二次創作小説(紙ほか)
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その⑥ ( No.194 )
- 日時: 2015/12/11 21:11
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
「「「「「「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」」」」」」
《あー……皆さん、大丈夫ですか……?》
「はは……もうダメかもしんないよ造……フィードバックで体中が痛いよ……それ以上に精神が持たないんだ……」
「俺も、こんなに疲れたのは久々だぜ畜生め……」
「…………キツい……」
「流石にワシも疲れたぞい……」
「はぅ……このままだと、いずれ変な勢いで告白する羽目になっちゃいます……」
「ウチも、こんな事で告白するなんて、絶対に嫌なのに……折角ならもっといいシチュエーションがいい……」
《皆さんの場合って召喚獣とのいたちごっこですからね……こりゃ埒が明きませんよね……》
本音を喋ってしまう召喚獣の試運転を開始してから約二十分。解放されるまでまだ三十分以上残っているにも拘らずいつものFクラスメンバー全員が疲労困ぱいで弱音を吐いてしまう始末です。
「たはは、皆お疲れだね〜」
「……雄二大丈夫?」
「流石に見てられないほど疲れているみたいね」
《【と言うか、そう思うのでしたら優姉さんたちはもう少し早く弄るのを止めてくれると嬉しかったのですがね……】》
まあ、そう言う自分も結構辛いのですが……皆さんのように召喚獣を止める必要がない———と言うよりも止める媒体がないので……強制的に黙らせることなんてできずに常時本音や隠している事がダダ漏れです。先ほどから止めようのない本音暴露状態に心の傷が深まるばかり。【心の傷と言えばこの前学校帰りにまた補導されかけ、学生証も運転免許証も見せたと言うのに最後まで信じて貰えなかったという】———ええぃ、またぁ!?……もうやむを得ませんっ!?
《……仕方ないですね。皆さん、ちょっと行ってきます》
「え?何処に、行くの造……?」
《学園長のところです。これ以上はもう限界ですって伝えてきます。ちゃんと話せばわかってくれると思いますし。と言うわけで皆さんはここで待っててください》
自分たちを弄っていた召喚獣を召喚していない優姉さんたちを除けば、一番体力的には自分が疲れていないハズ。皆さんには教室で休んで貰う事にして、急ぎ学園長室に行く事に。
「すまん、助かる造……頼んだ……」
《はい了解ですゆーさん。では、皆さん少し待っててくださいね……》
「「「「「「宜しく(お願いします)……」」」」」」
ガラッ! ダッ!
疲労でぐったりしている皆さんを背に、教室を後に学園長室へと駆けます。学園長も流石にこの状況を伝えればわかってくれるハズ。一秒でも早くこの実験を終わらせなければ……これ以上は精神的にも肉体的にも皆さん限界突破しちゃいますものね。
〜造が教室を出てしばらくして〜
『……造、悪いが頼んだぜ。何とかしてあの妖怪ババァを説得して———ん?いや、ちょっと待て……?おい、お前ら。本当にこれでいいのか?』
『何さ雄二……』
『今更言うのも何だが、よく考えてもみろよお前ら。俺たちが何でまたこんな目に遭わにゃならんのだ』
『まあ、理不尽にも程があるのう』
『だろう?理不尽だよな?そんじゃ、この原因って誰のせいかをお前らよく思い出してみろ』
『へ?僕らがこんな酷い目に遭う原因?』
『あら?そういえば、何が原因かしら?』
『…………この試運転が原因。そして、』
『えっと、そしてこの試運転を頼んだ張本人と言えば———』
『『『『『『……』』』』』』
『お前ら全員理解したな?そう———白髪で口の悪い、こういう事になるとわかっておきながら退路を断ち、俺たちに召喚をさせた諸悪の根源である忌々しきあの老婆の事を……』
【【【【【【……】】】】】】
ガラッ! ザッザッザッ!×6
『ふむ。やはりお前たちも同じ結論に思い立ったようだな』
『まあね。てか、人を実験台にしておいて、自分だけ無事で居ようなんて言うのが甘いよね』
『そうじゃな。因果応報じゃろう』
『…………当然の報い』
『ま、そう簡単に許せる事じゃないわよね』
『あ、あはは……』
『『『……どういうこと?』』』
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その⑥ ( No.195 )
