二次創作小説(紙ほか)

Re: サトミちゃん家の8男子と8人の完璧始祖 ( No.59 )
日時: 2015/04/03 15:28
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

鳥取砂丘特設リング。

「おお〜、なんということでしょう。まさかあのガンマンさんが倒されてしまうとは。これは私も想定外〜!」

ぼく、ゲンパチの対戦相手のサイコマンはガンマンが倒されたのを確認すると、そんなセリフを口に出して取り乱したかのような仕草をした。けれど次の瞬間にはニヤリと笑って、

「な〜んて冗談ですよ、本気にしました? 私があのガンマンの死に対して悲しむとでもお思いでしたか。ああ、なんとおかしい!」

彼は仲間の死をなんとも思っておらず、ニャガニャガと不気味な笑い声をあげている。先ほどもそうだった。ぼくは彼の様子を試合開始直後から観察していたが、彼は仲間が倒される度に笑っていた。仲間の死に涙を浮かべないなんて、なんて酷い男なんだろう。
すると、彼は真顔で言った。

「メガネさん。あなたはご存じないかもしれませんが、完璧超人は完璧なスキルを持つ者しか認めません。したがって同胞の死にいちいち悲しんだりしないんですよ」
「……」
「さて、そろそろ頃合いですし、私達の死闘も始めるとしましょうか」
「ああ、そうだな」

ぼくは、この外道を必ず地獄に送ってやると胸の内で誓い、敵に突進していく。幸い、彼の戦法を昨日のうちに全て調べてある。
対策はばっちりだ。

「ニャガニャガ、さすがは生徒会長を務めているだけのことはありますね。しかし、机上の理論と実戦では違うことを教えてあげますよ!」

サイコマンは突進してきたぼくを捕まえようとするが、素早く屈んで逆に相手をスープレックスで投げる。敵は空中で着ている白装束に炎を纏わせ逆さになると回転しながら体当たりをしてきた。

「イグ二シフォンドレスーッ」

だけど、この技には弱点がある。それは——

「頭には炎を纏っていない!」
「ニャガ〜」

ぼくは彼の顔面にドロップキックを炸裂させてダメージを負わせる。

「ならばこれならどうでしょうか?」

今度は彼の装束の裾が尖った槍状になる。このモーションは……

「〈完幻〉殺法スピアドレスーッ」

彼はそのまま四方八方から槍脚の攻撃を見舞おうとするけれど、マットに仰向けで寝れば攻撃は当たらないことを知っている。

「八つ裂きハット!」

帽子のつばを回転させて襲い掛かるけど、これも顔面に頭突きを放つことで破った。

「さすがは、6男子の中で最も優秀なだけなことはありますね。でも、あなたは私には敵わないのです」
「どうしてだい? こんなにもきみの技を破っているのに」
「ニャガニャガ、あなたはご存じないようですねぇ。私がこんな技を使えるということを!」

彼は飛び上がり、何やら呪文らしきものを唱える。
すると青い空が次第に黒雲に覆われ始めてきた。

「食らいなさい。完璧秘奥義 サンダーサーベル!!」

振ってきた雷を掴み、それを槍投げの要領でぼくに投げつける。

サクッ

回避しそこない、そのうちの1本が右腕に突き刺さる。
激痛と電流で、気を失いそうになるが、なんとか倒れないように姿勢を維持する。

「所詮無駄なあがきですよ、メガネさん。あなたは私の敵ではありません」

サクッ、サクサクッ

左腕、右足、左足にも突き刺さり、ぼくはリングに磔にされて動けなくなってしまった。
上空にいるサイコマンは、したり的な笑みを浮かべている。

「これで止めです!」

彼が投げた雷の槍が、真っ直ぐぼくめがけて飛んでくる。
逃げたくても逃げ出せない状況の中、走馬灯が見えてきた。
自分の最期を悟り、弟に、今まで冷たく接してきたことを心の中で詫びた。ブンゴ、今まで優しくできなくて、ごめん。
シノ、ミッチー、ソウスケ、ケノ、ジンベー……そしてサトミ——きみたちに会えて楽しかった……