二次創作小説(紙ほか)
- Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.84 )
- 日時: 2015/06/09 07:52
- 名前: マイタケ (ID: /OJeLYZk)
「で、もう用は無いわけ?犬神の相楽」
薫の言葉に、その呼び名に、尚の中に懐かしさが込み上げてきた。
「知ってるんだ」
「犬神憑きと言えば相楽っていうくらいだからね」
相楽家は憑き物筋の家系である。仏僧、坊主、陰陽師といった術者達によって滅亡した、非業の最期を遂げた哀れな一族である。
相楽家が扱う犬神は、他の一族よりも残酷非道と呼ばれており、様々な酷い事件を日本の各地で起こしていたのだ。彼らの悪行は様々な文献に記録されており、術者達の間で知らないものはいないほどだ。薫もその中の1人である。そのため、相楽を軽蔑する節があるのは否めない。
「…俺は別に君たちを傷つける気はないよ」
御前の命令があれば別だけど、という尚を、薫は剣呑な、しかしゆったりとした雰囲気で見ていた。
その時、また別の、知らない気配を感知し、薫は視線を走らせた。天馬達も、何事かとその方向をかえりみる。
「あれ、流星来てたんだ」
尚の呼びかけに、流星は物陰から現れた。彼の姿を、正義は珍しそうな目で見つめる。
「珍しいな」
「御前からん雷門に伝言」
その言葉に、薫はピクリと反応する。右手を一閃した。それと同時に、結界ははじけるように消えた。
流星はキャプテンである天馬の前に立った。
「御前からん『月が血に染まる時を楽しみにしている』と」
それだけ伝えると、流星は溶けるように、その場から消えた。
「なっ!?」
「消えた!?」
雷門が驚きの声を上げた。流星の消失に慣れている尚は、正義と華南の方を振り返った。
「2人とも、帰るよ」
尚の言葉に、華南は霧野の方を見た。もの言いたげな緋色の瞳だったが、それは一瞬のことで、すぐに尚と正義の方へ向かった。
が、正義は一度足を止め、雷門イレブンの方を向いた。
「では、…次に会うときは」
潰す。
その言葉と同時に、突風が吹き荒れる。
それが止まったときには、3人の姿はどこにもなかった。
- Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.85 )
- 日時: 2015/06/10 07:48
- 名前: マイタケ (ID: qsw8GWEd)
26話 黄昏の流星
それから数日、雷門イレブンはデーモン・エンジェル戦への特訓をしていた。
彼らの圧倒的な力にどのように立ち向かえばいいのかはまだわからない。だが、それでも勝てると信じている。
そんな彼らのことを思いながら、薫はルチャードたちを引き連れていた。
「補佐官」
「ん?」
ルチャードの声に、薫は振り返った。
「…白姫御前とデーモン・エンジェルとの戦い、何故雷門に任せるのですか?」
確かに黄昏の流星なら半妖であろうと、造作もなく排除できるのだ。なのに天馬達のような常人にそれを託すのは、荷が勝ち過ぎている。そう思うのはここにいる者達もだ。
ルチャードの言葉に同意の目をする部下達に、薫はフッと笑う。
「大丈夫だよ。ボクは天馬達を信じている。それに…」
一度口火を切ると、小さく息をついた。
「デーモン・エンジェルメンバーの大半が黄昏の流星と平和協定を結んでいる種族出身だよ。下手に行動すれば、最悪の状況になりかねない」
黄昏の流星は様々な種族と平和協定を結んでいる。もし、デーモン・エンジェルメンバーの半妖達に重傷を負わせる、或いは不慮の事故で死なせた場合、平和協定を破棄されてしまうだろう。そうなれば、この世界のあちこちで異常現象が勃発、人間達を滅ぼしかねない勢いとなってしまうだろう。実際過去にも1、2度ほど、そのような事があったらしい。
だが、それらは全て1つの種族だけが行っていたもので、今回は多種族が多く集まっている敵だ。1つの種族に危害を加えれば、連鎖のように他の種族からも協定破棄があるかもしれない。黄昏の流星としては避けなければならない最悪の事態だ。
「…そういうこと。それにデーモン・エンジェルメンバーは御前を信じ切っている。ボクらが行動するより、天馬達の方が説得力がある」
そう言いきると同時に、人の気配を感知し、静かにその方向を向いた。それから一瞬置いて、ルチャード達もそれに気づく。
薫はゆったりとした足取りで、そちらに向かった。誰も緊張の色を浮かべない。魔術師にとって、緊張は最大の禁忌だ。少しでも緊張を相手に見せれば命取りになりかねない。
「…そこにいるのは誰ですか?」
穏やかだが、反抗を許さぬ口調。それに反応した気配の持ち主はゆっくりと薫達の方へ歩み寄った———————。