- 日時: 2015/12/11 21:18
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———学園長室———
《———と言うわけで学園長。もう自分も皆さんも限界なんですよ。この辺で勘弁してもらえませんか?今回ばかりは勝手に出てくる本音や隠し事で自分も【隠し事と言えば、この前デパートで迷子と間違えられて迷子センターに強制的に連れていかれ———】こんな具合に勝手に隠し事が駄々漏れで限界なんですぅ!?》
「やれやれ。ったく、もうギブアップかい?若い癖に根性がないねぇ、アタシとしてはもう少しあのバカたちで遊んでみたかっ———コホン、データが欲しかったんだがね。まあ、多少なりにもデータが取れたみたいだから問題はないかね。いいだろう、もう上がっていいよ」
学園長室に辿り着くと同時に、学園長に試運転の停止を求めます。若干不満そうではありますが、学園長は納得してくれたようです。と言いますか、今“もう少しあのバカたちで遊んでみたかった”とか聞こえたような気がしたんですが……?き、気のせいですよね?
「ま、上がっていいって言っても、試運転用のフィールドは一時間で自動的に消滅させられるように設定してあるからすぐには消せないよ。今すぐにでも消したいならアンタの腕輪使って2−Fに張ってある召喚フィールドを干渉させて消してきな。ホレ、ちゃんと腕輪は調整し終わってるよ」
そう言って、一旦回収していた自分のフィールド形成用の白金の腕輪を返してくれる学園長。ふぅ、これで何とかなりますかね。
《ありがとうございます。それでは、自分はすぐに皆さんのところに戻ってフィールドを———》
「おっと、ちょいとお待ち月野。その前にアタシからお前さんにいくつか聞きたい事がある」
《……へ?学園長?》
と、学園長室の扉のノブに手をかけ、退室しようとする前に学園長に呼び止められる自分。聞きたいこと……?
《えと、何ですか聞きたい事って?》
「ま、アンタの本音を聞けるのは良い機会だからね。ちょいとアンタの本心が聞きたいのさ。質問その①、お前さんは《文》の事をどう思う?」
と、問答無用の質問タイム開始……それにして何で文さんの話に?まあ学園長の質問ですし、一応はちゃんと答えますが。
《文さんは良い子ですよ。たまに暴走はしますが、本当に優しい子ですし【難を言えば、少しだけ世間知らずですし、もう少し外の世界を見て欲しいって気持ちはあります。閉鎖的な世界しか触れていない子ですし、自分以外に大事な物を作って欲しいって気持ちが】あっ……!?》
そ、そうか……しまったそうでした。学園内全域にフィールドが張られてあると言うことはここも当然フィールドが張られています。ついさっきも本音や隠し事が出てたのに油断しましたね……
「ふむ。なるほどね。“それ”が《文》に対するアンタの本音かい。……正直参考になる意見だね。アタシもそれは少し前々から思ってたからねぇ。あの小生意気な召喚システムには、他者とのコミュニケーションが不足してるからねぇ」
《あー……まあ、文さんは生まれたばかりの赤ん坊のような存在ですからね》
【自分がいつかこの学園を離れる時までに、彼女も一人立ちできるようになって欲しいです】
「ほーう?アンタ、それはまるで文の親みたいな心境だねぇ。若いのに随分悟っているじゃないかい?」
《なっ!?……コホン。か、からかわないでくださいよ!そ、そりゃあ半人前な自分がいう台詞じゃないってわかっていますよ!?》
くぅ……やっぱり勝手に思っている事が出てきますね……出来ればもう勘弁して欲しいですが。
「ま、文の事はもういいさね。良い意見が聞けたからね。それじゃ質問その②、アンタには……その、今後の不安はないのかい?」
《HAHAHA!いやいや、自分に不安なんて微塵も【サクヤさんと優姉さんと先生方にコスプレされられるのが非常に不安です。今夜は一体どんなもの着せられるのか———】な、ないですよっ!?》
「……アンタは普段一体全体どんな生活を送ってるんだい?あー、いや。そっちじゃなくてだね。これはアタシの恥だが、まだアンタの“その体質の件———つまり元に戻れるのか”は未だに解明されていない。そのことはお前さんが一番よく知ってんだろ。それは不安じゃないのかい?」
と、真面目そうな顔で問いかける学園長。えっと、つまり今の自分の状況に対して不安は無いのか……って意味ですか?え、何ですそれ?
