二次創作小説(紙ほか)
- Re: サトミちゃん家の8男子と8人の完璧始祖 ( No.39 )
- 日時: 2015/04/01 14:55
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
シノくんが勝った。
その1勝が、ぼくの心の奥底に眠る潜在能力と勇気を倍増させた。
「ケノくん、ボクは元の世界に帰りますが、ペインマンに必ず勝ってジンベーを助け出してください!」
「うんっ」
ぼくと彼は友情の握手をする。
そしてシノくんは、ぼくに「何かの役に立つかもしれないから」と言ってマイクを1本渡して元の世界に帰って行った。
リングに残されたのは、ぼくとペインマンのふたり。
「犬坂ケノ、これで誰にも邪魔されずに正々堂々1対1の勝負ができるなぁ」
「ペインマン、ぼくはきみに負けない。シノくんのためにも、ジンベーのためにもこの試合、必ずきみに勝つ!」
「よいぞ、よいではないか、その度胸! 女々しい外見に似合わずなかなかの勇姿の持ち主。気に入ったぞぉ、犬坂ケノ! やはりお前は私の対戦相手として相応しい男だーっ」
彼は高らかに笑いながら急接近し、ぼくに右ストレートを放つ。
最初は避けられないかと思ったけど、体を屈めてパンチを避けることができた。次々と放たれるパンチの連射砲を、ぼくは自分でも信じられないほどのスピードで避けていく。
「テハハハハハハ……どうやら盟友である犬塚シノの勝利に影響されて、身体能力を上げたか」
「はあああああっ」
「テハッ」
ぼくは彼の隙を突いて顔面にパンチを見舞った。
彼の顔についているエアバッグが凹む。
すると、今までないと思っていた彼の目が露わになった。鋭くて凶悪な目。口元は笑っているけど、その目は全く笑っていなかった
「おっと、私としたことが不覚にも力を入れてしまったなーっ」
ペインマンはその弾力でぼくの拳をはね返すと、宙に舞い上がり、口を開いた。
「ケノ、お前はなぜそこまでしてジンベーを助け出したいのだ?」
「だって、ジンベーはぼくにとってかけがえのない友達なんだもの」
「そうか〜、だがな……ジンベーはずっーとお前と一緒に暮らせるわけではないぞぉ」
「えっ……?」
「知らぬのか〜、ならば教えてやろう。コアラの寿命はなぁ僅か10年しかないのだ!
ジンベーがいくつかは知らぬが、あと10年以内、つまりお前が20代になる頃には既にこの世にいないーっ」
「!」
衝撃の事実に、ぼくは頭が真っ白になった。