二次創作小説(紙ほか)

130時間目 分けられる3つのタイプ〜戦闘タイプと戦術は〜 ( No.251 )
日時: 2016/02/05 21:13
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

造Side


「さ、さてさて!それでは無事に食料調達も出来たことですし、アキさん家に行きましょーっ!雨降る前に行きましょー!」
「造、その妙にハイテンションなのは照れ隠しか?顔がまだ買っておいた完熟トマト並みにアレだが」
「…………ゆーさん、放っておいてくださいよぅ」

スーパーでは……まあ、色々ありましたが何とか無事に買い物も終えて、雨も降りそうだということでアキさんのお家に足を速める自分たち仲良しメンバー。

「そ、そうだね!造の言う通りさっさと帰らないと!雨降る前に料理を取り込みたいし、洗濯物も作らないとだし!」
「明久よ、それはもしや“雨降る前に洗濯物を取り込みたいし、料理も作らないと”———と、言いたいのかの?混乱しておるのもわかるが混ざっておるぞい」
「…………落ち着け」
「わ、わかってるよ……」

あぅ……それにしても顔がまだ熱いです……アキさんのお家に着く前に精神が擦切らされた気分ですね。だって仕方ないじゃないですか……姫路さんたちが、その……あー、恥ずかしかった……

『そ、そうですよね、あと二年くらいは待たないといけませんよね』
『そ、そうよ!?こ、こういうことはちゃんと段階ってものがあるのよ瑞希……まずはホラ、玲さんやアキのご両親にきちんとした挨拶をしてから———』

……ちなみに自分やアキさんが顔を赤くしなきゃならなくなった理由のお二人は、後ろの方で何やら非常に気になるような気にしちゃいけないような話をしている気がします。正直ツッコミたいけどツッコんだら負けと思う複雑な気分ですが……ま、大変でしょうがその辺はアキさんに任せることにしましょうか。自分は馬に蹴られたくないですしー?

「それはそうと、葉月ちゃんはちゃんと帰れたかな……道に迷ったりしてなきゃいいけど」
「ん?ああ、そういや島田の妹のチビッ子も同棲してんだったな。ま、平気だろ。チビッ子は明久より頭が良いからな」
「…………明久よりしっかりしてるし心配ない」
「葉月ちゃんが頭良くてしっかりしてるのは同感だけどさ、君たちの言い方だとまるで僕が小学生より頭悪くてしっかりしていないって聞こえる気がするのはどういうことかな?」

「「気のせいじゃないから安心しろ、知能レベル小学生以下の明久」」

「よく言った。君たちとりあえず後で覚えておきなよ」
「相変わらずじゃなこやつらも」
「仲の良い証拠ですよヒデさん」

そうこうしているうちにアキさんの家のマンションに到着。ここに来るのも今ではすっかり慣れましたねー

「やれやれ、やっと着いたのう。一雨降る前で良かったがの」
「ですね。折角の買い物が濡れてはマズいですもんねー」
「そだね。んじゃ早速入ってよ。ただい———」


ダダダダダ……ダンッ!


鍵を開け自分たちを迎え入れるアキさん。そしてそんなアキさんの声を聞きつけたのか、玄関に向かって文字通り跳んでくる黒い影が一つ。それは……

「おかえりなさいですー!」
「———まグボホォッ……!?」
「あ、アキさああああああああああん!?」

アキさんが扉を開けた瞬間、人間ミサイルの如く島田さん家の妹さんの葉月さんがアキさん(の鳩尾)目がけてダイビング。直撃を喰らったアキさんはその場で悶絶します。おおぅ、急所を的確に突くなんて……あれは痛い。

「あ、明久君!?“また”ですか!?しっかりしてください!?」
「こ、こら葉月!アキが帰って来てくれて嬉しいのはわかるけど、“毎回”それやったらアキの身体が壊れちゃうでしょ!?ほら、ちょっと離れてあげなさい!」
「ま、また?毎回?……アキさん毎回あれを喰らっているんですか……?」

学園に行けばクラスメイトに暴行を受け、家に帰ればこの傍から見ていれば微笑ましい急所を突いた愛の突撃を喰らうアキさん。モテる男って辛いんですねー

「うー……ごめんなさいですバカなお兄ちゃん」
「だ、だいじょうぶ……だいじょうぶだから、ね。ただいま葉月ちゃん……」

姫路さんと島田さんに介抱されながら、ちょっぴり涙目になりつつもそう気丈に気にしないようにと葉月さんに微笑むアキさん。漢です……漢ですよアキさん……っ!

