二次創作小説(紙ほか)

Re: 暗殺教室 〜復讐の暗殺者〜(オリキャラ有り) ( No.91 )
日時: 2017/02/14 18:56
名前: 蒼衣 ◆mWmyLN68N. (ID: LN5K1jog)

渚side

少し肌寒い夜風が吹き抜けるあるホテルの屋上。その中心で、一人の男と二人の少年が睨み合うような形で相対していた。

翡「そうだなぁ、君達と俺とじゃ少し経験に差があるし…。俺の手札を見せておいてあげよう。」

すると、男は懐から一本のナイフを取り出し、僕達に見せた。

翡「俺はこれしか使わないよ。あ、あと素手ね。まあ、つまり格闘術。」

カ「ふーん…。随分余裕そうだね、お兄さん。」

カルマ君が少し煽るような口調で相手に話しかける。僕がようすを伺ってチラッと横を見ると、煽るような口調とは裏腹に顎が引いていた。どうやら、相手の言っていることが本当なのか、またはそれ以外の部分でも警戒し、探りを入れているようだ。

翡「余裕、ね。そう見える?やっぱり。」

そういうと、口元をニヤッとさせて少し挑戦的な目つきに変わった。

翡「正直にいうと、今俺は楽しみでしょうがないよ?」

渚「楽しみ…?」

翡「そう、楽しみ。まあ、なんたってあいつがあそこまでいうんだ。楽しませてもらわなきゃ困る。」

あいつ…?

カ「…その評判を誰から聞いてるのかわかんないけど、俺達は普通の中学生だよ?」

翡「…ッ!クハハッ!それはさすがに無理があるよ。じゃなきゃ俺達が依頼をうけるわけがない。」

渚「依頼…。」

翡「おっと、このままだと口が滑っちまう。」

カ「こっちとしてはその方がありがたいんだけど。」

翡「そんな都合のいいように俺が喋るわけないだろ。…さて、お喋りも終わりにして…。」

するとその瞬間、相手の目つきがあきらかに変わり、僕達の周りの空気だけ温度が下がったような感覚に陥った。尋常ではない雰囲気に僕達は身構える。

翡「それじゃあ行くよ?よーい…どん!」

タンッ!

そんな掛け声とともに翡翠が蹴り出した。
蹴り出した足音は軽く、相手も力んでいるようには見えない。
なのに…

渚(はやい!!)

スピードに乗った翡翠の拳が、渚の腹を殴りつける。

渚「ガッ!?」
カ「渚君!」

いとも簡単に渚が吹き飛ばされ、数メートル先でうずくまる。

翡「ほらほらよそ見してる場合?」
カ「クッ!」

ガキンガキンとナイフが重なるたびに音を発する。翡翠のナイフは次々にカルマへと襲いかかるが、今の所はカルマが避けるか、ナイフでさばいている。

カ(…まずいな、これじゃ防戦一方だ。)

翡翠が繰り出す重めの一撃をクルリとかわし、翡翠の足元に仕掛ける。

翡「おっと…」

これも軽く相手にかわされるが、一瞬できた隙を見逃さず、その隙に翡翠から距離を取り、渚に近づく。

渚「ゲホッ!ごほっ!」
カ「渚君大丈夫?」

いまだに咳き込んだままの渚に、カルマが声をかける。しかし、その目線はあくまでも翡翠に向いており、相手に隙を見せないように警戒していおり、相手の出方を見計らっていた。

渚「うん…。ごめんカルマ君。」
カ「今謝るのはよしなよ。あんな奴に俺一人で勝てるわけない。渚君の力が必要になる。」
渚「うん。」

一方の翡翠は、余裕の表情で二人を見据えていた。

カ「あの余裕ぶっこいてる面に一泡吹かせに行くよ。」
渚「了解!」

その言葉を合図に二人が翡翠へと襲いかかる。カルマが正面から向かえば、すかさず渚が死角を探し、潜り込む。その一方に少しでも意識が向けば、カルマが仕掛ける。普段の授業から鍛えられているこのコンビネーション。二人ともナイフで切りかかり、果敢に攻める。しかし、この二人の果敢な攻撃も、翡翠にいとも簡単にさばかれる。

翡「へえ…そのコンビネーションなかなかだね。」

息の合う二人の攻撃に翡翠は決してたじろぐことなく口元にニヤリと笑みを浮かべ、二人の攻撃をさばき続ける。

カ「そりゃどうも!っと。」
渚「ッ!」

すると、カルマが仕掛ける。一旦距離を取り、翡翠と対面で向かい合ったかと思うと、翡翠の懐に潜り込む。

翡「んなっ!」
カ「もらった!」

今がチャンスとばかりにカルマのナイフが翡翠に襲いかかる。

翡「…なんてね。」
カ「うわッ!」

しかし、そのナイフは翡翠に届くことなく、翡翠に襲いかかろうと伸ばされたカルマの腕は、翡翠に拘束される。

翡「かかったと思った?」

翡翠は、カルマに向けて挑戦的な表情で笑みを浮かべる。
しかしカルマは、

カ「…その言葉、そっくりそのままお返しするよ。」

翡翠と同じような笑みを顔に浮かべていた。

この時を見計らっていたように、気配を消していた渚が動き出す。カルマが拘束されているのを逆手に取り、渚が関節技をかける。
拘束が緩くなったのを見計らってカルマが腕から抜け出すと、翡翠の腹を殴りつける。

翡「グッ…!」

翡翠が、渚たちから一旦距離を取り、腹を抱えながら少し荒く息をしている。

カ「やっとまともなのが入ったね。」
渚「一つを取るのに時間かかっちゃったね。」
カ「油断は大敵だよ?渚君。」
渚「もちろん。」

少しの間じっとしていた翡翠であったが、顔を上げたかと思うととても愉快だとばかりに顔に笑みを浮かべ、二人を見据える。

翡「…まあ、これくらいはしてもらわないと。俺も楽しくなってきたよ。」

コツコツと二人に歩み寄る翡翠。

翡「…もっともっと見せてごらん?二人の技術を。こんなもんじゃないはずだ。こんなんだったら俺が依頼を受けた意味がない。」

おもむろに口を開いた翡翠は二人にこう告げた。

翡「もっと、もっと見せてみろ。お前たちの限界まで。…そしてその限界を、俺が捻り潰してやる。」

俺が上だと言わんばかりのその口調に、二人は警戒を露わにし、そのナイフを握り直した。