二次創作小説(紙ほか)
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その② ( No.182 )
- 日時: 2015/11/13 23:43
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
雄二Side
【お化けとかじゃなくて良かったぁ……危うく前の肝試しのときみたいに、また眠れなくなって葉月と一緒に寝なきゃいけなくなるところだったわ……】
【まさかまた近所の男子中学生に告白されるとは……こんな話が明久たちにバレてしまえば、ワシは更に女扱いされてしまう。なんとか秘密裏に断らねば……ここはやはり、造に相談するしか……】
【…………この視点の低さなら、いつでもアイツのスカートの中を見られる……!】
「「「「「「「「《……え?》」」」」」」」」
あのお騒がせババァの提案で、急遽半強制的に始まった召喚獣の試運転。そんな中秀吉たちの召喚獣が喋り出し、しかも何やら妙な事を口に出している。……おいおい、何だこりゃ?
「え、えっと、美波……?今召喚獣が言っていた肝試し以来お化けが怖くて葉月ちゃんと一緒に寝ているって話は……」
「ほ、本当ですか美波ちゃん……?」
「そう言えば秀吉、最近家に帰るたびに何やら溜息ばかりついてたけど……なるほどそう言う事だったのね」
《ひ、ヒデさん……それはまた大変でしたね———【自分も最近告白される回数が増えて】って、また思った事が!?》
「ムッツリーニは……まあ、いつも通りか。ちなみにアイツって誰なんだ。ん?」
そんな感じで三人に問いかけると、それぞれ否定の姿勢で返事をする。
「ち、違うのよ、アキに瑞希!?こ、これは召喚獣が勝手に全く思ってもいない事を喋っているだけなの!いくらなんでもこの歳で葉月と一緒に寝るなんて!」【寝るときだけじゃなくて、最近はお風呂も一緒かな。だって、髪洗う時怖いんだもん】
「島田の言う通りじゃ。いくらなんでも、男のワシが近所の男子中学生に告白されるなぞ、嘘にも程があるぞい。と言うわけで造に姉上よ。真に受ける必要はないぞい」【今月はこれで3人目じゃ……】
「…………別に」【…………工藤の事に決まっているだろう。アイツ、最近イメチェンとか言い出してスパッツ卒業したからな。気にならないワケないだろう。あのスカートの中にどれだけのロマンや夢、そして希望があり興味は尽きないからな】
ふむふむ……語るに落ちるとはまさにこの事だな。と、そんなことを考えていると突然島田の召喚獣が明久と姫路に跳び付く。……ん?
「あ、あれ?美波の召喚獣に触れるんだけど……?」
「ほ、ホントですね。明久君の召喚獣みたいです」
そう、本来召喚獣はホログラムの様な存在である為に、造や明久のような観察処分者用の召喚獣の特性である物理干渉でもない限り召喚獣は物や人には触れない。が、島田の召喚獣はしっかりと明久たちの足にしがみついていた。てことは……
「あのババァの事だ。どーせ細かい設定に失敗したんだろうさ」
《【あー……みたいですね。流石にフィードバックは付いていないようですが】》
「どうもそんな感じだね。案の定何か隠していやがったねあのババァ」
……ちっ。あのババァめ。やっぱ裏があったな。こりゃまた面倒な事になりそうだ。
「そ、そんなことよりアキに瑞希!その子こっちに渡してちょうだい!と言うか、いつまでくっついているのよウチの召喚獣は!?」
【やっ!ウチはアキと瑞希の所に居るっ!】
更には召喚者の意思にも逆らっていやがる。ふむ、こりゃひょっとすると……?恐らく一番この現象について理解しているであろう造にアイコンタクト。
「(造、今のうちに)」
《(はい、わかってます)》
島田の召喚獣が駄々を捏ねて連中が混乱している間に、こっそりと造と教室の端に移動してこの現象について話合う事に。
「さてとだ。造、お前はこれをどう見る。あのババァは一体何をしやがったと思う?」
《【んー……そうですね……学園長の話では、今回のこの召喚獣は無意識領域の一部を読み取るとか何とか。加えてこれは《文さん》に影響を受けたプログラムとも言っていましたね】》
文か……一応あのババァから話は聞いていたが、そういやこの前の体育祭で初めて本人(?)を見たな。あの後こっそりと造に文の事を正式に話を聞いたんだが……ふむ。あの人工知能持ちの文に影響されたプログラムってことは———
「つまり、今の召喚獣は体面より欲求に従った行動をとるってことか。自動化の為に自己を形成された結果が、幼児程度の人格を持つ召喚獣として確立されちまったって感じだろうな」
《【そのようですね。この召喚獣の状態は文さんが生まれた経緯と酷似しているのでまずゆーさんの推測に間違いはないでしょう。文さんも自分の幼児程度の人格をコピーして誕生しましたし。……ご存じの事だと思いますが、召喚獣の本質は召喚者の意思を読み取りその意思に従って行動すると言うものです】》
「だが普段はリアルタイムで受け取っている召喚獣が行動するためのその召喚者の意思を、ババァが自動化にしちまってるせいでこの召喚獣たちは召喚者の意思を今は読み取らない。ならそれ以外に何かしらの行動原理が必要ってことだな」
ババァの作り出したシステムの詳しい理屈はよく知らんが、要するにロボットが自動的に動くには結局最初は命令・信号が設定されてなきゃならんってイメージか?
