二次創作小説(紙ほか)
- 137時間目 ( No.275 )
- 日時: 2016/03/11 20:49
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「流石に自分たちとの再戦を望んでこれまで頑張っていただけあって、かなり強かったですよねDクラス……疲れました……」
「Eクラス戦で消費していたとはいえ、中々にギリギリの戦いじゃったからの……」
「随分ウチらの事を研究してたらしいわね。正直不意打ちが上手く行かなかったら勝てなかったかもね」
なりふり構わない超短期決戦で決着を付けたかったのですが、Eクラス戦よりも時間もかかり点数消費も激しいですね……Eクラス戦で消費していたことや7人で戦ったことだけではなく、Dクラスの皆さんが相当自分たちとの再戦の為今日まで頑張って対策をしてきたことがよくわかりましたよ……危なかったぁ……
「……世辞は良い、結局俺らの負けだしな……くそっ、Fクラスは強いなホントに……」
心底悔しそうに唇をかむのはDクラス代表平賀くん。いいえ、お世辞ではなく本気で思っていますよ。自分たち7人の戦闘パターンや得意科目・苦手科目を把握していたように感じられました。そしてその情報を元に相手に応じて戦闘方法を変更したり立会人の先生を待機させておくなどと言った工夫もなされていて……最後の彼の油断と奥の手さえなければ負けていたかもしれません。
「流石に木下の声帯模写は作戦に考慮してなかった……完璧に騙されたぜ……あれさえなければ……」
「いいや、ワシの声帯模写はあくまで一つの罠に過ぎん。お主に気付かれぬよう他にもいくつか罠を張っておいたのじゃがな」
「えっ?」
そのヒデさんの言葉に、目が点になる平賀くん。これもまたゆーさんの奇策ですね。
「騙し討ちみたい———と言うかまんま騙し討ちになっちゃったからちょっとネタ晴らしてあげるわね。平賀、アンタってウチらの消費していた教科を中心に立会人の先生を用意していたでしょ?」
「あ、ああ……一番厄介なのは姫路さんの金の腕輪の能力とここにいる月野の全体攻撃だ。だからなるべく二人がEクラス戦で消費した科目や不得意科目の教師を用意しておいたんだが……それがなんだ?」
「でしたら不思議に思いませんか平賀くん?もしその通りに立会人を用意していたのなら———最後の詰めで姫路さんが金の腕輪を使えるハズないじゃないですか」
「…………あれ?」
自分のその言葉に、そう言われれば確かにそうだと言ったような顔の平賀くん。折角です、さっきまで忙しかったですが、今からは時間もあることですしゆーさんたちがこっちに戻ってくる間、少しネタバレしてあげましょうね。
「言われてみれば……おかしい、何でだ……?今回お前ら7人だけで戦う必要があったせいで、立会人の先生を確保出来るほどの余裕はなかったハズ……だよな?」
「そうですね。ちなみに代理召喚出来る自分がやったわけでもないですよ。その時は平賀くんを追い詰めていましたから姫路さんのいる場所にフィールド張れませんので」
「だ、だよな?だったらどうやって……?」
「何、種を明かせば簡単な事じゃ。お主らはの、姫路や造たちがEクラス戦で消費された科目について、“全て把握しておいたと思い込んでいた”だけなのじゃよ」
「お、思い込み……?な、何の話だそれ……?」
「ですから、ここにゆーさんの罠があったってことですよ。Eクラス戦で消費されていたと思って用意した立会人の先生の科目の一つに———実は金の腕輪を使えるほど点が残っていた科目があった、ただそれだけです」
「はぁ!?」
自分たちの説明に、全く納得いっていない平賀くん。まあ、“アレ”の存在があれば納得いかないのも無理はありませんが。
「そ、そんな筈ないだろ!?だ、だって……“アレ”の情報によれば間違いなく」
「アレって何のことかしら平賀?もしかして———ウチらのクラスに仕掛けられている“盗聴器”のことじゃないわよね?」
「えっ…………えっ!?ま、さかそれは……!?」
