二次創作小説(紙ほか)

104時間目 交渉・ルール・召喚野球〜リア充共に裁きを〜 ( No.12 )
日時: 2015/07/20 15:34
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

明久Side


学園ちょ———ババァ長のとても大人げない陰謀で、『生徒・教師校流野球』が召喚獣仕様になってしまった。そのことでババァ長に正当に説得に来た僕と雄二(と、何故か学園長室にいた造)。もうプログラムの変更が出来ないとババァ長に駄々を捏ねられて、どうするべきか迷っていると……

「ふむ……“正々堂々”か。なるほど…………おいババァ、なら俺達のやる気が出るように賞品を用意してくれないだろうか?」

雄二が何かよくわからない事を提案してきた。賞品?一体雄二は何を考えているんだろう?

「これはまた、随分とくだらない提案をしてきたもんだね。そんなもの、急に言われても用意できるわけないだろう?」
「いや。用意も必要ないし、費用もかからない」
「???ゆーさん?」

これには造も意味が分からないようで可愛らしく首を傾げている。賞品なのに用意が要らなくて、且つ費用もかからないものって一体……?

「俺達が勝ったら———今回の持ち物検査で没収された品を返却してもらいたい。それが賞品ということでどうだ?」
「……なるほどね。名より実をとろうって訳かい」
「ババァも流石にあの問答無用な持ち物検査については、生徒に限らず教師陣にも色々言われたんだろう?」
「……フン。没収されるのが嫌なら、不要品なんか持ってくるんじゃないよ。学校を何だと思っているのやら」
「あ、でも確かその辺は学園長も“厳しすぎかもねぇ”って言ってましたよ———ムグゥ!?」
「余計なことは言わないことだね月野」

ん?何か造が言おうとしてたような気がしたけど気のせいかな?そうそう、ちなみに教師陣で不満を言ってきたのは意外にもAクラスの担任の高橋先生が中心だとか。……推測だけど、多分木下さんが持ってきた造の写真も没収せざるを得なくて、先生方も辛酸を呑んだんだろう。まあ、そうでなくても流石に写真すら没収品に含まれるのはあんまりだと思うし。

「まあ、その批判が出ているからこそのこの提案だ。これを呑んでくれたらルール変更に大人しく従うし、チャンスを与える事で生徒たちの不満も抑える事が出来る。“正々堂々”勝負といこうじゃねぇか。そっちとしても悪い話じゃないはずだが?」
「進むべき方向が分からないから不満が爆発するって事かい?『没収品を取り戻せる機会がある』と提示させ、その後結果として取り戻せないとしても、不満の矛先をアタシら“教師陣”から“チャンスを物に出来なかった自分たち”に向けようと」

…………何だかまた学園長と雄二で小難しい話しをしているね。わかるように喋ってくれないと困るなぁ……

「ねえ造。雄二とババァの言いたいことって、要するにどう言うことかな?どうにも没収品を戻して貰える事と、教師への不満がどうのこうのの説明がわかんないんだけど」
「え?……うーん、そうですね……」

そんな僕の質問に対して、うーん、と造はゆっくりと考えて説明してくれる。

「えっと、アキさんたちはこの召喚獣仕様に不満もあり、且つ昨日の持ち物検査にも不満がありますよね?」
「うん、勿論」
「召喚獣仕様の野球の事を生徒の皆さんがどう思っているかわかりませんが、少なくとも持ち物検査に関してはアキさんたちだけでなく他の皆さんも結構不満に思っていると思うんです。現に昨日のFクラスの皆さんの大半がそうでしたよね?」

まあ、そうだろうね。あんな強硬的な行為は絶対に許されない。Fクラスだけじゃなくて理不尽にも持っていかれた人は結構多いみたいだし。

「そこに……取り戻せるチャンスが来れば、皆さん必ずやる気を出して頑張るでしょう?“皆さんが不満だった召喚獣仕様の野球にも”否が応でも、ね」
「あ……なるほど。あれ?でも待って。それだけじゃ先生たちには大してメリットがなくない?折角没収したのにまた返すなんて事絶対にしたくないだろうし。そもそもババァが了承してくれるとは思えないけど……?」
「いいえ、このゆーさんの提案は先生方にも勿論メリットがありますよ。そうでなければゆーさんも学園長に交渉なんて持ちかけないでしょうし」

???教師にメリット?あるのかなそんなもの?