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その② ( No.183 )
- 日時: 2015/11/13 21:01
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
《【その通り。自動化と言っても結局何かしらの……行動するための行動原理は必要みたいですね。今回の召喚獣の行動原理となったものは召喚者の“無意識に近い意識”と言うことでしょう。それに従って行動している結果が———】》
「召喚獣がその召喚者の本音を喋っちまう上に本音に従った行動をするってことだな。ん?ってことはまさか造もか?」
そう聞くと、造は苦笑いをしながら頷く。
【たはは……ええ。自分の場合は自身が召喚獣ですから、自分の行動自体のコントロールはできます。どんな理屈はわかりませんが、多分普通なら外の召喚獣に送る信号が、自分自身の中に発信されている為でしょうね。そのお陰で別に意識が幼児化するわけではありませんが……その代わり無意識に近い意識が“声”となって現れているようです。現に今も口に出していないのに、自分の考えが“声”となって自然に聞こえるでしょう?】
「……そりゃまた厄介そうだな。まあ、とりあえずそのことをアイツらに説明しておくか」
《【ですね……ああ、そうだった。すみませんゆーさん、自分が説明すると下手をしたら余計なことまで説明しちゃいそうなので説明はゆーさんに任せても良いですか?】》
ん?……なるほどそうか。造だと文の事まで喋っちまう恐れがあるからな。
「ああ。その辺は任せとけ。……おい、お前ら!大体の事情がわかったぞ」
「「「え?」」」
〜雄二説明中〜
「……なるほど。つまりこの子たちは、幼児程度の行動原理を持ち、自我があると言うこと」
「ああ。翔子の言う通りだ、要するに本音を喋っちまう自分自身の子供の姿ってとこだな」
とりあえず翔子たちにこの事を説明すると(一応、文とシステムの影響って話は少し省略しておいたが)、全員が納得したように頷く。まあ、説明しなくてもコイツらの召喚獣の様子を見りゃ一目瞭然だろうからな。
「そう言う事ね。だから美波たちの召喚獣があんな感じなのね」
《【たはは……アキさんたち大変そうですね】》
木下姉と造が苦笑い混じりに呟く。俺もつられて明久たちを見ると———
【アキ、瑞希。抱っこしてー♪】
「ちょ!?だ、抱っこじゃないでしょうが!何甘ったれてるのよ!いいから離れなさいっ!」
【やーっ】
島田が明久と姫路の足にしがみついている召喚獣を引きはがそうと苦労している光景が。こりゃまた面白いな。……待てよ、召喚獣が本能のまま行動しているってワケだったな。つまりは島田の今の召喚獣の行動は———ほーう?こりゃ良いネタになりそうだな。
「ま、気にしなくても大丈夫だよ美波。こういうの、慣れてるから」
「そうですね。私も気になりませんし大丈夫ですよ美波ちゃん♪」
「え?瑞希は何となくわかるけど……アキ?慣れてるってどういうことなの?」
「んー……どうしてか知らないけど、僕って昔から小さな子に好かれるんだよね。葉月ちゃんもそうだしさ」
「そりゃ知能レベルが近いからだろ」
「黙れ雄二」
はっ!事実だろうに。と言うか下手すりゃ、いいや下手しなくても明久は島田の妹のチビッ子より知能レベルがアレだからな。まあ、それはともかく明久と姫路は島田の召喚獣の頭を撫でる。まあ、微笑ましいと言えば微笑ましいかもしれんが———
「ちょ、ちょっとアキに瑞希?ふ、二人とも、止めてって……な、何だかウチも撫でられているみたいで……その、は、恥ずかしいんだけど」
【もっと撫でてー♪】
「あ、アンタは黙ってなさいっ!?てか、いい加減離れなさいってばっ!?」
———召喚者である島田は物凄く恥ずかしくて死にたいといった表情をしているな。そしてそんな島田の様子を明久たちは更に微笑ましそうに笑っていやがる。まあ、気持ちはわからんでもないが……明久に姫路。お前ら調子に乗っていると後でどうなっても知らんぞ?