《んー、そこは別に不安でもなんでもないですよ》
【と言いますか、別に不安になる要素なんて何一つないですよね?何も問題ないですし心配事もありませんから】
「そう、かい…………(ボソッ)“何も問題ない”……ねぇ」
……?今何か小声で学園長が何か言ったような?気のせいでしょうか、学園長の顔色が悪いと言いますか、暗いような気が……?
《それで?他には何かないんですか?》
「……ん?あ、ああ。なら最後に一つ———いや、もういいか。質問は終わりだよ。悪かったね手間取らせて。ホレ、アンタはさっさと戻ってあのクソガキ共の召喚獣を戻さないといけないんだろ。とっとと行きな」
そう言うと学園長はシッシッと手で払う仕草を見せます。おっと、そうでした。皆さんが待っていますよね。
《それでは、学園長。自分はこの辺で失礼しますね》
「はいはいとっとと帰りな。ああ、それから途中で中止したから礼は無しってあのガキ共に伝えておきな月野」
《あらら……それは皆さん怒るかもしれませんね……まあ、一応説得しときます。それでは失礼しました》
とりあえずあの地獄の暴露大会から解放されるなら皆さんそれくらい何ともないでしょうがね。さてさて、待ちくたびれているでしょうし早く皆さんのところに行ってフィールドを戻さねばね。
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その⑥ ( No.196 )
- 日時: 2015/12/11 21:07
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
〜造移動中〜
学園長の了承も得ましたし、皆さん召喚獣の解除を今か今かと首を長くして待っているでしょう。そう思いながら駆け足で教室に戻ってきた自分でしたが———
《ただいまです皆さん!お待たせしました、学園長が“もう上がっていい”って———あれ?》
「あ、お帰り造。そろそろ帰ろうか」
「おう、ご苦労さん造。わざわざ行って貰って悪かったな」
「ホレ造、姉上たちはAクラスに戻って下校準備をしておるぞい。皆で一緒に帰ろうぞ」
教室に辿り着くと……皆さんもうすでに鞄を持ち、下校準備が出来ているんですが———妙な事にすでに皆さんのあの本音を喋る召喚獣の姿が見当たりません。あれ?これってどう言う事……?
《あ、あのぅ……?皆さんの召喚獣は?》
「…………“勝手に”どこかへ行った。まあ、心配しなくていい」
「私たちの召喚獣は月野君が出て行った後、しばらくして教室を出て行ったんです」
「そう言う事。勝手に出て行ったんだし気にしなくていいでしょ。さあ月野。アンタも帰る準備しなさいな」
《え?は、はぁ……?そ、そうですか》
勝手にどこかへ行ったって……それ勝手に本音を喋る召喚獣が校内を跋扈しているってことですよね?い、いいのですかそれ……?ま、まあ皆さんは大丈夫と言っているなら良いんですが……
《あ、そうそう。皆さんすみません。学園長曰く“試運転を中断したからお礼は出せないよ”って仰ってまして……》
「「「「「「ああ大丈夫(ですよ)お礼はちゃんとやったから(やりましたから)」」」」」」
《…………ん?お礼?》
「さあ、さっさと帰ろう造」
「腹減ったしちょいとどっかで買い食いするのも良いかもな。造、お前も食うか?」
《え、あー……はい》
どう言う事かいまいちよくわかりませんが、皆さんが更に念を押して大丈夫と力説します。そんなニコニコと笑っている皆さんにそのまま促されるがままに自分も学園を後にすることに。ところで———
『ぎゃあぁあああああああああああああああああああ!?』
———下校途中に何故か学園長の悲鳴が聞こえた気がするのは……気のせい、でしょうか?
