二次創作小説(紙ほか)
- 133時間目 VS Eクラス〜鬼ごっこ?いいえ試召戦争です〜 ( No.264 )
- 日時: 2016/02/26 20:55
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「———さて、お前たちも当然知っていると思うが、本日から試召戦争が可能になる。一学期の学習の成果を試す良い機会になるので、積極的に参加すると良いだろう。何でも早速宣戦布告を受けているらしいしな。一教師としてはどのクラスにも肩入れするわけにもいかんが、クラス担任としてはまあエールは送っておくぞ」
D,Eクラスの宣戦布告を受け、クラスメイト全員の召喚獣の装備の変更確認や他クラスの情報収集、(先生たちには勿論内緒ですが自分の腕輪を使い)召喚獣を召喚してちょっとした模擬戦を行って———あっという間に待ちに待った試召戦争解禁日となりました。西村先生のありがたいエールを頂きつつ連絡を聞く自分たち。
「後は他の連絡だな。旧校舎の1、2階の踊り場にある水道だが、本日から配管工事を行うため周辺の手洗い場及び水飲み場は使用できない。それに伴い業者が入るのに邪魔にならないよう旧校舎の1階と2階を繋ぐ階段も使用不可だ。朝来た時のように遠回りにはなるが、渡り廊下先の新校舎の階段を使う様にしておくこと」
ふむふむ、今日から旧校舎の水道工事と1,2階間の階段がしばらく使えない……ですか。これはもしかすると———ちょっと気になってゆーさんをちらりと見ると何やら企んでいる表情です。ふふっ♪我らが策士ゆーさんは、どうやら今の状況を早速利用する気満々みたいですね。
「それと交換留学制度のお知らせが届いている。興味がある者は相談してくれ。連絡事項は以上だ。今日は試召戦争関連でバタバタして勉学に励む余裕はあまりないかもしれんが———戦死したら俺がみっちり補習室で補習してやるから楽しみにしておくように」
珍しく茶目っ気たっぷりにそう言って教室を後にする西村先生。これはきっと自分たちに頑張れという先生なりのエールなんでしょうね。自分、先生の応援はとても嬉しいです♪HRもそんな先生の言葉と共に終了し、いよいよ試召戦争の準備に取り掛かることに。
「何だか鉄人の不穏な脅迫めいた戯言があったが、気にせずいくぞ。今日は前々から説明していた通り、午前にEクラス戦。午後にはDクラス戦が控えている。正直どっちのクラスも俺たちの敵じゃねぇ!本当の敵はAクラスであることを忘れるなっ!さっさと倒して踏ん反り返っているAクラスの野郎どもを潰しにかかるぞっ!今日はその前座だ!」
その気合いの入ったゆーさんの演説と共に、作戦概要の説明に入ります。
「造・姫路・島田・秀吉。この4人が攻撃部隊として今回の攻撃のメインとなる。目標は一時間以内にEクラスの連中を全員戦死させること」
「了解ですゆーさん」
「一時間でEクラス全員……中々難しい注文をしてくるのう」
「ま、面白そうじゃない。やってやるわ」
「頑張りますねっ!」
一時間以内で、しかも全員を倒せとは思い切りましたね。ですがそれはゆーさんが自分たちを信頼しての無茶ぶりです。絶対にやれると信じてくれているゆーさんの為にも、そしてきたるAクラス戦の為にもここは応えて差し上げましょう。
「いい返事だ、期待してるぜお前ら。次、俺を守る近衛兵役は明久・ムッツリーニだ。お前ら2人はあらゆる意味で機動力も突破力も高いからな、俺の使い捨て装甲板としてキリキリ働け」
「まあ、守られてなきゃロクに戦えない雄二にどうしてもって言われるなら考えてやってもいいよ。その分試召戦争が終わったら雄二をパシリとして使ってあげるから光栄に思ってね」
「…………(霧島専用の)グッズ製作に協力してくれるなら考えてやる」
ゲシゲシゲシッ!×3
文句や不満、憎まれ口や皮肉やジョーク(?)を言いつつも、何だかんだで息ぴったりのこの三人。今はこんな風に蹴り合い殴り合う関係ですが、試召戦争が始まればすぐに切り替えて戦えるからすごいんですよねー
「残りの連中はなるべく一人でも多く攻撃部隊の足かせになるであろう残ったEクラスの雑魚を蹴散らせ。攻撃部隊を邪魔する連中にインターセプト、倒さずとも時間稼ぎくらいはしておくんだ。いいな?」
「「「……うーっす」」」
「……何だお前ら、やる気あんのか?……まあ、いい。とにかく今回の作戦はスピードが命。速攻で終わらせてDクラス戦の準備に取り掛かれ!」
……ん?その気合いの入ったゆーさんや自分たちとは対照的に、どうにも他のFクラスの皆さんはテンションが下がっている様子。……朝ですし眠くてローテンションってことでしょうかね?まあ、試召戦争が始まれば嫌でも目が覚めるでしょう。
Eクラス戦は午前9時30分に開始。それまでは予想進路や各々の動き方、Eクラスの戦力の再確認など行うことに。そして———
ピピピピピピピッ!!!