【参ったのじゃ、あの少年、いくらワシが男じゃと言っても聞いてくれんのじゃ】
【アイツとスカートの魅力はたくさんある。が、その中でも特筆すべきはそこに内包される可能性つまり見えるかもしれない、見せてくれるかもしれないと言う希望を提供してくれると言ういわば優しさにも似た———】
「むぅ……この召喚獣、なんとかして消したいのじゃが……」
「…………召喚フィールドが広すぎて範囲外に出られない」
秀吉とムッツリーニも自由に話し続ける召喚獣に参っているようだな。てか、あのババァ、やっぱり思った通り下手に召喚獣を戻せないようにしてやがるな。召喚フィールドを学園全体に広げた上、造の腕輪の干渉を懸念して先に腕輪を回収したのも想像通りこのためか。召喚獣は自由に行動するから下手に召喚獣を消すために学園の外に出ようとも、その間に召喚獣が余計なことをしないとも限らない。つまりは迂闊に目も離せないってわけか。
「にしてもこりゃ凄い。ムッツリーニはともかく、秀吉が隠そうとしていることまでわかるなんて、なかなかできることじゃないぞ」
《【あー確かにそですね。ヒデさんポーカーフェイスが上手ですし】》
「いやいや何を言うのじゃ造に雄二よ。ワシは常に自然体じゃと」【造に演技を褒められたのじゃ。嬉しいのじゃ♪】「…………ぐっ」
《【あらあら、ヒデさんったら】》
造の前でピョコピョコ跳ねて喜ぶ秀吉の召喚獣。そしてそんな秀吉の召喚獣をよしよしと撫でる造。ホント傍から見ている分には面白いなこれは。
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その② ( No.184 )
- 日時: 2015/11/13 22:23
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「…………うふふ♪」
……と、この様子にニヤリと笑って反応する木下姉。おおぅ……やべぇぞ造に秀吉。お前ら完全に目を付けられたようだぜ。
「ふふふっ♪ねぇ、秀吉♪」
「な、なんじゃ姉上よ?」
目をキラキラと輝かせて迫る木下姉に警戒してか、一瞬口籠る秀吉。さて、どうなる事やら?
「秀吉はさぁ……男子に告白されたことってある?」
「HAHAHA!ワシは男子じゃ、そんなことあるわけなかろう」【ここのところはほぼ毎日じゃ】
「「「毎日!?」」」
「ななななんてことを言うのじゃ!あ、姉上よ!今のはこやつの嘘じゃからな!?本当はワシは」【金曜日と月曜日は特に多いのじゃ】「違うのじゃ!ワシは男に告白などされておらんのじゃ!?」
なるほど。そういや秀吉は週末と週始めによく居なくなる事があるが……“ソレ”が原因か。
【ああ、ヒデさんもですか……実は自分も小学校の子供たちから、最近よく初々しいラブレターを】《お、思った事がああああああああああああああ!?》
「「「しょ、小学生に!?」」」
ついでに秀吉の巻き沿いに造が自爆していた。そうか……コイツも、か。
「あ、あれはその、きっと姉上と間違えられておるだけなのじゃ!」【宛名を何度確認してもワシの名前が書いてあったのじゃ】「だから違うのじゃ!」
《じ、自分のもきっと子供特有の悪戯ですよ!自分が小学生に告白されるなんてありえませんもの!》【あの子たち……“ごめんなさい、付き合えません”って断ったら泣いちゃったんですよね……悪いことしちゃいましたかね】《うぎゃあああああああああああああああ!?》
「ふふふっ♪ホントに秀吉も造くんも面白いわね〜」
慌てて召喚獣の言葉を誤魔化そうとする秀吉と、半パニックになりつつある造。面白い具合に木下姉の良いネタになっているな。にしてもコイツらはホントに息ぴったりだな、おい。
「んじゃ、今度はムッツリーニに何か聞いてみっか。ムッツリーニ、お前は———」
【…………話しかけるな。今、アイツとスカートの中の因果関係について考えるのに忙しい】
「………………すまん、邪魔したなムッツリーニ」
「…………っ!(ブンブンブン)」
まあ、ムッツリーニはいつも通りか。ここに工藤がいれば面白かっただろうが。さて……
「じゃあ、最後は……」
