二次創作小説(紙ほか)
- 番外編:酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜前編 ( No.120 )
- 日時: 2015/09/11 21:21
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———突然ですが“酒は飲んでも飲まれるな”とはよく言ったものですよね。ほろ酔い気分になるならまだしも飲んでいるうちに酒に飲まれるようでは話になりません。お酒で自分がわからなくなってはどうにもなりませんし……
とある休日の月野家にサクヤさんに呼ばれていた優子さんと玲さんの姿が。楽しそうにお酒を飲みながら(勿論優子さんのはただのジュースですが)和気藹々と楽しくお喋りをしています。何でも連休お泊りをしているとのこと。
ちなみに優子さんに捕獲されて一緒に泊っている秀吉は、この三人と一緒にいると(色んな意味で)危険だと判断したらしく、造と共に二人で仲良く造の部屋に立てこもっているそうな。
「それにしても……師匠も玲さんも本当に良い飲みっぷりですね」
「そうですか?私はそこまで飲めるってほどではないのですがね。そろそろキテますし」
「はははっ!アタシはまだまだいけるぜぃ?ザル越えてワクだからねぇ」
と言いつつ、ぐいっと酒を飲み乾すサクヤさん。その姿たるや———酒豪、ウワバミと表現するにふさわしい。
「ホント師匠ってイケる口なんですね。あ、でも飲んでばかりじゃなくてちゃんと何か食べてくださいね、身体に悪いですし」
「はははっ!わーってるって!まあ、アタシはちょっとやそっとじゃ崩れんから心配しなさんな!」
「ふふっ、それにしても今日は随分お飲みになるんですね先輩。いつもより多くありませんか?」
と、持ってきた酒が空になっているのを見ながら、玲さんが不思議そうに尋ねます。大量に転がった空の酒瓶から、どれだけ飲んだか考えなくてもわかりますね。
「まあ、この家で飲めんのはアタシだけだかんねぇ……蒼たちも執事やメイドたちも飲めるちゃ飲めるがみーんな下戸だしなぁ。つまりは最近あんまり飲んでいないのさ。正直一人で飲んでもつまんないからねぇ」
「ああなるほど。確かにそうですね」
「……へぇ?そんなもの何ですか?」
「「そんなものだよ(ですよ)♪」」
優子さんが不思議そうに尋ねると、二人はニコッと笑って応えます。その辺は飲める大人と飲めない子供の違いってところのようですね。
「あーあ……優子っちも飲めたら良かったんだがね。もう少ししたら優子っちも飲めるだろうし、その時は付き合いなよー?造はほんっとにダメだからねぇ……」
「ふふっ♪勿論です。その時は宜しくお願いします師匠。———って、師匠?造くんはダメってどう言う事ですか?」
「?そうですね。もしかして造くんってお酒に弱いってことですか?」
と、サクヤさんの台詞に不思議に思った二人が尋ねると……サクヤさんは、突然先ほどまでとは明らかに顔色を変えてきます。
「…………」
「師匠?どうしたんですか?」
「先輩?顔色が悪いですが?」
「……一つだけ、忠告しておくよ。いいかい?」
「「……?」」
「……絶対に、造に酒を飲ませんじゃないよ。もし飲ませたら———」
「「……飲ませたら?」」
と、サクヤさんは冷や汗をかきながら一言、
「———アタシもどう止めればいいかわからん上に、下手すりゃ……命刈られるよ……」
「「!?」」
サクヤさんの一言に、思わず固まる玲さんと優子さん。さてさて……今回はそんな“お酒”に関するお話です。
- 番外編:酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜前編 ( No.121 )
- 日時: 2015/09/21 22:33
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———とある日の文月学園———
〜文月新聞〜 【事件】欄より抜粋
『今度は半裸!流石に犯罪か!?〜Fクラスバカコンビの醜態に迫る〜』
文月新聞に載らない話題が無いと言わんばかりに、紙面を飾る事に定評のある2−Fクラス。そのFクラスきっての名物(迷物?)コンビがまたもや事件を起こしたとのこと。何とこの二人、何をトチ狂ったのか昨日の放課後に男二人で半裸になったまま廊下を全力疾走していたことが我々の調べで分かった。我々はその裏付けとして、その第一発見者の目撃証言を得る事に成功した。
〜2−D玉野美紀さんの目撃証言〜
『はい。そうです。放課後に廊下を歩いていたら、ほとんど裸のアキちゃ———吉井君と坂本君が出てきて、西村先生に凄い勢いで迫って……私、本当にビックリしちゃって、思わず写メを……』
彼女の提供してくれた写真が右図の通りである。これについて専門家は『公然わいせつ罪等の罪に当たるのではないだろうか』『と言うか、見るものを不幸せにする写真を見せないで欲しい』『どうせ半裸ならアキちゃんとして写って欲しかった』などの厳しい声が聞こえる一方で、『Y井君のこの写真は僕にとっては眼福かな。ありがとう』『やっぱりY井君たちはデキていたんじゃないのか』『祝福してあげるべきなのかもね』と、彼らを応援する者たちもいたとか。
どちらにせよ彼らの奇妙な行動に一体どんな真実が隠されているのかがわからない以上、早期の事実の解明が求められるだろう。
———とある日の放課後の事でした。今日は(今日も?)掲示板に……何やら凄い新聞記事が掲載されていますね……具体的に言うと、自分の横で冷や汗をダラダラと流しているアキさん・ゆーさんの姿が掲示板に張られた新聞に載っているのですが……コレって一体?