〜数分前〜
NO Side
「……やれやれ。今回の試運転は良いデータが取れて良かったよ」
造が退出してからしばらく経った学園長室で、学園長は先ほどの本音召喚獣もとい、半自動化召喚獣のデータをまとめつつ一人呟く。
「今回は……あの半自動召喚獣の性能を試すと同時に、あのクソ生意気なジャリガキ共の弱音を握———コホン。アタシのストレスを解しょ———ゴホン。吉井たちが職員室で暴れた事に対する反省の為の試運転だったんだがねぇ」
そう言って意地の悪そうにニヤニヤしている学園長。どう考えても私用と私怨が半分以上含まれているのはご愛嬌。やはり学園長と雄二&明久は犬猿の仲なのかもしれない。
「だがやはり———あのガキの本心を聞き出せたのが一番の収穫さね。《文》をこのままにしておくことも月野の言う通りかなり問題だが、それ以上に放っておけない問題は……月野自身かもしれないねぇ」
と、急に先ほどまでの意地の悪そうな顔から一変して、深刻そうに溜息を吐く学園長。
「“何も問題ない”だって?やはりあのチビジャリは《文》以上に放っておくと危険だよ。本当に月野は自身に対する危機管理能力が無さすぎる。今度また何かのトラブルがあって、再び肉体と精神が離れたらと思うと———危なっかしくて見てられないさね」
普段は全くそうは見えないが———事故とは言え造を“召喚獣として変えてしまった”研究者としての責任と、造を“進むべき道へ導きたい”と言う一教師としての思いからくる葛藤が、やはりこの学園長の中にも確かにあるのだろう。何だかんだで人一倍責任感が強い人である。
「本来なら最後にもう一つ、“アタシや文を恨んでいるかい?”って聞こうと思ったが、この分じゃあの能天気なジャリガキのこった。どうせ“意味がわかりません”って返すんだろうね。ハァ……とにかくこの事は西村先生と保護者である日高先生にもちゃんと話を通しておかないとねぇ。まあ、あの二人ならその辺はもう言われなくてもわかっているだろうがその辺は要相談って感じかね」
そう言って学園長は半自動化召喚獣と《文》、そして造に関しての資料をまとめて大きく伸びをする。そして———
「それにしても……はははっ!やはりさっきのは傑作だったねぇ!面白いもんが見れたよ!」
———暗い顔から一転して、急に再び先ほど同様に意地の悪そうな顔に戻る学園長。
「さっきの質問をする為に、あの箱をAクラスの———工藤だったかねぇ?あの子に渡して場を混乱させて、月野にアタシのところに来て貰うよう見越して仕組んだんだが……くくくっ!ホントに良い実験になったねぇ。吉井や坂本の弱みも握れたし。さてさて、今度はどうしてくれようかねぇ?」
本人は否定するが、責任感が強く研究者としては一流とは言え何だかんだでやはり子供っぽいのかもしれない。と、学園長がそうやってニヤニヤと笑っていると、
ガチャ! ザッザッザ!×6
「……は?一体何さね、この召喚獣たちは———と言うか吉井たちの召喚獣じゃないかい。何でこんな所に……?ん?確か月野が消しに行ったハズじゃなかったかねぇ……」
———学園長室に現れる明久たちの本音召喚獣六体。学園長を視認すると六体はそのまま飛びかかり、そして……
「って、な、何さね!?アンタら一体なにをするやめくぁwせdrFtgyふじこlp……ぎゃあぁあああああああああああああああああああ!?」
……放課後の学園に響き渡る学園長の悲鳴。こればかりは自業自得とも言えるだろう。この件からしばらくの間半自動化召喚獣の試運転は行われる事はなかったとのこと。
「今回の件は召喚獣の暴走だから、僕らには一切関係ないよね!」
「そうだな明久、システムの暴走なら俺らに責任はないからな!」
「「「「うんうん」」」」
「アキさんにゆーさん、それに皆さんまで……一体何の話ですか?」