二次創作小説(紙ほか)
- Re: サトミちゃん家の8男子と8人の完璧始祖 ( No.24 )
- 日時: 2015/03/31 10:46
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
彼らに勝たないとジンベーが帰ってこない。
大好きなジンベーを彼らから取り返したい。
でも、やっぱり、人を傷つけるのはどうかと思う。
なんとか、話し合いで解決できればいいんだけど……
「ケノくん、闘いましょう」
真剣な瞳でシノくんが言った。
「でも——」
「ジンベーを取り返したいんでしょう? それなら彼らに勝利するしかありませんっ」
ぼくが躊躇っていると、ペインマンが口を開いた。
「そうだぞぉ、犬坂ケノぉ。我々はただで返してあげるほど、甘くはないぞぉ」
「お願い! ジンベーを返してっ!」
ぼくは瞳をうるうるさせて、彼らを見つめる。
サトミちゃんなら、すぐにOKしてくれる、ぼくのお願い攻撃。
「テハハハハハハ…なんだぁ、その顔はぁ? 今にも泣きだしそうではないか」
「ギラギラ、子犬のように我々に甘えようとでも言いたいのだろうが、そうはいかぬぞーっ」
「テハハハハハハ…シングマンの言う通り。もはや、この闘いは決して逃れられぬーっ」
試合開始のゴングが鳴る。
途端にふたりは、ぼくたちめがけて突進してきた。
シングマンとペインマンの巨体がどんどん接近してくる。
逃げたくても、リングを降りれば下は深い谷底。
「怖いっ」
ぼくはペタッと尻餅をついて、頭を押さえてうずくまる。
しばらくの間、恐怖で動けなかったけど、恐る恐る顔を上げて見てみると、シノくんが両手を広げてぼくを庇っていた。
「ギラギラッ、そこをどけぇ!」
「テハーッ!」
シングマンの肘打ちとペインマンの膝蹴りを受けて、体勢を崩すシノくん。だけど、すぐに持ち直し、ふたりをぼくに近づけないと必死で庇い続ける。
「シノくん、どうして……」
「どうしてって、ケノくんはボクの友達だからに決まっているじゃないですか!」
友達……
そうだ、彼はぼくの友達だ。
ジンベーもそうだけど、彼はいつもぼくの傍にいて優しくしてくれる。
前にジンベーがいなくなったときも、彼は一番に心配そうな顔で駆け寄ってくれた。彼はいつもぼくを気にかけてくれる。
シノくんには返しても返し切れないぐらい、たくさんの借りがある。
ぼくはいつも彼に助けてもらってばかりで、彼の役に立っていなかった。だから、今回は、ぼくが彼を助ける番なんだっ!
マットから立ち上がり、ぼくは勇気を振り絞って、コンビの片方であるペインマンに向かって行った。