二次創作小説(紙ほか)

126時間目 文月学園と言えば〜何と言っても試召戦争!〜 ( No.229 )
日時: 2016/01/01 21:25
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———学園長室———


『悪かったね。折角の昼休みに呼び出しちまって』
『いいえ、構いませんよ。それで学園長先生、私を呼び出したのはやはり例の件でしょうか?』
『あぁそうさね。ま、それもあるがもう一つ……って、あのジャリガキはどうしたんだい?アタシはアンタと一緒に来るように言っておいたハズだろうに』
『はい?いえ、私は彼から“もうヨウジがオワッタからジユウにガクエンをケンガクしてイイ”と学園長先生から直々に許可を貰ったと聞いて来たのですが?』
『……あんのガキ、また逃げ出しやがったね。ホント喋り方といい行動といい、どっかの生意気なシステムによく似てるさね。と言うか———アンタもアンタさ髙城っ!毎度毎度簡単に騙されるんじゃないよ!これで逃げられたのは何回目だい!?』
『っ!?ま、まさか“あれも”嘘だったのですか!?』
『……このやり取りも何回目になるのかねぇ?アンタが三年の、そして学園の代表なのか時々本当に分からなくなるよ。こんな事なら髙城、アンタじゃなくて小暮か学年は違うが月野あたりに頼めばよかったのかもしれないね……』


———昼休み———


造Side


朝に起きたクラスメイト四十四名によるアキさん&ゆーさんへの放火事件以外は何事も無く時間は過ぎて、楽しいお昼休みの時間となりました。いつものようにアキさんの席を中心にこれまたいつものメンバーでお弁当を広げてランチタイムの始まりです。

「…………なるほど。姫路と島田、おまけに島田妹と同棲か。明久もげろ」

コンビニのおにぎりを片手に半分面白そうに、そして半分妬み交じりに(?)そんな事を言いつつ自分たちの下にやって来たのは土屋康太くん———こーさんです。朝の事情を知らないこーさんに諸々の説明をしておいたんですが、こーさんはアキさんとゆーさんが焼かれかけたと言う事実よりもアキさんと姫路さん&島田さんとの同棲生活の方が気になるみたいですね。

「あのさムッツリーニ、キミは人の話をちゃんと聞いてた?だからそれは———」
「…………数少ないクラスの女子二人と同棲か。異端審問会が荒れるのも無理ない。もげろ」
「だ・か・ら!厳密に言うと同棲じゃないって言ってるのに!聞いてないでしょムッツリーニ!?」
「ま、明久が何と言おうと勝手だが……この二人は同棲生活を満喫しているようだぞ」
「へ?」

ニヤニヤとそんな事を言うゆーさんが指差した先には……あらら。

「「アキ(明久君)と同棲……えへへ♪新婚さんみたいで……えへへ♪」」

そう、ゆーさんが指差した先には姫路さんと島田さんのお二人が幸せオーラを出しまくってぽわぽわしている姿が。どうやらアキさんとの同棲生活がよっぽど嬉しいようで、今日はずっとピンク色の何か(=ノロケ的な何か)を出していますね。

「ふふっ、お二人とも本当に幸せそうで何よりですね。アキさん、ご馳走さまです♪」
「こやつら今日は四六時中ピンク色のオーラを飛ばしておるしの。コーヒー(無糖)が飲みたくなるのう。これは明久にコーヒー奢ってもらわねばならぬのう」
「み、瑞希……美波……二人ともお願いだから戻ってきて!じゃなきゃ僕が恥ずかしくて死んじゃうよ!?」

「「えへへ……♪」」

「だ、ダメだ、すでに別の世界にトリップしてる……」

こんな感じでアキさんですら話しかけても聞こえていない模様。そうかと思えば休み時間中『明久君が朝食とお弁当を作ってくれたんです!エプロン姿が素敵でした!』とか『アキっていかにも家庭的な主夫って感じでカッコいいのよ♪写真撮ったし見る?』といった感じで自分たちの周りに砂糖を撒く始末。ご飯食べる前ですが、ホントご馳走さまって感じですね。

「…………これで同棲していないって言う方がおかしいが?明久もげろ」
「だぁああああああああ!もう、みんなしてからかうのは止めてって!この話はお終いっ!———と言うか、朝はムッツリーニいなかったけどどうしてたのさ?」

126時間目 文月学園と言えば〜何と言っても試召戦争!〜 ( No.230 )
日時: 2016/01/01 21:33
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

流石に居たたまれなくなったアキさんが急に話題を変える事に。ふふっ、青春ですかねー♪あ、それにしても確かにこーさんが朝いなかった事はちょっと気になりますね。

「ん?そういやムッツリーニは今回異端審問会に審問されてなかったな。明久の言う通りお前今日はどうしたんだ?工藤のトコにでも行ってたのか?それとも盗撮か?」
「何で選択肢にナチュラルに“盗撮”って項目があるんですか……?いえ、普段の行いから否定できないこーさんの悪癖だとは分かってはいますが……」
「おまけにムッツリーニも審問対象になっておる事を前提で話を進めるのもどうかと思うのじゃが……まあそれはFFF団じゃから仕方ないのかの?」
「…………その前に雄二。何故開口一番に工藤の名が出てくる。と言うか、忘れたのか?雄二の依頼を受けていたんだが」
「ん、依頼……?あ、ああ“ソレ”か!いやすまんすまん、明久たちの同棲問題のせいでうっかり忘れてたぜ」

