二次創作小説(紙ほか)

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑧ ( No.170 )
日時: 2015/10/30 21:03
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

———舞台:鬼ヶ島———


【魔法使いの(ある意味最凶の)魔法のきび団子の力によって、鬼ヶ島まで辿り着いた王子さまたち一行は眠り姫を連れて鬼ヶ島の中を進みます】

王子とカカシたち三人(人ではないが)のお供、そして眠り姫は鬼ヶ島の中をずんずん進んでいく。ちなみに眠っている姫役であるため、動けない造は王子である秀吉の召喚獣が背負う形で移動しているとか。

「へぇ〜?ここが鬼ヶ島かー……思った以上に暗くてどんよりした場所だね。こんな所に籠って、鬼は何が楽しいんだろうね」
「…………引きこもり共の考えはよくわからない」
「まあ、こんな薄汚れた島にいるわけだし、きっと趣味が悪くて気持ち悪い奴らだろうさ」
「えーっと……カカシ君たち。いつどこから鬼が出てくるかわからないしそろそろ静かにしようか。と言うか鬼相手に随分余裕というか言いたい放題と言うか……君たち痛い目見ても知らないよ?」
《すー……すー……》

そうそう、話は変わるが瑞希のきび団子でリアルにノックアウトされかけていた明久と造は(多少造にまだダメージが残っているようだが)何とか自力で回復したとの事。日々食べ続けている明久と、そんな明久を気に病んで食べるのを手伝うことが多い造だからこその超回復なのだろう。瑞希の料理を食べて生き残りたいなら、慣れや耐性は必須だそうだ。

「(……慣れるって言っても、本気で危ないところまで飛ばされることもあるんだけどね)」
「(……そうね。それに何だか最近、瑞希も瑞希で料理の威力(?)上がってきてるし)」
《(……確かにそうですよね。耐性が出来たと思ったら新たに強力な料理が生み出させるワケですし)》

余談だが……瑞希の手料理(殺)を食べる回数が一番多いのは勿論明久で、次いで明久の負担を減らす為に食べる美波と造。そして最後に明久によって無理やり食べさせられる雄二たちであるそうな。まあ、その辺は今はどうでもいい為一旦置いておくとして、

「「《(ちょっと!?どうでもいいって何!?と言うか置いていかないで!?)》」」

———それは置いておくとして、とにかくこの演劇に戻ろう。鬼ヶ島の中を慎重に進んでいく王子たちは、やがて鬼ヶ島の最奥の大きな門の前まで辿り着く。四人は眠り姫を安全な場所に降ろして武器を構えつつ、その門に耳を当てて様子を窺う。

「……いるな。まだこっちには気が付いていないようだが」
「…………(コクン)複数の鬼の気配」
「……何の話かわからないけど、話に夢中になっているね」」
「……そうだね。だったら油断している今が絶好のチャンスかな?」

【そうして四人はそれぞれの武器を握りしめて、勢いよく門を破り中へと入っていきます。そんな四人が見たものとは———】

「「「「…………何だ、コレ……?」」」」






———舞台裏———


……ところ変わって安全な場所に置いて行かれた眠り姫役の造はと言うと、本来なら王子たちが鬼を退治して目を覚ますという脚本故に、出番らしい出番がラストシーンだけとなっているハズだったのだが———

《ネー ツクル♪ ツクルは もっと 活躍 したいよ ネー! ツクルの 出番 アレダケ なんて 勿体 ナイヨ ねー!》
《…………はい?》
《文は ねー! ツクルの 綺麗で カッコイイ ところ ミタイー!》
《…………えっと、文さん?》

———舞台裏で何やらキラキラと目を輝かせてそんな事を言う文に遭遇した造。この時造は、この文の満面の笑みを見て直感したそうな。『最終章に来て、何かとてつもなく妙な事になりそうな気がします』……と。

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑧ ( No.171 )
日時: 2015/10/30 21:05
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

———舞台:鬼ヶ島内部———


「「「「…………何だ、コレ……?」」」」

門を破り中へ侵入した王子たちの……いや、その召喚者である秀吉や明久たちの目に映ったものは———

《諸君、異端審問会とは……?》

《《《最後の審判を下す法廷であります!》》》

《異端者には……?》

《《《死の鉄槌を!!》》》

《男とは……?》

《《《愛を捨て、哀に生きるものであります!!!》》》

「「「「(何で……FFF団が……?)」」」」

「「(Fクラスの召喚獣……?)」」

———四人や瑞希や美波の、そして観客の目に映ったものは……一応鬼の姿をしてはいるが、それは紛れもなく異端審問会用の黒い覆面を被ったFFF団の召喚獣であり、そしてその召喚主たちのいつものFクラスの日常を見事に再現している光景であった。

「……おいババァ、何だこれ?何でまたFクラスの連中の召喚獣がいやがる?」
「あん?……ああ、これかい。どうせ鬼の配役が足んないだろうから、自動操縦で動かせる召喚獣をこしらえたまでさね」