「そうだぞチビッ子。このバカなお兄ちゃんは丈夫だけが取り柄のバカだからな。寧ろ遠慮せずドンドン殺っていいからな」
「…………バカなお兄ちゃんはドMだし、寧ろ喜ぶと思う」
「雄二、ムッツリーニ。葉月ちゃんの教育に非常に悪いから余計なこと言うなら帰って、ホント今すぐ帰って」

そしてそんなアキさんを更に追い込む友人たち。さっきの買い物といい今といい自分、時々アキさんたちの関係が一体どういうものなのかわからなくなってしまいます……

「ま、まあそれはともかく。葉月さん、お久しぶりです」
「元気にしておったか?」
「はいっ!召喚獣のお姉ちゃんも演劇のお姉ちゃんも元気でしたかー?」

「「いやだからお姉ちゃんじゃなくて……」」

そして未だに解けぬ誤解。この前やった召喚獣版人形劇のお陰(?)で、どうやら葉月さんに更に自分たちが女の子であると認識されてしまった模様。出会う度に自分もヒデさんも男だと言って矯正しているつもりなんですけどね……

130時間目 分けられる3つのタイプ〜戦闘タイプと戦術は〜 ( No.252 )
日時: 2016/02/05 21:17
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「こらアキくん。また玄関で騒いで、一体何事です———あら?皆さんこんにちは♪遊びに来てくれたのですか?」

と、そんなアキさんの声を聞きつけたのか、アキさんのお姉さんの玲さんが自分たちをエプロン姿で迎えてくれま———何あれ……?

「ああ、なんでもないよ姉さ———姉さんっ!?アンタまたなんて恰好してんの!?おかしいでしょ!?」
「?なんて恰好って……失礼ですねアキくんは。エプロン姿のどこがおかしいのですか?」
「おかしいに決まってるよ!?バカなの?その恰好でお客さんを対応するとかバカなの姉さんっ!?」
「あの、玲さん。多分世間一般的にはスクール水着の上にエプロン姿って恰好はどう控えめに見てもおかしいかと」

迎えてくれた玲さんは……相変わらずの凄い恰好。その、何と言いましょう……ある種の特殊な趣味の方が喜びそうな……うん。スクール水着だけでもアレなのに、その上にエプロンを着るなんて自分たちはどんな反応をするべきなんでしょうかね。

「いえ、裸エプロンより健全で且つ安全でしょう?裸エプロンでは油が跳ねたとき危ないですが、これなら油が跳ねても火傷することもありません」
「そもそも裸エプロン自体間違っているんだよ姉さんっ!?」
「ですが日本はこういうエプロンの使い方がオーソドックスだと先輩が」
「サクヤさぁああああああああああん!?あの人何言ってんですかっ!?」

何を教えてるんですかうちの育ての親は……思わず現在海の向こうで泣きべそかいている育ての親のサクヤさんのいるであろう方向に向かって大きな声でツッコミをしてしまう自分。サクヤさん、帰ってきたら説教です。

「姉さんっ!雄二とムッツリーニ以上に葉月ちゃんに悪い影響を与えかねないから、そんなもの今すぐ脱いでよ!?」
「あら……アキくんったら……脱げだなんてダイタンな♪良いですよ、後でゆっくり、ね♪」
「実の姉にそう言うプレイをさせるとは、明久は実に変態だな」
「…………シスコンのド変態」
「ああもう違うっ!?いいからさっさとまともな服を着てってことだよ姉さんっ!そしてそこのバカ二人はもうとっとと帰れっ!というか、ムッツリーニに変態扱いされるのは納得いかないっ!」
「……玲さん、ダイタンね」
「……やっぱりあれくらい攻めた方が、明久君も喜んでくれるのでしょうか」
「美波、瑞希っ!このバカ姉の真似だけはしちゃダメだからね!?」

アキさんのお家に入る前からこの騒ぎ。怒涛のツッコミでアキさんの精神はボロボロ。アキさん、強く生きるのですよ。

「???召喚獣のお姉ちゃんと演劇のお姉ちゃん、どうして葉月の目と耳を塞ぐのですかー?」
「あー……その、葉月さんの教育に悪いお姉さんとお兄さんの暴走がですね」
「今更じゃが、この明久たちの同棲生活……葉月ちゃんの将来に悪影響を及ぼしかねんな」

