく。薫は足を組んで背もたれにもたれる。
「デーモン・エンジェル…白姫御前…月影柚樹…」
悩ましげに溜め息をついた。
「これは、ややこしいことになってきたな……」
そう言っているが、クスリと笑うその姿は天馬や剣城達と変わらない、年端もいかない中学生のそれだった。