「「「「「…………」」」」」
何とも形容しがたいのですが、上半身裸のアキさんとゆーさんが西村先生に迫っている図が鮮明に、バッチリ掲載されています……こんな時、自分は何とアキさんたちに反応すればいいのでしょうか……?コレはアキさんたちに聞いてみるしかないですね……
「……えっと、アキさんとゆーさん?コレは一体……?」
「「造!失望しないでくれ!と言うか、失望する前にせめて説明させてくださいお願いします!」」
涙目で自分に訴えてくるアキさんたち。い、いや……別に失望なんかしませんが……?
「せ、説明してくださるのなら、どうぞ……?」
「「じ、実はだな(だね)————」」
〜明久・雄二説明中〜
「———なるほど。つまり昨日の放課後皆さん4人でダウトで遊んでいたはずが、どう言うわけか酔った姫路さんと霧島さんに襲われて(?)半裸で逃げるしか方法がなくてこんな事になったのですか。……そ、それはまた大変でしたね」
お二人の話を要約すると———昨日は職員会議で授業が早めに切り上げられ、時間があったアキさんとゆーさん、ヒデさんとこーさんの4人で遊んでいたら色々あってウイスキーボンボンを食べ酔って暴走した姫路さん達に襲われて、逃げ出し追い詰められて泣く泣く半裸姿で西村先生に助けを乞うたとのこと。そうか、そんなことが……昨日は自分、学園長に呼ばれて定期検査されていましたので、そんな大変な事になっているなんて思いもしませんでしたよ。
「……造の理解が早くて助かるよ」
「……だな。正直お前に見捨てられるのは耐えられんぞ」
いや、だから見捨てませんってば……それにしてもなるほど、それならこの新聞の記事にも納得でき————ますか?い、いやちょっと待ってください?それで納得できる時点で自分だんだん常識から離れていってる気が……?い、今更な疑問かもしれませんがね。
「それにしても……確かに恐ろしかったのう。ワシも気がつけば眠らされておったし」
「…………俺もだ。ウイスキーボンボン、恐るべし」
「い、いや……それはウイスキーボンボンが恐ろしいんじゃなくて、姫路さんたちが恐ろしいのでは?」
「「「「……確かに」」」」
まあそれも今更感がありますが……最近の姫路さんたちは、サクヤさんや優姉さんたちと似た方向で危ないですし。主にアキさんを見る目がその……肉食獣の目になっているような気がしますもの。
「にしても、ウイスキーボンボンですか。美味しそうですよねー……食べたことないですけど。と言うか、最近はあまり見かけませんよね」
「え、うそ?造が食べたことないって……意外だね。どんなに珍しいものでも、お菓子系は大抵食べていると思ってたのにさ」
……ん?あれ?自分ってアキさんから見てどんな風に見られているのでしょうか?まるで(?)甘いものに目がないように聞こえるような……?