ヒデさんと二人、葉月さんにこの状況を見せない&聞かせないためガードをしつつ、未だにギャーギャーと騒いでいる皆さんを置いて先にアキさんのお家にお邪魔することに。……お隣の人に後でお茶菓子もって謝りに行かねばね……


〜しばらくお待ちください〜


「ぜぇ……ぜぇ……さ、さて。それじゃあまずは夕食でも作ろうかな……」
「全くアキくんはまた玄関先で大声を上げて。ご近所迷惑ですよ、反省なさい」
「(一体誰のせいだと……!)」

数分後、何とか玲さんに普通の服を着るよう説得したアキさん。精神的にも肉体的にもかなり疲労してますね。そんなアキさんを気遣って、アキさん大好きなこの人がこんな提案を。

「あ、でしたら明久君!是非私も夕食の手伝いを———」
「あぁっ!そうでした!?姫路さんと島田さんってお昼にまともに試召戦争の話を聞いていませんでしたよね!?アキさんやこーさんにお料理を任せて、お二人は対策会議に参加してもらうのはどうでしょう!?」
「流石造は良い事言うなっ!?つーわけで昼に話聞いてなかった姫路と島田はこっちに来て話を聞けっ!メシよりも試召戦争の話が大事だからなっ!」
「そ、そう言えばそうだったわ!大切な話はちゃんと聞かなきゃね瑞希!」
「…………料理は俺たちに任せろ!」
「そ、そう言うこと!雄二の言う通り料理より試召戦争の方が何千倍も大事だからね!」
「えっ、ですが明久君と土屋君だけでは人手が……」
「わ、ワシも手伝う!姫路たちは話を聞いてくるといい!」
「は、はあ……わかりました。では料理はまた今度と言うことで」

咄嗟に全員とアイコンタクトで話を合わせます……危なかった。そうか、傍から見れば羨ましくとも死と隣り合わせの同棲生活でしたか。姫路さん(と玲さん)をキッチンに上げたその時は、恐らくすべてのモノは息絶えるでしょうし。


〜雄二再度説明中〜


「———と言うわけだ。つまりAクラス戦の前に防衛戦にしっかり備えるってことだな」
「こうすることで戦闘経験値の上昇と戦力戦術の強化を図る寸法だそうです。ここまでで何かわからない事とかありますか姫路さんに島田さん?」
「大丈夫です、大体わかりました」
「ウチも把握したわ。それにして今更だけどよくもまあこんなこと思いつくわよね坂本」

(殺人料理を作らせないため)姫路さんと島田さんにはお昼にやった試召戦争関連の説明をしている隙に、アキさんたちにご飯を作ってもらうことに。お昼は精神がトリップしてまともに聞いていなかった二人に今後の計画を説明します。

「褒めても何も出ねえぞ。……さて、ここからはまだ話していない作戦の細部を説明すっか。その前に———おい、明久・ムッツリーニ・秀吉!今いいかー?」
「呼んだかの雄二よ」
「おう。っと、そういやメシは出来たのか?」
「うん。葉月ちゃんも、それから(一応)姉さんも手伝ってくれたし、後はご飯が炊き上がるのを待ってからちょっと仕上げるだけかな。ありがとね葉月ちゃん」
「あら、偉いじゃない葉月。お手伝いありがとね」
「えへへ〜」

そう言って料理組を呼び出すゆーさん。料理組はもう大体作り終えているようですね。葉月さんもしっかり手伝ってくれたようでアキさんとお姉さんの島田さんに褒めてもらっています。うんうん、とても微笑ましい光景ですねー

「…………で、何か用?」
「ああ、昼話しきれなかった作戦の細部の説明を始めようと思う。ここにいる七人はクラス代表及び各科目の部隊長だからな、全員“真面目に”聞いておいてほしい」

姫路さんと島田さんを一瞥しつつ“真面目に”を強調してゆーさんが作戦細部の話を始めます。

130時間目 分けられる3つのタイプ〜戦闘タイプと戦術は〜 ( No.253 )
日時: 2016/02/05 23:07
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「まず最初に確認しておきたいことは、俺たちFクラス———と言うよりこの場にいる7人は大きく3つのタイプに得意な戦闘方法が分けられる点だ」

