二次創作小説(紙ほか)
- Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.86 )
- 日時: 2015/06/10 20:49
- 名前: マイタケ (ID: uLZUHjzo)
27話 面倒くさがり
夕方頃、薫達は帰ってきた。
「あ、おかえりー……ん?」
出迎えた天馬は、ふと目を丸くして薫を見た。
否、正しくは薫の斜め後ろにいる人物を。
剣城と同じくらいの背丈の人物だ。黒髪はセミロングで、目も黒い。顔立ちが端整で、一見女子に見えなくもない。が、服装は明らかに男物で、やはり男子なのだろうと思った。しかも、腰には銃を吊っており、クレープを美味しそうに食べていた。
「薫、その人は?」
黄昏の流星の人かな?と予想し、聞いてみる。薫はふと目を瞬かせると、「ああ、」と思い出したように前置きし、
「拾った」
なんとも簡潔かつ自然にそう言った。
「へぇ…………………は?」
思わず頷きかけた天馬は少し間を置いて聞き返した。
今、なんと言ったのだろうか。
「ひどいなあ、薫ちゃん。ボクの紹介くらいちゃんとしてよー」
黒髪の少年(?)はニコニコとそう言った。薫は「薫ちゃん」という部分でピクリと眉を動かすが、面白くなさそうな顔をする。
「じゃあ自分で名乗ればいいでしょう」
「ええーっ、面倒くさいなぁ…」
ブツブツと言いながらも、天馬の前に立つ。そして、銃を抜き、安全装置を外して、天馬の眉間にピタリと標準を合わせ、
バ———————————————————————————ン!!!!!!!
「うわぁああぁああ!!!!」
間近で響いた発砲音に、天馬は悲鳴を上げた。驚きで腰を抜かす。
奥からバタバタと慌ただしい足音がした。あれほどの轟音が聞こえなかった者はいないだろう。
「どうした、天馬!!!」
神童達が慌てて現れる。少年(?)を見た剣城達1年と3年は警戒して身構える。が、それと反対に、2年組は大きく目を見開いた。
「柊!?」
「何でお前がここに…」
口々に質問する神童達にニコリと微笑んだ。その横で、薫は天馬の腕を掴んで立ち上がらせた。その感覚に、天馬は目をぱちくりさせた。
「あ、れ…?俺、生きてる…」
それを聞いた薫は呆れたように溜め息をつき、柊と呼ばれた少年は嬉しそうに笑った。
「ビックリした?嬉しいなぁ」
そう言う柊を、薫は冷めた目で見た。
「随分と悪趣味な方ですね…天馬、あれはモデルガンだよ」
そう言うと、天馬は安堵の溜め息を吐いた。
「寿命が、10年分縮んだ…」
「じゃあ後90年は余裕だね」
天馬の文句を一蹴し、薫は彼を紹介した。
「こちら、2年の柊彰人さん。拾い物です」
「ひどい自己紹介だ…」
- Re: イナGO 銀色の悪魔【オリキャラ募集中!!】 ( No.87 )
- 日時: 2015/06/11 18:51
- 名前: マイタケ (ID: DKs/wtA1)
柊は唇を尖らせる。薫は黙殺した。
「ちゅーか、何でお前がいるんだ?」
浜野が不思議そうな顔をした。
彼の疑問は最もだった。
ここ、稲妻町の住民達は消されているのだ。稲妻町の人間がいるのを訝しんでしまうのもおかしくない。
「実はさ〜、」
ヘラヘラと笑いながら、
「忘れた☆」
ズッテ———ン!!!!!!
誰もがずっこけた。薫はこめかみに右人差し指を当てて溜め息をついた。
「ホントは法事と偽って学校さぼって辻褄合わせに稲妻町の外に遊びに行ってたんでしょう」
「だって説明面倒くさいし」
「そのくせ手の込んだことしますね」
「だって教師に見つかったら面倒くさいし、えへっ☆」
「やめろキモイ」
一言で斬って捨てると、彼の背中を軽くトンッと押した。
「まぁモデルガン持ってること以外、きっと多分一応無害です。あ、この人入部希望者らしいですよ」
じゃあボク、仕事あるんで。
それだけ言うと、踵を返した。
「あ、薫、ご飯どうするの?」
夕葉の言葉に薫は苦笑した。
「ルチャード達を置いて来てるから」
それだけ言うと、すぐに出て行った。
「…で、お前、入部希望者なのか?」
「そうだよ〜」
神童の問いにニコニコと答える。かすかに嫌悪の色を示すその目に、天馬達は怪訝に思った。
「あの…神童先輩は…」
それを聞いた霧野が「ああ、」と苦笑いした。
「あいつ、真面目だろ?でも柊は面倒くさがりでサボるからさぁ…」
なるほど、神童が好まない部類の人間だ。
納得する天馬達から視線を外し、霧野は柊に尋ねた。
「でもいきなりどうしたんだ?お前、バスケ部だろ?」
「ん?実はさぁ、最近先輩からのやっかみが多くって多くって…」
面倒くさいから辞めたと笑いながら言った。
嫌な予感を胸に、神童はあくまでも静かな語調で聞いた。
それに気づいているのかいないのか、柊は相変わらずの笑顔で、
「なんとなく♪」
そう言った。
神童の身体から、化身のものとは違うどす黒いオーラが立ち上った。
「…言っておくが、サッカーが好きでもない奴を入れる気はないぞ」
「え〜、そこは監督に聞くとかするだろー」
「神童、とりあえずコイツを入れよう」
「三国先輩…」
「今は仲間が1人でも欲しいんだから、な」
「…わかりました」
神童が渋々頷く間に、柊はクレープを完食していた。
「柊、行くぞ」
「はーい」
三国の後についていく柊を見て、コイツを入れて大丈夫なのか…?と、全員が思ったのは言うまでもない。