「ええ、実は食べたことないんです。“お酒は大人になってから”って教えられてから、子供のころから食べちゃいけないものって思いこんでいたわけでして。別にウイスキーボンボンを食べちゃいけないって言われていたわけでもないのですがねー」
と、笑いながらアキさんに答えた瞬間———
「え?ウイスキーボンボン……ですか?それなら持ってますよ?」
「……私も。皆で食べようと思って持ってきた」
「ちょうど良かったじゃない。アンタたちも食べなさいよ」
「「「「「……っ!?」」」」」
- 番外編:酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜前編 ( No.122 )
- 日時: 2015/09/18 20:12
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———なんということでしょう。話題の姫路さん&霧島さんと島田さんの姿が。しかも……何ということでしょう。アキさんたち曰く、昨日の事件の起爆剤となったブツ:『ウイスキーボンボン』までご丁寧に持っているじゃありませんか……ってどうして!?
「ななな、何でそんな危ないものを持っているのかな、瑞希?」
「え?危ないもの……ですか?」
「そそそ、そうだぞ翔子。危険だからそれを今すぐ捨てるんだっ!?」
「……危険って?」
昨日の事があってか、大慌てでそのブツから姫路さんと霧島さんを遠ざけようとするアキさんたち。自分は実際に見ていないのでわかりませんが、この脅えようからすると……それほどまでに恐ろしいんでしょう。
「あはは♪さてはアキ、お腹空いてて自分のが無くならないか心配なのね?大丈夫よ、いっぱいあるから」
「ちょっ!?み、美波!?美波もとりあえず、その危険物から手を離すんだ!じゃないと(美波も)暴走してしまう!」
「暴走?アキったら、暴走しちゃうほどお腹空いてるの?」
と、関係ないはずの島田さんにもそう言うアキさん。あれ?ひょっとして島田さんも……?
「(ねえ、アキさん?もしかして島田さんもお酒弱いんですか?)」
「(そ、そうなんだよ!清涼祭の時ベロンベロンに酔って絡んできた前科があってさ!?)」
「(ああ……そう言えばそうじゃったの。と言うことは、この場にいる女子全員酒に弱いと言うことじゃな)」
「(ま、まあ全員お酒が飲める歳じゃないので仕方ない事でしょうが……)」
……OK、これでここにいる女子三人にお酒を飲ませちゃいけないってことは把握出来ました。ま、まあ……本来飲んじゃいけないので、酔う事自体が無いハズなんですがね……
「と、と言うか、皆何でそんなもの持っているの……?ウイスキーボンボンなんて珍しいものをさ」
「ああ、昨日お手伝いした先生がですね、また『貰いものだけど、一人じゃ食べきれないし皆さんで食べてください』って下さったんですよ」
「「「「「(ボソッ)余計な事を……」」」」」
「え?」
「「「「「いや、何も?」」」」」
間近で見ていないので想像できませんが、アキさん達のこの慌てぶりをみるにウイスキーボンボンを食べさせるのはかなり危険の様子……こうなれば、ここは女性陣の皆さんに食べられる前に処理するしかないですね。男子陣全員にそう瞬時にアイコンタクトする自分。皆さんもすぐさま静かに頷き作戦開始。
「ああ、そう言えば頭使ってすっごく今甘いもの食べたかったんだ!美波、瑞希!今すぐ食べてもいいかなっ!?」
「俺もだ翔子!腹減って死にそうなんだ!てか、問答無用で食わせて貰うぞ!」
「ワシも悪いが、小腹が空いておっての!遠慮なくいただくぞい!」
「…………俺も!」
「じ、自分ホントにコレ食べるの楽しみだったんですよ!いただきますねっ!」
「「「???ど、どうぞ……?」」」
とりあえず勢いのまま、男子全員でその『ウイスキーボンボン』を処理————もとい、食べる事に。そう……女性陣が一口も食べられないように!
「「「「「では、イタダキマスっ!」」」」」
そうして、姫路さん・島田さん・霧島さんが手に持っていたソレを、各々が一瞬で口の中に入れて頬張ります。よし、これで女性陣に食べられることはありませんね!悪いと思いつつもそのままモグモグと完食する自分たち。これで……彼女たちが、暴走する……ことは……ない……?
