二次創作小説(紙ほか)
- Re: イナGO 銀色の悪魔 ( No.5 )
- 日時: 2016/02/09 00:29
- 名前: マイタケ (ID: dZvWwzVY)
4話 襲撃
「・・・・そいつはファーストクラスのはるか上を行くSSクラスシードトップの月影柚樹です」
現れた剣城は静かにそう言った。心なしか、その表情には緊迫したものが含まれている。
「剣城、知り合いなの?」
「あ、京介昨日ぶり〜」
「・・・・・・ゆず、俺達を潰しに来たのか」
部室に緊張した空気が漂う。そんな中、柚樹はニコニコと笑っている。
「イエース!!さっすが京介、呑み込みが早い!!」
パチパチと手を叩く。無駄に無邪気なところは相変わらずのようだ。
「さあてと、・・・・・みんな〜、来て〜」
間延びした声とともに10人の人間が現れた。
全員目深にフードを被っており、顔は判別できない。だがその口元は不気味な弧を描いていた。
「んじゃあ・・・・・私達と試合、してもらうから」
オッドアイの瞳を不気味に輝かせ、ニヤリと嗤う。その姿はまさしく、銀色の悪魔。天馬達はゾクリと身を震わせる。
「どうする?まあもし拒否したらこの学校、木っ端微塵するけど」
「なんっ・・・・!?」
柚樹の言葉に誰もが息を呑む。だが彼女は誰も見ない。天馬を見つめる。
「で、君がキャプテンだよね。はやくしてね。私の相棒は気が短いんだ。サッサとしないと学校木っ端微塵の前に全校生徒サクッと皆殺しにしちゃうかも♪」
「っ・・・・・!!」
天馬は息を呑んだ。彼女の、見た目に似合わぬ冷酷非常なやり方に、誰もが驚愕と怒りを剥き出しにする。
「まさか、他校の連中もそう脅したのか」
霧野が険のある声音で言った。
「ふふん」
柚樹は得意気に鼻を鳴らす。それからニコニコしながら、
「だってー、私達の言うこと聞いてくれなかったんだもん。ねー?」
後方の10人もギリギリ見える口元を歪める。それは嘲笑という不協和音になり、部室に響く。
雷門イレブンの怒りを買うには十分過ぎるものだった。
「天馬」
神童の目配せに、彼はうなずく。そして、眼前に立つ銀色の悪魔を睨み付けた。
選択肢は一つしかない。
「・・・・わかった。絶対にやってやる!!」
「さあ始まりました!!雷門中対謎のチーム・え〜・・・・」
「デーモン・エンジェル、だよ♪」
「ああはい!デーモン・エンジェルの試合が始まりました!!実況は私、角間歩がおおくりいたします!!」
「いえーい!」
なぜか合いの手を入れる柚樹。彼女はMFだ。さっきの魔女服とは違い、黒と赤のユニフォームを着ている。
「さあ地獄の始まりだよ・・・・it's the show time」
ホイッスルが鳴る。先行は雷門だ。剣城がキックオフをする。
影山が走り出そうとした。
「遅い」
柚樹が一瞬にして間合いを詰める。その目には狂気しか宿っていない。
「速いっ・・・・!!」
「遅い遅い。すっごく遅いよ!!」
柚樹は天馬たちも一瞬で交わす。
ゴールを守る信助を見て、「む〜っ」と膨れた。
「え〜、私三国って人がよかったな〜」
「っ!!」
「だって君面白くなさそうだし」
「馬鹿にするな!」
「してないよ?だって」
柚樹は残酷に笑いかける。
「私、スッゴいつまんないもん!!」
そう言うと大きく跳躍した。そのバランス感覚は狩屋を遥かに上回っており、ジャンプ力は信助を怯ませるほどだった。
その背景が宇宙の星となる。彼女の目の前には、大きな月がある。
「ムーンブレイク!!」
ボールは月を壊し、強大なパワーをもって、ゴールを強襲する。それは信助に化身を出す暇も与えず、ゴールした。
「ゴォォォォーール!!開始早々、月影がシュートを決めたぁぁぁぁああ!!」
あっという間の出来事だった。地面に足をつけた柚樹は悔しそうにしている信助にだけ聞こえる音量でぼそりと呟く。
「三国さんだったら止められたかもね〜」
「っ・・・・・!!」
信助は怯えた顔で柚樹を見上げた。柚樹はニヤリと嗤う。
「私達をしっかり楽しませてねん♪」
——————その姿はまるで、悪魔だ。