二次創作小説(紙ほか)
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑨ ( No.173 )
- 日時: 2015/11/01 20:48
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———文の舞台乱入より数分前:舞台裏———
《ネー ツクル♪ ツクルは もっと 活躍 したいよ ネー! アレダケ なんて 勿体 ナイヨ ねー!》
《…………はい?》
《文は ねー! ツクルの 綺麗で カッコイイ ところ ミタイー!》
《…………えっと、文さん?正直嫌な予感しかしないんですが、何をする気ですか?》
ラストシーンを目の前にして、突如そんなことを言いだすトラブルメイカー文。経験上この後間違いなく大惨事が待ち構えていると言うことを悟ってしまった造は、かなり引き攣った笑顔を浮かべて対応する。そんな造の心の中など知ったことではない文は、屈託のない満面の笑みでこう答える。
《フッフッフ! それは ネー! … … … かくめー ナノ!》
《は?かくめー?……“革命”の事ですか?》
《ソウ だよ♪ かくめー ダヨー!》
《あの、文さん?今日は一段と文さんの仰っている事の理解が難しいのですが……?》
《あのねー 文が 読んだ 本って お姫さまって 守られて バッカリナ ヒトしか いないの!》
《??? “守られてばかり”———ですか?ごめんなさい、もう少し具体的にどういう意味か教えて貰えませんか……?》
その造の質問に文は様々な絵本や物語をどこからともなく取り出して、さらにこう続ける。
《あのねー! 文の 持ってる ドノ本も ねー! 王子さまが お姫さま タスケテ めでたし メデタシ お終い … … … だってさ! それって 何か オモシロク ないよ ネー?》
《……?あっ、あー……何となくですけれど、文さんの言いたい事がわかってきた気がします。それで?》
《ソレデ ねー! ツクルが お姫さまなら キット カッコイイ そう 思うん ダー♪》
《は、はぁ……》
《ダカラ 文とツクルは かくめーを オコス のー! 演劇も モノガタリも 大かくめー なのー♪》
《(…………コレ、どうしましょうか)》
———舞台:鬼ヶ島内部———
設定はメチャクチャ&当日ギリギリぶっつけ本番&出演者は素人だらけの仲良しメンバー……と言うスーパー無茶振り的な三重苦にもめげずに、主に秀吉の頑張りのお陰で何とか無事に(?)舞台に幕が降ろされる———かに見えた召喚獣版人形劇。
《ちょっと マッタ! そうは いかない よー!》
「「「「「「…………え?」」」」」」
それも舞台に響き渡る一つの高笑いにより、案の定いつものような急展開へとシフトして往く。……まあ、そもそもこのいつものメンバーに限って言えばこんなイベントで平穏無事に終わるなんて絶対にないだろうが。(それどう言う意味!? by Fクラスの愉快なメンバーズ)
《ハッハッハ! ツクル … … … ジャナカッタ お姫さまは いただいた ヨー! 油断したね 王女さま! … … … ト その他!》
「「「「「「…………え?えぇ!?」」」」」」
どこぞの魔王かラスボスちっくな台詞と共に、このイベントを立ちあげ人形劇の舞台を創り上げた張本人である文が、眠り姫役の造を抱えて人形劇の舞台に颯爽と現れる。
補足しておくが召喚獣版人形劇である為か、一応文も召喚獣として舞台に現れている。その姿は勿論元になった造の召喚獣をベースにしてあり、恰好はいかにも強そうな大剣を担ぎ甲冑を纏っている鬼の親分。額の角さえなければ、どっちかと言えば主人公よりの恰好である。そんな突然の文の乱入に観客席の子供たちはと言うと———
《ラスボスきたー!クライマックスだー♪カッケー!》
《あれ?なんか王子さまとかカカシとかよりもあのラスボスの方がカッコよくない?なんか強そうだし!》
《うん。最初の女騎士と同じくらいカッコいいねー》
《(えっと、女騎士ってお姉ちゃんの事ですよね?カッコいいって……お姉ちゃん複雑だろうな……)》
