二次創作小説(紙ほか)
- 102時間目 新学期スタート〜さらば我らの聖典よ〜 ( No.1 )
- 日時: 2015/07/17 21:37
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
教卓の前で腕を組み、静かに自分たちFクラス生徒一同を見ているのは担任の先生の西村先生。その西村先生が睨むように見ているのは、クラスでただ一人立ち上がっているクラス代表の坂本雄二くんこと、ゆーさん。
クラス一同が静まりかえる中、ゆーさんはただ一人西村先生に諭すように話し始めました。
「西村先生。知的好奇心を育むには、具体的な目標が必要だと思わないだろうか?」
まるで西村先生の心に語りかける様に語りかけるゆーさんは、黙ってそのゆーさんの演説を聞いている西村先生の態度に満足そうにニヤリとしながら続きを語ります。
「古今東西、科学技術の発展の裏側には、必ず戦争の影が存在した。鉄が生まれたのは工業の為ではなく剣や鎧を作るためであり、馬が飼育されたのは農業の為ではなく騎兵の生産の為だ。近代で挙げるとしたら、核技術の発端だって戦争だと言えるだろう」
「…………」
西村先生は無反応のようです。それにしてもホントゆーさんって、指導者や指揮官に向いてますよね。自分を含めクラスのほとんどの皆さんがゆーさんの一言で一喜一憂しますし、人の心を動かすのが上手い証拠でしょうか。
「科学技術の発展という明るい結果が生まれる背景には、人間同士の戦争という暗い過程が存在し続けてきた——とまで言うと、流石に言いすぎかもしれない。が、戦争という危険だが明確な目的を持つと、その度に科学技術は飛躍的な発展を遂げてきた。これは残念ながら紛れもない事実だ」
「…………」
傍から聞いているだけですが、ゆーさんってディベートとかディスカッションとか得意かも。興味を惹かれる話術は聞いているだけでも楽しいですものね。ただ———それでもやっぱり西村先生は無反応です。
「本来、科学技術の発展というのは知的好奇心を原動力として発生する。それは古代だろうが現代だろうが、どのような時代であっても変わらない」
「…………」
「だがその原動力によって効率的に結果に結びつくのは——過去の事例を見る限り、『戦争の勝利』という闘争本能に根ざした『具体的な目的』が存在する場合が多いと言える」
「…………」
「別にだからと言って戦争が必要だと言っている訳じゃない。戦争というのは多くの死者を出し、それは『同種族を殺す』という生物にとっての最大限のタブーを犯している続ける愚行そのものだ」
「…………」
「だが、それが愚行であっても、そこから学びとれるものは少なからず存在する。それは『知的好奇心は具体的な目標を持つことで、より良い結果へとつながりやすい』という事実だ。———ここまで言えばあとは先生には分かってもらえると思うが」
と、ゆーさんがそこまで言い終わったのち、西村先生が初めて動きを見せます。
「……坂本、お前の言わんとしている事は伝わってきた。確かにお前の言う通り知的好奇心は目的の有無でそのあり方は変わってくる。それはその通りだ……だが———」
一旦大きく息を吸い込みそして一気に吐き出して、固く組んでいた腕組みを解き自分たち全員に聞こえるようにハッキリと宣言します。
「————だが、没収したエロ本の返却は認めん」
「あはは。ですよねー」
『『『『ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』』』』
- 102時間目 新学期スタート〜さらば我らの聖典よ〜 ( No.2 )
- 日時: 2015/07/18 09:34
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
あの楽しい夏(海水浴に夏祭り。先生方が家に遊びに来たり大変でもありましたが)が終わり、いよいよ待ちに待った新学期。新しい学期に胸躍らせる自分たちを待ち構えていたのは———楽しい楽しい先生方の持ち物検査。
そう始業式の翌日、早々に持ち物検査があり大事な私物を失ったであろう級友たちはみな涙を流していました。それは演説していたゆーさんも、援護していたアキさん&こーさんも例外では無いようです。
「どうしてですか西村先生!さっきの雄二の演説を聞いたでしょう!?僕達が『保健体育』という科目の学習に対する知的好奇心を高めるためには、『エロ本の内容の理解』という本能に根ざした具体的な目標が必要なんです!」
「学習しなければ理解できんほどの高度なエロ本を読むな吉井。お前は何歳だ?」
「…………知識を求める心に、年齢は関係ないっ!」
「よく見ろ土屋。ここにR−18と書いてあるだろうが。そもそもその年齢に達している月野はそんなもの持ってきておらんぞ」
「あんまり興味無いですからねー……と言いますか、学園に持ってきちゃ色々と不味いですし。校則的にも、そして倫理的にも」