「そのまさか、です。盗聴盗撮のエキスパートのこーさんがいるのに、盗聴器が仕掛けられていることに気付かないわけないじゃないですか」
何でも教室に戻った瞬間一発で盗聴器が仕掛けられているとこーさんは気づいたとか。仕掛けられていた盗聴器は一学期の強化合宿の時のものと同じであったためか、Dクラスに———と言うか清水さんに仕掛けられたのだとこーさんが筆談で自分たちに教えてくれました。本来ならすぐにでも破壊か回収するべきでしょうが……
「そう。敢えて坂本は盗聴器に気付いていながらそれを残して、ウチらに関する嘘情報を盗聴器の前でペラペラと話したってこと。アンタらは【数学・英語W・英語R・物理・日本史・地学】が消費されているって盗聴器を通して聞いてたと思うけど、本当はEクラス戦で使ったのは【英語W・英語R・物理・日本史・地学】の5科目。数学はこの場の全員が無傷だったの。これも坂本の巧妙な罠ね」
「つまり……本当はEクラス戦で使っていない数学を……使ってしまったって俺らに勘違いさせたってこと……なのか……」
「ちなみにゆーさんはこうも予測していました。『ここまで用意周到に俺ら対策をしてくるDクラスは確実に倒せる科目で来るハズだから———造には英語で勝負を挑むハズ』だと」
「そして『姫路にはEクラス戦で数学の科目の点が戦死一歩手前、ほとんど残っていないという情報に踊らされた平賀たちなら、ほぼ間違いなく数学で勝負に来るだろう』とも雄二は言うておったの」
つくづくゆーさんが頼もしく、もし敵に回れば相当恐ろしいものだと実感できますね。平賀くんも予想だにしなかったでしょう。自分たちを有利に進めるハズの盗聴器が、逆に自分たちの首を絞めることになったんですからね。
「それでも納得いかない……どうして英語で俺たちのクラスの待機部隊が負けたんだ?罠を張られたにせよ少なくとも英語の科目はお前たち三人よりも待機部隊の方が点は高いはずなのに……」
「……んー、ちょっとした裏技ですかね。あ、ですがこれだけは流石に教えられませんからね。他のクラスにバレたら対策されかねませんし」
「うん、そうね。これは流石に秘密よ。出来ればAクラス戦に取っておくべきウチと月野の極秘の裏技だもんね」
「……と言うことは、まだ何か俺らが掴んでいない奥の手があったってことか……」
- 137時間目 ( No.276 )
- 日時: 2016/03/11 20:50
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
そう、Dクラスの待機部隊呼ばれた皆さんを相手に出来たのは、まだ明かせない島田さん(と一応自分)の裏技兼切り札のお陰。後のAクラス戦の一つの強い武器として秘密にしておきたかったとっておきなのですが……仕方ありませんね。Aクラスの皆さんにこのことがバレていないと祈りましょう。コレがなきゃ本当にDクラスの生徒さんに自分たち3人は倒されて、奇襲に失敗していたでしょうから。
「後はそちらの待機部隊さんを戦死させ、ヒデさんが西村せんせの声帯模写をすれば準備完了。召喚獣状態になってヒデさん・島田さんに自分の箒に掴まってもらい今度は自分の金の腕輪の能力【飛翔】を使って窓の外から平賀くんの後ろを取り、もしもの時を考えて他のDクラスの方々は姫路さんの取っておいた金の腕輪の能力を使って一掃———これが今回のDクラス戦の全貌ですかね」
「……くそっ、そう言うことか……俺も、まだまだ甘かった。悔しいが……完敗だよ」
ハァ、と大きくため息を吐き苦笑いをする平賀くん。その表情は悔しさは勿論あれど、何故だか清々しさをも見える表情です。
「クラス代表として言っちゃいけないことかもしれないが……ここまでやってダメだったなら、かえって清々しい気分だな。そっちの条件も甘んじて受けるよ。まあ、次に戦う時は今回のような慢心や研究不足は決してないと思ってくれFクラス」
「おおぅ、それは怖いですね……肝に銘じておきます。あ、そろそろゆーさんもここに来る頃ですかね」
