二次創作小説(紙ほか)
- 138時間目 ( No.280 )
- 日時: 2016/03/11 20:59
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「———と言うわけで、我々CクラスはFクラスに対して試召戦争を申し込みます」
試召戦争解禁直後二クラスから宣戦布告を受けた自分たち。トラブルはあったもののゆーさんの策と皆さんの頑張りでD,Eクラス戦を何とか乗り切ったその放課後に、ゆーさんの予想通り今度はCクラス代表小山さんから宣戦布告を受けました。
「ハイエナみたいなことをして悪いとは思うけど、こんな絶好のチャンスは見逃せないから。別に不戦協定を結んでいたわけでもないし、文句は言わないでね坂本君にFクラスの皆さん」
「そりゃそうだ。つか、ここで攻めないでいつ攻めてくるんだって話だからな。俺だって逆の立場ならそうする」
今は自分たちが一応上位クラスにあたるので、Cクラスの宣戦布告は基本的に断れません。本音を言うとせめてあと一日補充期間が欲しい所ではありますが、文句を言っても仕方ありませんからね。ゆーさんの策に委ねましょう。
「でしょうね。何にせよ納得してくれて嬉しいわ。それじゃあ月曜日の……9時45分から試召戦争といきましょう」
「……?何だ、随分妙な時間から始めるんだな小山」
「そう?準備とかは勿論、遅刻してくる子たちがいるかもしれないしこの時間がちょうどいいかなって思ってたんだけど……ダメかしら?Fクラスとしてはもっと早いほうが良いの?それとも遅いほうが良いの?」
「……ふむ、まあそっちに合わせてやるさ。他に条件はあるのか?」
「うーん……ああ、そうだったわ。試召戦争って普通は自分たちのクラスをスタート地点にして開始するものでしょ?それじゃああまり面白くないし、今回は試召戦争開始前にどこにいても良いようにしない?」
「ほう、そりゃ面白い。いいぜ、試召戦争が開始したらどこに代表がいるのかを公開するっていうあのルールを守るなら乗った」
こうしてゆーさんと小山さんによってとんとん拍子に話が付けられます。決戦は月曜日の9時45分から、補充期間は明日の半日のみ。D、Eクラス以上に手強いCクラス相手……今日以上に気合いを入れていかねばね。
「———じゃあ、そんな感じでお願いね。……悪いけどここのクラス設備、絶対に頂くから覚悟しててねFクラスの皆さん」
「そら恐ろしいな。まあ肝に銘じつつ返り討ちにしてやるから安心しろCクラス」
そう言って無事(?)宣戦布告の処理を終え、Cクラス代表小山さんと使者の皆さんが自身の教室へと戻っていきました。
「さて、と言うわけで予想通り月曜にまた防衛戦となったわけだ。相手は今日の二クラスより更に成績的な意味でも悪知恵的な意味でも上位の相手だな。一学期にAクラスに負けたとはいえ、Cクラスも強敵であることは忘れるなよ」
Cクラスの皆さんが戻っていったことを確認し、更に念には念を入れDクラス戦のように盗聴器などが仕掛けられていないのをこーさんが再度確認して作戦会議の開始となります。
「さっき説明した通り、明日は全員で点数が低い科目中心に3〜4科目補充してもらう。で、問題の月曜日だが……今日の特攻部隊の姫路・造・島田・秀吉の4人は約2時間で残った回復しきれていない科目を補充だ」
「ふむ、今日とはまた違った時間との戦いじゃな」
「補充は必須。ですが補充に気にとられて時間をかけすぎると籠城戦に響く……バランスが難しいですね。なるべく迅速に補充して戦線復帰しますので、それまでは頑張ってください皆さん」
「私も頑張ってすぐに解いて戻りますね」
「急ぐつもりだけど、ウチらが戻るまで絶対にやられないでよね」
「大丈夫だよ、瑞希に美波。皆こそ大変だと思うけど頑張って」
「…………安心して補充しろ造に秀吉」
自分を含めた補充組の4人は明日と月曜にどの教科をどの程度回復するのか、どのくらい時間をかけられるのかが勝負の分かれ目になりそうですね。今日のうちに試験の復習ついでに少し考えておきますか。
