二次創作小説(紙ほか)
- 番外編:酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜中編 ( No.125 )
- 日時: 2015/09/18 20:54
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
明久Side
……とんでもない事になってしまった気がする。
「あはは♪雄二お兄ちゃんのからだ、おっきいねー♪つくるもはやくおっきくなりたいなぁ」
「……あー、造?お前一体……」
「んー?なーに?雄二お兄ちゃん」
「……な、何でもない……」
……僕らはただ瑞希たちがアレを、ウイスキーボンボンを口にしないようにしただけだったんだ……それなのに……
「んみゅー?へんなのー。まっ、いっか!康太お兄ちゃん、秀吉お兄ちゃんもあそぼー♪」
「…………造が壊れた」
「むー!ひどーい!つくるどこもこわれてないよー!」
「造よ……その……お主酔っておるじゃろ?」
「よってる?あはは!秀吉お兄ちゃんへんなこというねー!つくるはこどもだからお酒のめないし、よわないよー?」
「「「…………酔ってるな」」」
まるでミイラ取りがミイラになったように———造がウイスキーボンボンの力によって見た目相応に子どもと化した。どうしてまた、僕らの周りの人はこうも酒に弱いのかな……?
「(ホント今の造って完全に子供だよね。いつもがしっかりしている分、ギャップが凄いや……さて皆?造をどうしようか?)」
とりあえず、ああなった以上何とか造を戻さないとね。雄二たちにあの造は任せて、一先ず作戦を立てる事に。
「(そうですね……それにしてもビックリしました)」
「(ホントよね……まさかあれだけで酔えるなんて)」
「(……ウイスキーボンボンで酔えるって造は凄い)」
それは君たち三人が言えた事じゃないし、そもそもの原因は君たちにあるんだけど———ってツッコミたいのをグッと我慢する。その辺はもう考えないようにしておこう。
「(んー……でもまあ、月野君だし放っておいても大丈夫だとは思うケド……)」
「(あー……確かに工藤さんの言う通りかも。造に限って暴れたりはそうそうしないだろうし、酔いが覚めるまでは葉月ちゃんみたいに対応すれば———)」
「(……甘いわよ愛子、吉井君。造くんをこのままにしておくと危ないわ)」
「「「「……え?」」」」
と、さっきまで黙っていた(未だに鼻血を出している)木下さんが、深刻そうに会話に加わって来た。えーっと、とりあえず木下さん。何はともあれまずは鼻血止めようか。その出血量はホントにそろそろやばいと思うからさ。
「(どうしてさ木下さん?あんなに無邪気で可愛らしい造が危険って……?)」
「(いや、アタシもよく知らないんだけど……師匠が以前言ってたのよ。“絶対に、造に酒を飲ませんじゃない。どう止めればいいかわからん上に、下手すりゃ命刈られるよ”って……)」
「「「「!?」」」」
い、命を……!?いやいやいや!?どう言う事なの!?まさか、お酒飲んだら暴走するタイプなのか造は……!?そんなバカな、と思いつつでもこの木下さんの口ぶりからすると、このまま放っておいたら何だか大変なことになりそうな気がする。だったらさっさと何とかするしかないか。
「(なら事情はよくわからないけど、手遅れになる前にすぐにでも何とかしようか)」
「(そうね。それで吉井君、具体的にどうするの?師匠呼んでみる?)」
「(あー……確かにそれが一番良い方法だろうね)んじゃ早速———」
とりあえず造の扱いに手慣れている木下さんの意見に従うことにした、まさにその時———
「明久お兄ちゃんもお姉ちゃんたちも、どーしたのー?」
「ん?いや、別に何でもないよ造……って、うぉわ!?つ、造ぅ!?」
突然僕らが会話してしているところに、造が乱入してきた。い、いつの間に……?あ、あれ?造って確か雄二たちが面倒みているハズじゃ……?何でここにいるんだ……?