「うむ、では戦後処理・今後の交渉は雄二と平賀に任せるとするかの。朝から動きっぱなしじゃしワシは少し休みたいぞい」
「よく考えたらお昼もまだよねウチら……うぅ、折角のアキのお弁当……食べるの遅れちゃったわね」
「でしたら戻ったらちょっと遅めの昼食兼今後の対策会議をしましょうか。ゆーさんが戻る前にお昼の準備を済ませておいてからね。それでは———平賀くん、試召戦争ありがとうございました!」
「「「ありがとうございました!」」」
「ああ、こちらこそありがとな。ここまで来たんだ……いずれ挑むであろうAクラス戦———必ず勝ってくれよ」
昨日の敵は今日の友……とはちょっと違いますが、戦場を離れれば同学年の生徒同士。同級生のそんな励ましの言葉を頂いて、Dクラスを後にします。…………ハプニングもありましたが、何とか本日の防衛戦はクリア。今日の事、今後の事に思いをはせつつも、今は走り回って栄養を欲している身体の要求を満たすべく他の皆さんと合流して遅めの昼食に向かいますかね。さてさて皆さん、D、Eクラス戦お疲れ様でした!
『……本当にFクラスならAクラスに勝てるかもしれないな。……まあ、“あのバカたち”さえちゃんとしていれば、の話だが。……これからどうなるのかわからんが、俺らDクラスに勝ったんだ。“色々と”頑張れよFクラス』
〜雄二戦後処理&交渉中 しばらくおまちください〜
———屋上———
「———まあ、とりあえずアレだ。お前たち6人よくこんな悪条件の中戦ってくれた。平賀・中林とも交渉成功したぞ。Aクラス戦の時には協力してくれるそうだ。それもこれもお前たちがよく働いてくれたお陰だな。礼を言わせてくれ、サンキューな」
波乱のD、Eクラス戦でしたが、被害も中々だったものの何とか乗り切り遅めの昼食会の始まり始まり。その前に代表であるゆーさんが自分たちに頭を下げてお礼を言います。
「頭を上げてくださいゆーさん。ゆーさんこそ、こんな状況でよくあんな奇策を思いついて実行してくれました。お陰で無事に乗り切れましたよ」
「そうそう。てか、雄二が素直に礼を言うなんて不気味だし気持ち悪いから頭上げてよ。調子狂っちゃうじゃないか」
「…………雄二らしくない」
「うむ、普段らしくもっとドンと構えておる方がお主らしいぞ」
そう言ってゆーさんに顔を上げるように頼む自分たち。お互いに頑張った結果、乗り切れたんですからね。ゆーさん一人が頭下げる必要ありませんもの。
「……ちっ、偶に素直に感謝したり褒めたりすればすぐこれか。ま、確かに俺らしくもねぇか。んじゃ湿っぽくなる前にメシでも食いながら反省会に入るとすっか」
「そうですね、明久君の手作りお弁当で回復しませんと♪」
「ウチもアキのお弁当今日も楽しみにしてたからね。じゃあ皆早速行くわよ。せーの、いただきます」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
と言うわけで、手を合わせてようやくエネルギー補給に入ります。午前午後にあった戦争の緊張も解け少なくとも今日は攻め込まれない安心からか、皆さん幸せそうに召し上がっていますね。自分も今日のお弁当はメニュー的にはいつも通りのはずですが、ちょっぴりいつもより美味しく感じます。……空腹と疲労こそが最高の調味料ってところでしょうかね。
「早速反省会を始めるか。食いながらでいいから聞いてくれ」
ご自身もパクパクとご飯を食べながら、ゆーさんがいつの間にやら用意していた資料を片手に反省会を始めてくれます。
「今回のD、Eクラス戦。……まずこの場にいる俺も含めた7人の働きについては、褒めるのも癪だが上出来だった。特に特攻部隊の姫路たちは期待以上に良い働きをしてくれたと思っている。次はもっと無茶ぶり出来るってわかって軍師としては大助かりだぜ」
「け、結構今回無理してたので、これ以上の無茶は控えて頂けると嬉しいのですが……?」
「わ、私もさっきよりも頑張るのは難しいと思います……」