まぁ、ともかく文の乱入自体は物凄く受けは良いようで盛り上がっている様子。……どうでもいいがカカシやライオン役で出ている明久たちはともかく王子役で出ている秀吉よりも、最初しか出ていない女剣士役の美波の方がカッコいいと言われるのはどうだろうか?相変わらず、秀吉も美波も生まれる性別を間違えている模様。(だからそれどういう意味!? by美波&秀吉)
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑨ ( No.174 )
- 日時: 2015/11/01 21:02
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
さて、この展開は当然台本にも無ければ事前の打ち合わせも無い。そんな状況では明久たちがいる裏方はと言うと———
「ちょ、ちょっとどうなってんのさ!?“めでたしめでたし”どころかここに来てラスボス出現!?」
「…………台本はここまでのハズ」
『えっ!?えっ!?ちょ、待って?聞いてないわよ!?と言うか、ウチこの後どうナレーションすればいいのよ!?』
『わ、私もこの後良き魔法使いの役で目が覚めた月野君と出てくるはずだったんですが……』
これまたこの通り、当然の如く現在進行形でこの展開に付いて行けずに放置されている。特にこれから話に入るはずだった瑞希とナレーション役の美波は涙目でパニックを起こしている。
ただし、そんなパニックを起こしかけている明久たちを尻目に雄二と秀吉は———
「(チッ、マズイな。明久もムッツリーニも、おまけにナレーション役の島田も、次入る予定だった姫路もどう進行すればいいか分からず混乱してやがる。だがこのままボーっと突っ立ってるだけじゃどうしようもねぇしな。さて、どうしたもんか……)」
「(何がどうなっておるのか、造が一体何を考えておるのかは分からぬが……このままでは幕を降ろせぬ。それに無茶振りではあるが、これくらいのハプニングを越えられぬようでは役者を目指す身としてはやはり———)」
危機管理能力に定評がある雄二と役者としての高い技量と度胸がある秀吉は冷静なようで、多少驚きはしたもののやはりと言うべきか数秒で持ち直しこれからどうすべきか頭をフル回転させて模索中。
「(って言っても演技云々は俺にはさっぱりだしな。こりゃ秀吉に頼る他道はねぇか)おい、これどうする秀吉?」
「…………よし」
「秀吉?聞いてるのか———」
「お前は何者だっ!お姫さまを頂くだと?ふざけた事を言っていないで眠り姫を離せっ!そして僕は王女じゃなくて王子だぞっ!?」
「……おお?」
「「(って!?秀吉ぃ!?)」」
そんな台詞と共に臆することなく召喚獣を動かして再び舞台に、そしてこの奇妙な演劇に足を踏み入れる秀吉。乗ってくれた秀吉を前に若干嬉しそうな反応をしつつ文は応える。
《ハイ? キミが 王子さま? ンー? そのジョウダンは キツイ ヨー? ソレは ともかく 文 … … … コホン ワタシは ここの 鬼たちの オヤブン だぞ!》
「待って、冗談じゃないから!色んな意味で冗談じゃないからっ!ぐぬぬ……カカシ君、ロボット君、それにライオン君も何とか言ってやってよ!」
そう言って呆けている明久たちに向かってそのように問いかける秀吉。
「「(ちょ!?こんなところで僕(俺)らに投げる!?)」」
「(秀吉も造に乗ったか……。ふむ。造がこんな突拍子もねぇ事を俺らに無茶振りでさせるとは思えねぇ。っとなると、こりゃシステム———と言うか恐らくだが文関係で何かあったな?なら、ここは俺もこの茶番に付き合ってやるか)……ああそうだな、王子———王女の言うとおり冗談じゃない。人質をとるなんざ最低な鬼だな、オイ!」
《エェ!? 王女さまは ともかく あれだけ 暴れたり ワタシの 子分の オニを 脅してた ライオンに サイテー なんて 言われたく ナイヨー!》
「やれやれ何を言う……勝てば正義で正しいんだぞ。そして俺らが正義だ。そう思うだろ王女?」
《キミには ドウ考えても セイギって 言葉は 似合わないよ!? ソウダヨネ 王女さま?》
「いや待とう、鬼の親分にライオンくん。そもそもライオンくんは最初は王子で合ってるのに何で言い換えたの?いい加減泣いていいかな?」
と、三人が再び演技(と言う名のコント)を舞台の上で繰り広げ始めたのと同時に、文の陰に隠れ観客の死角にいる造がこっそりと舞台裏の未だパニック気味な明久たちにアイコンタクトで何やら会話し始める。
