二次創作小説(紙ほか)

Re: かつて魔法少女と悪は敵対していた ( No.12 )
日時: 2016/01/07 08:13
名前: のれり (ID: R4l9RSpR)

「木陰にいたらだいぶ回復しました。ありがとうございます、悪の参謀さん」

そう言う彼女の顔色はやはり良好とは言えないが、先程よりかはだいぶ血色も良くなったようだ。深々と頭を下げる彼女の肩は細く、折れてしまいそうだ。

そんな彼女に背を向け、私は__言った。

「……君は魔法少女をやめるべきだ」

こんなこと、言いたくはなかった。わざわざ、彼女との接点を無くすなど……。

「……やめません……私……」
「君……っ」

魔法少女は少し俯きながら、だがしっかりとした声で応えた。

「誰かがやらなきゃいけない事に変わりはないし、……それに……参謀さんに、会えたから……」
「……………っ!!!」

なんっ……だと!?魔法少女っ!それは……どういうことだ!?私に、私に、私に__……。
あああっ!マズいっ!!!理性を取り戻せっ!!私っっ!
きっと魔法少女はそんなつもりで言ったんじゃない!!勘違いすな、私ッッ!
ああ!あんなところにいいものがあるじゃないか!!
よし!殴ろう!!

私は、それこそ血が出るほどなに木を殴り続け、理性を保つことに成功した。

「参謀さん……怒ってます……?」

いいえ、悶てます。
魔法少女に、余計な心配をかけてしまったようだった。
私は一言謝ろうと魔法少女の顔を見た。

……………。

「くそぅっ!可愛いな!!可愛すぎる!!何が目的だ!?」

そんな顔で見つめるんじゃない!今度こそは自分の暴走を止められそうにない。止める気もない!私は懐に手を入れ、__……アレを取り出した。

「ふっ……このブラックカードが良いだろう!!私の負けだ!好きなものを買うがいい!!」
「落ち着いて、参謀さん」
さすがに止められた。


「……私の為を思って言ってくださったのに……ごめんなさい」
「……今日は帰るよ」

さすがに、少し暴走しすぎた。私のせいで、彼女に余計な心配をさせてしまったみたいだ。
なんとも言えない気持ちがこみ上げてくる。私はかちゃり、とずれたメガネをかけ直した。

「だが、考えてほしい。魔法少女をやめることを……。でないと、次会う時は
殺し合う事になるかもしれない」

おっと……そうだ。そんなことより、大切なことを聞き忘れた。

「ちなみに次だけど何食べたい?」
「あ、そんな、お構いなく……」


〜組織に帰還〜

私はおもむろにテレビをつけ、パソコンの前に座り、頭をかかえた。

……この、私が。
敵である少女に翻弄されているだと……?このままではいけない。
私は……悪の参謀なのだから……っ!思いだせ。王の片腕となって残虐の限りを尽くした日々を……!よみがえれ!悪の眷属よ……!

「わぁ!これ凄く美味し~!サッパリしてて女性の好きそうな味ー!」

不意にテレビの女キャスターの声が聞こえてきた。
私はテーブルの上に置いておいたスマホを手にとった。

「ああ、すまない。今テレビでやっていた……そう。フルーツのタルトひとつ」