「まあ、こやつらじゃしの……宿題を持って来ずとも、エロ本だけは持ってくるその精神は別の方向に向けるべきじゃと思うのじゃが」
溜息を吐く西村先生と、苦笑いのヒデさん&自分。と言いますか、よくもまあこんなに多くの……その、成人指定の本を学園に持ってきましたね?……若さゆえの何とやらでしょうか?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには——僕らには、その本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
ゆーさんやアキさんこーさんの必死の抗議を援護すべく、自分とヒデさんを除く全Fクラス男子が一丸となり西村先生に向かって90度で頭を下げます。事情を知らない人が見ればちょっぴり昔のドラマを彷彿させるシーンを見せてくれる我ら愉快なFクラス。そしてそんな皆さんを呆れ返った目で見る苦労多きFクラス担任の西村先生。
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
「懐かしいですねー、母や日高先生がよく見せてくれましたよ」
「ワシも演技の勉強の為にたまに見るぞい」
「あれくらい爽やかなクラスだと、俺も良かったんだがな。俺が目指した理想のクラスは所詮幻想だったようだ」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
あはは……まあ、そもそもそんなちょっぴりアブナイ成人指定の本の返却は認められるとは思いませんでしたし、思えませんが……それでもやっぱり中身がどうあれ青春真っ只中の皆さんにとっては大切なものだったらしく、無慈悲な先生の一言に大いに涙します。
「くっ……それならこう考えてくみてれませんか?」
「だからなんだ吉井。これ以上は下らない演説に割く時間はないぞ」
そんな彼らの想いを胸に抱き、最後まで諦めない意思を持ち食い下がる自分の大事な友人の一人のアキさん。
「そうあれはエロ本じゃなくて———保健体育の不足分を補っている参考書だと」
「惚れ惚れするほど凄い理論ですね、アキさん」
「ある意味ここまで言いきった明久は賞賛してしまいそうじゃの」
「月野、木下。あのバカの言うことは参考にしないように。全員きちんと準備して授業に臨むことだ。これにて朝のHRを終わる」
ある意味素敵なビックリ理論をアキさんがぶつけるも先生は取りつく島もなく、さっさと職員室へ戻ろうとします。先生のその態度にどうやらカチンときたアキさんたちご一行はと言うと。
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』』』』
アキさん、ゆーさん、こーさんを筆頭に鞄・椅子・机・モップ・上履きその他諸々手に取って、教室を後にしようとする先生を取り囲みます。さ、流石アキさんたち……やることなすこと予測の範囲を軽々と棒高跳びで超えていきますね……
「ちょっ!?皆さん落ち着いて————」
「やれやれだ……月野、それに木下、姫路、島田。お前たちはちょっと教室から出ているんだ」
そう言って、自分たち四人を安全面に考慮して教室から避難させる西村先生。そして———
『全員かかれ———っ!』
『『『おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』』』
『良い度胸だキサマら、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる』
———アキさん率いる(自分とヒデさんを除く)Fクラス男子VS西村先生の闘いが勃発する事態に。ほ、本当にいつも通りの(非)日常なわけですね……
〜しばらくそのままでお待ちください〜
- 102時間目 新学期スタート〜さらば我らの聖典よ〜 ( No.3 )
- 日時: 2015/07/17 21:45
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「あの野郎絶対人間じゃねえ……!」
「だよね……。どうして47人の男子高校生を相手にしてたった一人で戦えるんだろう……?」
「…………もはや人間兵器レベル」
10分後、アキさんやゆーさん、こーさんは物の見事に返り討ちにされたご様子。その他西村先生に立ち向かった男子生徒の呻き声も聞こえてきます。相変わらず先生はお強いですね〜♪しかも怪我を絶対させないように上手く対処しているからまた凄い。
「アキたちってこういう時は凄い結束力を発揮するわよね……」
「すごい結束力って、そんなに統制が取れてた?」
「統制って言うより……どうしてクラスの男子全員が、一人残らずその……ああいう本を持ってきてるのよ?」
そう言って呆れたような顔をしているのは島田さん。顔がちょっぴり赤いのは、多分アキさんたちが持ってきた成人本の表紙を見たからでしょうね。
…………あれ?それはともかく、島田さん?