「「「依頼?それって……?」」」

と、さっきまでのアキさんやこーさんをからかっていた時とは違い突然真剣な顔になって自分たちを見回すゆーさん。どうやら真面目なお話のようですね?あ、ちなみに姫路さんと島田さんのお二人は完全に自分の世界に入っててゆーさんの話を聞いていないようです、はい。お二人には後でアキさんから説明して貰うとして———

「そりゃ決まってるだろ、今週から解禁される試召戦争の事だ。その諸々の件でムッツリーニに色々と調査をして貰っていた」
「試召戦争の事って……もしかして雄二はムッツリーニにAクラスの事情を調査して貰ってたとか?」
「…………“半分は”な」
「やっぱり———って半分?それってどう言う意味さ?」
「最大の目標は打倒Aクラスだから、勿論Aクラスの動向を調べて貰ってはいる。———だが、それ以上に大事な事があるだろう?」
「む?Aクラスの動向より大事な事じゃと?一体なのじゃ?」
「お前ら忘れてんな。よく思い出してみろ。俺たちFクラスの立ち位置を踏まえてな」

ゆーさんの問いかけにちょっと考えてみる事に。えーっと、つまり試召戦争が解禁される事とFクラスの現在の立ち位置を思い出せってことですよね……うーん?

「あ。ああなるほど……そういう事ですか。それってつまり……Fクラスに攻めてくる可能性のあるクラスの動向を探ってたとか———でしょうか?」
「…………流石、造」
「え、Fクラスに攻めてくるクラスの動向?何でそんな事考えなきゃいけないのさ。僕ら胸を張って言える事じゃないけど最低クラスなのにそんなクラス狙う必要ないんじゃないの?」
「それはえっと……ホラ、最初のAクラス戦は引き分けでそのお陰で今Fクラスの設備ってBクラスに近いものとなっているじゃないですか」

そう、四月のAクラスとの試召戦争の結果、最低クラスのFクラスが最高クラスのAクラスと互角に渡り合い引き分けとなったことで学園長から教室設備のランクアップをやって貰った自分たちFクラス。その設備が狙われちゃうってことですね。

「うん。今はBクラス並みか下手したらそれ以上の設備かもね」
「そうですね。ですが“二年生最低クラスのFクラス”なのにですよ?これってA・F以外のクラスからしたらどう思われると思いますか?いくらAクラスと引き分けになったとはいえ普通は理不尽って思われるんじゃないでしょうか」
「ふむ、そう言われてみればそうじゃな。二学年最低クラスのワシらFクラスが最高クラスのAクラスに近い設備を持っておるとなると———他のクラスからしたら不満が出るのも不思議ではないのう」
「逆に今の今まで不満が表に出なかったのは、あのババァの突発的なイベントが満載だったせいで文句を言う暇もなかったからだな」

ヒデさんとゆーさんそう返してくれます。そう、今までは四月の試召戦争が終わった時点で清涼祭やら強化合宿やら肝試しやら体育祭。そして召喚獣の調整の為の試召戦争の一時休戦———そんな大きなイベントや調整だらけでどのクラスも攻め込む機会がほとんどありませんでした。ですから恐らく二学期からは試召戦争が荒れるでしょうね……

「そして……恐らく試召戦争解禁後は自分たちFクラスがどのクラスよりも宣戦布告を受ける可能性があると思います。下手したらAクラス戦をする暇もないかもしれませんよ」
「ほほう。なら、折角だ。造がそう思う理由を教えて貰えるか?」

と、何やら面白そうな顔で自分に考えを説明してくれと促すゆーさん。

「いや、だって普通そうでしょうゆーさん。他のクラスからしたらトップクラスの学力と実力を持つAクラスの設備を狙うより、能力にバラつきがあって穴があり過ぎる自分たちFクラスの新しくなった設備を狙った方がリスクも少なくて安全に攻め込みやすいですもの」
「む……それもそうじゃな」

と言うか、爆発力はあるもののやっぱりFクラスだけあって基礎的な学力が他のクラスと比べて低いのは事実です。それなのにBクラスに近い設備を持っているなんて鴨が葱を背負って鍋を沸かしているようなものですし。

「でしょう?確かに今のAクラスの設備よりもワンランク下がりますが、それでも自分たちの設備が欲しいクラスはいっぱいいるハズです。おまけに一学期から色々と暴れまわっていたFクラスってことで、全クラスから目の上のたん瘤のように思われているかもしれません」
「げっ……つまり最悪全クラスに狙われてもおかしくないってことか……そっか。一学期は僕らの教室って最低設備だったし攻め込むことだけ考えれば良かったけど、これからは狙われる事も視野に入れなきゃいけないんだね」

