二次創作小説(紙ほか)
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その① ( No.141 )
- 日時: 2015/10/02 21:56
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
体育祭兼召喚野球大会も無事に終わり、しばらく経ったある日の昼下がり。いつものようにFクラス仲良しメンバーの明久・雄二・ムッツリーニ・瑞希・美波の五人は、お昼を食べるべく楽しげに屋上へと向かう。
「明久君、美波ちゃん。今日もたくさん食べてくださいね!」
「「は、ははは……お手柔らかに、瑞希……」」
「…………二人とも、骨は拾ってやるぞ」
「あと、一応ヤバイ時は日高先生を呼んでやるから安心して逝って来い」
「「(安心出来ない……)」」
……ただし明久と美波の二人は、絞首台への階段を上る死刑囚のような感覚で屋上への階段を上っているが。
「?どうしたんですか、明久君に美波ちゃん?」
「あ、ううん!何でもないのよ!さっ、早く逝きましょ!(うぅ、今日もちゃんと生きて戻ってこれるかしら?現世に)」
「そ、そうだね!お腹ペコペコだし早く逝こう!(僕のはともかく、最悪の場合美波のだけでも雄二とムッツリーニに喰わせねば)」
明久も美波も若干青ざめながらも、精一杯の笑顔を瑞希に見せる。瑞希に強く言えないあたり、惚れた弱みと言うべきか……屋上へ向かう階段に足をかけながら、とにかく話を逸らそうとする明久。
「そ、それにしても造と秀吉はどうしたんだろうね?授業が終わったと思ったらいつの間にか居なくなってたし」
「そう言えばそうよね。と言うか今日だけじゃなくてさ、最近何やらあの二人いつの間にか居なくなっていること多くないかしら?」
「あ、確かにここしばらく木下君も月野君も放課後は二人でよく一緒に行動していますよね。どうかしたんでしょうか?」
———そう。今日は明久たちの言った通り、普段は絶対にこのメンバーの中にいるハズの造と秀吉の姿が見えない。その事に三人は首を傾げつつ話をする。
「言われてみればアイツら何か最近二人でバタバタとしてんな。ま、今日はアイツらも屋上にいるんだろうさ。弁当持って教室出ていってたのが見えたしな」
「あ、そうなんだ。……にしても秀吉と造かぁ。あの二人ってさ、気も波長も合うしいいコンビだよね。何だか本当の姉妹みたいだし」
「…………あの二人のツーショットは、かなり高額で売れている」
主に造と秀吉の波長が合うのは、そんな風に女の子扱いされていたり、コスプレされて写真を撮られたりいるのが原因であることは最早言うまでもないが。
「(まあ、アイツら二人とも男なんだがな)ははっ!案外アイツら付き合ってたりしてな。少なくとも秀吉は木下姉と一緒でかなり造のことを気に入っているしな」
「って、ちょっと!何言いだすのよ坂本。アイツらがいないからって勝手に変な事言うもんじゃないわよ」
「そうですよ坂本君。そんな憶測だけで話ししちゃ、変な誤解が生まれちゃいますよ」
「ん?そうか?」
「「そうなの(そうです)!それに———(ボソッ)そんなこと言ってたら、月野(君)を好きなあの人が心配しちゃうし(しちゃいますし)」」
と、頬を赤らめてそんなことを呟く瑞希と美波。何でも只今絶賛恋をしているこの二人は、お世話になった先輩の恋を応援したいとか。
「お前らが一体何の話をしてんのか知らんが……姫路に島田、落ち着け。言っとくがさっきのは冗談だ。いくらなんでもあの二人が付き合うってことはないさ」
「ま、それはともかく最近二人ってよくいなくなるし、ちょっと気になるよね〜」
「…………気になるなら、本人たちに聞けばいい」
「そうだな……ん?噂すれば造と秀吉の声が聞こえるぞ。やっぱアイツら先に屋上に来てたか」
そう言いつつ、屋上への扉を開ける雄二とそれに続く明久たち四人。そしてその五人の目に飛び込んできたのは———
ダンッ!