———と、ゆーさんが設定していたタイマーがけたたましく鳴り響き、いよいよEクラス戦開始となりました。
「よしっ、手筈通りに行くぞ!目標時間も忘れるなっ!」
そう自分たちに再度念を押すように言うと、ゆーさん・アキさん・こーさんの3人は教室を飛び出して旧校舎側の階段を駆け上がります。
『っ!?あ、アイツら逃げる気ね……!上等よ、全員坂本・吉井……ついでに土屋を討ち取りに行くわよっ!』
『『『応っ!』』』
そのゆーさんたちの行動に慌てて反応し、中林さんの一言で隣のクラスのEクラスも飛び出します。そしてそのまま、まだFクラスに自分たち攻撃隊の4人やFクラスの生徒がたくさんいるにも拘らず、自分たちを完全に無視してゆーさんたちを追いかけ始める中林さん率いるEクラス。……ふむ、これはこれは。
「———流石ゆーさんですね。予想通りの展開になるとは」
「うむ。相変わらずあやつはよく考えておると感心してしまうのう」
「それでは、私たちも行きましょうか」
「ええ、そうね。アキたちにばかり任せてられないものね」
ゆーさんの作戦に従い、4人で落ち着いて渡り廊下を通り新校舎へ。たどり着いたら新校舎の階段のある廊下の陰に潜んで待機をします。しばらくすると———
『流石に運動部だよねー、早い早い』
『学力を脚力に変えてる連中だしな』
『…………まあ、俺らには敵わんが』
『アイツら言いたい放題言って……っ!体育会系の恐ろしさを叩き込んでやるわ!皆、もっとスピード上げるわよ!』
『はいっ!部活にも入っていないあの連中に……目にもの見せてやりましょう代表!』
『逃がしてたまるかっ……!毎日鍛えている俺たちの脚、舐めんなよFクラス!』
———三年生のいる4階の旧校舎から渡り廊下を通って、今度は新校舎の階段を軽口をも叩ける余裕をもって駆け降りるアキさんたちと、それを全力で追うEクラスの皆さんが一斉に1階まで降りたのを確認。ヒデさんたちとコクリと頷いて、さてこちらも作戦開始です。
- 133時間目 VS Eクラス〜鬼ごっこ?いいえ試召戦争です〜 ( No.265 )
- 日時: 2016/02/26 20:46
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
中林Side
体育祭の召喚野球、それ以外にも度重なる屈辱をFクラスの連中に受けてきた私たちEクラス。特に……坂本、吉井……あの二人だけは許せない。坂本は何かと私たちをコケにしていっつも上から目線で腹が立つし、吉井は———学園一のバカの癖にあの人……頭脳明晰な学年次席でクールでカッコイイ久保君の意中の相手ですって?
バカ+女タラシ+同性という3重の致命的な欠点を抱えているのに、何をどうして久保君はあんなバカを…………考えてるだけで物凄く本気で腹が立ってきたわ……吉井、覚悟していなさい……!アンタを倒して、絶対彼を振り向かせてみせる……っ!
「皆っ!“情報によれば”今が奴らを討ち取るチャンスよ!調子に乗っているアイツらに、元最低クラスの烙印を返上させてやりましょう!」
「「「はいっ!代表!」」」
私に付いて来てくれている皆を鼓舞するように声をかけながら、前方を走る3人を追う。スタートダッシュが良かったお陰で、他のFクラスの厄介な4人———月野先輩に木下、姫路さんに島田さんはどこにも姿が見えない。どうやら私たちのスピードに追い付けていないようね。
残りのFクラスの連中は“情報通り”なら今回は私たちにとって何の脅威にならないはずだし、これならいける。例えあのバカ2人(+土屋)が多少召喚技術や点数が高くても、所詮はたったの3人。こっちは50人だし数で押していけば絶対に討ち取れる。追い付きさえすればいつでも屈辱を晴らせるわ!
