二次創作小説(紙ほか)

141時間目 ( No.289 )
日時: 2016/03/11 21:11
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

造Side


Fクラスのゆーさんたちに対する“Fクラスの変”と言う名の造反劇。このシナリオは恐らく第三者に描いてもらったものだと推測した自分とゆーさん。二人の意見が一致した、その第三者であり協力者でもある人の名前は———

「「「———協力者は、小山さん?」」」

「はい。まず彼女で間違いないかと」
「一体いつからFFF団と組んでいたのかはわからんが、この状況を見ればヤツが協力者で決まりだな」

———そう、本来今日の試召戦争の相手であるCクラスの代表、小山さんが協力者で間違いないでしょう。

「思えば先週のD,Eクラスとの防衛戦。その時のFクラスの皆さんのあの不可解な戦死。あれも小山さんの作戦だったのかもしれませんね。あの段階ですでにFクラスの皆さんと小山さんが手を組んでいたのかも……」
「ああ、こうなってくるとヤツがEクラス戦でわざと戦死するよう連中に指示した可能性が非常に高いな。全ては今日のこの状況を作り出すための策ってワケか……やってくれるぜ畜生め」
「でしょうね。それと……今になって朝の妙なCクラスの戦力配置の意図がわかってきましたね。あれって要するにアキさんゆーさんやこーさん、ヒデさんに自分たちをバラバラにすることが目的だったんですね」
「だな、露骨にムッツリーニや秀吉の得意分野で誘ってきたのは俺たちを分断させて協力して逃走させないようにしたかったんだろう」

戦争を仕掛けてきたタイミング、絶妙な時間設定、自分たちメンバーを上手く分断させたCクラスの生徒の配置位置。これらの要素を踏まえると小山さん以外に協力者は考えられないでしょう。

「……時間もそろそろ危険ですね。早くこの場を出ませんと。あと13分くらいでしょうか?」
「だな。ヤロウ……昨日の妙な時間設定を提示された時点で気づくべきだったぜ……小山の奴俺たちが須川たちから逃げられることを計算した上で、俺たちに態勢を整える暇を与えないような絶妙な時間で試召戦争開始させる気だったんだろうな」
「何?ま、待つのじゃ造に雄二よ。ここから出るじゃと?何故なのじゃ?」

折角の安全地帯なのにと、ヒデさんが自分とゆーさんに尋ねます。ああ、そうかこのルールはあまり知られていないんですっけ。

「いえ、それが……試召戦争のルールにですね、試召戦争中クラス代表はどこにいるのか位置を公開しなければならないと言うルールがありまして。一応一時間に一回10分間だけトイレ休憩等の理由を使って代表の場所を公開しなくてもいいって言うその補充ルールもありますが……結局10分経ったらまた次の一時間は代表の場所を公開する必要がありますし」
「え?そんなルールあったっけ?」
「知らんのも無理はないか。クラス代表にのみ課せられた試召戦争のルールの一つだからな。代表の居場所がわからんなら決着がつかんし、その間に他の連中が補充試験をやったりでもしたら勝負の行方が左右されちまうだろ。上手く隠れられちゃ勝負の方向性が変わってしまう故、普通は代表の居場所の明確化は試召戦争の必須条件だ。ただ……」
「今回はそのルール、完全に自分たちの足かせになってますね……」

思わずゆーさんとため息一つ。このルールが無ければこの場に留まれるのですがね……

「つまり試召戦争開始時にCクラスにゆーさんの位置が知られている必要があるってことですね。と言うわけで、少なくともゆーさんはそろそろここから出なければならないんです」
「小山はこう考えていたんだろう。試召戦争開始までに須川たちが俺たちを仕留められればそれで良し。処刑されて動けない俺に勝負を挑んで召喚に応じない俺は戦死となりCクラスの勝ち。たとえ逃げられようと態勢を整える暇なんか無くタイムアップで結局Cクラスの勝ち———ってな。現にもうすぐにでも出ないとCクラスとの試召戦争、俺らの負けが確定だ」
「げっ……ってことは手錠で雄二と繋がれている僕も出ざるを得ないってこと!?」
「そう……なりますね」

そうか……だからこそワイヤー付手錠を使ってゆーさんとアキさんを繋いだのですね。こうすれば二人は強制的に共に行動しなければならず、個々の動きに制限がかかってしまいます。仮にアキさんがクラス代表であるゆーさんを守るために召喚して、それで戦死でもしたらゆーさんまで補習室まで直行。そして補習室前で逃げられないゆーさんは皆さんに袋叩きに合ってしまう———と。

