二次創作小説(紙ほか)

Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.148 )
日時: 2015/09/16 19:01
名前: マイタケ (ID: MIiIBvYo)  

50話
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
「まだ来ねーのか?」
「そんなに苛つくなよ。俺ら一応隠密だぜ?」
足を踏み鳴らすロキをナルが宥める。剣城は気配を押し殺し、2人を見つめた。
この男2人は仲間を裏切ったのに緊張感の欠片もない。そういえば薫もそうだった。昔の仲間を容赦なく斬る姿には恐れもなかった。魔術師とはそう言うものなのだろうか。
「おいおいそんな見つめんなよ」
ナルがニヤリと嗤う。悪寒が走る。思わず目を背けた。
「……なぁナル」
「どしたロキ。お前が静かだと薄気味悪い」
「コイツからどうだ?」
主語のない言葉にナルは「は?」と聞き返した。剣城も剣城で眉を寄せる。
かろうじて見えるロキの口がニヤリと弧を描いた。



「コイツから痛めつけるのはどうだ」



ゾクッ
剣城の背筋が凍りついた。
狂暴な魔術師の嗤いが、言葉が、無力な少年の全身を縛り付ける。
「へぇ〜……」
ナルが剣城を一瞥した。その目には愉悦の光が爛々と覗いている。
「ま、いいんじゃねぇの?」
それが、合図だった。



ゴッッッ!!!!!!



「っっっ!!!!!」
持ち前の動体視力と反射神経で何とか回避する。その拳が宿す、人間離れした怪力と、それが生み出す恐るべき風圧に慄然とした。
「ガキのクセになかなかやるじゃねぇか」
ロキは獰猛な本性をさらけ出し、剣城とベッドを繋げる鎖を思いっきり踏んだ。
バランスを崩し、前のめりに倒れた剣城の頭の中が真っ白になる。
この感覚を、知っている。
自分と兄の運命を変えたあの事故。木から落ちた自分には思考回路が停止していた。
危険が迫っているのに身体が言うことを聞かない。
あの日以来だった。
「あばよ」
視界の隅に入った拳は剣城の後頭部を確実に狙っている。
——————避けられない。
死を予感し目を閉じた。





「京介に………手を出すなぁぁぁああぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」




怒号一発。それから何かを殴る音と野太い悲鳴。
「っっっ!?!?!?」
聞き覚えのある可憐な声。それを聞いた瞬間、剣城は目を見開いていた。
銀髪を揺らし、それぞれ色が違う両目を怒りにたぎらせた、
——————月影柚樹が、そこにいた。
「ゆずっ……!?」
剣城が絶句する間に、柚樹は素早く拘束具をあの巨大な鎌で斬っていく。それが終わると、凄まじい眼光で2人の魔術師を睨みつけた。
「おじさん達…絶対に許さないから!!」