…………まあ、ただ一つの問題さえ除けばいつでもね。
「それにしても……くっ、なんて速さなのよあのバカたち……!」
「ハァ……ハァ……無駄に逃げ足が速いですよね……」
「わたしたちの……クラスの方が……追いつけないなんて……どういうこと、よ……だ、代表。後方がかなり遅れているようです……」
…………そう。問題はアイツらに全然追いつけないことだけど。近衛兵の一人の言葉を聞き、追いながらちらりと後ろを確認してみる。私たちのような脚に自信のある先頭集団と後ろを必死で走っているクラスメイトとの差を比べるとかなり距離が空いているようね。ところが私たちがそれほどまでに全力で追いかけているというのに、アイツらとの距離はこの試召戦争が始まってから今に至るまで全くと言っていいほど縮められていない。
……これもまた腹が立つわ……!何でアイツら部活生が多くて部活で鍛えている私たちEクラス以上に、無駄に体力あって無駄に逃げ足が速いのよ……!?(答え:FFF団やその他諸々の事情で部活生以上に年中死ぬ気で走り回って鍛えられているから)
「と、とりあえず……私たちだけでも、アイツらに追いつくわよ……!」
「「わ、わかりました代表……」」
息を切らしながら、近衛兵の二人に告げる私。かれこれ校内を40分以上は走っているだろうか。未だに追いつけないばかりか他のEクラスの皆もかなりへばってきている。姿が見えないクラスメイトもいるし、ダウンしているのかしらね……け、けど疲れているのは向こうも一緒のはず。奴らが立ち止ったところで一気に叩くことにしましょう。
『……そろそろいいか。よし、明久にムッツリーニ!こっちだ!』
『オッケー、あそこだね!』
『…………了解』
と、今まで校舎の外やグラウンドをグルグルグルグルと回りながら逃げていた3人が、今度は新校舎に入っていく。しめた……!狭い校舎内なら逃げたり隠れたりするのは限定されるはず。私たちも急いで3人の後に続く。
『えっほ、えっほ……それにしても。瑞希たち早いね』
『…………厳しい目標時間を、余裕で時間短縮してる』
『俺にとっても嬉しい誤算だ。それじゃシメに入るぞ』
新校舎に入ると奴らは脇目も振らず階段を上がっていく。2階に上がると、今度は渡り廊下を通って旧校舎に向かう。……チャンスっ!やっぱりアイツらバカねっ!そっちは———今日は“行き止まり”よっ!
「何人かは3階、4階に上がって!挟み撃ちにしましょう!アイツらは“下には降りられない”から!」
「え?……ああっ!そうでしたね、それならあたし3階に行きます!」
「俺は4階に行っておきます!奴らが来ないようなら2階に戻ってきますね!」
そう指示を出すと、私の言いたいことがわかったのかすぐに先回りしてくれるクラスメイト達。ふふふ……っ!やっぱり吉井や坂本達ってバカばかりのようね、FクラスはちゃんとHRを聞いていなのかしら?旧校舎の1〜2階の階段は今日から使えないって連絡があったはずなのに!追いかけながら前方を見てみると、案の定行き止まりになっている階段前で立ち止まる吉井と坂本達の姿が見えた。
- 133時間目 VS Eクラス〜鬼ごっこ?いいえ試召戦争です〜 ( No.266 )
- 日時: 2016/02/26 23:36
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「はぁ……はぁ……追い詰めたわよ、観念なさいFクラス」
「ふぃー……流石体育会系クラス。FFF団並によく走れるよね」
「…………俺から言わせるとまだまだ遅い」
「ムッツリーニ、お前の速さと比べるな。ま、ともかくよく頑張ったな、お疲れさんEクラス」
強がりか開き直りかしら……?私たちに追い詰められたと言うのにヘラヘラヘラヘラとまだ減らず口を叩くこいつら……!まあ、そんな態度をしていられるのも今だけよ。こんな逃げ場のない場所に逃げ込んでしまったこいつらは知らなかったでしょうけど、朝礼で説明が合った通り今日からしばらく旧校舎の1,2階間の階段は使えない。今私たちのクラスメイトが何人か上から回り込んでいるはずだしこれで挟み撃ちに出来る———つまり、とうとう追い詰めたわよFクラス共……!
「さあ、これでやっと勝負ができるわ……吉井に坂本、勝負よ!」
「逃げられると思うなよ。さあ、正々堂々勝負しろ」
「下にはもちろん、上にも逃げ場は無いわよFクラス」
そう言って回り込んできた皆と合流しながらじりじりと壁際に追い詰める。けれど不快にも、そんな絶体絶命のはずのこの3人は何故かニヤリと不敵な笑みを浮かべている。……何よ?何か手があるって言うの?言っておくけどどこにも逃げ場はないわよ?