- 番外編:酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜中編 ( No.126 )
- 日時: 2015/09/18 20:57
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「んみゅ?どしたの明久お兄ちゃん?」
「い、いや……“どうしたの”はこっちの台詞なんだけど……つ、造は雄二たちと一緒じゃなかったのかなーって……?」
それにしても何故だろう……造にお兄ちゃんって言われると、無性にこっちが恥ずかしいんだけど。これなら葉月ちゃんに『バカなお兄ちゃん』って呼ばれる方がまだ恥ずかしくない気がする。ホント何でだ……?
「おー♪雄二お兄ちゃんたちが動かなくなっちゃったから、つくるはこっちきたの—♪」
「「「「「……動かなくなった?」」」」」
何のことかなって、とりあえず雄二たちのいた方向を見てみると———
「「…………(シーン)」」
「(ブツブツブツブツ……)」
ちょっ!?死屍累々……だと!?ムッツリーニは(いつもの如く)鼻血で倒れて動かないし、秀吉は限界近くまで真っ赤になっていて機能停止寸前。そして、唯一意識はありそうな雄二は……
ガスッ!ガスッ!ガスッ!
「……俺は……子供好きでも……なければ……親馬鹿にも……ならん……ぞ……」
……何だか自分自身と葛藤しながら、頭を壁に打ちつけている。どうでもいいけど新しい教室なんだし、壁を壊すなよな雄二。あとムッツリーニにも言えるけど血で床が汚れるからほどほどにするんだよ。
……にしても何だ?この三人に一体何が……?と、恐らくこの元凶であろう造(子供バージョン)は木下さんたちにトコトコと寄ってきて———
「おにーちゃんもおねーちゃんたちもあそぼー!(ニコっ♪)」
「「「「「っっっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」」」」
———キラースマイルを僕らにプレゼント。や、ヤバイっ……木下さんじゃないけど、意識持っていかれそうだ!?何この生き物!?か、可愛い……!?
「我が……人生……一片の……悔い……なし……(ドサッ!)」
「って!?ゆ、優子っ!アンタ血が……!?」
「ゆ、優子ちゃん!?その血の量は危ないですよ!?」
そして、当然の如く木下さんの魂を刈り取る笑顔だった。ヤバイね。ムッツリーニ以上に鼻血を出している木下さんは、とても幸せそうに逝きそうだ。ホントどうしよう……まさか10分足らずでここまでの被害が出るなんて……
「あー……確かに日高先生の“下手すりゃ命刈られる”って言葉は正しいね」
「……一先ず、今すぐにでもその日高先生をここに呼ぶべき」
「そ、そうだね。こーたくんや優子も診て貰わないといけないし、ボクすぐに呼んでくるよ!ちょっと待ってて!」
〜日高先生呼び出し中〜
「———あちゃー……そりゃ大変だったねぇ。アタシも一度だけ間違って造に酒飲ませた事があったんだが———危うく逝くとこだったよ……」
そんなわけで、造の保護者兼ヒーラーの日高先生は僕らの呼び出しにすぐさま応じ、ムッツリーニと木下さんを治して、ついでに秀吉と雄二を(斜め下チョップで)直してくれた。良かった……やっぱり日高先生は頼りになるね。
「それで日高先生。造を元に戻せませんか?」
「てか……早くどうにしないと……このままじゃ俺らの命がいくつあっても足りん気がするしな」
「そうじゃの……あの笑顔で『秀吉お兄ちゃん大すき〜♪』と、言われたら……い、いかんっ!?また意識がっ!?」
「…………破壊力があり過ぎる」
ただでさえ子供っぽい容姿の造に子供の精神状態とか……危険すぎる。主に僕らの精神的な何かが限界突破しそうで怖い。
「んー……いや、アタシも出来る事なら何とかしたいんだがね」
僕らの問いに非常に言い難そうに、日高先生は頬を掻いている。この反応……やっぱり止めるのは難しいのだろうか?