104時間目 交渉・ルール・召喚野球〜リア充共に裁きを〜 ( No.13 )
日時: 2015/07/21 21:20
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

「ほら、例えば昨日アキさんたちが職員室を襲撃したでしょう?流石にあそこまで実力行使に移るほど不満を持っている生徒は多くはなくても、抗議に来る生徒は何人もいるハズです。先生方も何度もそう言う生徒一人一人を対応するのはとても手間……そこであえてその没収品を賞品として取り戻せるチャンスを生徒に与えると———これ、どうなると思いますか?」
「うーんと……あ、先生たちに向けていた不満よりも、目先の商品を取り返す事の方が大きくなる……かな?」

そうなったら多分、ちょっぴり過激な僕らですら教師云々より没収品回収に向けて手を打つだろうね。

「その通りです。自分たち生徒には“没収品を取り戻せるチャンスが与えられる”と言うメリットが。そして先生方には“生徒が抱えている召喚獣を用いる野球に関しての不満が消える”+“生徒たちへの面倒な説明や対応を、一度チャンスを与えるだけで省ける”と言うメリットが生まれます」
「つまり雄二の意見としては、“いきなりこんな召喚獣を使った野球にするなら、せめて自分たちの不満の一つくらいは解消して欲しい”ってことで……」
「そして学園長側の考えとしては、これでもしも取り戻せなくても、“一方的に持って行かれたと思うのではなく、自分たちの力が及ばなかったと生徒たちが思ってくれる”———ってことでしょうかね?」

おお……なるほど、大体わかったよ。造がいると理解しやすいな〜

「で?どうだババァ。俺の提案は?」

お、どうやら雄二がババァに早速交渉してきたみたいだ。よし、なら僕も……

「お願いします、ババァ」

雄二の横に並び、とりあえず頭を下げる。すると学園長は腕を組み、勿体ぶってから———

「そうさねぇ……正直これは取引というより、あんた達のお願いだからねぇ……そんな態度で来られても、快く首を縦に振れないさね」

「「(こんのババァ……!)」」

何だか難癖をつけてきた。このクソババァ……人が下手に出ればいい気になって。さてどうしてくれようか?雄二と二人、こっそりと拳を固めいっそのこと実力行使に出ようとした矢先。

「うーん……ねぇ学園長?体育祭は確か海外からの来賓もいらっしゃるんでしたよね」
「ん?ああ、そうさね。ま、体育祭よりも本命はこのシステムを見せる予定さ。これだけのシステムをこんなガキ共に見せても一銭の価値もないからねぇ」

と、自慢げにのたまうこのババァ。そんなババァにうーんと何か考えていたような造がポツリと尋ねる。

「あー……あの、非常に言いにくいのですが学園長。このままだと不味いのでは?」
「……は?」
「いえ、だってそうでしょう?持ち物検査の件や召喚獣の仕様の変更の件を上手く皆さんに説得しないと———」
「しないと、何さね?」
「———不満が爆発して、大事なシステムのお披露目会で暴動起きるかもですよ?」
「っ!?…………ぐっ……た、確かにねぇ……」

そしてババァ長に一言告げる造。しかもその造の一言で何だか学園長が揺らいだようだ。これはもしや……!