———以下、全てアイコンタクトによる超圧縮会話———
《(アキさんたちもヒデさんとゆーさんに話を合わせてください!演技もアドリブでお願いします!)》
『(え?い、いや造……アドリブ?てか何がどうなっているのコレ?ドッキリ?)』
『(…………造。何でラストに来て演出を変えた?)』
《(説明は後で!何でもいいのでお願いしますっ!)》
『(いやいやいや?って言ったってどうすんのさ?こっから先台本が一切無いんだけど……)』
ちなみにここまでのアイコンタクトにかかった時間、驚きの2秒。
『(ホレ!いいからお主らも適当に何か取り繕うのじゃ!)』
『(…………これはまた無茶振りだな)』
『(明久、ムッツリーニ。いいからさっさと俺たちに続け)』
『(ハァ!?何言ってんのさ雄二!?)』
『(ここはウダウダ言っても仕方ねぇだろうが。どうするもこうするもねえさ)』
『(幸いにも客はこの展開にテンションが最高潮に上がっておる。このままノリと勢いに任せ走り抜けるのじゃ。多少の妙な展開でも誤魔化せるからの)』
『(そう言うこった。下手にここで終わるわけにもいかねえしな。造と秀吉に続くぞ)』
ここで一息入れた秀吉&雄二も明久たちにアイコンタクトを飛ばす。この間3秒のアイコンタクト。
『(う、うーん……でもなぁ)』
《(大丈夫ですっ!もうここまで暴走したシナリオなら、ヒデさんの言う通り多少の事は元々の脚本だって思われますから!)》
『(…………島田と姫路はどうする?)』
『(姫路たちにはこんな急なアドリブ任すのは、ちと荷が重いじゃろう。一応待機させておいて、ワシが隙を見てあやつらに指示を出す。それまでワシらでこの場を持たせるのじゃ。ワシがナレーションもその間引き受けようぞ)」
『(まあって言っても、俺らも流石にロクに動けねぇだろうが……少なくとも秀吉のアシストくらいはしてやんねえとな。面倒だがやるしかねえ。それによく考えてみろ、明久にムッツリーニ。いつものあのババァの無茶振りに比べりゃ———こんなもの可愛いもんだろが)』
『『(…………確かに)』』
《(そ、それで納得されるのも何だか学園長に申し訳ないのですが……これさえ乗り切れば(多分)大団円です!行きますよ皆さんっ!)》
『『『『(応っ!)』』』』
———アイコンタクト終了・アイコンタクト通信にかかった時間=約7秒———
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑨ ( No.175 )
- 日時: 2015/11/01 21:08
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
……深くはツッコまないが、これだけの会話を10秒以内に———しかもアイコンタクトで通信するこのメンバーの無駄に高度なコミュニケーション能力にはつくづく感心せざるを得ない。
そんなこんなで再び舞台に上がった明久たちは、各々台本も何もない状態で演技を再開することに。
「あー、そこの鬼!君は完全に包囲されている!眠り姫ちゃんを今すぐ解放して、大人しくボクらに渡すもの渡すならこのヘタレオンを煮るなり焼くなり食うなりボコるなり好きにしていい!」
「ほう?良い根性してるなそこのバカカシ?おい、そこの鬼。人質と奪った宝をこのバカカシ一体と交換するって事でこの場を治めることにしようや。まあ、その居眠り嬢ちゃんとは比べ物にならんだろうがカカシを焼くなりサンドバックに使うなり藁人形にするなり好きに使うと良い」
「…………今ならそこのバカとヘタレをセットにしていい。ついでにここまでの旅で撮った王女様と眠り姫の秘蔵の写真集も格安で取引してもいい」
「「ついでにこのエロボットもタダで持って行っていいよ(いいぞ)」」
「ちょ、ちょっと!?君たちは何を互いに足引っ張ってんのさ!?てかそこのロボット君は今まで何してたの!?……うぅ、今更だけど仲間にする人(?)間違えた気がしてきたよ」
《キミたち やっぱり アクトウか トウゾク でしょ? 平気で ナカマ 売って イイノ? ソモソモ バカも ヘタレも エロも いらない ヨー? 眠り姫ノ 写真集は 奪って イクケド ネー》