「って!アンタたちもう全部食べちゃったの!?そこまでお腹空いてたの!?」
「(モグモグ……ゴクン!)うんゴメンっ!いやぁ、美味しかったよご馳走さま!」
「あ、あはは……皆さんよっぽどお腹空いてたんですね」
「ああ、すまんなお前ら。つい美味そうで、全部食っちまった」
「……雄二ったら、食いしん坊さん。いいよ、許してあげる」
それにしても……おお?結構、甘くて熱くて大人の、味でおいしい……です、ね!ホント……あま……熱く……て……?んにゅ……?あらん……?からだ、あちゅ……い?……おー?
「…………中々独特な味」
「ホントじゃのう。確かに美味いが、あまり食べた事のない味じゃな。これが大人の味と言うべきなのじゃろうか……のう造よ?」
「…………おとなー?」
「……ん?造?どうかしたのかの?」
「…………おー?つくるは、まだこどもだよー?」
「「「「「「「…………ん?」」」」」」」
優子Side
「———ウイスキーボンボン?それはまた珍しいわね」
「だよねっ!それをさ、姫ちゃん達が先生に貰ったらしくて一緒に皆で食べようってさ。ボクも甘いもの好きだし、楽しみだなぁ〜♪」
昨日に続き、今日も先生方が会議があると言う事で授業も早めに終わり、またいつものメンバーで放課後遊ぼうかと誘いを受けて、先に行った代表を追いアタシと愛子は2−Fに向かうことに。
「ああ……だからさっきから愛子、そわそわしてたのね。それじゃ急ぎましょうか」
「そだね〜♪下手したらもう皆に食べられちゃうかもだし、急ごう!」
そう言って小走りに2−Fの教室に向かう愛子。ふふっ、ホント愛子って甘いもの好きよね。造くんといい勝負だわ。……それにしても、ウイスキーボンボンねぇ……?なにか引っかかるけど、一体何かしら?何かめちゃくちゃ重要な事を忘れているような……?
「優子?どうかしたの?ボーっとしてさ。早く行こうよー?」
「あ、ゴメンゴメン。今行くわ」
首を傾げても、頭を捻っても何が引っかかるのかさっぱりね。とりあえずアタシも急かす愛子に続いて2−Fへと向かう事に。まあ、その内何か思い出すかもしれないしいっか。
〜優子&愛子移動中〜
愛子と(ちょっと小走りになりつつも)話ながら2−F教室に辿り着く。にしても最近改装されただけあって、以前に比べると本当に綺麗な教室になったわよね……いいえ、以前が劣悪すぎただけとも言うけど。
「さて、着いた着いた♪おおっ?何だか甘い匂いがするね。さてはもう食べてるな〜」
「……よ、良くわかるわね愛子?まだ教室にも入っていないのに」
「そりゃわかるよ。多分甘いもの大好き同盟の月野君もわかると思うよ。にしても……もう!ボクに黙って先に食べちゃダメなのに!」
そう言ってガラッ!と、扉を勢いよく開ける愛子。造くんも愛子も甘いもののことになるとホント元気ね。まあ、好きなものに夢中になる気持ちはわからなくもないわ。
「こらー!皆、ボクらに黙って先に食べてたでしょ?ちゃんとボクらの分も……取ってあるん……だよね?って、どうしたのさ皆?そんなに驚いた顔しちゃって」
「あらホントね。どうしたのよ皆?造くんの方見て固まってるわよ?」
扉を開けると、どうしたことかいつもの仲良しメンバー全員が造くんの方を見て、まるで希少生物にでも遭遇したかの如く口をパクパク開けて驚きまくっている姿があった。何コレ?ホント何なのよ?
「ねえ造くん、一体これは何なの?何かあったのかしら?」
「皆固まっちゃってるね。一体何があったのカナ?」
「…………おー?」
「「…………?」」
不思議に思って事情を知ってそうな造くんに問いかけるも……こっちもこっちで反応が今一ね。と言うか、今日はいつにもまして造くんがしぽやぽやしていて可愛く見えるような……?
「えっと……いや、だから一体どうしたのかなって。あら?大丈夫造くん、顔真っ赤に見えるわ。もしかして熱あるんじゃない?」
何だか造くん、ちょっと顔も赤いし熱でも出ているのかなと熱を測ろうとその造くんに近づこうとすると———
「あー!優お姉ちゃんと愛子お姉ちゃんだー♪」
「「…………!?」」
…………そこには、最強の頬笑みを浮かべた天使が……佇んでいた。