「どうして……どうしてなの!?」
「ゴメン、なさい。でも、自分は……自分は貴方の想いには答えられないんです……」
「「「「「…………は?」」」」」
———造の手を掴んだまま屋上の壁に造を押し付け迫る秀吉と、そんな秀吉に困惑し目に涙を浮かべる造の姿が。
「……言っておくけど、ふざけて告白をしたわけじゃないから」
「わ、わかっていますっ!貴方の気持ちは嬉しいですっ!でも、でも……こんな身体じゃ、貴方の側にはいられないんです……」
荒々しくそして力強く造に言葉を紡ぐ秀吉と、弱弱しくそして悲しげに首を振ってその秀吉の想いを拒絶する造。これには全員口を開けて呆然とその場に立ち尽くしてしまう。何せ直前に“あの二人は付き合っているんじゃないか”と話をしていただけあって、この光景は流石に取り乱さずにはいられないのだろう。
「……そんなこと関係ないっ!何をためらう必要があるんだ!いいよ……力づくにでも貴女を……」
「よ、よして下さい……ダメなんです、ダメなんですよ……」
「「「「「…………え?えぇ!?」」」」」
そんな台詞と共に、強引に秀吉の唇は造の唇へと向か———
「……って、あらら?皆さんやっと来ましたね」
「おお、お主ら遅かったのう。ならばちょうど良い時間じゃし一旦休憩しようかの造。こんな時間まで付き合って貰って悪かったのう」
「いえいえ、どういたしましてですよヒデさん。ほらほら皆さんもボーっとしてないでご飯食べましょうねー♪」
向かわずに、そのままの体勢で明久たちを見つけるといつも通りの笑顔を向ける造と秀吉。そんな二人を見た明久たちは一瞬でアイコンタクトをすると、全員流れるような動作で———
「「「「「すみませんでしたっ!」」」」」
「「……は?」」
———全員その場で土下座する事に。その光景に今度は逆に造たちが困惑してしまう。
「な、何じゃお主ら急に?……わ、ワシらが何かしたかの?」
「「「「「本当にすみませんっ!すぐに退場するので、続きをどうぞっ!?」」」」」
「……続き?あの、皆さん?ひょっとして何か物凄い勘違いをしていませんか?」
「「「「「いいえっ!“告白”の邪魔をして本当にすみませんでしたっ!」」」」」
「“告白”じゃと!?ちょ、ちょっと待つのじゃ!?やはりお主ら何やら盛大に勘違いをしておるぞ!?」
「あ、あはは……よくわかりませんがちゃんと説明しますから、皆さんとりあえず土下座するのは止めてください。何だかこっちが恥ずかしいので……」
そう言って驚き半分呆れ半分で明久たちにツッコミを入れる秀吉と、苦笑いを浮かべる造がこの状況を説明する事になった。
〜造&秀吉説明中〜
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その① ( No.142 )
- 日時: 2015/10/02 21:30
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
「「「「「な、なるほど……つまり演劇の練習だった、と」」」」」
「そう言う事なのですよ。良くわかりませんがごめんなさい、皆さんを驚かせちゃって」
とりあえずお昼ご飯を食べつつ、皆さんにさっきの状況を説明する事に。いきなり屋上に着くなり、皆さんが土下座なんかし始めて何事かと思いましたが……説明したら何とかわかってくれたみたいですね。と言いますか、何をそんなに皆さん動揺していたんでしょうかね?
「全く……お主ら取り乱し過ぎじゃぞ。ワシらは何もしておらぬのに、何故だかこっちが申し訳なるではないか」
「い、いやーゴメンゴメン二人とも。ちょっと直前の会話とさっきの状況がビックリするくらいに繋がったもんで」
「???何の話ですか……?」
「いや、気にすんな造。……それよりも演劇ねぇ?秀吉は演劇部だからわかるが、何でまた造がそんなものやってるんだ?」
と、ゆーさんが不思議そうに尋ねます。皆さんも首を傾げつつ自分たちを見ていますね。あ、そっか。皆さんにその辺の説明はしていませんでしたっけ?
