二次創作小説(紙ほか)
- Re: イナGO 銀色の悪魔 ( No.3 )
- 日時: 2015/03/23 17:50
- 名前: マイタケ (ID: iv9jnC9n)
2話 驚愕
練習が終わり、剣城は帰っていた。いつもなら兄の優一との面会に行くのだが、時間が時間なのでまっすぐ帰っている。
「銀色の悪魔・・・か」
ふとそんなことを呟く。
そんな異名が似合う友人を思い出したのだ。だがそれはないな、と心の中で首を降る。その友人は確かに情け容赦全くない、下手したらシード時代の自分でも恐れ入って頭を下げてしまうくらいの凶暴さがあったが、サッカーが大好きで周囲から「変わっている」といわれてしまうくらいの・・・・シードだった。
ゴッドエデンでは前代未聞のシード。教官によく怒られていたが、逆に返り討ちどころか数百倍にして返す、恐ろしい奴。
そんな友人の、久しく見ていない面影を思い出しながらフッと笑う。よく白竜と自分といた、可憐な少女を。
しばらくして、前から不審な人物が現れた。剣城は思わずその足を止める。相手も足を止めた。
「・・・・・誰だ」
はっきり言ってあやしい。黒のフードを目深に被っており、後ろに、闇色の獣を従えている。身長はマネージャーの葵くらい。こんな人間はこの稲妻町にいない。断言できる。
敵意を隠さない剣城を見て、その人物は嗤う。
「・・・・あれ、最後にあってからそんなに時間たっていないと思うんだけどなー。京介、私のこと忘れちゃった?」
剣城は愕然とした。信じたくない、と心が拒絶している。
この声。この口調。喋り方。身に覚えがある。
「ゆ・・・・ず・・・・・」
「なんだ〜、覚えてたんじゃん」
そういって嗤うとフードを脱ぎ捨てた。
腰まである銀髪。剣城と同じ位白い肌。穏やかな目の色は右が金、左が赤。優しげな面立ちはひどく整っている。女顔の霧野以上だ。
「そういえば京介は雷門の人だったよね〜」
少女はゆっくりと彼に近づく。獣もそれに続いた。剣城は動けなかった。目の前の少女から目をそらせない。
少女と剣城の距離が数センチとなる。少女は彼の耳元で囁いた。
「残念だなぁ〜
京介を潰さないといけなくなっちゃった♪」
「!?」
信じたくない事実に剣城は驚愕を露にした。
「おい、どういうことだよ、ゆず・・・・!」
「え、新聞に載ってるじゃん。あれ見てね〜」
ゆずと呼ばれた少女は無邪気に嗤うと、闇色の獣を従え、その場を去った。
「嘘だろ・・・・ゆず」
そう呟いた剣城の声が虚しく響いた。