二次創作小説(紙ほか)

Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.43 )
日時: 2015/04/25 14:05
名前: マイタケ (ID: qsw8GWEd)  

17話 勝負……の前に
「…全く、お前という奴は…」
「す、すみません…」
呆れたように溜め息をつく神童に、天馬は身体を縮こまらせた。黎と椿姫はと言うと、サッカー棟を興味津々で見たりボールを弄ったりと雷門の敵意を完全に無視している。
「…で、喧嘩売りに来たってどういう意味だよ」
痺れを切らした倉間が唸るようにして聞いた。黎が何かを言う前に椿姫のプラカードが上がった。
『そのままの意味よ。そんなこともわからないの?』
明らかに馬鹿にしている内容に、倉間のこめかみに青筋が浮き出た。
「わかってるよ!!大体何だそのプラカード!!」
『あなたには関係ないわ。黙ってくれる?』
「こんのっ…!!」
怒りで真っ赤になる倉間を横目に、夕葉が前にでた。
「なぜ二人だけなのですか?」
夕葉のいつになく鋭い光が宿っている瞳に、黎は苦笑した。
「そんな警戒すんなって。これは御前の命令じゃねぇし。俺らの独断」
御前、と口にした黎の顔に、ほんの少し嫌悪感が浮かんだ。それを怪訝に思いつつ、今度は天馬が尋ねた。
「独断ってどういうこと?」
椿姫のプラカードが上がる。
『意味そのまま。私達はあなた達にサッカーが決して楽しいものではないことを教えに来た。それだけよ……そこのバトルマニアは別として』
「ひでぇなおい」
黎が椿姫に突っ込んだ。が、天馬達はその内容に顔を強ばらせた。最初に言葉を発したのは神童だった。
「お前たち…サッカーを、侮辱するな!!」
その言葉に二人は呆れたような顔をした。椿姫は表情に変化がなかったが。
「なんだそりゃ。自分らだって自己保身のためにフィフスセクターにサッカー売っただろ」
『自分達のことは棚に上げておいて言いたい放題ね』
言いたい放題の二人の、しかし的確なそれに一同は口を噤んだ。全員が苦い顔をしている。確かに革命を起こしたのは自分達だ。が、天馬や円堂がいなかったら、今もフィフスセクターの命令に従い、全てから目を背けていただろう。
「…ま、俺らには関係ないけどな。んで、やんの?やらねぇの?」
黎の言葉に、全員が天馬を見た。天馬は真っ直ぐとした、強い意志のある目で彼らに頷く。
「…わかった。やろう」
天馬は知ってほしいのだ。サッカーの楽しさを、素晴らしさを。
「……天馬は何もわかってない。サッカーはただ楽しいものじゃない。誰かから大切なものを奪う凶器でもあるんだから」
椿姫の小さな呟きは、黎以外の耳には届かなかった。