「ちょっとストップです、島田さん。男子全員……?自分とヒデさんは持ってきていませんが?」
「そうじゃの。ワシらが男子としてカウントされておらぬように聞こえるのじゃがの?」
「へ?……いや、木下も月野も何言ってんのよ?アンタら女の子に興味があるの?それにそもそも月野はまだまだ早すぎるでしょうに」
「「…………」」
…………あの、これ何度目になるのか数えるのも辛いのですが。ヒデさんも自分も男子ですし、一応自分は年齢的には皆さんより年上で普通自動車の免許も夏休みの間に取得していて、尚且つアキさんたちが持ってきたであろう成人指定の本も一応は読めるのですがね?やっぱり日に日に誤解が深まっている気が。
「まあ、それはともかく色々と男子には男子の事情があるんだよ」
「あんな本を全員で持ってくる事情って一体……?」
「没収されたのは仕方ないと思います。その……明久君にはああいった本は……その……早いと思いますから」
と、こちらも赤い顔をしている姫路さん。確かに姫路さんの言う通りまだ早いですよね。ところで姫路さん?それに島田さん?こっそりと……
『それに明久君には私と美波ちゃんで……』
『ゆっくり教えてあげるからいいのに……』
……って聞こえた気がしたのは気のせいですよね?まあ、あんまり深くは考えないようにしておきましょう。これもはやツッコんだら負けな気がします。
「うぅ……そうは言っても納得いかない……」
「まあ、確かに持ち物検査なぞ、久しくやってなかったからの。油断するのも無理からぬ事じゃ」
「確かにそうよね……ウチも実は細々したものを没収させられたもの。DVDとか、雑誌とか、抱き枕とか……」
「美波ちゃんもでしたか。私も色々と……CDとか、小説とか、抱き枕とか……」
……抱き枕?何故にそのようなものを学園に……?最近この二人の思考が、どことなくサクヤさんや優姉さんに似てきたような気がするのは気のせいではなさそうですね。
「なんだ。島田も姫路も没収させられてたのか。んじゃ、秀吉や造もか?」
「いや、ワシはともかく造は無かろうて。校則違反なぞこやつはせんじゃろうしな。……ワシは演劇に使おうと思っておった小物の類をの。運の悪い事に携帯ゲーム機じゃったわい……」
あ、そう言えばヒデさんの今度の劇の演目は、確か現代ものでしたね。ゲーム機はその小道具みたいです。高価なものでしょうにヒデさんも災難でしたね。
「あ、ヒデさん。信頼してくれているのは嬉しいのですが、自分も例に洩れず没収されましたよ?」
「「「「「「ええっ!?造(月野)(月野君)が!?」」」」」」
何この反応……
「な、何でそこまで驚くのですか……?自分も人間ですし、やっちゃいけない事もやりますよ……?」
「「「「「「…………」」」」」」
皆さんどれだけ驚くのですか……てか、自分はどんな風に思われているのでしょうね?一応自分、これでも去年も今年も色々アウトなことやらかした観察処分者な問題児なんですがね……褒められることではないですが。
- 102時間目 新学期スタート〜さらば我らの聖典よ〜 ( No.4 )
- 日時: 2015/07/17 21:50
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「そ、それで!?何を没収されたのさ!?」
「慌てないでくださいよ。大したものでは無いんです。この前の旅行の時の写真と……向日葵の種と写真立てを、ね?」
「この前の写真はわかるが……向日葵の種に写真立て?何に使うんだ?んなもんを」
あはは……まあ、気にしないでくださいね?