「雄二よ、お主は鬼か」
「もっと無茶ぶりするって……ウチらにどうしろって言うのよ坂本」
「謙遜すんなお前ら。必ずやれるって信じてるぜ」
そうニィッと不穏な笑みを見せるゆーさん。いや、本気で更に無茶ぶりされるのは無理があるのですが……ま、まあこう言っても不可能な作戦はしないとは思うので大丈夫だとは思います……多分。
「前言撤回。雄二はもう少し皆を労わるべきだね。具体的には土下座でもして“皆さん私、坂本雄二はもっと死ぬ気で頑張ります。頼りなくてブサイクで情けない代表ですがこれからもどうか付いてきてくださいお願いします”って言うくらいはしてくれないといけないよね」
「…………無償で霧島用グッズ作成に協力して貰わないと割に合わない」
「やかましい使い捨て装甲共。ちなみに明久とムッツリーニ、お前ら二人には今後も問答無用で今まで以上に無茶ぶりさせるから、せいぜい黙って俺の盾兼生贄になってろ」
ガスガスガスッ!×3
そして今朝と同じく仲良く喧嘩する3人。殴り合いながらお弁当を食べ、その上おかずの取り合いまでするなんてホント器用ですよねー。もはや日常茶飯事ですし、ツッコむ必要はないものと見なして皆さんで3人の喧嘩を観賞しつつお弁当を突っつきます。
「つーわけで、この場の全員はこれからもこの調子で頼む。勿論今日上手く行った結果に満足せず日々精進してほしい。Aクラス戦は今日以上に過酷なものになるのは目に見えているからな」
「翔子ちゃんたち、強いですからね。二学期に入ってより一層成績が上がったそうですし」
「そうね、この前も翔子“……こっちは準備万端、いつでも来て。私たちが勝ったら雄二を婿にする準備も万端だから。何ならAクラスで式挙げても良い”って言ってたもんね。Aクラスの内装を式場の様に改装もしてたっけ」
「…………じょ、上等じゃねえか翔子の奴。首洗って待ってろってんだ……」
「ゆーさん、足がめちゃくちゃ震えちゃってますが大丈夫ですか?」
「生まれたての小鹿みたいだね雄二。負けたら雄二が霧島さんに美味しく頂かれることは良くわかったよ」
「ち、ちげーし!?これは武者震いだからな!?」
霧島さん相当気合い入れてますね……勿論霧島さんだけでなく優姉さんや工藤さん、久保くんたちもとても強いですから、確かにここで慢心してはダメ。油断せずこれからも精進せねば。
- 137時間目 ( No.277 )
- 日時: 2016/03/11 20:51
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「翔子のそんな戯言はともかくだ、当面の問題は……バカやらかした他のFクラス連中だな。まあ、今度余計な真似でもしたら唯じゃおかんと放課後にでも説教するが……ホント使えんなアイツら」
「ま、まあ久しぶりの試召戦争でしたし、感覚が掴めなかったのかもしれません……皆さん次は頑張ってくれると期待しましょう」
「見事に期待を裏切る未来しか見えんが……まあ次妙な事やったら本気でぶちのめすと公言しておいたからな。せめて壁としての機能を果たしてもらうさ」
ちなみに現在戦死してしまった皆さんはすべての科目を補充しておけとゆーさんに命じられ、罰も兼ねてお昼抜きで補充室にて補充を行っています。ここに来る前にちらっと補習室を見てみましたが、皆さん真剣に点数補充に専念していましたしきっと次は頑張ってくれるでしょう。
「で、こっからが最重要事項だ。今後の予定についてだが……この場にいる全員がかなり消費している現在の状況。この状況を利用して、恐らく……BかCクラス———いや、Bクラスはまだ大した動きはないからCクラスか。今日にでもCクラス代表の小山が宣戦布告してくると予想している。全員月曜にCクラス戦があると思っておけ」
「「「「「「え……?」」」」」」
と、アキさんから強奪したおかずを頬張りながら(ちなみにアキさんもアキさんでゆーさんのおかずを奪取しましたが)何気なくゆーさんがとんでもない爆弾発言を。げ、月曜にCクラス戦……?