そう、学園長の言う通り鬼の配役が足りなかった為、学園長と文がFクラス男子諸君の召喚獣のデータを使ったノンプレイヤーキャラクターを創りだしたそうな。ちなみに自動操縦である為、あの会話や行動は召喚者の日常を映し出しているとの事。まあ、ただ今回が召喚獣自体が演劇仕様に変わっている為、ある程度演劇に合った会話に変換されているそうではあるが。

「いやそれはわかりますけど、何でまたFクラスの皆の召喚獣を使ったんですかババァ長?」
「決まってんだろ。点数が低い連中の召喚獣なら暴走しないと思ってね」

「「「「あー……なるほど。でも学園長(ババァ長)———」」」」

《諸君らの言う通り、それが異端審問会の鉄の掟だ……が、この鬼Aは罪を犯した。自分一人だけ他の島の女の子に告白した疑いがある》
《ち、違っ———》
《残念だがすでに裏が取れている。どうやら事実に相違ないようだ。被告鬼、言い残す事は?》
《ま、待て!落ち着いて話し合おうじゃないか!》
《聞く気になれんなァ!有罪に決まっておろうがッ!》

《《《会長……刑は?》》》》

《そうだな……鬼だけに火あぶり地獄に》

《《《了解であります!!!》》》

《ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!》

「「「「———別の意味で暴走しているように見えるけど……」」」」

「……まあアタシもこんな事なら、Eクラスくらいの召喚獣にしておけばよかったって後悔してるけどね」

そう言って暴走以上に酷い光景を見せるFFF団の召喚獣に、苦々しい顔で頭を抱える学園長。流石の明久たちも“学園長(ババァ長)も多少は苦労しているのか……?”と思ったとか。

《なんか変なオニだねー?》
《知ってるよー!アレってシットっていうんだよね!》
《ねたみとも言うらしいよ!》
《オニもシットしたりねたんだりするのかな?》
《するんじゃないの?うちのお兄ちゃんもあんな感じだし》

《《《あーそう言えばうちもー!》》》

ちなみに、そんな召喚獣版のFFF団でさえも観客の小学生たちには受け入れられているとの事。この町の住人はつくづく順応性が高いものである。その分常識に欠けるところも多々あるが……

【え、えっと……王子さまたちの目に映ったものは、鬼同士で喧嘩(仲間割れ?)をしている光景でした。あまりに熱中し過ぎてか、鬼たちは門が破られて王子さまたちが入って来たことに全員全く気が付いていないようです】

《他に異端鬼はいないだろうな?裏切り鬼は粛正せねばならん》
《会長、それが……残念な事に他にも鬼B、鬼Cも善からぬ噂が……》
《ふむ。疑わしきは罰せよだ。その鬼たちも焼いてこい》

《《なっ!り、理不尽なっ!?お、俺たちはちょっと女の子と話をしただけ———》》

《《《———罪を認めたな?会長、焼いてきます!》》》

《うむ、ご苦労。上手に焼いてこい》

「「「「…………」」」」

ある意味いつもの光景とは言え、流石の明久や秀吉たちも若干引きながらその召喚獣たちの様子を見る。まあコレがいつもの光景になっている時点で何かおかしいのだが、それは一旦置いておくとして……

「あー……本当に気が付いてないね?どうしようカカシ君たち?」
「そりゃ決まっているじゃないか王子さま」
「…………これはチャンス」
「だな。油断している間にやっちまうか」

「「「「そうと決まれば……行くぞっ!」」」」

《《《んなっ!?な、何ごとだ……!?ま、まさか侵入者だとっ!?》》》

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑧ ( No.172 )
日時: 2015/10/30 21:08
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

【そう言って気を取り直した王子さまたちは一気に攻め込みます。自分たちの事で夢中になっていた鬼たちも、ようやく侵入者である王子さまたちに気が付きましたがすでに遅く———】

と、ここからはちょっとした戦闘シーンを魅せる王子たち。ちなみにこの戦闘シーンは試験召喚獣を使った人形劇が舞台である為、観客にちょっとした試召戦争を見て貰えると言うある意味一石二鳥の戦闘シーンだとか。

【———ライオンは“百獣の王”の名に恥じないその鋭い爪と牙を悠々と使い鬼たちを噛み付き切り裂き、ロボットは自慢のその鋼鉄の身体を武器に鬼をまとめて投げ飛ばします】

「オラオラどうした!鬼ってもんはこんなもんか!えぇ?まだあの国の姫の方が何千倍も恐ろしかったぜぇ?」
「…………雑魚が。まるで話にならん」

《《ち、ちくしょう、なんて容赦ないんだ……てか、いきなり襲うなんて鬼かアンタら!?》》

「「お前らが鬼だろうが。それに……油断してた方が悪い」」

《《外道っ!悪魔っ!鬼ィ!》》

「「だからそれを鬼が言うな(っての)」」

【そしてカカシは……えっと、持っていた自分を支える竿を使って巧みに鬼たちを翻弄しなぎ倒します】

「いやいや“竿”って……最初から気になってたんだけど、他の皆と違って何かボクだけ武器がしょぼい気がするんだけどどういう事さ?」
《クソッ……見た目が雑魚でバカなカカシなのにコイツ強いぞ!?》
《バカなカカシの癖にチョロチョロ動きまわって……的が絞りにくい》
《あのライオンやロボットにやられるならともかく、何でこんな雑魚に……》
「まあ、逃げ脚だけは一丁前なバカなカカシだからな」
「そしてどうして雄———じゃなくてライオンもキミたちも必ずって言っていいほど、ボクを侮辱するのかな!?」

