二次創作小説(紙ほか)

Re: イナGO 銀色の悪魔 ( No.24 )
日時: 2015/03/25 08:04
名前: マイタケ (ID: pRmfYtjO)  

11話 追憶
柚樹と会って数日が経過した。
SSランクシードというのは聞いたことのないランクだった。そのことを白竜に聞いたところ彼も知らなかったらしい。
「だが、その女とやりやってみたい」
「…」
剣城が己の失態に気づいた時には遅し。
いつの間にか目の前の好敵手はやる気満々になっていた。



結果、白竜が負けた。
剣城も白竜も愕然とした。この2人はファーストランクでも1、2を争う程の力の持ち主だ。それが目の前の、自分達よりも小さな少女に完敗を喫した。
「お前…何者だ」
白竜の凄みのある詰問に柚樹はキョトンとする。
「何者?うーん…アイドントノー」
「誤魔化すな」
片言の英語で誤魔化そうとする柚樹に剣城がつっこむ。
柚樹は首を傾げて一言。
「何者って言われても…月影柚樹としか答えようがないもん」
サラリと吐かれた言葉に、剣城と白竜は軽く目を見開いた。
「お前…本当にシードか?」
白竜の呟きにムッとして言い返そうとした時——
「ゴルラァァァァ!!月影ェェェェェ!!」
教官の牙山の怒鳴り声が聞こえた。それから0,5秒して彼の巨体が現れる。
牙山は剣城と白竜の姿を認識すると軽く目を見開いた。だがすぐに怒りの表情をする。
「月影、何度言わせる!!脱走はするなとあれほど言ってるだろ!!」
「わーこわーい鬼がいるー」
棒読みでそう言うと明後日の方を見た。もうなんというか、ツッコミどころ満載のこの状況に、剣城も白竜も唖然とする。
「大体、お前はシードとしての自覚が無さ過ぎる!!特にお前はSSランクのトップだぞ!!シードの中の真のシードなんだぞ!?」
「わー初めて知ったー。と言うわけでさよーなら」
柚樹はいつの間にか牙山の懐にまで詰め寄っていた。華奢な右肘がドスッ!!という鈍い音を立て牙山の鳩尾にめり込む。
「……え゛」
傍観者化していた2人の顔が引きつったと同時に、牙山の身体はゆっくりと倒れた。
パンパンッと手を払い、柚樹は剣城を見た。
「京介、外のこと教えて!!」
そこには眩しいくらい無邪気な彼女しかいなかった。







そこで剣城は目を覚ました。
「あ、剣城おはよー」
「…ああ」
挨拶してきた天馬にただそれだけ言った。先程の夢を振り払うように頭を振る。
「…忘れろ」
どう足掻いても、もうあの頃には戻れないのだから。