これも小山さんが須川くんたちに託した策なのでしょうね。小暮さんに鍛えられているだけあって、ホントに手強い相手ですね小山さん……

「実に腹立たしいがそうなるな。……おいムッツリーニ、これ外せねぇか?」
「…………道具が……ない、と……それに……今の俺……では……」
「そうか……とにかくムッツリーニ。お前は今は少しでも回復しとけ」
「…………すまん……少し、寝る……」

(主に鼻)血を流し過ぎてふらふらのこーさんが申し訳なさそうにそう言って、目を閉じて体力回復に専念します。多分これも彼女の策の一つでしょう。こーさんを行動不能にすることで、アキさんゆーさんの手錠の開錠を出来なくしたってことですか。ここも良く考えられていますね。

「……これすっごく言い辛いのですが……つまり現在の状況を整理するとこういうことですか」

敵はCクラスと自分たちを除いたFクラス男子。代表であるゆーさんがこの場に留まればルールにより自動的にCクラスに敗北。つまりゆーさんは出ざるを得ず手錠で繋がれているアキさんも仲良く表に出ることに。ちなみにこのワイヤー付手錠はFクラスの殺気だった皆さんの攻撃の回避をするのに邪魔すると言うありがた迷惑なおまけ付き。

まずはこの手錠を何とかしたいところ。この手錠を外す方法は二つあり、鍵を須川くんたちから奪うかこーさんに開錠してもらうかですね。ですが鍵は多分……須川くんたちの事です、恐らく捨てられている可能性大ですからここはこーさんに開錠してもらうしかありません。ですがそのこーさんは道具も無い上血が足らず随分弱っているので今は指一本動かせない……

そう言うわけで結局手錠で繋がれたままFクラスの皆さんから逃げなければならず、逃げきらなければ本当に殺されかねない状況になっているアキさんとゆーさん。例えFクラスの皆さんから逃げられても、忘れちゃいけないのは今日はCクラスとの試召戦争の日だと言うこと。Cクラスの皆さんとも戦わなければなりません。

しかし試召戦争においてとても重要な働きをするはずの補充試験室は、Fクラスの皆さんによって最大戦力の姫路さんと特攻隊長の島田さんごと封じ込まれて使用不可。ですから下手に点数を削られた場合でも補充が出来ずにまともに戦えないままという最悪のお手上げ状態———

141時間目 ( No.290 )
日時: 2016/03/11 21:12
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「———と言うことですね。これ、結局どちらに転んでもCクラスの勝利と言う図式になってますね……」
「……最悪だよね。進むも引くも地獄だなんて」
「Aクラス戦を前に、ここにきて反乱とはの。天下統一を目前に光秀に本能寺の変で討たれた信長の気分じゃ。“Fクラスの変”とはよく言ったものじゃな」
「……クソッ!あと少し……あと少しだったのに……ヤロォ……っ!」
「……ゆーさん」

打倒Aクラスはゆーさんの悲願。いいえ、ゆーさんだけではありません。この場にいる全員が同じ気持ちのハズ。だと言うのにこんなところで諦めるなんて……では自分たちは何のためにここまで戦ってきたのですか……?

「……むぅ」

負けたくない、ここまで来たからには絶対に勝ちたい。こんなところで終れません。頭の中をフル回転、持てるカードと状況全てを使って、何とか切り抜ける方法を見つけなければ———っ!戦力・特技・人間関係・手持ちの道具にその他諸々。……戦えるのは誰か……自由に動けるのは、誰か……思考のピースを組み立てて、この状況を打破できる作戦をパズルのように組み立てます。何か……何か手はあるはず、何か……

「…………一つだけ、作戦を思いつきました。皆さん、聞いてくれますか?」

「「「……造?」」」

そして、一つの抜け道を。この難題を突破できるかもしれない自分が考え得る唯一の策を、思いついてしまいました。


〜造説明中〜


「———と、こんな感じですが……どうでしょう」

「「「却下」」」

説明が終わったその後に、開口一番却下されてしまう自分の作戦。ああ、やっぱりそうなっちゃいますよね……

「……そう言われると思いましたよ。それで?却下の理由は?」
「当たり前だ、無茶にも程がある。つーかお前の負担がデカ過ぎる」
「そうじゃな、いくらなんでもそれは無いのう」
「元を正せばあいつらは僕や雄二、ムッツリーニが狙いなんだよ!?それなのに造にだけそんな無理をさせられな———」


バンッ!