「悪いな、頼んだぞ4人とも。で、その他の連中で籠城戦を行う。恐らく俺らの苦手な長期戦にならざるを得ないだろう。ちなみに今回は試召戦争開始前に準備OKの特別ルールを設けたからな、Cクラスの動向を見ながら補充室や籠城場所を選んでいくつもりだ。と言うわけで各々の配置等は明日と本番の月曜に詳しく説明する。全員死ぬ気で———いや死んでも戦い抜くこと。特に今日無様な結果しか出さなかった連中、お前たち次はないと思えよ」
『おうよっ!わかってるぜ、俺も次は無いって思ってる!Cクラス戦楽しみだな坂本!めちゃくちゃ待ってたんだぜこの時を!』
『安心しろ坂本!今日まで存分にやれなかった分、めいいっぱいやってやるよ!』
『点数補充も十分やったし、心置きなく討ち取りに行くからな!』
…………?な、何だか今朝やお昼に比べると皆さん随分やる気満々みたいです。まあ、Eクラス戦で不完全燃焼した分、頑張りたいと思っているのでしょうかね。
「ちっ……調子いいなお前ら。まあ、ちゃんと補充はしていたようだから今回は大目に見る。つーか、説教しようとした矢先に全員過去最高の点数取りやがって……やればできるのに何で今の今までやらねーんだよお前たちは……」
こーさんに貰った資料によると、今日の反省からか戦死した皆さんは補充試験で今までにないほど点数を取ってくれたとか。今朝と比べても気合い十分のようですし、うんうん。頼もしい限りですね。
「さて、俺から言うことは今日は次で最後だ。正直かなり辛い戦いになるだろう。だが全員気合いで乗り切れ。Cクラス戦さえ無事に済めば次こそ悲願だったAクラス攻略に入る。そう一学期に果たせなかった悲願———奴らがふんぞり返って座っている椅子もシステムディスクもクラス設備も奪い取り、Fクラスが最強であることを証明してやる。その下準備のCクラス戦……全力で叩き潰すぞっ!」
『『『おおぉおおおおおおおおおおお!!!』』』
ゆーさんの宣誓と共に湧き上がる歓声がFクラスを揺るがします。これだけやる気があるならきっとCクラス戦も大丈夫だって信じられます。さて……情報通りですと恐らくこれが防衛戦最後の戦い。ちょっぴり自分たちが戦況的に不利ではありますが、策略と気合いと根性で絶対に勝って見せましょうCクラス!
『———なんてな。無事に乗り切れば?笑わせてくれるな全く』
『次こそ悲願のAクラス戦?……バカめ、次なんて貴様らには無いんだよ坂本・吉井・ムッツリーニ』
『ふんぞり返ってるのは誰だ……?キサマらだ異端者共。月曜は覚悟しておけよ』
『……やれやれ、ほんっとこいつ等バカばかりね……すみません先輩。悪いわね坂本君たちも……でも、言ったわよね。“こんな絶好のチャンスは見逃せないから”って』
〜そして迎える運命の月曜日〜
- 138時間目 ( No.281 )
- 日時: 2016/03/11 21:00
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
———Fクラス———
土曜日に半日ながらいくつかの科目を回復して、迎えた月曜Cクラス戦。早めに教室に着いて今日補充予定の科目を復習するためノートと教科書をパラパラ捲っていると———しばらく経つと我らが軍師ゆーさんが神妙な顔で資料を片手に登校してきました。
「……わからん」
「おはようですゆーさん。どうしました?」
「ん?おう、おはようさん造。相変わらず早いな。———ちょうど良い、これを見てほしい……今ムッツリーニにCクラスの今日の配置情報を貰ったんだが」
「配置情報……?あ、そう言えばCクラスの動向を見ながら補充室や籠城場所を考えるって言ってましたね。えっと、どれどれ———んん?」
その手にしていた資料を自分にも見せてくれるゆーさん。そこには文月学園の校内案内が描かれており、Cクラスの現在の戦力の配置図が追加で書き込まれていますが……何これ?
