二次創作小説(紙ほか)

Re: かつて魔法少女と悪は敵対していた ( No.7 )
日時: 2015/12/13 19:25
名前: のれり (ID: R4l9RSpR)

「このシフォンケーキ、すごく美味しいです」

シフォンケーキを一口、口に運んだ魔法少女はほんのりと頬を染めた。
あぁ、君は本当に可愛いな。

「……このぐらい、我が悪の帝国では大したことないよ」
メガネをぐい、と中指で押し上げながらそんなことを言ってみた。

「…それより、敵である私の施しを受けていいのか?なにか入っているかもしれないとは思わないのか?」
少しドキドキしながら聞いてみた。彼女の気持ちを聞いてみたい。
「参謀さんがそんなこと…それに…」
魔法少女は、ふと、視線を外した。
それに?何か、あるのだろうか?

彼女はカチリ、とフォークを皿の上に置き、ゆっくりと口を開いた。

「どちらにせよ、そろそろなにか食べないと…もう一週間、水しか口にしてなくて…」

…………。一週間……?私は人間ではないから、一週間程度何も口にしなくても、どうということはないが…

「人間は食べないと死ぬんじゃなかった?」
「はい。死にます」
魔法少女は間髪入れずに返答してきた。

「私は身寄りがなくて、孤児院ぐらしをしていたのですが、中学卒業と共に院を出て働き始めて、今はバイトと院の手伝いと魔法少女を掛け持ちしています。忙しくて食事を摂りそこねることもありますが、それはその分貯金に回したと思えば、お腹は充たされずとも、心は充たされます」

魔法少女はひと呼吸おいてから、それに、と付け足した。

「魔法少女の仕事は、思ったより辛くないんです。きっと、悪の参謀さんのおかげです。ありがとうございます。参謀さん」

魔法少女はは深々と頭を下げた。

私はメガネを取り、手で涙を拭った。