「な、何です師匠?やっぱり無理なんですか?」
「……日高先生が無理なら私たちも無理かも」
「たはは……そうだよね。ボクらじゃさっきみたいになっちゃうだろうし」
「ま、まあ日高先生もそれは同じかもだけど……」
「そ、それで日高先生?どうなんですか……?」
女性陣も緊張した面持ちで日高先生に尋ねる。すると、日高先生は重い口を開いてこう答えてくれる。
「———あー……それ以前に、その肝心の造がいねえだろ?」
「「「「「「「「「…………ゑ?」」」」」」」」」
……あ、あれ?そう言えばさっきから……造の姿が見えない?何処へ?てか何時からいないっけ……?
「えっと……ホレ。お前らとりあえず黒板見てみな」
と、日高先生が苦笑いをしながら指差した先の黒板に、大きく書かれたこんな文字。
『お兄ちゃん、お姉ちゃんたちへ
オニごっこしましょう♪お兄ちゃんたちがオニだよ♪つくるをつかまえてね!』
「あちゃー……やーっぱこうなったねぇ。今日中に捕まえられりゃ良いんだが……」
「「「「「「「「「た、大変だあああああああああああああ!?」」」」」」」」」
- 番外編:酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜中編 ( No.127 )
- 日時: 2015/09/21 18:42
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
No Side
「いいかっ!恐らくまだ造はこの校舎の中にいるハズだ!だがこのまま仮に外に逃げられちゃマジでどうしようもねえ!とりあえず今すぐ部隊を組んで手分けして造を捕獲・保護するぞ!」
「「「「応っ!」」」」
「「「「「了解(ですっ)!」」」」」
急遽始まった鬼ごっこ兼造捕獲作戦。日高先生曰く『こうなった造は捕まえない限り、疲れ果てるまで暴走———もとい遊びつくす』とのこと。その言葉を聞き全員同じ考えに至る。何がなんでも捕獲しないと……更なる被害が出る、と。
「まず、日高先生・秀吉・木下姉の先行部隊!造が今どこにいるかお前らなら大体予測できるだろ。被害が拡大する前に、造の居場所を見つけて捕えてくれ!」
「「「勿論!」」」
「頼むぜ。次にムッツリーニ・工藤の情報部隊!持ち前の情報収集能力を活かし、造の逃亡に関する情報を二人で集めて来い!同時に造の確保も可能な限り行ってくれ!勿論俺らにその情報は逐一連絡する事!」
「「了解!」」
「よし。んで俺・明久は実行部隊だ!俺らなら追いかける体力は自信があるからな。酔っている状態で造が腕輪を使えるかわからんが、もしもの時は俺らの腕輪を使って何とかする!明久、お前足引っ張んなよ!」
「はっ!雄二こそヘマしないでよね!」
「テメェこそ良い根性だっ!そして翔子・姫路・島田の支援部隊。お前らはとりあえず全員のバックアップを頼む。要所要所で作戦を立て、俺らに的確に指示を出してくれ!」
「「「うん(はい)!」」」
雄二が全員に瞬時に指示を送る。1分もかからない内に、的確な部隊編成と指示を出すあたり流石は元神童と言えよう。統率力はこのメンバーの中で断トツである。
「連絡は全員ムッツリーニが用意した通信機で。造を見つけたら全員に知らせること!いいか、相手は俺たちが今までで戦った奴らとは比べ物にならんほど色んな意味で手強い造だ!気を引き締めて行動しろっ!そんじゃ造捕獲作戦始動だっ!行くぞお前らっ!」
「「「「「「「「「おーっ!」」」」」」」」」
———そして、彼ら彼女らの挑戦が始まる。
〜サクヤ・優子・秀吉の挑戦〜
秀吉Side
「さあ、行くぞ優子っちにヒデっち!最初は———職員室だ!」
「やっぱりそうですよね……木を隠すなら森の中。造くんってこう言う時は人の中に隠れるでしょうし」
「それに職員室ならば……造の味方が多いからのう」