「まあ、造のはそこまで問題にならないんじゃない?鉄人に交渉すればわかってくれるかもよ?」
「いやー……自分もあれは休みの日に持ってくれば良かったですから。しょうがないですよ」
それに流石に一人だけ返して貰うのも気が引けますもの。ここは我慢するしかないでしょうね。
「全く、造は真面目だね。ハァ……それにしても被害は甚大だよ……」
「その様子じゃ明久は写真集以外も没収されたようだな?」
と、酷く落ち込んでいるアキさんにゆーさんがそのように尋ねます。あら?もしかして何か他に没収されたものが?
「えーと……(保健体育の)本でしょ、CDでしょ、あと……(今日買った瑞希と美波の写っている)旅行の時の写真……かな?」
「ふむ……造の件といい明久の件といい、写真まで没収なぞ……教師陣も容赦ないのう?」
「うぅ……今日ムッツリ商会で買ったばかりのまだ見ていないものなのに……」
そう言って涙を浮かべがっくりと項垂れるアキさん。あらら……アキさんもかなり落ち込んでいますね。まあ、朝聞いた話しだと姫路さんと島田さんの写真が入っていたそうですし……お二人にホの字なアキさんはそりゃ落ち込むのも無理はないでしょうか。
「残念です……折角(特別仕様:秋子ちゃんの)抱き枕で眠るのすっごく楽しみでしたのに……写真も……」
「ウチも……今夜は良い夢を見れると思っていたのに……」
…………そして思考がアキさんよりちょっぴり上のこのお二方。えっと。聞かなかった事にしておきましょうね。ツッコむのもしんどいです、はい。
「てか、そう言う雄二は本以外に何没収されたのさ?」
「俺はまたMP3プレーヤーだ。一昨日に出た新譜を入れておいたのに、全部パアだ。クソッ!」
あはは……あんまり詳しくないんですが、それってヒデさんのゲーム機以上にお高いんですよね?ゆーさんも災難でしょうね。
「…………持ち物検査の警戒を完全に忘れていた……」
「って、待った!?む、ムッツリーニ……まさか、ムッツリーニも……?」
と、青い顔のアキさんが同じく青く沈んでいるこーさんに恐る恐る尋ねます。あれ?何故でしょう、今のこーさんの一言が更にアキさんのお顔を青くしたような……?
「…………(コクリ)カメラは全て。データの入ったメモリも全部没収されたから当分再販も出来ない」
「「「ええっ!?」」」
先ほど以上に絶望しきった声のアキさんと姫路さん&島田さん。その声はまるで地獄を見たかのよう。
「どういう事さ、ムッツリーニ!いつもきちんとバックアップを取っているんじゃないの!?」
「そうですよ土屋君!どこかに予備データは残っていないんですか!?」
「本当は家のパソコンを探せば出てくるわよね!?」
「…………バックアップはある。しかしサルベージに時間がかかる」
「「「そ、そんな……っ!」」」
思わず床に手を付いてしまうほど、ショックを受ける三人。アキさんは姫路さんと島田さんの写真を、姫路さんと島田さんはアキさんの写真を大事に大事にこーさんから高額で買い取っているだけに相当ダメージを受けているご様子。……ホントこの三人ってお似合いですよね……
『おい、聞いたか?』
『ああ、再販が未定とは……!姫路や島田や木下や造ちゃんのレアな浴衣姿などがお預けなんて死にも等しい苦行だぜ……』
『それだけじゃない。霧島に工藤に木下姉にあの養護の日高先生。おまけに知らないお姉さんまで写っていたらしいぞ……!それを見られないなんて……!俺はっ!俺は……っ!』
アキさんたち並みに、こーさんの発言に衝撃を受けるのはFクラス男子クラスメイト。持ち物検査でお通夜ムードだった教室が、更に酷い状況へとシフトしました。おかしい……教室自体は改装され以前よりも設備を整えたはずの新しく綺麗な教室内が、黒く……そうドス黒い空気が充満してきた気がするのですがこれは一体……?
- 102時間目 新学期スタート〜さらば我らの聖典よ〜 ( No.5 )
- 日時: 2015/07/17 21:54
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「さて……こうなったら雄二。“やる”?」
「は?アキさん?何をするんですか?」
そんな空気を払うかのごとく、突然復帰したアキさんが目をギラギラさせてゆーさんに向かって立ち上がり話しかけます。ハテ?何をする気やら……?