「それじゃあ大分引きつけたし、もういいよね雄二?」
「…………足止め完了。それじゃあ“跳ぶ”か」
「だな、んじゃ後は“4人に”任せて俺らはとっとと教室に戻り、次のDクラス戦の為の作戦会議に入っておくか。 頼りっぱなしで悪いが“4人は”Eクラスとの戦後交渉をしてから戻ってきてくれ。本当に良く戦ってくれたな、お疲れさん」
と、そう意味不明なことを言って、自分たちの真後ろにある廊下の窓をカラカラと開けたこいつら。…………ちょ、ちょっと待ちなさい?こいつら何考えて———まさか……っ!?
「「「だらっしゃあああああああああああ!!!」」」
一瞬嫌な予感がした矢先、何の躊躇もなく外に向かって大きく跳躍するバカ三人。まさかとは思ったけど……ば、バカじゃないの!?
「ま、窓から……っ!?何考えてんのよ、ここ2階よ!?」
流石に色んな意味で心配になり慌てて奴らが飛び出した窓に駆け寄る。ダダンッ!と大きな着地音が鳴り響いた1階の様子を見ると———私の心配をよそに、余裕で三点着地して走り出しているあいつらの姿が見えた。
……よ、良かった無事で———じゃない!?に、逃げられたっ!?
「このぉ……!こうなったら私もあいつらに続いて———」
「だ、駄目です代表!?下手したら、と言いますか下手しなくても大怪我しますよ!?」
「あいつらに出来て、私に出来ないとでも言うの!?」
「あいつらが異常なんですよ!?流石に無理です、迂回して追いましょう!」
後に続こうとする私を、近衛兵たちが必死で止める。……くぅ、確かにこれで怪我でもしたら部活とかに響きかねないわね……悔しいけど、言う通りに迂回してまた奴らを追いかけるしかなさそうね。
「し、仕方ないわ!もう一度新校舎に戻って階段を降りて1階に向かうわよ!皆、付いて来て!」
急がないとまた離されてしまうわね。奴らに対する苛立ちを抱えつつ、旧校舎側の階段は使えないから慌てて新校舎の階段を目指そうと踵を返す私たち。今度こそ逃がさな———
《———そこまでです。ようこそ、Eクラスの皆さん。早速で残念ですが……ここから先は行かせませんし、ここで勝負をつけさせていただきます》
「…………は?」
———にがさな、い……?え、あれ?踵を返した私たちの目に映ったのは、召喚獣に成って私たちの前に立つ月野先輩。……え?何で月野先輩が……?そ、それに……
「す、すみません。ですが……これも明久君を追いかけて疲れさせたり危ないことさせた罰と思ってください!」
《いや姫路さん!?それなんかちょっと目的ズレてません!?そこは普通“これも勝負ですから悪く思わないでください”的なこと言うところでは!?》
「あ、それもそうですね。えっと、とりあえずFクラス姫路瑞希がEクラス代表及び残りのEクラスの皆さんに勝負を挑みます。試獣召喚(サモン)!」
《こ、コホン。お、同じくFクラス月野造がEクラス代表さん及び残りのEクラスの皆さんに勝負を挑みますね》
「…………つ、きの先輩と……姫路、さん……?は?なん、で……?」
……それに、姫路さん?え、嘘何で……?って言うか、え?私たちの後ろで走っていたハズの他のEクラスの皆はどこにいるの……?何で本来いるハズのEクラスの皆が消えて、先輩たちが召喚フィールドを張って私たちを待ち構えているの……?
《Fクラス 月野造 物理 375点》
&
《Fクラス 姫路瑞希 物理 407点》
唖然としている私たちの前に、絶望的な点数が表示される。なん……なのよ……コレは……わ、わからない。今のこの状況全て、何がどうなっているのか私にはわからない。いいえ、一つわかるものはある。それは———
《さて、Eクラスの皆さん。わかっていると思いますが、ルール上勝負を挑まれたからには召喚に応じなければ戦闘放棄と見なされますよ》
「それと、残念ですが増援は期待しないでください。皆さん以外の……他のEクラスの皆さんは“全員すでに戦死しています”から」
「せん……し?全員、すでに戦死……?いや、でも……え?なに、これ……?」
そんな恐ろしいことを言って二人とも武器を私たちに向けつつ召喚を促してくる。先輩も姫路さんもすでにお互いが攻撃準備が完了しており、私たちが召喚獣を召喚した瞬間に攻撃してくるだろう———そう、わかっているのは一つだけ。これからどう抵抗しようとも、万に一つも私たちEクラスに勝てる可能性がないということだけは……わかってしまった……
———二学年試召戦争———
〜Eクラス対Fクラス:Fクラス勝利〜