ある意味で、造に最も(境遇や存在が)近いこの三人で瞬時に造のいる場所を特定する。恐らくじゃが酔っているとはいえ造の本質や行動パターン事態は大きく変わらぬはずとふみ、ワシらは職員室へと向かうことに。
「それにしても……造くんがあんなにお酒に弱いとは」
「ああ……何せお屠蘇を舐めただけであの子酔えるかんな〜」
「ど、どれだけ弱いのじゃ……?ま、まあとにかく急がぬとな」
まあ、確かに酒に強い造なぞ想像できぬと言えばできぬが……まさかここまで弱いとはの。そんなことを話しつつ職員室へとたどり着く。そしてそのワシらの予想通り———
「おー!すごーい!秀吉お兄ちゃんたちもうきたー♪」
「「「いたっ!……って!?せ、先生方!?」」」
ニコニコと笑い職員室の椅子にちょこんと座り足をプラプラさせながら、やって来たワシらに手を振る造の姿が。ちなみにその造の周りには、
「「「…………ホント、幸せ……(ガクッ!)」」」
魂を持っていかれ倒れ伏す高橋・遠藤・船越教諭の姿がそこにはあった。まあ、予想通りと言えば予想通りと言えるがの。ちなみに他の教諭たちは、あまりの造の変わりっぷりに処理落ちをしているようじゃ……その気持ち、ワシにはわかるぞい。
「くっ……遅かったねぇ。優子っちにヒデっち!あの子を追い込むよ!今度はさっきみたいな事にならんように気をつけなっ!」
「「はい(うむ)っ!了解です(じゃ)!」」
と、先生の指示通り、散開して座っている造を取り囲むように配置につく。なるほど下手に追い回すよりも、少しずつ距離を詰めて一斉に捕獲に入るほうが確実と言うわけじゃな。
「造っ!お遊びはここまでさね!とっととお家に帰るよ!」
「んみゅ?かえるのー?まだあそびたりないよー!」
「造くん。鬼ごっこはお終いなのよ。さあ、帰りましょう」
「やーだ!もっとあそぼーよー!あーそーぼー!」
「造よ、駄々を捏ねるでない。もう帰る時間じゃ」
「うー……あそびたいのに……」
そう宥めながら、ジリジリと造に迫る。ここで逃がせばそこに転がっておる教諭たちのような犠牲者が増えるじゃろうからの。それに造を早う戻してやらねば、今後造の学園生活がまずいことになりかねん。酔いの冷めた後造が恥ずかしさのあまり精神崩壊する恐れもあるからの。そんなことを考えつつも、あと一歩で捕まえられる距離まで迫った次の瞬間———
「グスッ……あそんでくれなきゃ……やだ……」
「「「っ!?」」」
造(子供)の目から一筋の涙が。本能的にこのままではマズいと感知し、慌ててワシら三人で宥めようとするも、時すでに遅く……
「サクヤかあさまも、優子お姉ちゃんも、秀吉お兄ちゃんも……みんなきらいっ!だいっきらいっ!」
「「「っ〜〜〜〜〜〜〜〜!?」」」
と、そんな事を言って造は職員室から全力疾走で駆けだす。そして、そう造に言い残されたワシらはと言うと、
「「「…………大っ嫌い…………」」」
ドサッ!×3
再起不能レベルの強烈な一撃を叩きこまれて……その場に倒れ伏してしまう。造……そういうつもりじゃ……なかったのじゃ……すまぬ、すまぬから……謝るから……許して……欲しいのじゃ……
「…………こちら先行部隊。すまないねぇ、もうやられちまったよ」
「…………造くん、職員室から出て今一階渡り廊下付近を逃走中よ」
「…………そう言うわけじゃ、後は任せたぞ。造を捕まえるのじゃ」
それでも何とか造を捕まえて貰う為に、必死で通信機を取り出し明久たちに連絡を入れることに。そして情報を全員に伝えると……
「「「…………大っ嫌い……はぁ……」」」
……職員室の床に倒れこんだまま、落ち込むワシら。マズいのう……今日は……立ち直れる気がせぬぞ……すまぬ、ワシらはここまでのようじゃ……頼むぞい皆の衆、造を……造を元に戻してやってくれ。そう心の中で願いつつ、意識が完全にブラックアウトしてしもうた……
〜サクヤ・優子・秀吉の挑戦:惨敗【精神崩壊×3により戦闘不能】〜