二次創作小説(紙ほか)
- Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.32 )
- 日時: 2015/03/31 20:34
- 名前: マイタケ (ID: iv9jnC9n)
15話 デーモン・エンジェル
今の日本では珍しい和風な造りの立派な屋敷。そこに4人はいた。
「あーあ、なんで刹にぃ連れ戻しに来たのかなぁ・・・・」
「いやいや普通はそうするからな。つかお前は脱走の天才か」
拗ねる柚樹に、刹は呆れたようにそう言った。
つい先程、やっとのことで脱走常習犯柚樹を捕まえたところである。探しに行っていた尚たちも戻ってきていた。華南は黙々とボールを操っていてこちらには見向きもしない。対する尚は刹と柚樹のやり取りを苦笑いして見ていた。
そっぽを向いていた柚樹はふと思ったように辺りを見回した。
「・・・・・そいえばつばっきーは?」
その疑問に3人は目を瞬かせた。
「あれ、さっきまでそこにいたんだけど・・・・・・」
尚の言う方向には椿の花がある。だがそこには誰もいなかった。全くのもぬけの殻である。それを見た華南はリフティングをしながら言った。
「さっき、黎を連れて塀から出て行ったのを見たわよ」
「・・・・・・・」
なぜ止めなかった。
3人は心の中でそう言った。心を読める華南はすぐにそれに気づく。
「だって、あの子苦手だし。誰かにちゃんと喋るとしたら柚樹と黎くらいじゃない」
「まあ確かにそうだけど・・・・・・なぁ」
刹は唯一の同い年で親友である少年を見た。かなりもの言いたげな目に苦笑する。が、ハッと何かに気づいた顔をした。
「どした尚」
「・・・・・・あの2人、雷門のサッカー好きじゃないよね・・・・・」
「そりゃ俺も同じだ」
「同い年だよね」
「おい尚今ワザと俺とあいつらと違う部分とっただろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・潰しに行ったんじゃない?」
尚の言葉に全員が沈黙する。暫くして、柚樹はコロコロと笑い出した。
「それはそれでいいんじゃない?私達が潰しやすくなるし」
柚樹の言い分に華南は頷いた。刹は好戦的な笑みを浮かべる。尚は相変わらず苦笑しているが何も言わない。つまり、ここにいる全員は柚樹と同じことを考えているのだ。
「かなちゃーん、ボールパスしてー」
華南は不敵な笑みを浮かべ、強烈なパスを柚樹に向けた。柚樹は軽々と受け止め、ボールに更なる力を与え、刹にまわす。刹も容赦ない蹴りを叩き込む。その先にいた尚も、儚げな雰囲気には不釣合いなほど剣城並みの鋭いパスで華南に戻す。
4人の強烈なパス回しは続き、いつの間にか全員が化身を出していた。
刹は無表情になり、剣城のような近づきがたい雰囲気を放つ。
「あいつらは・・・・・雷門の連中は何もわかっていない。楽しいだけがサッカーじゃないんだ」
刹は淡々と、表の性格とは似ても似つかぬ冷徹な声で言い放った。その言葉に柚樹、華南、尚は頷く。
力を求める。強くなければサッカーをする価値などない。サッカーが楽しいなど、サッカーのことを何も分かっていないのと同義語だ。
「大丈夫だよ。椿と黎がそれを教えに言っているし」
「それに私達も知らしめるのよ。サッカーは強くなければ価値がないってことを」
刹に続いて、尚と華南もそう言い放つ。柚樹は刹に強烈なパスを出し、低く呟いた。
「全ては御前のために・・・・・・・」