「えっとですね。学園長の依頼で今度ヒデさんたち演劇部が、睦月小学校で演劇をやるそうなんです」
「睦月小?あら、葉月の通ってる学校じゃない」
「あ、僕と瑞希の母校でもあるね」
「そうですね。それにしても学園長直々に依頼されるなんて凄いですね木下君」
あらら?ここで意外な新情報が。そう言えば葉月さんにもしばらく会っていませんね。久しぶりに彼女にもお会いしたいものです。
「…………うちの学園の演劇部はレベルが高いから。オファーが来てもおかしくない」
「ほう、そうなのか?いや、それは置いておくとして、だ。何で造がその演劇をやってんだ?別に造は演劇部じゃねえだろうに」
確かに自分は帰宅部です。多少の興味はありますが、部活らしい部活に入った経験はないんですよね。と言いますか、この場で部活動に所属しているのってヒデさんだけですよね。
「あー……それなんじゃがの。まあ、依頼されたはいいものの、何を演目にするかで学園長と随分揉めてのう。ようやく演目が決まったのは良いのじゃが、今度は相方と読み合わせをする時間も無いくらい時間が差し迫っているのじゃ。各々寝る間も惜しんで稽古に励んでおるのじゃ」
「それでヒデさんも稽古の相手がいなくて困ってたみたいですし自分は暇でしたし、演劇部の皆さんとちょっとした立ち稽古に付き合っていたんですよ」
いつもお世話になっているヒデさんのお役に立てるなら、それくらい安いものですからね。それにちょっぴり演劇ってどう言うものか知りたかったって気持ちもありますし。
「なるほどね。にしてもあのババァも困ったもんだね。どうせまた妙な事を言い出したんでしょ?」
「まあまあ。学園長も悪気があったわけじゃないので……」
「どうだかな。あのババァの事だし金儲けや召喚システム関連で駄々捏ねたんだろどうせ。にしても造、お前に演技の才能があるとは驚きだぞ。さっきのなんか、本気で俺も騙されるところだったからな」
そのゆーさんの言葉に、アキさんたちもうんうんと頷いて同意します。え、えっと……?
「あ、あのぅ?別に騙す気はなかったですし……自分の演技なんか全然です。実際にやってわかったんですが、ヒデさんを始め演劇部の皆さんの演技は本当に素晴らしくて、自分はあの舞台には立てないって実感しましたもん。ね?ヒデさん」
「……いや、造は才能あると思うのじゃが。たった一、二度読んだだけで台詞を覚えて、読み合わせどころか立ち稽古までやれるなぞ、正直ワシも驚きじゃ。実を言うとの、造と舞台に立ってみたいと思っておるくらいなのじゃよ」
「ってちょっとヒデさん!?」
ま、真顔でそんな冗談言わないでくださいよ……皆さん微妙に信じているみたいじゃないですか……
「へー、ああでも確かにさっきのを見る限りだと、造も意外と演劇合うかもね」
「そうね。あのレベルならやれるかもよ」
「月野君、主役も出来そうですよね♪」
「ははっ!いっそお前もそれに参加してみろよ造!———(ボソッ)姫役で」
「…………いい絵が撮れそうだ———(ボソッ)姫役なら」
皆さんも何言っているんですか全く……餅は餅屋。上手いと言っても素人にしてはってレベルです。自分はそもそも人前に立って何か大きなことをするのは向いてなさそうですからね。……それとゆーさんにこーさん、今何かこっそり変な事言いませんでした?
