二次創作小説(紙ほか)
- Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.149 )
- 日時: 2015/09/18 17:59
- 名前: マイタケ (ID: lcGOSbxj)
51話
「始まったな」
懐中時計を弄りながら、レイスはクツクツと嗤った。
「どうしたんですかー?」
「あの悪魔の小娘、半人とは思えぬな」
柊の問いに答えず、独白を漏らした。
倉庫の中では柚樹が凄まじい闘いぶりを繰り広げていた。プロの魔術師2人を相手にして圧倒する強さ。あの裏切り者2人が死んでいないのは人質が傍にいるからだろう。
人間の遺伝子を受け継いでいるからこその、敵に対する情、そして愚かさ。そして経験の差。
「あの小娘、もう限界か」
レイスが愛らしい唇を歪めたその直後、一発の銃声が闇夜を裂いた。
「ゆずっ!!!」
腹から赤い鮮血を流し、膝をつく柚樹の頭上で何かが煌めく。服が汚れるのも厭わず、華奢な肢体を抱きしめて後方に飛ぶ。その直後に柚樹の大鎌が落ちてきた。
「いっ……!?」
「手間かけさせた挙げ句手加減しやがって……何が何でもブチのめす!!」
ロキが怒りの雄叫びを上げた。魔力が上乗せされ、物理的な力となる。
「あーあ、ロキの奴完全に怒り狂ってやがる」
ナルがゲラゲラ嗤いながら剣を振るう。剣城は柚樹をしっかりと腕から離れないようにしてよけた。薫には劣るが、その風圧に息を呑んだ。
「っ……」
このままよけるにも限界がある。更にかわせばその振動で柚樹の出血量が激しくなっていく。今でも柚樹の可憐な面差しは真っ青なのだ。これ以上はまずい。
「うおぉぉぉぉっっっ!!!!!」
ロキが拳を振り上げる。剣城は柚樹に覆い被さり、身を盾にしようとした時、
2人の身体がぶっ倒れた。
「…………は?」
思わず間抜けな声を上げた。
「剣城ー、大丈夫かー?」
場に相応しくないのんびりとした声に脱力する。
「…………柊先輩?」
「んー?」
んー?じゃねぇよなんであんた何でいるんだよ
最もなツッコミは地平線の彼方へと吹っ飛んだ。
柊が柚樹の顔を覗き込んだから。
「あー、何にもしないよー」
柊はクルリと振り返った。
「レイスさーん、終わりましたー?」
「私を誰だと思っている」
傲岸不遜な、変声期に入る前の少年の声だ。しかし、どこか老獪な響きがある。
いつの間にか白髪赤目の可愛らしい少年が目の前にいた。
「いつまで座り込んでいる。サッサと立ち上がれ。ついでに小娘も連れてこい」
老獪な笑みを浮かべ、その場を去った。
「……………」
「変な人だけど気にしないでねー」
柊もその場に続いた。さりげなく誘拐犯2人を踏みながら。