二次創作小説(紙ほか)

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑥ ( No.164 )
日時: 2015/10/16 21:22
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

〜舞台暗転:次の場面〜


———舞台:深い森———


【カッコよくなりたい王子さまは、脳みそが欲しいカカシと心が欲しいロボットと共に鬼ヶ島へ向かい、深い深い森の奥を元気に歩きます】

瑞希のナレーションと共に、秀吉の召喚獣:王子と明久の召喚獣:カカシ、そして康太の召喚獣:ロボットが現れる。舞台は先程同様森の中。ただし先ほどよりもかなり暗めな森を演出してある。

「ところでカカシ君にロボット君?この森は一体いつまで続くんだい?」
「さあ、どうだろうね。ボクは生まれてすぐにあのトウモロコシ畑に立てられたからよくわからないよ。ロボットなら知っているんじゃないかい?」
「…………オレもよくは知らん。いつの間にかあそこに捨てられていたからな」

【と、三人がそんなことを言ったその時です。突然森が震えるくらいの恐ろしい吠え声と共に、王子さまたちに向かってくる一つの黒影が現れるではありませんか!】

瑞希のナレーションが終わると同時に、ガサッ!と草むらの影から物凄い剣幕で現れるのは———そう、王子のお供になる予定の最後に一人(?)である雄二の召喚獣だ。

「う、うぉおおおおおお!?ちょ、ちょうどいい!そこの嬢ちゃんに“バカ”なカカシにロボット!スマンが助けてくれねえかっ!?」
「ちょっと待て!何で出会い頭にボクだけ罵倒されるんだよ!?」

【王子さまたちの前に現れたのは、百獣の王と名高い鋭い牙と爪を持つライオンでした。これにはカカシもロボットもビックリして動く事が出来ません。そんな中、王子さまは怖がりつつも勇気を振り絞って剣を構えます】

「で、出たな猛獣めっ!“暴れる百獣の王”とはお前の事だな?成敗してやる!……と言うか、どうして君たちはいちいち僕の事を“嬢ちゃん”って呼ぶんだよぅ!?僕は王子なんだよ!?」
「いや、何の話かわからんが、そんな事よりとにかく助けてくれっ!追われているんだ!どうか匿ってくれ、頼むっ!」
「だからそんな事ってどう言う意味だ———って、あれれ?何だか本当に困っているみたいだね」

【相変わらずみんなから女の子扱いの王子さま。それはこの百獣の王と謳われるライオンも例外では無いようです。一刻も早く自分の事を王子であるとアピールしたいところではありましたが、ここは本当に困った顔をしているライオンを助けてあげる事にしました】

そう言って雄二の召喚獣———ライオンを匿う王子一行。しばらくライオンを物陰に隠す事にする。森には喧騒が(勿論これも学園長たちが効果音を付けてやっているとの事)聞こえるが、しばらくするとその喧騒も遠ざかり追手の気配も消える。追手がいなくなった事に一安心しホッと息をつくライオンに王子たちは話しかける事に。

「……ハァ、行ったか……すまんな嬢ちゃんにその他二人。助かったぜ」
「こらこら!僕は王子だよ。“嬢ちゃん”なんて言わないでくれよ。それにしてもライオン君。それにしても君はどうして追われているんだい?」
「ん?全然そう見えないがお前さん王子なのか。ならすまんな王子よ。それから何で追われていたかだが、実はな———俺はある国の姫に追われているんだ。アレはその追手さ」
「…………姫に追われる?」
「何言ってるんだろうね、この“野蛮でブサイク”な獣は?王子さま。こんなおかしなヤツは無視して先を急ごう。ブサイクが移るよ」
「黙ってろ、脳無しカカシ……ゴホン、まあ少し省略して話すが———」

【そうして自分の事を話し始めるこのライオン。何でもこのライオンはこの近くのお城に住むお姫さまに一目惚れされたらしく、そのお姫さまは日々このライオンにアタックしているそうです。ですがまだまだ自由に遊んでいたいライオンは、このお姫さまのお誘いを断っていつも逃げ回っているとの事】