そこまで自分が説明してみると、アキさんもなるほどといった表情で納得してくれます。

126時間目 文月学園と言えば〜何と言っても試召戦争!〜 ( No.231 )
日時: 2016/01/01 21:20
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「恐らくそうだと思うのですが……自分の考察、どうでしょうかゆーさんにこーさん?」
「ビンゴだ造。理解が早くて助かるぜ。俺も造と同じことを考えていてな、とりあえずムッツリーニには全クラスの動向や現状を調べて貰っていたわけだ。で、ムッツリーニ。その肝心の首尾はどうだったんだ?」
「…………バッチリ。今説明する」


———以下ムッツリーニによる全クラスの動向説明———


〜Aクラス(クラス代表:霧島翔子)〜
動きなし。と言うよりいつどんな時も迎え撃つ準備が整っている模様。弱点らしい弱点も無く前回の対Fクラス戦での引き分けという結果をバネに、更に実力を付けてきている様子。余談だが代表の霧島曰く『……雄二を婿に迎える準備もバッチリ』との事。雄二もげろ。

〜Bクラス(クラス代表:根本恭二)〜
Bクラス自体は勝っても負けても同じ設備、もしくは更に設備を落される可能性がある為Fクラスをどうこうしようと言う気は無い様子。ただしあの代表の根本が最近少し様子がおかしいとクラス内で噂になっているらしい。根本の動向は調査不足の為不明。

〜Cクラス(クラス代表:小山優香)〜
現状最も敵に成り易く厄介なクラスと思われる。実力的には中堅のクラスでもあり代表の小山は中々の切れ者な上、現在Bクラス上位の学力を保持している。おまけにここのところCクラス内で怪しい動きも見られるようで様々な意味で要注意クラス。

〜Dクラス(クラス代表:平賀源二)〜
前回の試召戦争でFクラスに負けた最初のクラスと言う事で、Dクラス内でライバルクラスとして見られている模様。Cクラス同様に敵に成り得る可能性がある。尤も島田や明久を交渉に使えば一番御しやすい———コホン、交渉しやすいクラスとも言える。

〜Eクラス(クラス代表:中林宏美)〜
目立った動きは特に無し。今まで通り部活に打ち込んでいる生徒が多いので、Eクラスが望んで試召戦争を仕掛ける気は今のところ無い模様。ただしこの前の召喚野球大会の件で代表の中林を含む数名は雄二&明久に一矢報いたいとは思っているらしい。


———説明終了———


「…………こんな感じ。後で個人の成績データもなるべく最新版にしてまとめて渡す」
「おう、助かったぜムッツリーニ。大体わかった」
「やっぱり今回は全クラスが敵に成り得るって事なんですよね。これまた中々厳しいですね」

これって下手をすれば……試召戦争解禁直後に全てのクラスから宣戦布告って事も視野に入れるべきかもですね。絶対忙しくなりますよコレ。

「なるほどね。設備のランクが上がった事も良い事だけじゃないってことだね」
「…………どの道遅かれ早かれこうなる運命だっただろうがな」
「上位設備を持つクラス故仕方ないのう。それで、どうする気なのじゃ雄二よ。Aクラスに宣戦布告をする準備をするか、それとも防衛の為の準備をするかで作戦も違ってくるのじゃろう」
「(根本の様子がおかしい……か。ムッツリーニには詳しい情報を調べてもらうとして)ま、何とかするさ。とりあえず弁当でも喰いながらその辺の話をするぞ。流石に腹減ったしな」
「そうですね。今すぐどうこうって話でもないでしょうし、腹が減っては何とやらです」
「んじゃ、まずは腹ごしらえだね。瑞希と美波もお昼ご飯に———って二人ともまだポーっとしてる……おーい二人ともー!ご飯食べるよー!」

と言うわけで、その辺の戦略はお昼を食べつつやる事に。さてさて、二学期からの試召戦争は一体どうなる事やら。……文月学園と言えば試召戦争。二学期が始まってしばらく経ちますが、ようやく文月らしい日々が———つまりはまた楽しくも忙しい日々が始まるってところですかね。






『くっくっくっ……そのお前らの楽しみに待っている試召戦争、敵が他クラスだけだと思うなよ。坂本・吉井・ムッツリーニ———試召戦争が始まった瞬間、キサマらの命運もそこで尽きる……』
『会長、では早速動きますか?』
『まだだ。下手に動くとムッツリーニに感づかれる。もし我らの動きがアイツらに知られれば吉井や坂本のいつもの悪知恵で対処されるだろうからな。そうなっては計画はお終いだ。慎重に動くべきだろう』
『確かに……わかりました、歯がゆいですが今は機会を待ちます』
『うむ。どちらにしても試召戦争が解禁されるまで時間がある。悔しいだろうが今は耐えるのだ。一先ずあの作戦会議を行う。作戦名———本能寺の変もとい“Fクラスの変”をな』

『『『ハッ!了解です会長!』』』