「「「「「「3つのタイプ?」」」」」」

そう言うと、ゆーさんは最初に姫路さんと自分を指差します。

「一つ。姫路と造の“一対多数の乱戦タイプ”。お前ら二人は勿論一対一の戦闘も強いんだが……その真価を発揮するのはやっぱ乱戦だろう」

そう言って手元のルーズリーフに『姫路・造 乱戦タイプ=金の腕輪や能力で敵陣をまとめて殲滅し士気高揚を図る』と皆さんに見えるようにしながら書き始めるゆーさん。

「やることは単純明快。姫路の金の腕輪の能力【熱線】と造の点数消費型の箒の能力でまとめて敵陣を叩く、ただそれだけだ。それだけだが敵はたまったもんじゃねえだろな、何せこの二人の攻撃は召喚フィールドにいる限り実質防御も回避も不可能な広範囲超火力。うちの主戦力兼切り札と言っていい」
「うわぁ……それってつまり引くに引けない全体攻撃ってことかぁ……瑞希と造が敵じゃなくて良かったよ」
「確かに味方なら非常に心強いが、もし敵として戦うなら初めから白旗を揚げざるを得んのう」
「…………敵も気の毒に」

召喚フィールドいっぱいに広がる一撃必殺の【熱線】と召喚獣を切り裂く吹き荒れる突風が襲ってくるのですからね。たまらずフィールドから出たら戦闘放棄とみなされ戦死と同じ扱いになるという、発動さえすればほぼ敵なしの全体攻撃と言ってもいいかもしれません。

「次。島田・ムッツリーニ・秀吉は一対一の戦い、つまり“一騎打ちタイプ”だな」

先ほどのルーズリーフに続けて『島田・ムッツリーニ・秀吉 一騎打ちタイプ=得意科目でそれぞれの部隊を引っ張り敵を各個撃破』と書き綴るゆーさん。

「昼にムッツリーニが説明してくれたが、お前らは各々の得意科目では上位クラスにも匹敵する力を持つ。各々の担当する部隊を引っ張りつつ、部隊長らしく敵と一対一の状況を作ったら必ず敵を仕留めるよう心掛けてほしい」
「こーさんの保健体育や島田さんの数学、ヒデさんの古典や現国なら一対一ではかなり有利に戦えるでしょうからね」
「三人も召喚獣を扱いなれているしな。一対一の戦いになれば必ず勝ってくれると期待してるぜ」

唯でさえ上位クラスレベルの点数を持っているうえに、普段から何かと召喚獣を使役している皆さんです。数で押し込まれるならともかく、その得意科目でなら一騎打ちすればそうそう負けることは無いとゆーさんが断言するほどですからね。

「で、最後。明久と俺……それからさっき乱戦タイプに分類した造もか。俺ら三人は“イレギュラータイプ”だな。状況に合わせて“乱戦タイプ”にもなれば“一騎打ち主体タイプ”にもなり、そのどちらでもない働きもする」

自分とアキさん、そしてご自身を指差しつつルーズリーフに『俺・明久・(造) イレギュラータイプ=手持ちの腕輪を最大限活かし、あらゆる状況に対応していく』とゆーさんは書き込みます。

「白金・黒金の腕輪を持つ俺らは少々特殊な動きをする。乱戦・一騎打ち戦に参戦するのは勿論、状況に応じて味方のサポートや昼に説明したように俺が回復地点を作ったり明久の二重召喚(ダブル)による敵のかく乱や造の代理召喚の腕輪による教師のフィールドを干渉させて場を仕切りなおすなど、とにかく場を荒らしまくって敵に予測も出来ない一手を打つ」
「そっか、アンタら三人とも特殊腕輪を持ってるもんね。他のクラスにはないウチらのクラスの強みよね」
「それに腕輪だけじゃなくて明久君も月野君も坂本君も、召喚獣の動かし方が一番上手ですからね。きっとすっごく活躍すると思います!」

試召戦争において召喚獣と召喚フィールドを自在に操ることが出来る腕輪を持つ自分たちは、とにかく相手クラスにとってはイレギュラー中のイレギュラー。出来る限り早めに討ち取りたいと思うでしょうが、自分も含めたこの三人は召喚獣の操作技術もトップクラスという理不尽さも持ちます。風の噂では色んな意味で自分たち三人は各クラスのブラックリストに載っているとか。

「以上で3つのタイプの説明終了だ。そして基本戦術は姫路と造を攻撃の起点とした短期決戦型となる。“乱戦タイプ”→“イレギュラータイプ”→“一騎打ちタイプ”→“イレギュラータイプ”→“乱戦タイプ”のローテーションで戦っていく形になるだろう。このローテーションは昼に説明した俺らのクラスの弱点を補うためのものでもある」
「ん?どういう事?」
「俺らの弱点・課題は各々の点数回復のタイミングだって説明したろ明久。そこを補うのは他でもないお前や造、それに俺のイレギュラータイプだ」

