二次創作小説(紙ほか)

Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.142 )
日時: 2015/08/13 21:45
名前: マイタケ (ID: lcGOSbxj)  

48話
最初に感じたのは布越しに伝わる、固いコンクリートの感触だった。
両手首を頑丈な拘束具で縛られており、薄い毛布の上に寝転がされていた。
「これは……」
剣城は困惑しながらも、すぐさま起きて、辺りを見回した。
大量の貨物が置かれていることから、倉庫であることが伺える。
「おー?もう起きたのか?」
「明日まで起きないと思ってたがなぁ」
唯一の出入り口から僅かに光が漏れる。その色合いから、もう夕方だということがわかった。
「……誰だ」
警戒心剥き出しの声に、2人の男が嗤い始める。薫もこんな嗤いをするが気持ち悪さでは此方が数段上だ。
逆光でわからなかった2人の姿が露わになる…と言っても、フードを被っていて顔は判別できなかった。
だが、そのマントに見覚えがあった。
「それ、黄昏の流星の物だよな?」
「そうそう。頭良さそうだな、その歳のガキにしては」
明らかにバカにしたような態度だが、それは置いておく。
「薫の命令じゃないよな?アイツはこんなことしない」
そう聞いた剣城を筋肉質な男が睨んだ。
「ざっけんな…誰があんなクソガキの命令なんざ聞くかよ!!!」
バンッ!!!
男が貨物を殴る。その衝撃波が貨物を抉り、大半を破壊した。
「おいおいロキやめとけよ。怖がっている」
背の高い男がそう言うと、ロキと呼ばれた男はチッと舌打ちした。
だがロキの常軌を逸脱した怪力に剣城は内心戦慄した。
「お前達は俺をどうするつもりだ?」
表面上、冷静に聞いた。
「ナル、お前が説明しろ」
ロキはそれだけ言うと、スタスタと出て行った。足音がしないあたり、流石は隠密だ。
「つー訳だ。まぁ簡単に言えばお前は人質兼囮だ。お前じゃなきゃあの小娘は来ない」
ナルの抽象的な説明に苛立ちが芽生えるが、理性で押しとどめて考える。
この2人は薫を疎ましく思っているのは日をみるよりも明らかだ。確かに薫は自分達の仲間だ。だが、それなら自分以外でも良かったはずだ。
剣城ではなければ絶対に来ない少女。
それに該当する、剣城が真っ先に思い浮かんだ少女。
「お前ら、ゆずに何する気だ!!」
冷静さを彼方へと吹き飛ばし、ナルを怒鳴った。
「何って、あの補佐官のやり方が生温すぎるからサクッと終わらせるんだよ」
ナルは不気味に嗤い、剣城に顔を近づけた。
「月影柚樹は多少怪我したくらいじゃ死なないし、だから俺達がこの面倒な仕事を終わらせてあのバケモノを巣へ帰してやるのさ」
「……!」