「「「《……これ、まんま雄二(坂本)(ゆーさん)の事じゃ……》」」」

「ちょっと待てや!どう言う意味だコラ!?」
「いやいや。どう言う意味って……そりゃあ、ねえ?」
「…………霧島と雄二、そのもの」
「そうね。坂本、アンタも少しはあんなにアンタのことを好きな翔子に素直になりなさいよね」
「何で俺は劇の最中に、んなことを言われにゃならんのだ!?」
《あ、あはは……》

瑞希のナレーションに、メンバー全員が舞台裏で雄二をジッと見てそんな事を言い合っていたそうだ。そうそう、これはまたちょっとした余談なのだが———

『えー!ライオン酷いよ!』
『そうだよねーお姫さまかわいそうだよねー』
『ライオンのバカっ!』

『『『(ボソッ)……きっとまだ人生の墓場に行きたくないんだな……遊んでいたいその気持ち……わかる、わかるぞライオンよ……』』』

『『『ちょっと、それってどう言う意味ですかアナタ?』』』

『『『な、何でもありませんっ!?』』』

———このように観客席の小学生はライオンに対して手厳しい発言を飛ばし、その保護者であるお父さん方はライオンへ同情すると同時に、隣に座って何か黒いオーラを出していらっしゃる奥さま方を宥めるという奇妙な光景が見られたとか何とか。

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑥ ( No.165 )
日時: 2015/10/16 21:19
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

「(ゴホン)そんなわけで俺はあの姫の追手から逃げ回っていたってわけさ。ところで王子たちはどこへ行くつもりだったんだ?」
「ああ、僕らかい?僕らはね、鬼ヶ島へ行く途中だったんだ。あそこに行けばカッコ良くなれる方法があるかもしれないと聞いてね」
「ボクは脳みそが手に入ると聞いて」
「…………(自重する)心が欲しくて」

【王子さまとカカシとロボットはそれぞれ、自分たちの目的をライオンに話します。するとそのライオンはしばらく考えて———】

「そうか。だったら俺も一緒に行く事にしよう。助けてもらった礼もあるしな」
「おや?いいのかいライオン君。鬼ヶ島に行くって事は、鬼と戦う事になるかもしれないんだよ?」
「別にいいさ。鬼程度じゃ俺の相手にならん。追われるよりもずっといいからな」
「…………百獣の王が仲間なら心強い」
「ふーん?それでそこのライオン。本音は何さ?」
「まあ、俺も欲しいものがあるからな。……俺はな、勇気が欲しい」

「「「勇気を……?」」」

【何でもこのライオンは、別に一目惚れされたお姫さまの事が嫌いと言うわけでもないそうです。……ですが実はライオンは百獣の王と呼ばれるくらい強いのに、お姫さまに告白する勇気は無いというヘタレなライオンだったのです】

これはどう考えても中の人(雄二)に対する最大限の皮肉だろう。ちなみに言うまでもなく、これは学園長が配役を強く推薦したとか。『あの背も態度もデカいバカにはこの役がピッタリだろうさ』との事。

「はっ!まさに雄二の事だよね。いい加減霧島さんに告っちゃえばいいのに無駄にヘタレなところとかさ!」
「どう言う意味だっ!?クソッ……だから何で劇の中までんなこと言われなきゃならねえんだよ」
「雄二が素直じゃないからでしょ、にしてもホントにこの役雄二に合っているよね。見た目は野蛮な猛獣の癖に、中身はとんだヘタレなライオンの役なんてさ!」
「システムにまでバカにされるバカ久よりかは数倍マシだがなっ!」
「うるさいこのヘタレ!さっさと霧島さんと入籍して人生の墓場に逝ってこいや!」
「黙ってろバカが!テメェその藁でできたスカスカな脳をバラされたいのか?ん?」


ガスガスガス! ×2


「…………五十歩百歩」
《お、お二人とも本番中ですし落ち着いて下さい!?》
「こやつらはホントに仲が良いのやら悪いのやら……まあ、これで演技はちゃんとやっておるから文句は言えぬが」
「それにしてもアキも坂本も喧嘩しながらよく召喚獣を演技させられるわよね。ふふっ♪流石アキね」

