二次創作小説(紙ほか)
- Re: サトミちゃん家の8男子と8人の完璧始祖 ( No.14 )
- 日時: 2015/03/30 16:46
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「ブンゴーッ!」
わたしは、オーロラビジョンに向かって声を限りに叫んだ。
けれど、ブンゴは反応がない。
対戦相手であるアビスマンの右肩の突起が彼のおなかに突き刺さって、ドクドクと血が流れている。観ているのも辛いぐらいグロい光景だけど、1番辛いのはそれを受けたブンゴの方。
しかも、アビスマンは返事のない彼をいたぶるように、突起を支点にして、まるで皿回しのように彼の体をヒュンヒュン回転させ始めた。
もしかして、ブンゴ……死んじゃったの?
最悪の事を想像し、思わず涙が出てきちゃう。
確かにブンゴは元学校1の不良で怖いところもあったけど、荒っぽいながらも優しさを見せてくれたときもたくさんあった。
しかも、喧嘩に慣れていて、6男子の中では兄であるゲンパチにも、「勝率は最も高い」って言われてたのに!
その彼が、まさかあんな形でお別れになるなんて、そんなの……そんなの絶対に嫌だよっ!
そのとき、今までなんの反応もなかったブンゴの手がピクリと動いた。
そして死んでいたかと思った顔をあげて、おなかから敵の突起を引き抜こうとする。
「モガッ、てめぇ、生きていやがったのか!?」
「あたりめぇだろ、お前の技の対策はとっていんだよっ」
血まみれの手になりながらも、急所を外していたヤードを引き抜き、マットに降りたつ。
白いシャツが血で染まっていて怖いけど、今のブンゴは今までで1番カッコいい。
「……ならばこの技で文字通り終わらせてやるーっ」
アビスマンは彼に突進していき、さっきのグレイブヤードタックルを敢行して、彼を宙に舞い上がらせ、そこからジャンプして両方の拳を彼の顎にめり込ませ、そのままの体勢で落下していく。
「おお、あの技は……」
ミラージュマンさんがポツリとつぶやいた。
「知ってるの?」
「ウム、アレは奴の必殺技、完璧四式奥義、奈落斬首刑だ。食らったら最後、死は免れられない」
「え……!?」
ズガアァン!!
轟音と共に、ふたりのいるリングが煙に包まれる。
ブンゴは無事なのだろうか。
スーッと霧が次第に晴れてくる。
ゆっくりとだけど、画面が見えてきた。
そこに映っていた光景は、敵の拳を紙一重で掴んで、落下していたブンゴの姿だった。
「何ィ! オレの奈落斬首刑がただの人間に破られるだなんてそんなバカなことが——」
「そのバカなことを起こせるのが、学校1の元不良の力さ」
アビスマンは目を見開き動揺している。
「荒っぽい方法だったけど、試してみる価値はあったな」
「だが、お前は正面からではオレを倒すことができないだろう」
「ああ。それは事実だ。認めるしかねぇ」
「モガモガ、それならば技は破られたが、オレの勝利は揺るがないということだ!」
敵はさっきブンゴを打ち負かしたタックルを炸裂する。
「アビスマン、オレは知っているぜ。お前は背後に敵に回られた時、『アビス=ガーディアン』って名前のバリアーを放つってことをな」
「知っているなら、分かるだろう。お前は前でも後ろでも、オレには決して勝てぬ!」
ドドドドド……ッ
まるで闘牛のようなパワーで突っ込んでくるアビスマン。
そんな敵に対して彼は真正面から勝負を挑み、彼の腰のあたりを掴む。
そして素早く反転させ、自分の膝で彼の腰を痛めつけるシュミット式バックブリーカー(ミラージュマンさんが解説してくれた)でバリアを破壊する。それでもアビスマンは立ち上がろうとするけれど、
「……や、やるじゃねぇか、山下ブンゴ。最初は威勢だけが取り柄の腰抜け野郎かと思っていたが、それはオレの勘違いだったようだぜ……モガハァ〜ッ!!」
最後はダメージに体が耐えることができずに、血を吐いて失神した。
「アビスマン、あんたも本当にすげぇ男だったぜ……」
敵との健闘を讃えた後、彼はリングを降りて異空間へと吸い込まれて行った。
ジャスティスマンさんによると、ブンゴは私達の家に帰ったらしい。まずは、わたしたち6男子が1勝して、里見家のソファを取り戻した。
◯山下ブンゴVS完璧四式アビスマン●