「……どう思う。これ妙だろ」
「……妙ですね。もしかしてこーさんが盗聴器とか使って仕入れた特別な情報何ですか?」
「いいや、誰にでも調べられる情報だとムッツリーニは言っていた。その証拠にさっき様子を見てみたがこの通りにCクラスは配置していやがった。だからこそ……わからん」
Cクラスの戦力配置図を見て首をかしげる自分とゆーさん。いざと言う時に代表が逃げやすい新校舎一階の実習室にCクラスの本陣&補充室を設けているのは、まあわかります。ですが……わからないのはその次から。一年生の教室がある2階新校舎の廊下には古典の竹中先生を待機させ、古典の科目が得意な生徒を配置。二年生の教室のある3階新校舎の廊下には保健体育の大島先生を待機させて、保健体育の科目が得意な生徒を配置しています。え?それの何が妙かって?それはですね———
「確かに今回は試召戦争開始前にどこにいても良いようにと、俺はCクラスと特別ルールを設定したが……わざわざこんな見え見えの対策してくれって言いたげな配置は一体何だ……?」
「こんなに朝早くからわざわざ担当の先生まで待機させ、しかもその担当の先生の科目が得意な生徒を配置させるなんて……小山さんにしては分かりやす過ぎですね。いかにも私たちは2階では古典で、3階では保健体育で勝負しますよって宣言しているようなものですよね……と言うことは———」
「「———十中八九何かしらの罠……」」
どう見ても罠ですよねこれ……誰がどう見ても罠、見え見えの罠。……どうなっているのでしょうねこれ。
「見え見えのわっかりやすい罠ってことは、本命の罠は別に隠してある可能性が非常に高いなこりゃ。いや高いと言うか、絶対何かあると思ってまず間違いない……と思うんだが」
「そうでしょうね……ですが……うーん」
ゆーさんの仰る通り、絶対何か別の罠を張っていると考えて間違いないですが……罠があるだろうからって無視できない配置ですねこりゃ。
「今回の作戦の肝は籠城戦だからな……ぶっちゃけ今は罠を気にしててもどうしようも無いんだよな……」
「ですよね……今の段階ではCクラスの皆さんにどんな意図があるのかわかりませんし無視もできませんから……目に見える配置の対策だけでもしておくべきではないでしょうか?」
「結局そうなるんだよな……まあ、うだうだと悩んでもしゃーない。後手に回りかねんが奴らに合わせて籠城場所と補充室、及び各兵の配置をするとすっか。ちょうどほぼ全員揃ったみたいだしな」
そうゆーさんが教室内を見まわして自分に言います。つられて見てみると———
『ふぁ……おはよー、眠いね』
『…………同感』
『む、明久に島田に姫路か。おはようじゃ』
『うん、おはよう皆。ほらアキはしっかりしなさい。夜にちゃんと寝ないからよ。って、あららまた寝ぐせが……ふふっ♪押さえておいてあげる』
『明久君、ネクタイも曲がっちゃってますよ。じっとしててくださいね———はい、出来ました♪』
『う、うん……ありがと二人とも。な、何か照れるね』
———いつものメンバーが仲良く集まっていますね。教室内もほぼ全員Fクラスのクラスメイトの皆さんも集合しているようです。時間も時間ですし、そろそろ良い頃合いですかね。
「ではゆーさん。そろそろ行きますか」
「おうよ。よっし、お前ら作戦説明(ブリーフィング)を始めるぞ!」
もう一度だけ教室内を見回してから、皆さんに聞こえるよう大きな声を上げ立ち上がり教卓の前に歩み出るゆーさん。
「まずは各人員の配置から説明する。Cクラスの連中が新校舎1階に本陣と補充室を置いたが……俺たちは本陣を旧校舎4階の文化部部室の一室に、補充室を旧校舎1階の空いている教室に置く」
「その変な配置って、何の意味があるの雄二?」