「はいはい。皆さん冗談はそれくらいにして、さっさと食べちゃいましょうよ。のんびりしていると昼休みも終わりますよ」
その自分の言葉に慌ててそれぞれのお弁当を食べ始める皆さん。やれやれですね。
「ホラ、ヒデさんも早く食べちゃいましょうよ。自分お腹空きましたよ」
「むう……ワシ冗談は言っておらんのじゃが。……まあ良い。ああ、それと造。悪いのじゃが今日の放課後も———」
「ふふっ♪ええ。また立ち稽古ですよね。勿論お手伝いします」
「助かるぞい。では、早う食べてしまうかの」
そう言うわけで、ヒデさんと共に皆さん同様にお弁当を食べてしまう事に。さてさて、今日も頑張ってヒデさんたちのお手伝いしましょうか。……なんて早速放課後の演劇について考えている時点で、ちょっとは演劇楽しいなって思っていることは否定できませんね。
……あ、そうそうちなみに。
「「(ゴホッ!?)……み、瑞希?(必殺的な意味で)また腕、上げたね……(ガクッ!)」」
「そ、そうですか♪ありがとうございます!」
「「「「明久(アキさん)、島田(さん)しっかり!?」」」」
……例に洩れず、アキさんと島田さんが姫路さんのお弁当の魔力に倒れる事に。毎度毎度お疲れ様です、お二人とも……
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その① ( No.143 )
- 日時: 2015/10/11 12:55
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———数日後———
その後もヒデさんや他の演劇部の皆さんのお手伝いをやりつつも、時は瞬く間に流れて往き。そして……
「いやはや。あっという間に演劇公演日ですね」
「そうだね。それにしても……何か凄いね、物凄く賑わっているよ」
アキさんがそう言いながら周りを見渡します。そう今日はヒデさんたち演劇部の公演当日。ここ睦月小学校には自分たちも含めてかなり大勢の人で賑わっています。
「ああ、それね。確か葉月が言ってたんだけど、この小学校の何周年かの記念の為のイベントだって」
「創立の記念の為のイベントと言うわけで、木下君たちの演劇だけではなく他にもたくさんの催しものがあるそうですよ」
島田さんと姫路さんがパンフレットを見ながら皆さんに説明してくれます。そうなんですよね。どうやら結構大規模なイベントみたいで、ヒデさんたちの他にもその道では有名な劇団の方々や芸人さんたちも出演するとのこと。さっきからそう言った有名人さんたちをちらほら見かけます。
「うげっ……そ、そんなに凄いイベントなの?僕らも来て良かったのかな……?」
「それは問題ねえだろ。島田の妹から家族用のチケットを三枚、んでもって秀吉や演劇部の連中から貰ったチケットが三枚。それを俺らはちゃんとここに入る時に出したからな」
「…………表向きは島田の妹の兄弟姉妹と言う設定で、だが」
同じくパンフレットを見ながら苦笑気味にゆーさんとこーさんが話します。まあ、折角頂いたワケですしありがたく使わないとですもんね。
「それにしても優姉さんも霧島さんも工藤さんもここに来ることが出来なくて残念でしたね。折角楽しめそうなイベントでしたのに」
「まっ、それはしゃあねえだろ。翔子は法事って言ってたからな。ほったらかしには出来ねえし」
「…………工藤もどうしても外せない用事があるそうだ」
そうそう。優姉さん(とサクヤさん)も今日は本当に忙しいそうで、一緒に行けないって言ってましたね。優姉さん、ヒデさんの演劇見るの楽しみだったでしょうに残念でしたね。
「あ、ところで造?今の今まで聞きそびれていたけど、秀吉たちがやる演劇って何なのかな?」
「ん?ヒデさんたちの演劇ですか?えっと、確か———“La(ラ) Belle(ベル) et(エ) la(ラ) Bete(ベット)” ———つまりあの『美女と野獣』の改変版だそうです」
「「「「「美女と野獣の改変版?(と言うか。らべるえらべっとって何……?)」」」」」
「ええ。あれって本来は王子が獣になっているお話ですよね。ですがヒデさんたちのやる演劇は立場が逆転して獣になる美女を愛してしまった王子のお話だそうです。これが中々に面白いストーリー何ですよ。脚本読んでいた時、思わず泣いちゃいましたもん」
あ、そうそう。ちなみに皆さんが屋上で見た自分とヒデさんは、そのクライマックスシーンを演じていた真っ最中でした。ヒデさんが主役の王子様、そして自分が獣の姿になったヒロイン役です。獣の身体では側にいられないと思い、王子を遠ざけようとするヒロインとそれでもヒロインの側にいたいと願う王子様———的な。
「「美女と野獣……素敵です(よね)♪」」
「そ、そうなんだ(美女と野獣ってどんな話?)」
「そ、そりゃ楽しみだな(正直俺も覚えてねえ)」
「…………うむ(俺はそもそも読んだことない)」
……ん?何だか姫路さんと島田さんはともかく、アキさんたちの目が泳いでますが……ひょっとして内容を覚えていないとか?あはは♪まあ、演劇見れば思い出しますよきっと。
Prrrr! Prrrr!