「「「っ!?」」」

……備え付けていた時計を見ると、もうほとんど時間がありません。バンッ!と机を叩いて皆さんを叱責します。

「……皆さんがそんな根性無しだとは思いませんでしたよ……っ!」
「何……?」
「勝たなきゃいけないんでしょう!?勝ちたいんでしょう!?……負けられないんでしょう!?……勝つ気が無いのならさっさと帰ってくださいよっ!自分は一人でも戦いますからね!?」
「つ、造……?」
「今日まで頑張ってきたことを無駄にするんですか!?諦められるんですか!?そうじゃないでしょう……っ!勝ちましょうよ、絶対。ここで立ち止まる自分たちじゃないでしょう?試召戦争、諦めるんですか?諦められるんですか?」

そう必死になって訴える自分。これまでの皆さんの頑張りを無にはさせませんっ!こんなところで躓くなんて面白くありませんもの!そんな自分の言葉に、アキさんとゆーさんは二人顔を見合わせて嘆息します。

「……そうだったな。悪かった造、俺としたことが弱気になっちまってた」
「ゴメン造、こんなところで諦める方が辛いってこと、忘れてたよ」
「いえ……すみません声を荒げてしまって。今回の作戦、アキさんやゆーさんだって辛いのにこんな無謀な作戦を立てて……」
「ナメんな造。こうなった以上俺も全力でやってやるよ。その計画、俺は乗った!」
「そだね、僕も逃げることに関しては誰にも負けない自信があるよ。僕も乗った!」

そう言って自分に笑顔を見せるお二人。……すみません。お二人とも大変でしょうが頑張って……!

「ヒデさん、ヒデさんはどうですか?やっぱり却下ですか?」

では残るはヒデさんの説得ですね。未だに何やら納得がいっていない顔のヒデさんにそう尋ねます。今回の作戦、ヒデさんに頑張ってもらわなければならないわけですし、何とか納得してもらわなきゃならないのですが……

「ハァ……何を言っておるのじゃ造よ。お主勘違いしておるようじゃがワシは初めから“お主の案”に関しては何も却下なぞしておらぬぞ。現状それが唯一の突破方法じゃろうからの」
「えっ!?」

と、溜息と吐きながらそう自分に言うヒデさん。え、ですがさっきは却下って……?

「ワシが却下と言ったのは、その内容についてじゃ。明久と雄二はともかくワシならば自由に動けるし共に戦えよう。なのに何故ワシを戦力に入れてくれぬのじゃ?」

そう不満げに尋ねるヒデさん。あっ……!?し、しまった慌ててて完全に肝心の“本当の作戦”を説明しそびれていた……!?

「お主、ワシでは力不足と言いたいのかの?確かにお主や明久たちに比べると戦闘技術も無ければ点も取れておらぬが、ワシだって———」
「す、すみませんヒデさん!?違う、違うんです!説明し忘れてたんです!今の作戦はあくまでも“この場を切り抜ける”為の作戦なんです!」
「……む?」
「例えですね、さっきの自分の作戦通りに事が進んでCクラスに勝てたとしても、今回の“根本的な問題”は一切解決できません。そうでしょう?」
「あー、確かにこのままじゃこれから先もこういう事が度々起こりうるだろうな」
「造が言いたいことって……あのバカ共をどうするかが問題ってことだよね」

その通り、本当に大切なのは目先のCクラス戦ではなく暴走している“Fクラス”を立て直すことです。

「だからこそ今から説明する“本当の作戦”は……ヒデさん。貴方に全てがかかっています」
「…………は?」
「断言しましょう、ヒデさん。今回自分やアキさん、ゆーさんやこーさん以上に作戦の要となるのは———ヒデさん、貴方です」
「……詳しく話を聞かせてもらおうかの」

141時間目 ( No.291 )
日時: 2016/03/11 21:13
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———同時刻:補充試験室(生活指導室)———


瑞希Side


ガンッ!ガンッ!ガンッ!


「———ちぃ、開けなさいよバカ!ええぃ……こうなったら扉をバリケードごと破壊して……アキを虐めた奴らの関節も徹底的に破壊するしか……!」
「あ、あのぅ……島田さん。一応私の、先生の前ですしそう言う過激な発言をされると困るのですが……」

『ヒィ!?……だ、大丈夫だよなコレ!?壊されないよな!?』
『ね、念のためもうちょっとバリケード強化しておこう』
『し、島田ァ!そんな脅しをしようとも無駄だからな!』
『そうだ!我々は決して理不尽な暴力には屈しない!』