「愚問だな……勿論やるに決まってんだろ」
「…………俺もやる。お前らだけに戦わせはしない」
そのアキさんの言葉に応じてゆーさんとこーさんも立ち上がります。いいえ、それどころか……
『待ちな、お前ら!』
『俺たちを忘れて貰っちゃ困るぜ!』
『へへっ……俺たちゃ仲間だろ?』
西村先生に倒されたクラスメイトの男子(自分とヒデさんは除く)が一斉に立ち上がります。彼らの目には、等しく決意に満ちた炎が見えるようです。
「えっと……皆さん燃え上がるのは良いのですが、どうする気でしょうか?」
「……造、恐らくじゃが————」
と、ヒデさんが白けた目でアキさんたちを眺めて、わかっていない自分に説明する前に……
「行くぞ、お前らっ!こんな横暴を許したら今後の学園生活に支障が出るっ!教師共———特に鉄人が出払った昼休みに職員室へと忍び込み、俺達の夢と希望を取り戻すんだ……っ!」
『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』』』』
「————こんな事じゃろうな」
「ちょ!?ゆーさん!?それに皆さんも!?」
…………夏休みボケでしょうか。久しぶりに、Fクラスの底力を目の当たりにして、呆れるやら、ある意味納得するやら。殺気立つ皆さんのテンションに押されながらも『落ち着いて』と、自分がなだめようとすると———
「あ、あのっ。皆さん落ち着いて下さいっ!」
……先に姫路さんに皆さんを止めて貰いました。おおっ!最近ちょっと壊れ気味でしたが、姫路さんも何だかんだでやっぱり常識人!率先してアキさんたちを止めに入ります。
「……ふぇ?瑞希、どったの?」
「明久君、坂本君、それに皆さんも……やっぱりそういうのは良くないと思うんです!」
「そう言うのって……職員室に忍び込もうとしている事?」
「……はい」
姫路さんのその一言に、皆さんちょっと頬を掻いて気まずそうにしています。
「でも、そうでもしないと没収品は戻ってこないよ?瑞希も没収された大事な物を取り返したいでしょ?」
「そ、それはその、返して貰えるなら返して欲しいですけど……でも学校のルールを破っちゃったのは私自身ですから……」
「まあ、瑞希の言う通りよね。元々ウチらが校則違反をやっちゃってるのが原因なわけだし。その罰に納得いかないからって、問題を起こすのは……」
「ですね。ここは一旦諦めるしかないですよ。どうしても納得いかないなら後日先生方に掛け合いましょう、ね?」
「そもそもお主らのは……学園に持ってきて良いものでも無ければ、まだ手にしてはならぬものじゃろうしの……」
ここまで言うと、皆さんとても気まずそうにしています。ふむ、これなら上手く説得できそうですね♪
「そうやって職員室に忍び込むのってダメだと思うんです……やっぱり、狡いと思います……」
姫路さんの最後の一言で、皆さんハッ!と気が付いたようです。ふふっ♪良かった良かった。姫路さん、お手柄ですね!
「……雄二どうしようか?そう言われてみると、忍び込むのはなんだかちょっと……」
「あ〜……どうするも何も……。姫路と島田。それに造と秀吉にまで言われたら、流石に考え直すしかないだろう」
うんうん。その通りです。忍び込むなんていけない事です(←以前教頭の部屋に忍び込み、奴の悪事の証拠を漁っていた問題児の発言)
「明久君、坂本君。それに皆さん……分かってくれたんですね?」
「ああ、姫路たちの言いたいことは良くわかった。つまりはこういうことだろう?」
と、先ほどの台詞を挽回するかのように、ゆーさんは高らかと……
「———こそこそ忍び込んだりせず、鉄人を殺って堂々と奪い取れ、と」
「「「「全然違いますからね(違うわよ)(違うぞい)!?」」」」
「ってことだ!皆!女子に無様な姿を見せていられないよっ!僕らの男のプライドに掛けて、正面から正々堂々奪い返そうっ!」
『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』』』』
…………その後、自分たち四人の説得を聞かずに職員室急襲を決行したアキさんたち。もうツッコミませんが……とりあえず皆さん、正々堂々の意味を辞書で調べましょうね?