「まず本陣を旧校舎4階のに置くのは敵本陣及び補充室からなるべく離れた場所にして出来る限り時間稼ぎをしたいからだな。籠城戦は姫路や造たちの補充の為のもの。時間を出来る限り稼いで補充の時間に当ててもらい、終わったら総攻撃をかけるつもりだ」
「ふむ、ならば補充室を旧校舎1階に置くのはどういう意図じゃ?」
「補充が終わった姫路や造たちの移動に都合が良さげと判断したからだ。Cクラスの防衛が手薄ならそのまま一気に新校舎のCクラス本陣に殴り込みに行けるし、俺たちがヤバイなら駆け上がってCクラスにバックアタックを仕掛けられるしな」
と言うわけで、まずは本陣と補充室の配置が決まりましたね。次に問題のCクラスが何か企んでいるであろう2階3階をどのように配置するかですが……
「さて、Cクラスの連中が妙な配置をしている2階3階について作戦を伝える。まず3階の保健体育で待機していやがる連中をどう相手にするかだが———ここは当然ムッツリーニを中心とした保健体育で点が取れている部隊を空き部屋にでも待機させておこう。奴らが何をたくらんでいるか知らんが……ムッツリーニがいるにも拘らず保健体育で相手しようなどとバカな考えを起こしたCクラスを後悔させてやれ」
「…………任された」
まあ、3階はこーさん待機で安定でしょう。保健体育限定ではありますが教師以上に凄まじい点数を取っているこーさん相手には生半可な罠は通用しないでしょうし。
「一番の問題は2階の古典で待機している連中を誰に当てさせるかだが……まいったな。古典で点が取れているのは姫路・造・秀吉・俺くらいか……俺が行くわけにもいかんし、3人は補充する必要があるから部隊長は任せられんし……」
「雄二、ならばその役ワシがやろう」
「え、ヒデさん?」
困った表情をしているゆーさんの前に、頼もしい声でヒデさんが手を挙げてくれます。
「秀吉がか?いや、だがお前は補充組で……」
「ですよね。大丈夫ですかヒデさん?」
「安心せい雄二に造よ。ワシは補充に関しては昨日の段階で大体終えておる。姫路や造のように多くの補充が必要であったわけではないからの」
「そうね。坂本、実言うとウチももう1,2教科補充すれば万全とは言えないけど前線に立てると思うわ。ウチと木下って瑞希と月野の撃ち漏らした敵の相手をするだけだったじゃない。だから補充も昨日大体終わったしそんなに必要ないのよ」
なるほど、確かに前回のD・Eクラス戦は全体攻撃を連発して万遍なく点数を消費してしまっている自分と姫路さんとは違い、純粋な召喚獣の戦闘で戦ったヒデさんと島田さんは大きく点数を消費しているわけではなかったですっけ。これは嬉しい計算違いですね。
「ふむ、なら悪いが秀吉。予定変更してお前は古典の部隊長として、2階で古典が多少点の取れている部隊を率いて待機しておいてくれ。全員潰せとは言わんが、一人一人確実に倒して数を減らしてほしい」
「頼みました、頑張ってくださいねヒデさん」
「うむ心得た。任せるのじゃ雄二に造よ」
「それと島田。お前は補充が済んだと判断したらすぐに4階まで上がって籠城戦に加わってほしい。Cクラスの連中は一気に攻め込んでくるだろうし、数も多いからな。一人でもCクラスの連中に対抗できる奴が防衛に加わってもらいたい」
「オッケー、出来るだけ急いで補充してそっちに合流ね」
ヒデさんはここ最近現代国語や古典で点数を伸ばしていますからね。古典の部隊長としてしっかり頑張ってくれるでしょう。島田さんも特に数学はBクラス上位陣並みの戦力があります。防衛に回ってくれるならとても心強いですね。
- 138時間目 ( No.282 )
- 日時: 2016/03/11 21:01
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「島田が早い段階で戻ってこれるなら大分気が楽だな。さて、それで肝心の防衛の主体となるのは……明久お前だ」
