二次創作小説(紙ほか)

Re: MAJOR×キン肉マン〜清水大河を巡る決闘〜 ( No.15 )
日時: 2015/03/28 06:51
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

この日、僕達はバスで練習試合の会場へと向かっていた。
僕の通う海堂高校野球部は、去年全国大会で優勝したほどの強豪チームだ。もちろん、今年も優勝するつもりで、日々仲間達と研鑽に励んでいる。今度の夏の大会では、幼馴染の吾郎くんが設立したっていう創部半年の聖秀高校も参加するみたいだから、楽しみだ。吾郎くんがどれほど成長しているかはまだわからないけど、彼がどんなに成長していても、勝てる自信がある。
バスはゆっくりと進んでいく。
外の景色を眺めていると、突然バスが急停止した。

何があったんだ!?

身を乗り出して前方を見た僕は、バスの前に仁王立ちになっている怪物の姿を見てしまった。
岩のようにゴツゴツとしてひび割れた灰色の肌、筋肉隆々の3メートル近い体つきに、ひとつ目、鋭い牙を生やし、頭部にはシカのような2本の巨大な角を生やしている。
その化け物を一瞥した僕は、その恐怖に全身の血が一気に引いていき、腰を抜かしてしまった。

「ば、化け物だーっ!?」

真っ先に取り乱し始めたのは、僕達の専属コーチである江頭さんだった。それを皮切りに、一斉に皆が平常心を乱す。
外に出たら最後、間違いなくあの怪物の餌食にされて天国へ直行されるのが分かっているからだ。僕の後ろに座っている相棒の眉村はいつも通り音楽を聴いているかと思ったら、白目をむいて泡を吹いて失神していた。

「ま、眉村、しっかりするんだ!」

呼びかけるが、返事はない。
そのとき、バスが大きく揺れ動いた。

「シャバババーッ、出てくる気がないのなら、無理にでも引きずり出してやろうーっ!」

化け物が喋ったかと思うと、その屈強な両腕でバスを掴んで揺らしている。チームメイト達は次々にバスの窓から外へ放り出され、倒れていく。まるで、地獄絵図だ。
僕達は、ただ野球の練習試合に向かっていただけなのに……こんなの、あんまりだっ!
バスには僕だけが取り残された。運転手も監督もいない。
恐怖で心臓が鷲掴みにされるような感覚を覚えながらも、必死で携帯を取り出し、手始めに救急車を呼ぼうとする。が、化け物が正面窓ガラスを拳で破壊し、バスの中に侵入していきた。

「あ……」
「シャバババ、おい高校球児、答えろ。この顔の男に見覚えはないかーっ!」

化け物が僕の顔面に突きつけたのは、一枚の写真。
そこには変な恰好をしたピエロのような男が写っている。
彼は僕が答える気がないと知るや否や、服の胸倉を掴んで高々と持ち上げた。

「答えろ、高校球児よーっ!」
「し、知らないね……そんな人……」
「そうか〜、知らぬかーっ、ではお前に用はないーっ!」

怪物の巨大な拳が僕の顔面に迫ってくる。
自分の最期を悟り、目を瞑る。
おじいちゃん、おばあちゃん、さようなら……
そして、吾郎くん、最後にもう一度、きみと闘いたかったよ——。