「え、ちょっと待って雄二……さっき防衛戦が終わったばかりなのに月曜にCクラス戦……?ホントなの……?」
「おう、キツいがそうなるな。さっきな、ここに来る前に小山と会ったが、アイツ放課後Fクラスに話があると言ってきやがった。十中八九その時に宣戦布告に来るハズだな」
小山さんが……?あ、じゃあもしかしてこの前自分たちに今後の予定を聞きに来たのってまさか……!?
「まず月曜に仕掛けてくるのは間違いないだろう。つか奴らが仕掛けるにはこのタイミングしかない。他のバカやりやがったFクラス連中のせいで、連中も含めD、Eクラス戦で俺たちはこんなにも消耗しちまった。そこを見逃す小山じゃねぇだろ。俺だって逆の立場なら間違いなく攻め込むぞ」
「で、でも待ってよ雄二!?小山さんこの間はまだ宣戦布告しないって言って———」
「そう、明久の言う通り確かに奴は“まだ”宣戦布告はしないって言ってたな。だがな、“まだ”ってことはいずれ仕掛ける気って意味も含まれるだろうが。そもそもあいつは別に“俺たちFクラスに宣戦布告しない”とは言ってないぞ」
「ならば……つまり小山のヤツは」
「ああ。奴は待ってたんだよ、俺らが今日のD、Eクラス戦でこれだけ消費するのをな」
「なるほど……あの時は様子見してたんですね」
今更ながらいくらFクラスが脅威になるとはいえ、わざわざ様子見の為に予定を聞きに来る必要はないはずです。“まだ宣戦布告はしない”と説明することで自分たちを油断させるつもりだったのですかね……これはマズい。
「じゃが雄二よ、どうして月曜にCクラス戦と言い切れるのじゃ?」
「よく考えてみろ。普通は一つの戦争が終わったら、点数補充期間が設けられるだろ?」
「…………試召戦争の細かいルール。無いと困る」
ゆーさんの言っていることは今日の連戦のような宣戦布告を受けたこちらが補充しなくていいと宣言する特殊な場合を除き、普通の試召戦争では一つ戦争を終える度に点数を補充できる期間が設けられるという試召戦争のルールですね。このルールがなければどのクラスでも簡単にやられちゃいますし。
「だがな、ルール的に補充期間として設けられるのは一日。一日経てば補充が終了したと見なされ他クラスは宣戦布告OKになっちまう。で、間が悪いことに明日は土曜で、午前中授業だから午前中しか点数補充できないんだ。月曜にはルール通り補充に一日使ったと判断され他クラスは俺たちFクラスに宣戦布告可能となるわけだな。更に俺たちは前言った通り上位クラスに位置しているから下位クラスの宣戦布告を拒否することもできない。つまりはこんな厳しい状態だが下位クラスに位置しているCクラスの宣戦布告を受けざるを得ないってことだな」
「つまり結局普段の半分の時間しか補充できないってことですね……ひょっとしなくても小山さん、最初からそれを狙っていましたかね」
「その可能性は非常に高いな。良いタイミングで仕掛けてきやがるぜ……」
小山さんはあの小暮さんの後輩ですし、普段から鍛えられていますもんね。これから戦うのは小山さんだけでなく小山さんの陰にいる小暮さんってことになるわけですか……ああ、ヤバい。身震いしちゃいそうです自分……