「先ほど仰られた通り今回来賓の方々には体育祭だけでなく、召喚野球仕様の召喚獣も見せるつもりでしょう?そこで乱闘騒ぎでもあれば……色々不味くないでしょうか?特に評判的な意味で」
「…………そうかもしれないねぇ」
「くくくっ!流石造だ。んで?どうだババァ。アンタはこの事を聞いて何もしないのか?言っとくがどうにかしないなら俺らが率先して体育祭で大暴れするだろうな———アンタにとって最悪な形で」

雄二も造に乗ってきたみたいだ。おお、これなら行けそうだね。

104時間目 交渉・ルール・召喚野球〜リア充共に裁きを〜 ( No.14 )
日時: 2015/07/21 21:21
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

「…………くっ、仕方ないね。その提案を呑もうじゃないか。正直めちゃくちゃ気にくわないがねぇ」
「そうか、それは助かる」
「ふふふっ♪ありがとうございます、学園長!」

今更ながら造って、こう言う時って強いと思う。いつの間にか造のペースを作るしさ。日高先生曰くその気になれば超一流の詐欺師になれるんじゃないかって言ってたのも頷けるね。可愛いし話し上手だし小っちゃいから油断してポンポンお金を騙し取られそうだってさ。まあ、そんなこと絶対造はしないけど。

「あとはルールの明文化だな。賞品がかかってるんだ。こんなルール聞いていない、とか文句を後で言われても困る」
「それはこっちの台詞だよクソガキ」

と、早速雄二と学園長がお互いを罵り合いながら、ルール設定を作り始めた。この辺は狡賢い雄二と図太い学園長に任せておこう。正直ルール設定なんて面倒だからね。

『この召喚野球大会に使う科目は一つだけにするのか?』
『アタシはそれでもいいんだけどねぇ。アンタらはそれだと困るだろ?』
『ああ。各イニングでそれぞれ使用科目を変えて貰いたい』
『ま、それくらいなら認めてやろうじゃないか。きちんと授業に関わりがあるものを使用科目にするならね』
『それは助かる。だとしたら“召喚獣を用いて、授業内容を云々”と書くよりは“必ず授業科目の中の一つを用いる事”と書いた方が分かりやすいんじゃないか?』
『ルールを曲げないなら、その辺りは好きにしたらいいさ』

二人の話し合いはドンドン勝手に進んでいく。何だか雄二の思惑通りみたいで、何よりではあるけどちょっと疑問も残るね……ま、その辺は本人に後で直接聞くかな?それにしても……

「造、助かったよ!ありがとね」
「え?何の事ですか?」
「ほら、学園長の説得の事だって!お陰で没収品取り戻せるかもしれないでしょ?」
「あ、ああ!ふふっ♪いえいえ、お礼なんて言わなくて大丈夫ですよ」

そう言って造は相変わらずニコニコしている。やっぱり造は優しいんだね♪……あれ?それにしてもどうして造は学園長を説得してくれたんだろ?

「……ねえ、造?そういえばどうしてわざわざ学園長を説得してくれたの?造にはあんまりメリットがなさそうな話なのに」
「いやいや、そんなの決まっていますよアキさん♪召喚獣で野球なんて面白そうでしょ?どうせやるなら、賞品でも何でもいいので皆さんのやる気を出して貰って戦ってみたかったってことと————」

