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二次創作小説(紙ほか)
- Re: トーマの心臓 天使は悪魔を愛するか ( No.3 )
- 日時: 2015/08/17 14:00
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
ぼくは彼を愛する資格がない
先日トーマ=ヴェルナーは
ぼくに想いを打ち明けた
「きみのことが好きだ」と
その告白に返した言葉は
「きみなんか知らない」
彼は教室の柱に隠れ
水色の瞳から雫を流していた
ごめんトーマ
歩く度に風に揺れる
サラサラの金髪
慈しみで包まれた水色の瞳の恋神
本当は
きみを愛している
けれど
ぼくにはそれを言えない
きみには天使の翼がある
少年なら誰でも持っている
天国へ至る翼
だけど
ぼくにはそれがない
取られたんだ
ヤコブ館は二階の端の部屋で
サイフリートの手によって
思い出しただけで
身の毛もよだつあの日の出来事
それをきみは知らない
いや
知らなくていい
ぼくは——きみを裏切った
裏切り者のぼくをわざわざ愛さなくてもいい
他の誰かの元へ行ってくれないか
羽をもぎとられたぼくは
きみの知っているぼくじゃない
心が傷つかない内に
いっておくれ
きみさえいなくなれば
ぼくは——そのまま堕ちていける
光り輝く世界には
ぼくはいらない
だからもう
遠くへ行ってほしい
トーマ=ヴェルナー
ぼくは
きみなんか知らない
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