昼にゆーさんが言った弱点対策。そのカギとなるのはイレギュラータイプの自分たちだとゆーさんが説明します。それはつまり……

「あ……なるほど。姫路さんと自分が場を一掃。その後すぐに点数回復と体力温存のために姫路さんを下がらせる。姫路さんを安全に本陣に引かせるために二重召喚(ダブル)が使えて小回りの利くアキさんや干渉による仕切り直しのできる自分、回復地点を生成できるゆーさんが敵を足止めする……ってことですか」
「その通り。そして姫路と交代で今度は撃ち損じたり追加で送られた敵を討つために一騎打ちタイプの島田たちを投入。各々が各個撃破したら点数回復の為引き———」
「一騎打ちタイプの美波たちを安全に下がらせるために、また僕たちが間に入り込んで敵を足止め、ってこと?」
「そういう事だ。腕輪・体力・戦闘技術に最悪の場合にその場から逃げ出せる逃走技術。このすべてを持った俺ら三人でFクラスの弱点をカバーするってこった」

むぅ……これはまた責任重大ですね。弱点を補うための自分たちとゆーさんは言いますが、裏を返せば自分たちが———特にクラス代表のゆーさんが倒されればゲームセットの諸刃の剣的な戦術。ですが……

「上手く動くことが出来れば———課題である点数補充のタイミングもコントロール出来そうですし、面白そうですね」
「うん。まあ大変そうだけど———勝つためだもんね。やってやろうじゃないか雄二」
「良い根性だ二人とも。ヘマすんなよな?期待してんだから。てなわけでこの基本戦術と俺ら7人だけでB〜Eクラスと互角以上にやれる上、他のFクラスの連中も部隊につけていく。後はそれぞれのクラスに合わせた戦術を宣戦布告を受け次第、随時作戦を指示するからな」

そこまで説明すると最後にゆーさんはルーズリーフに———

【基本戦術】
乱戦タイプ:敵本陣に向けて腕輪や能力で全体攻撃。雑魚を一掃
  ↓
イレギュラータイプ:体力回復と点数補充の為に姫路と造を本陣に下がらせる間、敵をかく乱(造は腕輪でフィールドを変更してそのまま残ってもらう場合も)
  ↓
一騎打ちタイプ:散り散りとなった敵を一騎打ちで各個撃破
  ↓
イレギュラータイプ:次の敵陣に向い先行・偵察・かく乱・陽動
  ↓
乱戦タイプ:イレギュラータイプが引きつけた敵陣を再び全体攻撃で一掃

以下ローテーション 状況に応じて戦術変更も視野に入れ臨機応変な戦いをすること

———このように書いて、自分たちを見まわして締めに入ります。

「まあ、今書いた通りこれはあくまで基本中の基本戦術。多分他クラスも俺らがこの戦術で来ることを予想してそれぞれが対策をしてくるだろうし、この戦い方だけで勝てるほど試召戦争は甘くはない」
「一学期も良いとこまで行ったのにあと一歩の詰めが甘かったせいで引き分けた雄二が言うと説得力あっていいね」
「やかましい明久……と言いたいが、事実だから甘んじて受けてやる。俺もこんな誰でも思いつくような戦術でAクラス———翔子を倒せるなんて思っちゃいないが……ともあれ各々の基本戦術を頭の片隅に入れておけば、緊急時も自分がどう戦えばいいか自ずとわかってくると思う。後は本番に強い俺らだからな、ぜってぇ乗り切れるって信じてるぞ」
「はいはい、わかってるって。そもそもこれだけ戦力が整ってて負けるなんてありえないもんね。当たり前だけど……僕らは強いんでしょ雄二?」
「ですね、何せ自分たちは……強いんですよね、クラス代表さん?」

アキさんと二人、一学期の最初の試召戦争でゆーさんがこの場にいるメンバーに言った言葉を思い出させるよう茶化します。そうあの———

『———いいか、お前ら。ウチのクラスは……最強だ』

———自分たちを勇気づけ、試召戦争に駆り立てたあの言葉を。そして、今も同じように自分たちを奮い立たせるべく代表のゆーさんはあの時……そう一学期以上に自信に満ちた表情でこう返してくれました。

「おうよ、当たり前だ。なんせウチのクラスは……最強だからな」