舞台裏で召喚獣を操りつつも、仲良く喧嘩するバカとヘタレ———もとい明久と雄二の二人。ちゃんと演技をしつつお互いに喧嘩し合うこの二人は何だかんだで仲が良いのかも知れない。

「そ、そう言うわけで俺もその鬼ヶ島へ行こうじゃないか。よろしく頼むぞ王子、それにロボットに“バカで間抜けで脳無しで見るに堪えない”カカシよ」
「ああ、君が来てくれるなら頼もしい限りだよ!よろしくライオン君!」
「…………よろ」
「そうだね!よろしく頼むよ“ヘタレで根性無しの癖に野蛮でブサイクな”ライオン」


ガスガスガス! ×2


ちなみに召喚獣も召喚者に合わせるかのように仲良く喧嘩する。当たり前ではあるが明久と雄二のこの喧嘩や余計な罵倒は脚本には無いのだが、秀吉曰く『客受けは良いようじゃし、好きにやらせればいいじゃろう』だとか。つまりはアドリブでやりたい放題やっているとのこと。

【こうして脳が無いバカなカカシ、自重しないロボット、そして新たにヘタレなライオンを仲間に加えた王子さまは、鬼ヶ島を目指して再び歩き出します。そうそう、ちょっぴりカカシとライオンの仲が悪いようですが、しばらくするととても仲良しな二人になったそうです】

「「ちょっと待った!誰がこんな奴と仲良しなんかになるか!!」」

「…………息ぴったり」
「本当ににカカシ(明久)とライオン(雄二)は仲が良いね〜」

「「仲なんて良くない!!」」


〜舞台暗転:次の場面〜

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑥ ( No.166 )
日時: 2015/10/16 21:37
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

【さて、深い深い森を抜けた王子さまたち一行。仲間が増えて楽しい旅にはなりましたが、鬼ヶ島を目指す彼らのその旅は決して楽しいばかりではありません】

次の出番の関係上、瑞希から美波へとナレーションが変わりこのトンデモ物語は新しい章へと移行する。背景もそれに従いまた別の物へと変わっていく。

【彼らの行く手を阻むものはたくさんありました。そう例えば———】


———漫画・ゲームの国———


「新作のゲームソフトだってさ!ねえ皆、ちょっとだけ見ていかないかい?」
「またかこのバカカシ!何度店に立ち寄れば気が済むんだ!?」
「そうだよ!そんなのダメに決まっているじゃないかカカシ君!」
「…………先を急ぐべき」
「えぇ!?そんなぁ……じゃ、じゃあ我慢して、ここは新しい漫画を……」

「「「それもダメだっ!と言うか、全く我慢できてないじゃないか!?」」」

「うぅ……わかったよ。仕方ないなぁ」
「と言うかカカシ。お前はそんなゲームを買える金なんて持ってねえだろ。どうする気だったんだ」
「は?そんなのライオンに払わせるに決まってんじゃん。何わかりきったこと聞いてんの?」
「表出ろ、今すぐ藁くずにしてやっから」

【漫画・ゲームの国ではカカシが娯楽の誘惑についつい惑わされてしまったり、】


———綺麗なお姉さんたちがいっぱいいる国———


「…………(チャキ)」
「こらっ!ロボット君!君は一体何を撮ろうとしているんだ!」
「な、なんて速さなんだ……いつカメラを構えたのかわからなかったよ」
「流れるようにカメラを取り出して、ピンポイントにシャッターチャンスを狙うとはな。その末恐ろしい素早さは賞賛に値する。だが、自重しろエロボット」
「…………ハッ!む、無意識でつい。すまない(パシャパシャ)」

「「「って待て!?言ってる傍から写真を撮るなっ!」」」

「…………すまん」
「全くもう……って待ってそこのお姉さんたち!?110番はしないで!?」
「やめて!?も、もう二度とこのエロボットには写真は撮らせないので、お巡りさんだけは勘弁してくださいっ!?」
「お、おい!?警察(サツ)もう来てんぞ!?ま、待つんだポリス!?悪いのはこのエロボットで———いない!?」
「…………退散」

