二次創作小説(紙ほか)

Re: イナGO 銀色の悪魔 ( No.13 )
日時: 2015/05/02 11:48
名前: マイタケ (ID: IoxwuTQj)

6話 嵐の正体
マネージャー達に介抱してもらい、一息ついた天馬達に円堂が質問をした。
「つまり、俺達がいない間に銀色の悪魔が襲撃してきたんだな?」
「はい…」
神童は苦々しげに頷いた。他の面子も沈痛な面持ちだ。特に剣城と信助だ。剣城は柚樹が敵になったことに衝撃を受け、信助はGKとしてのプライドをズタズタにされた。
その時誰かのケータイが鳴る音がした。円堂だ。彼は「悪い」と教え子達に詫びると電話にでた。
「もしもし…、!?——薫!?」
この名に全員が反応した。
星宮薫、元雷門サッカー部FWの少女だ。その正体は魔術結社『黄昏の流星トワイライト・ミーティア』の一員で、魔術師。ホーリーロードが終わってすぐにイギリスに帰ってしまった。
円堂はケータイをスピーカーモードに切り替える。
『久しぶり、みんな』
「薫…!!」
天馬は感激でうっすらと涙を浮かべる。電話の奥で彼女が笑ったような気がした。
『さてと、単刀直入に聞くよ。銀色の悪魔、いや——月影柚樹に会ったんだね』
確信をつく言葉。雷門イレブンは驚いた顔をした。
『やっぱりね…。そろそろ手を出す時期かと思ってたけど』
薫は小さく舌打ちする。
『次現れるとしたら満月の日だね。——第3部隊、第4部隊、全員準備しとくように』
『はっ』
「ってちょっと待って!!なんで薫達が動いてるの!?」
天馬の質問に、電話の向こうで全員が沈黙した。何か話し合いをしているようにも聞こえる。
意見が纏まったらしく、薫は溜め息をついた。
『彼女、月影柚樹は普通の人間じゃない』
「は?」
一糸乱れぬ聞き返し。薫は全く動じない。流石に隠密というだけはあるだろう。
『月影柚樹は半人半魔——









遺伝子の半分が由緒正しき月影家の悪魔』







「ええぇぇぇぇ!!??」






Re: イナGO 銀色の悪魔 ( No.14 )
日時: 2015/05/02 11:53
名前: マイタケ (ID: IoxwuTQj)

「えっ、ちょっ、悪魔ぁぁぁぁ!!??」
『別に驚く事ないよ。人狼いる時点でいるに決まってるでしょ』
パニクる天馬に対し、薫は平然としている。
因みに人狼とは薫の養父・ナハトのことである。
『実はその柚樹って子、月影家現頭首・來波らいは様の嫡男・莢峨さやが様の御息女でさ。こっちの世界じゃ有名人。最も本人は知らないけど』
まぁ、ゴッドエデン育ちだしね〜。
サラリと放たれていく事実という名の爆弾に剣城は絶句する。
あの無邪気が有名人。ありえない。世の中大丈夫か?
『でさ、この莢峨様が人間に恋して月影家破門。数年前に亡くなったわけ。その人間は結構貧しかったらしくてね、月影柚樹を捨てたんだと。その柚樹を後のゴッドエデン女性教官に拾われたんだって』
事の顛末に天馬達はどう反応すればいいのかわらかない。目を泳がせた。
『來波様はね〜ああ見えて情に深い方でさ、月影柚樹が産まれたと知ってすぐに屋敷に彼女の部屋作ってね、孫娘の帰還を心待ちにしてんの』
ところがその孫娘が銀色の悪魔と呼ばれ、各地のサッカー部を潰している事が発覚。それはそれは心を痛めている。結果、只でさえ老体なのに無理が祟って床に伏せてしまった。
頭首の危機に悪魔達は大泣きしながら『黄昏の流星』に依頼した。その任務に薫がついたのだ。
「そう…なんだ…」
話がぶっ飛びすぎてついていけない。
『まぁ簡単に言えば、孫娘ラブのじーさんが心の病抱えちゃったから孫娘連れてこいっつーこと』
『ちょっ…星宮補佐官!?その言い方は…!!』
『なに?間違ってないから大丈夫だって』
『意味が違います!!あの來波様をそのように…!!』
『まぁ、そういうこと。天馬達は彼女にサッカーで挑むの?』
薫の言葉に天馬達は動揺した。ハッキリ言って柚樹は強い。たった一人で雷門に圧勝したのだ。今の自分たちには無理だ。
けど、
「俺は、戦う。絶対に勝つ!!」
天馬はそう言った。周りが騒然とする。
「俺は、柚樹にサッカーの楽しさをわかってもらいたい!!だから、」
「天馬…。そうだな」
神童も穏やかな笑みで賛同した。剣城も力強く頷く。やがて全員が賛同した。
円堂やマネージャー、それを聞いた薫も、嬉しそうに笑った。
これでこそ雷門だと。