「……ん?おい造、お前の携帯鳴ってねぇか?」
「へ?……うわ、わわわ!?ホントに鳴ってる!?」
「?何をそんなに慌ててんだ造、早く出てやれや」
「そ、そんなこと言われましても……ゆ、ゆーさん!すみませんが出てくれませんか!?」
と、そんな中自分のバックの奥底から鳴り響く甲高い機械音。ううっ……けいたい……一応持ち歩いてはいますが……使えないもの持ち歩いてもなぁ……
「……おいおいお前、相変わらず携帯使いこなせてないのか……機械音痴早く治しておけって言っただろ。まあしゃーない、俺が出ても構わないんだな?」
「寧ろ是非お願いしますっ!自分ってどうやっても電話に出ようとすると勝手に切れちゃうんですよ!?」
「「「「造(月野)(月野君)……」」」」
み、皆さんの自分を見る目が……かわいそうな子を見るような目で非常に気になるんですが!?だってしょうがないじゃないですか!?あんなにボタンがいっぱいあると、混乱しちゃいますでしょ!?頑張って出てみてもすぐにプチ!って切れちゃいますしっ!?
「へいへい、と。(ピッ!)あーもしもし?って何だ秀吉か?ああ、悪い悪い俺だ、造が携帯の使い方わからんとか言ってな。今造と代わる———何?俺らにも聞いてほしいことがある?あーわかった。ちょっと待て、今スピーカーモードにすっから。っし、いいぞ秀吉」
『も、もしもし!聞こえるか雄二、造、それに皆の衆よ!?』
「ヒデさん……?あ、もしもしヒデさん、聞こえますよー」
と、携帯から聞こえてくるヒデさんの焦ったようなそんな声。それにしてもどうかしたんでしょうか?ヒデさんたちの出番は午後からとは言え、今の時間も準備やリハーサルなどで忙しいでしょうに……?
『いきなりで悪いが、お主ら今どこにおるのかの!?』
「ん?えっと現在進行形で、皆さんと一緒に公演がある体育館に向かって歩いていますよ」
「睦月小の体育館ならもう二、三分も経たないうちに着くと思うよ秀吉」
『それは好都合じゃ!すまぬ。いきなりで悪いが、ワシらを助けてくれまいか!?』
「へ?た、助けるって……?」
『とにかく舞台裏———体育館のステージ裏まで来て欲しいのじゃ!頼んだぞい!』
そう言ったかと思ったら、ヒデさんはすぐに慌ただしく電話を切ってしまいました。な、何やら只事ではなさそうですね……?ともかく皆さん全員電話が切れると同時に頷き合い、急ぎステージ裏に駆ける事に。
…………うーん。あのヒデさんがこともあろうに演劇に関してこんなにも取り乱すなんて……どうやら何かヒデさんですら対処困難な不測の事態があったようですね。今日はヒデさんたちの活躍を見に来ただけなのですが、ものすごーく今からトラブルな予感がしてきましたよ。