そこで一呼吸入れて、造は舌をペロッっと出すと……

「————没収品を返して欲しかったのは、アキさんたちだけじゃ無かったってことです。仲間外れにしないでくださいね。絶対勝って取り戻しましょ、アキさん!」

……そうやって、満面の笑みで答えてくれた。あ、あはは!造らしいね♪




〜召喚野球大会規則〜

・各イニングでは、必ず授業科目の中から一つ用いて勝負すること
・各試合に於いて、同種の科目を別イニングで再び用いる事を認めない
・立ち会いは試合に参加していない教師が務めること。また、試合中に立ち会いの教師が移動してはならない
・召喚フィールド(召喚野球仕様)の有効圏外に打球が飛んだ場合、フェアの場合はホームラン、その他の場合はファールとする
・試合は5回の攻防までとし、同点である場合は7回まで延長。それでも決着がつかない場合は引き分けとする
・事前にメンバー表を提出すること。ここに記載されていない者の試合への介入は一切認めない。なお、これにはベンチ入り人員および立ち会いの教師も含む
・基本構成はポジション各1名ずつとベンチ入り2名の系11名とする
・進行においては体育祭本種目を優先させる。競技の時間に重なりそうな場合は事前にメンバー登録の変更を行うこと
・腕輪の使用は認める。ただし他人の召喚獣の点を故意に削る目的に使用した場合は、反則としてそのものを退場させる
・その他の基本ルールは公認野球規則に準ずる

104時間目 交渉・ルール・召喚野球〜リア充共に裁きを〜 ( No.15 )
日時: 2015/07/20 12:48
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

造Side


ゆーさんと学園長の召喚野球のルール交渉と簡単な野球仕様の召喚獣に関しての説明を受けて学園長室を三人で後にしました。と、Fクラスに戻る途中で……

「雄二。さっきの話なんだけど」

と、アキさんがゆーさんに切り出します。

「さっきの話と言うと……召喚野球の件か?」
「うん。アレってさ、一見合理的に見えたけど……それって、僕らが勝てる可能性があればって前提の交渉だったんだよね?」
「あ、確かにアキさんの言う通りですよね。取り戻せる方法が『勝てたら』って言うのが大前提ですし、何か策が無ければ先生方に勝つ可能性は極めて低いでしょうし」

それに先生方だけではなく、二、三年のA〜Bクラスも強敵でしょう。何せあの霧島さん率いる二年Aクラスに、自分らよりも経験値が高く点数もあり、且つ小暮さんやタカさん率いる三年生Aクラスなど敵になるクラスはどれもこれも厄介……うーん。これは悩ませられますね。

「まあ、お前らの言う通りだな。野球で勝てなきゃ意味がない。多分ババァもそれがわかってて乗ってきたんだろうな」
「でしょうね。一応野球仕様で先生方も最初は慣れないかもしれませんが、点数が半端じゃありません。西村せんせや高橋先生は……確か単教科で700〜800点レベルだったハズです。そもそも教師陣と戦う前に他のクラスとの勝負も控えてますし」
「もうとりあえず絶望的だよね……相手が相手だし、僕らが勝つには……」
「わかっているだろうが……普通のやり方じゃ、まず勝てねえな」

確かに……生半可な作戦や小手先だけの操作技術じゃ勝つなんて到底不可能でしょう。さてさて、この状況をゆーさんはどうやって対処するのでしょうね?

「それで雄二。今度はどんな作戦を考えたのさ?」
「あ、自分も気になります。今回はどんな感じなんですか?」
「ん?何の話だ?」
「とぼけないでよ。プログラムを見ながら何か考えてたでしょ?」
「ルール設定の時点で絶対何か仕掛けてますよね?どう利用するのかは自分もわかっていませんが」

ルール規定を妙な言い回しにしてあったり、野球大会の話をしているハズなのに体育祭を優先していたりと、ルール設定の時点で何かしらの罠を張っている気配がします。さて策士ゆーさんはどう動くのでしょうね。期待半分、何か危ないことをしないか不安半分って感じです。

「まあ、お前らの言う通り俺は勝つ見込みのない勝負はしない」
「じゃ、どう言う作戦なのさ?」
「まあその辺は当日になってお前らに教えるさ。今教えても明久じゃ理解出来んだろうし、造は絶対に反対するだろうからな」

……訂正しましょう。期待1割不安9割です。一体どんな作戦を立てているんですか……?