「……美波?」
「「……(じー)」」
「ちょっ!?な、何よアンタら」
俺と翔子、更に未だに島田の召喚獣を撫でている明久と姫路の視線が一斉に島田へと降り注がれる。そして、気を取り直すように咳払いをして———
「い、言っとくけどね!ウチに隠し事なんてなにもなんだからね!アンタたちがいくら質問しても【実は昨日、下級生の女の子に告白されて】嫌ぁあああああああああっ!?」
「「「「…………」」」」
盛大に自爆する島田。俺らはまだ何も聞いていないんだがな。どうやら島田は無意識下でも嘘が苦手のようだ。
「ひ、卑怯よアンタら!?そうやってウチの恥ずかしいヒミツを聞き出すなんて!」
「あー……いや。今のは美波の自爆のような……」
「問答無用よ!いいからアンタ全員、召喚獣を出して本音を喋りなさいっ!」
【本音?本音って、好きな人のこと?ウチの好きな人はね、】
「アンタが喋ってどうすんのよ!?いいからアンタは黙ってなさい!」
と、島田が混乱しながらもそんなことを言ってくる。いやいや。冗談じゃねえ。島田の頼みとはいえ、明久ですら応えられんだろうしな。何せこの状況で召喚獣を出せば、暴露大会に参加させられるようなもの。あのババァを警戒して折角危険を逃れられたと言うのに、誰が好き好んでこんなイベントに参加するか?否だな。
「……本音を喋っちゃう、召喚獣ですか……」
と。横では姫路がそんなことを呟きながら、紙とペンを取り出して漢字と書いていた。何やってんだ姫路は———って、こりゃひょっとすると……
「あの、明久君」
「ん?なに瑞希」
「突然ですが問題です。これ、なんて読みますか?」
「え、えーっと……格“差問(サモン)”題かな?」
「はい。正解です」
……ふっ、バカめ明久。お前は地獄の暴露大会参加決定だ、ざまぁ見ろ。
ポンッ! ←明久の召喚獣登場
「しまったぁああああああああああああああっ!?」
「ごめんなさい明久君っ。でも、どうしても本音で聞きたいことがあるんですっ」
「ははっ!相変わらずバカだな明“久”」
「……雄二。法の精神を書いた人は?」
「“モン”テスキューだろ。お前はいきなり何を言って———あ」
ポンッ! ←俺の召喚獣登場
「しまったぁああああああああああああああっ!?」
喚び出される俺と明久の召喚獣。ちぃ!?ゆ、油断したっ!?
「ナイスよ二人とも!さぁアキ、答えなさい!アンタの本音を包み隠さず!」
【あのねあのね、ウチのヒミツはねー!】
「アンタは言わなくていいの!さぁアキ、答えなさい!」
「あ、明久君っ!私も色々と知りたいですっ!」
「……雄二。私のことをどう思っているのか、聞かせて欲しい」
女子共の視線が明久と俺の召喚獣に集まる。その視線を受けて、俺たちの召喚獣は———
【バカ明久!お前の名前のせいで召喚しちまっただろうが!】
【アホ雄二!人の不幸を笑うからそんな目に遭うんだ!】
取っ組み合いの喧嘩をしていた。ふむ……なるほど、確かにこりゃまごうことなき俺の本音だな。
「明久!テメェの名前のせいで召喚されちまったじゃねぇか!」
「何を言ってるのさ雄二!元はと言えば雄二が鉄人から逃げられなかったせいだろ!」
「んだとコラ!先に捕まったバカにだけは言われたくないわボケェ!」
「雄二の方が早く捕まっただろうが!このマヌケがぁ!」
ちなみに言うまでもないが本体同士でも喧嘩中。やってくれやがってこのバカがっ……!
「あの、明久君っ。坂本君のことじゃなくて、私たちのことも考えて見て下さいっ」
「そうよアキ!人の本音を聞いておいて、自分は逃げようなんて許さないだから!」
「……雄二。雄二の本当の気持ち、聞きたい」
【ムキー!雄二のアホー!】
【うぎー!明久のボケー!】
「くたばれ雄二!責任を取れ!」
「死ぬのはお前だ明久!地獄に落ちろ!」
「明久君っ」
「アキっ!」
「……雄二……!」
なんてことをやっていると……
「皆お待たせー!———って、なになにー?なにか面白そうなことやってるねっ!ボクも混ぜてよっ!」
どうやら部活を終えたらしい工藤がニコニコしながら合流してきた。
ヤベェな……すでに嫌な予感しかしねえぞ……