「ん?僕なんだ」
「ああ、Cクラスの連中は開幕と同時に俺らの本陣に押し寄せてくる。姫路と造が補充している間は対抗しようとしたところで残念ながら勝ち目はない。だからこその籠城戦だ。戦闘区域を狭い出入口に絞って消費を抑えながら時間を稼ぐ。出入り口が一つしかない文化部部室を本陣に選んだのもそのためだな」
「ふーん?……ん?待った雄二、もしかして僕の役割って」
「そうだ、お前の役目はCクラスの連中をあしらい時間を稼ぐとこだな。多人数を相手にして被弾を最小限に抑えられるのはお前くらいなもんだからな。とりあえず島田が戻ってくるまで何とか耐え抜け」
「……それ、結局いつもの使い捨て装甲板作戦じゃないの?」
「何か問題でもあるのか?」
ゆーさんはそう軽く言いますが、信頼しているからこそですね。アキさんはこの学園の中でもトップ3に入るほど召喚獣の扱いが上手です。二重召喚の腕輪も相まって一度防御や時間稼ぎに徹すれば誰もアキさんには敵わないでしょう。期待してますねアキさん。
「そして最後に姫路と造。お前たちは全教科の回復を優先してくれ。言わずもがな二人とも攻撃の要だ。さっきも言ったが補充が終わった段階でCクラスの防衛が手薄ならそのまま一気に新校舎のCクラス本陣に殴り込みに行け。俺たちがヤバそうと判断したら悪いが加勢に来てくれ。一応どう動くべきか伝令を出すつもりではあるが、好機と判断したら迷わず各々最善手の行動を頼む」
「はいっ!任せてください!」
「了解ですよゆーさん」
今回共に行動する予定の姫路さん。ちらりと彼女を見ると強い意志の光を感じます。きっとゆーさんたちが期待している以上に活躍してくれるでしょう。自分も彼女を見習って頑張らねば。
「よし、それじゃあ全員持ち場についてくれ。Cクラス戦———絶対勝つっ!」
そうゆーさんは全員に告げて作戦説明を終えます。そのゆーさんの台詞と共に持ち場に付き始める皆さん。Cクラス戦まで多少の時間があるとはいえ、のんびりもしていられません。自分も急いで持ち場につかなければ。
「ではまずは補充に行きましょうか姫路さん、島田さん」
「そうですね。あ、その前に補充室の確保と補充試験の監督兼採点の先生も呼んでおかないといけませんね」
「そう言われればそうだったわね。じゃあ先に職員室に行って事情を説明しに行きましょう」
と言うわけで、姫路さんたちの言う通りまずは職員室に行くことに。良い教室や話が分かる先生を確保できると良いのですがね。
『……じゃあお前ら、手筈通りに』
『……了解です。合図と共に行動開始します』
『……全員健闘を祈る、行くぞ』
———旧校舎1階———
三人で事情を説明すると、補充試験の監督兼採点として手の空いていた福原先生が快く引き受けてくれました。ただ補充室の場所は———
「———すみませんね皆さん。今日は生徒たちが他の場所を使うとかでここしか空いている場所がなくて」
「いえいえ。大丈夫ですよ福原先生」
「お時間を取らせちゃってすみません先生」
「ウチらなるべく早めに終わらせますね」
「あ、いえ気にしないでください。……正直今日は暇でしたし」
先生の説明通り他の場所が空いていないとかで、唯一空き部屋だった生徒指導室に案内された自分たち三人。窓もなくちょっぴり狭いのは寂しいですが、すぐ補充も終わるでしょうし気にしていられませんよね。先生に続いて、自分たち三人も生活指導室に入ります。時間的には早いですが、試召戦争が始まる前までは持ってきたノートを読み直して復習して少しでも点を取れるようにしませんとねー……なんて、頭の中でそんなことを考えていた次の瞬間———
ガララっ……バンっ! ガチャンっ!