「失礼だなぁ……あれ?でもさ雄二。雄二がこれだけ頑張るってことは、もしかして没収品ってMP3プレイヤーだけじゃないんじゃない?他にも何か持っていかれたでしょ」
「へ?そうなんですか?」
「…………ああ、特級品の写真集を三冊ほど持っていかれた……」
「あー……そう言うことですか。と言いますか、やっぱりゆーさんもそう言う本持ってきてたんですね……」
「てか、三冊?よく雄二の環境下で隠し持っていられたね」

確かに……霧島さんやあのゆーさんの天然お母さんの雪乃さんの監視の目が光る中、そこまで持っていられるのは奇跡に近い気がします。この前もいともたやすくそういった本を発見されていたのを間近で見ましたよ自分。

「ああ。本棚の下や天井裏、完全防水にして熱帯魚の水槽の底に沈めたりと、色々工夫したからな」
「もうそれ見たい時に取り出せるレベルじゃないよね?」
「目的と手段が入れ替わってますね……」
「そこまでしなくちゃ守れないし、そこまでして守る価値のある逸品だったんだ」

こんなことにその素晴らしい奇策を生み出せる脳を使わなくてもと思ってしまう自分……ま、まあそれもそれでゆーさんらしいと言いましょうか。

「とりあえず残念でしたね、ゆーさん」
「ああ……だが、絶対に取り戻してやるぜ」
「まあそこまでのものなら僕も是非見てみたいなぁ」
「……私も」

そんな感じで4人でうんうんと頷き合う自分たち。…………ん?あれ、4人?

104時間目 交渉・ルール・召喚野球〜リア充共に裁きを〜 ( No.16 )
日時: 2015/07/20 11:15
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

「てなわけで、後は雄二と霧島さんの二人で仲良く♪」
「……吉井。悪いけど造をお願い。娘には聞かせられない話を父親と母親でしなきゃいけない」
「うん。わかってるよ。んじゃ造。とりあえず教室に戻ろうね」
「待て明久。この状況で俺を置いていくな。せめて造だけでも置いていけ」
「誰が父親と母親ですか?……と言いますか、地味に痛いので離して下さいね?ゆーさん、アキさん」

いつの間にか話に加わっていた霧島さん。気配が全くしなかったんですが……?あ、そうそう。今自分はアキさんとゆーさんに掴まれて、どこぞの大岡裁きになっている状態です。腕を引っ張りあって、手を離した方が親ってやつですね。まあ、どっちも父親ではありませんがね?そして当然ですがどっちも父親ではないので手を離す気はなさそうです、いたい。

「……雄二を甘く見ていた。今度は水槽や植物鉢、雄二が入浴中の浴槽の中まで詳しく探す」
「おい待て。最後の一つは確実に目的が捜査じゃないだろ?」
「……私には、雄二の成長を観察する義務があるから」

そう高らかに宣言する霧島さん。あらあら♪霧島さんったら大胆ですね〜♪

「ねえ、聞いた造?君のお父さんとお母さんは、いつまでも仲が良いんだね〜」
「誰が誰の父と母かは知りませんが、ゆーさんも霧島さんも昔からすっごく仲が良いんですね。微笑ましいです」
「ちょっと待て!お前ら勘違いしているだろうが俺は別に……」
「……昔から雄二と一緒にお風呂も入ってた。中学くらいまでずっと」

「「へー♪」」

どんどん霧島さんに傷口を広げられるゆーさん。それだけ仲がよろしいってことなんですね。素敵ですよねー

「っ!?おい、翔子っ!?お前なんて事を……ち、違うぞお前らっ!別に俺とコイツは……」
「……この前は二人で裸Yシャツで寝た仲」
「違うわっ!アレはお前が着てただけだろがっ!」