「「「待てぇ!そこのエロボットっ!?真っ先に逃げるなぁ!?」」」

【綺麗なお姉さんたちがいっぱいいる国では、ロボットが相変わらず自重しなかったり、】


———ライオンを追っているお姫さまの住む国———


「嫌だっ!放せっ!この国だけは絶対に入りたくないっ!捕まったら最後なんだぞ!?」
「で、でもさライオン君。この国を通らなければ鬼ヶ島へは行けないよ?」
「そうだよ。いい加減に覚悟を決めなよヘタレオン」
「…………往生際が悪い」
「知るかっ!いいから放せっ!放せえええええええええええええええ!?」

『…………雄じ———もとい、ライオン。ミツケタ……』

「っ〜〜〜〜〜〜!?は、放せっ!?き、来てる!ヤツが来てるぅ!?」

【ライオンを追っているお姫さまの住む国では、ライオンが必死の抵抗を見せたりと———何か事があるごとに立ち止まってしまう王子さまたち】

この劇の約9割は、実際の明久たちの日常なので相当リアルな劇となっている事は言うまでもないだろう。お陰で観客の全員が楽しそうに笑いながら鑑賞している。まあ、当の本人たちは、釈然としなさそうではあるが。


———舞台:いばらのお城———


【それでも何とか知恵と勇気と優しい心を持って、王子さまたち一行は鬼ヶ島を目指します。そしてとうとうもう少しで鬼ヶ島というところまでやって来ました。最後に王子さまたちを立ち塞がったのは……何と全てがいばらで囲まれたお城でした】

美波のそのナレーションが入ると、今度は茨の城が観客の目の前に映し出される。相変わらず本物そっくりの城に、これまた本物そっくりの茨の臨場感は凄まじく、秀吉たち同様に演劇や芸を披露にやって来た劇団の方々や芸人の方までもが思わず感嘆の声を上げる。

「やっとここまで来れたね。みんな、後もう一息だよ!」
「そうだね王子さま。それにしてもこのお城は一体どうなっているんだろうね?」
「…………いばらだらけ」
「こりゃ通るのに一苦労だな」

【そう言って四人はいばらで囲まれたお城を見上げます。ですがこのお城を通らなければ鬼ヶ島まで行けないので、四人はそれぞれ力を合わせていばらを取り去る事にします】

そうして王子は剣で茨を切り裂き、カカシは持っていた竿で茨を根っこから引き抜き、ロボットは自慢の鉄の腕でそのまま茨の棘を物ともせずに引きちぎり、ライオンは鋭い爪と牙で茨を引き裂く。……明久の装備だけ微妙なのは、お約束と言えばお約束なのだろう。

———まあ、そんな事をしなくても迂回するなりして茨の城を横切ればいいのでは?と思ったら負けである。それはともかく、茨を取り去ると今度は城の内部の背景が浮かび上がり、そして———

【こうして力を合わせていばらを取り去った王子さまたち。そのままお城に入ってみると、そこには……そこには———】

「「「「おぉ……なんて人形のように小さくて愛らしいお姫さま何だろう!」」」」

《(ぐぅ……誰が小さい姫ですかっ!?てか、可愛いって言われても嬉しくないですよ!?)す、スヤスヤ〜……》

【———そこにはまるで天使が舞い降りたのではないかと錯覚してしまうほどに可愛らしい、小さな小さなとても小さな一人のお姫さまがスヤスヤと眠っていました】

《(可愛い可愛いって言われてもだから嬉しくないんですってば!?てか小さいを何で3回も言うんですかっ!?)す、スヤスヤ……うぅ……》

物語もようやく後半を迎えて本人にとっては最大限の鬱要素満載の前口上と共に、ここでようやく眠れる小さな可愛いお姫さま———造の登場である。

さてさて、今のところ無事に劇は進む中、ある意味一番の適役を任されている造はどんな活躍(?)を魅せ、そしてこの物語はどんな展開を見せるのか。答えはこの脚本を仕上げた秀吉にも、そしてシステムを動かす学園長でさえもわからない。






《… … … んー やっぱり サプライズ あった方が オモシロイ かなー?》

…………そして極めつけは、何やら不穏当な発言をする誰かさん。本当に無事に幕は下りるのやら?