二次創作小説(紙ほか)

Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.70 )
日時: 2015/05/01 18:07
名前: マイタケ (ID: qsw8GWEd)  

23話 争奪戦Ⅰ
「…何しているの?」
突如、聞き慣れぬ女子の声が耳に入った。どこか冷え冷えとしているのは気のせいではないだろう。
と同時に霧野の顔から更に血の気が引く。壊れた機械のように、ギギギ…と首を動かした。
「み、雅…、なんで…」
その背後で三国と影山が引きつった笑みを浮かべていた。剣城も軽く目を見開く。
「雅?」
「あなた、霧野君から離れてくれる?」
柔らかな口調だが顔は氷のように冷たい。その視線は、まっすぐと秋空に注がれている。
それに対し秋空は冷たく笑った。
「おや、君に言われる筋合いは無いんだが」
華南はゆっくりと口角を持ち上げた。色っぽい仕草で霧野にしなだれかかる。
「…何をしているんだい?」
「あら、あなたに言われる筋合い無いんだけど」
秋空の顔から表情が完全に消える。両者から火花が飛び散った。その状況に誰もが唖然として凝視した。
「君と霧野の関係を教えて貰えるだろうか」
有無を言わせぬ迫力。それを鼻であしらう。
「ねぇ霧野君」
艶やかな甘えた声とほぼ同時に霧野と唇を触れあわせる。
「…え?」
「ええっ?」
「えぇぇええぇー!?」
雷門イレブンの絶叫が響く。剣城、影山、三国、薫を除いて。しかし薫以外の3人は愕然とする。
秋空は黒いオーラを全開させる。華南は余裕の笑みで見る。
「ちょっ、お前ら!」
「ライバルは神童君のみだと思っていたが、どうやら違うようだな」
「私の足元にも及ばないけどね」
「…なんなんすか、この状況は」
耐えきれず狩屋が口を開いた。
「薫、いいのか?」
「は?」
剣城は無言で霧野達を指差す。薫は物憂げな、面倒くさげにそちらを見た。
「…別にどうでもいい、痴話喧嘩には興味ない」
そう言うと、さっさと出ていった。爽やかな笑顔を残して。
「あ゛あ゛あ゛!!お前らいい加減にしろよな!!」
「「………」」
2人は黙りこんだ。霧野は大きく息を吐いた。
しばらくして、
「…なら、サッカーバトルをしないか?」
「へぇ…」
華南は霧野から離れるとニッコリと笑った。花が咲くように、同性をも虜にするそれで。
「面白そうね。叩き潰して上げる」




「ねぇ、正義」
「なんだ?」
「……久しぶりに沸点突破しそうなんだけど」
「その場合、僕は逃げる。巻き込まれるのはごめんだ」
「いいよ。それで」
この時の尚は、全く笑っていない目で、艶やかで、誰もが背筋を凍らせるほどの怒気を含んだ美しい微笑をのせた。