ん?Yシャツって……あ、もしかして、

「ねえ霧島さん?Yシャツってもしかして夏休み、自分とヒデさんがゆーさんの家にお邪魔した時のことですか?」
「……うん。あの後雄二と一緒にその格好で寝た」

そう霧島さんが言うと、アキさんがゆーさんの肩をポンッ!と叩いて……

「雄二……君は一足先に、大人の階段を上ったんだね。おめでとうクタバレ」

と、満面の笑みで祝福します。あははっ♪流石にそこまでは行ってないでしょうが、ゆーさんと霧島さんがいつでも仲良くて何よりですね。

「やかましいっ!んなわけあるかっ!それより明久こそ、姫路と島田と三人で寝てただろうがっ!」
「っ!?ななな、何で雄二が夏休みの事知ってんの!?ち、違うっ!アレは瑞希が作った料理をうっかり食べて、瑞希と美波が僕を介抱してくれただけだって!何故かその後瑞希も美波も介抱疲れしたみたいで、結局三人で寝ているように見えただけというか……!?」

「「「…………」」」

と、ゆーさんの思わぬ反撃にたじろぐアキさん。慌てて何だかとんでもないことを暴露していますが……あの、アキさん?それは初耳ですけど?そんなことがあったんですか。あらら、これはアキさんと姫路さん&島田さんの関係もやっぱり進展しているんですね〜♪

「明久……お前」
「だ、だから違うって!?あの後姉さんが帰ってきて、ボッキリ絞られたから不純な行為は別に—————」
「いい忘れてたが俺がお前に“姫路と島田と三人で寝てただろうが”って言った意味はな、“強化合宿中に同じ布団で寝そうになっただろうが”って意味だったんだがな?」
「…………ゑ?」

あちゃー……これはアキさんの見事な墓穴掘りですね。本当にご馳走様ですね♪

「墓穴を掘ったなっ!お前こそ、随分アイツらとは進展しているじゃねえか!このモテモテハーレム男が!」
「だ、黙れっ!大体雄二と霧島さんなんかは、もう付き合う付き合わないじゃなくて完全に夫婦の関係じゃないかっ!中学まで一緒にお風呂に入って————」
「……ちなみに、私の胸が大きくなってからも数回ある」
「———今も一緒に入る仲なんて、最早夫婦生活を満喫しているじゃないかっ!こんのリア充がっ!」
「えっと、多分どっちもどっちだとは思うんですがね?」

と、まるで(?)ノロケ合うかのごとくアキさんたちが言い争いながら喧嘩を始めようとすると……あれ?何だか周囲が殺気に満ちて———?

『吉井……坂本……お前ら随分とモテるんだな?』

「「誰がっ!この異端者(バカ)と一緒に……する……なっ!?」」

『『『さて……お前ら、それが遺言だと受け取って構わんのだな?真の異端者共よ……?』』』

……!?いつの間にかFクラスの皆さんが色々と危なそうなものを持って、アキさんとゆーさんを囲みます。ちなみにアキさんとゆーさんに掴まれていた自分も例外なく囲まれている始末。こ、このパターンは……!?

『昨日までは共に聖典《エロ本》を取り戻す同士たちと思っていたが……どうやらお前らは俺たちの敵だったようだな?誰もが踏み入れる事を許されぬ聖域を汚す異端者共め……!その罪死を以て贖うべし。それが———』

『『『————我ら、異端審問会の掟!クタバレ吉井、坂本っ!!!』』』

グイッ ダッ!×2 ←造を連れて、一目散に逃げる明久&雄二

「って!?何で自分、また拉致されるんですか!?さては最悪囮にする気ですね二人とも!?」

「「ちぃ!相変わらずしつこいっ!」」

「…………あ……雄二……造」

『追えっ!あの異端者どもには、たっぷりとその罪を分からせるのだっ!』

『『『ハッ!承知しましたっ!』』』

承知しないでくださいっ!それと、とりあえずアキさんたちは自分を下ろして下さいっ!?そんなこんなで新学期早々に、追いかけっこの始まり始まり。巻き込まれ人生万歳ですね……どうでもいいですがFクラスに入ってから、走らない日が珍しい気がします……






「……さっき話してた『野球に勝てば没収品返還』って話……詳しく教えて欲しかったのに……」