「むぅ……ゆーさん、だったら今からでも自分たちも補充に行った方がいいのでは?」
「いや、今日はお前ら大分働いてくれたからな。今から補充に行ってもあまり時間がないし全員疲れもある、やってもロクに補充も出来んだろう。今日は休んで明日3科目くらいは補充してもらう」
「ですが坂本君。私たちは3科目以上消費してますしそれでは月曜には間に合いませんよ」
「そうね、あまり悠長なこと出来ないんじゃない?やっぱりウチらも今からでも補充を……」
「どうせ今ほんの少し補充してもたかが知れている。つーか下手すりゃ今より点数が減る恐れもあるだろう。疲れも出てきてる状態で補充するより今日しっかり休んで明日と月曜に全力で補充していく方がよっぽど良いさ」
ふむ、それも一理ありそうですね。今日はもう30分も時間無いですし、だったら少しでも体力を回復&温存して明日と月曜に備える方がかえって効率もいいかも。
「…………それだと月曜は主力が抜けたまま防衛戦になるがいいのか?」
「おう、だから月曜の作戦の肝は籠城戦・そして補充試験だな。明日具体的に説明する予定だが、姫路たち攻撃部隊4人は可及的速やかに明日3〜4科目程度、試召戦争中に残りの科目を補充してもらう。その間俺と明久、ムッツリーニに他のFクラスの連中でどこかの教室を使い籠城する」
籠城ですか……厳しい戦いになりそうですね。本来自分たちFクラスの戦闘の特徴は短期決戦型。爆発力がある分長期戦・持久戦は不向きのハズ。
「開始位置やそれぞれの役割については現在検討中だ。大体は決めているがCクラスの連中がどんな動きを見せるのかわからん以上そこは臨機応変にいくぞ」
「それはわかったよ。でも……Cクラス戦、今日以上に厳しい戦いになりそうだね」
「一学期はAクラスに敗北したとはいえ、もともとCクラスは成績も上位者揃いですからね。気を引き締めていかないとAクラス戦どころじゃなくなるかもしれません」
アキさんと自分の言葉に、全員ちょっぴり浮かない顔。と、そんな中我らが軍師のゆーさんはと言うと、そんなアキさんと自分に対して———
「おら、シャキッとしろやお前ら。何を弱腰になってやがる」
ビシッ!×2
「「痛っ!?」」
———デコピンをお見舞いします。ゆ、ゆーさん……?
「状況は悪いとはいえ、こうなることはそもそも予想済みだ。小山の奴が様子見に来ていた時から近いうちに攻め込まれるってことはわかってたしな。寧ろAクラス戦の前にCクラス戦を行いたかったからありがたいくらいだぜ」
あっちが攻めてこないなら、いっそこっちから宣戦布告してたくらいだぜ。とはゆーさんの言葉。ゆーさん曰くCクラスも勿論Aクラス戦の大事な駒だそうです。
「大体なお前ら———消費している?相手は今日の連中よりも格上?そんなもん関係あるか。あれを忘れたとは言わせねぇぞ」
「な、何のことだよ雄二」
「ゆーさん……?何を忘れたと……?」
自分たちのそんな疑問に、ゆーさんは立ち上がって答えてくれます。
「これから先戦う上で一番大事な事だろが。良いかお前ら、ウチのクラスは……俺たちFクラスは———」
そこまで言ってゆーさんは、自分たちを見渡しながらニィッと笑って自分たちを勇気づける頼もしいあの言葉を続けてくれます。
「———最強だろうが」