《《《「そりゃ……お前がバカだからだろ?」》》》

「どう言う意味さ!?ええぃ怒ったぞ!とりあえずバカって言った奴は覚悟しろっ!ライオンも後で覚悟しておけよ!」

【勿論王子さまだってお供の三人に負けていません。見事なまでの剣捌きで鬼を次々に切り倒していきます】

《《《お嬢さん!是非俺から切ってくださいっ!》》》

「……君たちは一体何を言っているの?後、一応言っておくけど———僕は男だっ!」

《《《グハッ……お、お譲さん、ありがとうございますっ!》》》

「何で切られて喜ぶの!?それと僕はだから男で王子何だってばっ!?」

そうそう、お分かりだとは思うが明久や秀吉たち以外のFクラスの召喚獣は自動で動いている為、演技ではなくリアルに点数を削り合う召喚獣同士の闘いが勃発している。正直召喚元が召喚元だけに何だか物凄くカオスでシュールな殺陣となっているが、実際の試召戦争に近いだけあって観客席から『おぉ……』と感嘆の声がもれる。


〜王子&三バカお供戦闘中〜


【ただでさえ強いうえに魔法使いの特製きび団子を食べてパワーアップした四人に、鬼たちは手も足も出ません。そしてあっという間に鬼たちは追い詰められました】

しばらく殺戮シーン———コホン、戦闘シーンが展開させたが二,三分後ボコボコにされてお互いに身を寄せ合い震える鬼たちを見下ろす王子たち一行の図が出来上がっていた。これは誰がどう見ても王子たちが悪役です、本当にありがとうございました。

「さあ、どうするのさ?もうこれで後がないよね?」
「…………大人しく武器を捨てて降参しろ」
「まあ、お前らが俺らの要求を呑むんならトドメは待ってやっても良いぞ?」
「……えっと、ライオン君たち?何だか物凄くこっちが悪役っぽく聞こえるんだけど、絶対気のせいじゃないよねコレ?」

【そう言って王子さまたちは優しく優しく鬼たちに交渉を持ちかけます。鬼たちは強い上にちゃんと交渉を持ちかけてくれる王子さまたちに感動して改心します】

《《《(ボソッ)お嬢さんはともかくあの三バカ———いや、あの三鬼め……》》》

「「「あぁ?何か言ったか鬼共?」」」

《《《な、何でもないッス!!!》》》

これは交渉と言うよりも……どう考えても恐喝である。確かにこれではどちらが鬼なのかわからない。ある意味鬼たちには同情せざるを得ないだろう。

「ともかく君たちには奪ったお宝を返して眠り姫の呪いを解いて貰うよ」
「そう言うこった。ホレ、お前ら出すもんさっさと出しな」
「あ!雄———じゃなくてライオンっ!キサマお宝を一人占めしようとか考えてないよね!?」
「…………抜け駆けは許さない」
「ったく、やかましいな。んなことするわけねーだろ」
「えーっと……まあとりあえずお願いね」

《《《は、はい……》》》

【さて、王子さまたちの交渉に応じた鬼たちは奪った宝を王子さまたちに渡して、あの眠り姫の呪いを解くと約束してくれました。こうしてめでたく王子さまたちは———】






《ちょっと マッタ! そうは いかない よー!》

「「「「「「…………え?」」」」」」

———本来なら秀吉が書き換えた台本ではここで王道に沿って“王子さまたちはお宝を手に入れて、眠り姫の呪いも解けめでたしめでたし”になり幕が降りる……ハズだった舞台に、突如響き渡る少々間の抜けた声。

《まだまだ 終わらない よー♪ お姫さまは いただいた ヨー!》

「「「「「「…………え?えぇ!?」」」」」」

その声と共に、背景の鬼ヶ島は不気味に暗雲が立ち籠る。コレには出演している明久たちもナレーターをやっている美波&瑞希も、そして舞台に慣れている秀吉でさえも台本にも無ければ何の予告も無い謎の演出に固まってしまう。

そう、そこには生粋のトラブルメイカー《文》自身が、鬼の親分役として造———いや、眠り姫を抱きかかえてどこぞの魔王のように佇んでいた……唯でさえトンデモ台本に加えて、やはり黙っていなかった文の乱入。この劇は何処へ向かって行くのやら?と言うか本当に幕を降ろせるのであろうか?

《(…………文さん、後で本気で説教ですからね……)》