「「「なにぃ!?」」」
《イヤ そこで 驚かれても コマル けど 君タチ いらない ヨー? ぶっちゃけ 眠り姫 以外 キョーミ ナイシー?》
【鬼の親分を名乗る鬼がそう言うと、王子さまとカカシたちは足の引っ張り合いを一旦止め、鬼の方を向き直します。どうやら話し合いは上手くいかなかったようです。五人の間に緊張が走ります】
ちなみにこのナレーションは秀吉によるもの。さっきまでのナレーションの違和感が無いようにちゃっかり美波の声帯模写をしているところは最早プロもビックリの演劇根性である。
「くっ……交渉決裂か。こんなにも譲歩したはずなんだが。やはりバカなカカシを生贄に出すのは無理があったな。役に立たん」
「こうなったら力づくでも眠り姫ちゃんを取り戻すしかないね。ヘタレなライオンにはそんな勇気かもしれないけど」
「…………バカとヘタレはこれだから」
「君もね、エロボット君……いっそカカシ君たち置いていって、眠り姫だけ助けようかな。何度言っても僕を王女扱いするし」
最早一体何がどうなっているのか、そもそもどこからどこまでが演劇なのか?色々とカオスな舞台を上に鬼の文も王子の秀吉も明久たちカカシ達も、それぞれの視線に火花が散り今物語はラストシーンへと(ようやく)移行する。
《王女さま ソレデ いいの? マァ どっちでも イイケド ネー♪ てなわけで 眠り姫ヲ 返して ホシイ なら … … … コイヨ 王女さま ト その他! 武器なんか 捨てて かかって コイ!》
「誰が王女だ!?こうなったら実力行使!何がなんでも僕が王子だってわからせてやる!」
「「「うぉおおおおおおおおお!いくぞおおおお!」」」
【こうして鬼の親分と王子さまたちの最後の闘いが始まりました。王子さまは剣で、ライオンは牙と爪で、ロボットは鋼鉄の腕で、そしてカカシは竿で鬼の親分に挑みます】
〜文もとい鬼の親分大暴れ中〜
【勇敢にも眠り姫を助けるため、必死に戦う王子さまたち。しかし今まで圧勝していた王子さまたちも鬼の親分の猛攻にだんだん押され始め……】
「な、なんて強さなんだ……」
「…………無念」
「クソッ……ここまでか」
バタリ×3
【遂には頼りになる(?)お供の三人が倒れてしまいました。そして王子さまも限界のようで苦々しい面持ちで鬼の親分を睨みます】
《ふっふっふっ! コレデ 残りは 王女さま だけ ダヨー♪ コーサン するなら 今の ウチに ネー》
「ま、まだ……だよ。まだ僕はやれ、る!」
《ごーじょー ダネー? まあ これで トドメ ダヨー》
【そう言って勝利を確信した鬼の親分が、持っていた大剣で王子さまに止めを刺そうと振りかぶります!王子さまも覚悟を決めたその時です!】
パシィ!
「《っ!?》」
【王子さまを庇うかのように、割って入る謎の人影が見えるではありませんか!】
《……もう、お止めなさい》
《何者 ダー! イイところ だった ノニー!》
《これ以上はお止めなさいと言っているのです》
【そんな綺麗な声の持ち主が鬼の親分と王子さまの間を割って入り、何と鬼の親分の大剣を素手で受けとめます!勿論受け止めたのは王子さまでもなければカカシたち3人の従者でもありません】
そのナレーションが流れた直後、謎の人物をスポットライトが照らし出す。その人物が照らし出された瞬間———鬼の親分も、王子も、従者のカカシたちも、更には観客さえも目を疑った。
《そこの鬼、怪我をしたくなければ今すぐ剣を収めなさい》
「《って……!?えぇ!?貴女がどうして!?》」
【鬼の親分や王子さまが驚くのも無理はありません。そう、大剣を受け止めた人物はあろうことか、長い黒髪をなびかせ綺麗なドレスを身に纏い、永い眠りについていたハズの———】
《貴女の非道、これ以上は見逃せません。ここからは……私、眠り姫(スリーピングビューティ)がお相手いたします。覚悟はよろしいですね?鬼の親分(文)さん》
「《ね、眠り姫が……起きた!?》」
【———人質となっていた眠り姫だったのです!】
美波(cv:秀吉)のナレーション通り……文の大剣を受け止め秀吉の召喚獣が演じる王子の危機を救うために現れたのは、どういうわけか眠っていたハズの造———もとい眠り姫。物語の根底自体がとんでもない方向へ進んでいるこの状況で、果たして収集はつくのだろうか。