「「「…………えっ?」」」
———突然自分たちの背後の扉が激しい音と共に閉ざされて、まるで外からカギをかけられたような音が鳴り響いた時……今回の事件の火蓋が切られてしまいました……
———同時刻:旧校舎3階———
康太Side
「…………雄二からの預かりもの?」
『そうそう、これなんだが』
『何でもムッツリーニに是非読んで貰いたい資料だとか』
「…………わかった」
Cクラス戦の準備の最中、横溝から何かの資料を受け取る俺。資料か……このタイミングの資料言うことはCクラス戦攻略のための資料だろうな。そう考え。何の警戒もなくその資料を開くと———
「…………(ブハッ)!?」
———とてつもない、過激な……ちょっと工藤似の女優の写真集が俺の目に写るとともに、俺の鼻から大量の血が流れ出ていってしまった……
———同時刻:旧校舎2階———
秀吉Side
「な、何じゃお主らは!?何をする気じゃ!?」
もうすぐCクラスとの試召戦争だと言うのに、待機しておった旧校舎の廊下で数人のクラスメイトに取り囲まれ状態になってしまったワシ。何をやっておるのじゃこやつらは!?
『こ、怖がらなくていいよ秀吉ィ……!』
『チョーット閉じ込めるだけだからネー、イタクないからネー!』
『あ、あくまで拘束するだけ!ちょっと胸とか尻とか触っちゃうかもしれないけど拘束するだけだから!』
そう言って手をワキワキとさせながら、何故か興奮気味に気色の悪い表情でワシに迫るこやつら。ええぃ、一体何がどうなって……!?
———同時刻:旧校舎4階———
明久Side
『おいおい吉井、お前バカだな。手に何かくっついてるぞ』
『坂本、お前もだ。何だそれは』
もう少ししたらCクラスとの試召戦争が始まるって時に、突然僕と雄二にそんなことを言うクラスメイト達。ん?手?何か付いてるっけ?
「え、嘘?どこに?」
「付いてねえぞ、んなもん」
そう言われて雄二と二人自分の手に目を落とすと———
ガチャッ!×2
「「…………は?」」
…………何だか知らないけど、確かに付いてた。いや、正確に言うとたった今付けられた。
「って、ちょっと!?手錠……!?しかもワイヤーで雄二と繋がれて……何コレ!?」
「お、お前たち何していやがる!?そろそろ戦争の時間なのに遊んでいる場合じゃ———」
何故だか僕らの手首には、妙に頑丈そうな金属の輪っかが嵌められている。しかも同じく頑丈そうなワイヤーを通じて、僕の右手首と雄二の左手首を繋がれているときた。よりにもよってこんなブサイクと繋がれるなんてまっぴら御免だし試召戦争ももう始まってしまう、雄二と二人で抗議しようとクラスメイトの方を見てみると……えっ?
『『『そう……ここからが戦争の時間……遊びは終わりだバカ者共が……』』』
バールにナイフに釘バット。メリケンサックにスタンガン。その他諸々装備して、ガチで戦争準備万端な異端審問会(クラスメイト)の殺意と憎しみに満ちた姿がそこにはあった。
「「…………何ィ!?」」
『『『さあ……“Fクラスの変”の始まりだ異端者共よ……!』』』