「アキたちを抹殺するって言っているアンタらに暴力がどうとか言われたくないわよ!?良いからさっさとここを開けなさいっ!」

あと数分でCクラスとの試召戦争の時間。それなのに扉には鍵がかけられて、外にはバリケードが張られてしまいました。何とか月野君だけは脱出できましたが……未だに補充試験室に閉じ込められたままの私と美波ちゃん(と補充試験監督役の福原先生)。とてもじゃありませんが試召戦争どころではありません。

……ですが、美波ちゃんが外の皆さんと話をしている中、私は脱出しようとしていた時の月野君の言葉を思い出していました。


〜回想中〜


《———良かった、ここならば!》
『どう、月野?天井裏からなら行けそう?』
《はい。ですがこの狭さ……やはり残念ながら召喚獣サイズでなければ通り抜け出来そうにありません。お二人の脱出は……》
『わ、私たちに構わずに行ってください!明久君たちをお願いします!』
『アキたちを頼んだわよ月野!』
《わかっていますっ!では———あ、そうだ……その前に。お二人とも!》

『『え?』』

《……なるべくは急ぎますが、このとんでもない状況です。お二人の救助には時間がかかるかもしれません。ですから———お二人にはお二人の、出来ることを頑張ってください!ではっ!》


〜回想終了〜


そう言って天井裏の何本ものケーブルがぎっしりと張り巡らされている隙間を召喚獣と成って必死に駆けて行った月野君。出来ることを頑張って……ですか。もし今のこの状況で私と美波ちゃんに出来ることがあるとしたらそれは———

「……じれったいわね。月野も戻ってこないし一体どうしたら……」
「———受けましょう、美波ちゃん」
「……えっ?な、何瑞希?受けるって何のこと?」

突然の私の発言に、ポカンとした表情で反応する美波ちゃん。

「決まっています、補充試験を受けましょう。月野君も言ってましたよね、私たちに今できることをやるべきです」
「補充試験を?でも何で……?」

これは私の唯の推測ですけど、このタイミングでのFクラスの皆さんの暴動から察するにこの補充試験室を私たちごと封じ込めて明久君たちに補充試験を行わせないようにしたCクラスの皆さんの作戦のはず。さっきの福村君の会話から考えて、Fクラスの皆さんと手を組んでいる可能性が非常に高いです。つまりCクラス戦の間はここが解放されない限り明久君たちは補充できないことになってしまいます。

……ですが逆に言えば、ここに閉じ込められた私たちは何の邪魔もされずに点数を補充できることにもなります。そうです、“明久君たちが解放してくれるまで”点数を補充し続けることが出来るんです……!

「ここで立ち止まっちゃダメだと思うんです。きっと明久君たちはまだ諦めてなんかいません。明久君たちは私たちの為に今まで一生懸命頑張ってAクラスに勝とうとしてくれました。私もそんな明久君たちに応えたいんですっ!」
「瑞希……アンタ……!」

そう大きな声で必死に訴える私。そんな私の頭をポンポンと、優しい笑顔で撫でる美波ちゃん。

「うん、そうね。その通りだわ瑞希。ウチらに出来ることはアキたちを信じてここから出た後———いいえ、この先のAクラス戦に繋がるように頑張ることよね」
「は、はい!」
「ありがと瑞希。ウチも落ち着いたわ。———先生!試召戦争は始まったらすぐに補充試験を受けさせてください!」
「へ?……あ、はい。わかりました。では机の上には筆記用具以外は出さずにそれ以外の物はしまって———」

私の言いたいことをちゃんとわかってくれた美波ちゃん。先生にそう促すと補充試験の為に席に着きます。私も美波ちゃんに続いて席に着くことに。

「それにしても……今の瑞希って———良いわね」
「へ?良いって……何がですか?」
「うん、良いわ瑞希。さっきのウチへの啖呵。カッコ良かったわ超良いわ!ウチ思わず瑞希にも惚れちゃうかと思ったわよ♪」

緊張を解すように美波ちゃんが爽やかに私に向かってそう言います———って!?

「ほ、惚れるって!?も、もう!?茶化さないで下さい美波ちゃん!」
「あら?ちょっと本気だったのに残念♪ま、そう肩に力を入れずに頑張りましょ瑞希」
「うぅ……カッコイイって言われたのは嬉しいのに、何だかちょっと複雑ですよ美波ちゃん……」
「———あ、あのぅ……確かに今更こんな説明はいらないとは思いますが、形式ですし先生の試験の説明はちゃんと聞いてくださいねー……」

そう先生に注意されて、頭を切り替えて補充試験の準備に取り掛かることに。……明久君、それに皆さん。私たちも私たちの戦いを頑張ります。ですから……どうか負けないで……!