二次創作小説(紙ほか)

143時間目 ( No.295 )
日時: 2016/03/11 21:20
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

造Side


Cクラスとの試召戦争———だけでなくFクラスの皆さんの暴動を対処するべくいよいよ始まった自分のとある作戦。今のところ第一段階は悪くないペースで事が進んでいると言っていい感じです。

《———フィールドに入ったらこっちのものです!Fクラス月野造!そちらのCクラスの生徒さんに勝負を挑みます!》
「うっ……し、Cクラス野口、勝負に応じます。試獣召喚(サモン)!」
《そこですっ!喰らいなさいっ!》


ブンッ!———ザンッ!


《Fクラス 月野造  数学 378点 → Fクラス 月野造  数学 251点》
                 VS
《Cクラス 野口一心 数学 142点 → Cクラス 野口一心 数学  0点》


「んな!?い、一撃で戦死……!?」
《よし……!》

とにかく何が何でも先手必勝。相手が試獣召喚(サモン)と唱えられたら、すぐさま次に現れる召喚獣の出現場所———つまりは召喚者の足元を狙い風の刃を撃ちこみます。倒れるのを確認すると今度は……

「よしよし、良いぞ造!明久、腕輪使うからこのバカ三人任せた!」
「わかっているって!ほら、来なよ皆!」
「それじゃ……再設定(リセット)!」


《Fクラス 月野造  数学 251点 → Fクラス 月野造  数学 378点》


「回復出来たぞ造!そんじゃ次行くぜ!」
《助かりますゆーさん。では……解除(キャンセル)!》

———Fクラスの皆さん3人相手に大立ち回りをしていたゆーさんが、すぐさま黒金の腕輪を使い点数を回復します。その間はアキさんがFクラスの皆さんの面倒を見てくれます。回復したらフィールドを解除して周りを囲まれる前に別の場所へと向かって走る自分たち。こんな感じで3人で役割分担をしながら一人倒してはすぐ移動、また一人倒してはすぐ移動と言う具合に“時間”までゆっくり、ですが確実にCクラスの皆さんを倒していきます。

「雄二、例の時間まであと何分?」
「10分ちょいだな。もう少しの辛抱だ」
「では……あとちょっとだけCクラスの皆さんを倒しておきましょうね」
「そうしてくれ。それじゃ次はまた引き返してグラウンドに行くぞ。隠し扉も5つある内の一つがあの辺にあるんだよな」
「はい。時間になったらそこに迷わず飛び込みましょうね……それにしても……うーん」

「「ん?どうした(のさ)造?」」

…………それにしても、これは直接は試召戦争に関係のないですし本人たち曰くどうでもいいことらしいのですが。自分には3人と戦うのは大変だし危険だと仰っている割に、ゆーさんも勿論アキさんも手錠で繋がれていると言うハンデ付きでよくもまあそんな武器を持った複数人のFクラスの戦闘集団と戦えますね……さっきなんかゆーさん、5人以上と相手してたような気が。アキさんもアキさんで手錠でゆーさんと繋がれているのが嘘と思えるくらい身軽に相手を翻弄していましたし。

「……いえ、その二人ともよく鍛えてあるなって思っただけです。(ある意味)尊敬します」

お二人とも先ほどからまさにちぎっては投げちぎっては投げと武器らしい武器は何も持っていないにも関わらず、全く彼らを苦にせずに相手をしています。……こう言っては二人とも落ち込むでしょうから言いませんが、こういうことが出来るからこそ文さんはアキさんとゆーさんを不良だと判断しているのでは……?ま、まあとても男らしいですし自分(+お二人の事を大好きな女性陣)はちゃんとお二人の事とてもカッコイイと思っていますからね。

「ん、そうかな。へへへっ、まあ褒められても照れちゃうかな」
「まあ、これくらいは朝飯前だからな」
「……やっぱり流石ですね、色んな意味で。ま、まあそれはともかくそろそろグラウンドに着きますし気を引き締めていきましょう。ここさえ乗り切れば第一ラウンドは制せますからね」

そう言っている間にグランドに辿り着き、グラウンド中央で立ち止まる自分たち三人。さあ、残り10分はここで迎え撃つとしましょうか。

「さて……次は逃走する必要がありますし、なるべく今現在の点数が高い科目でいきますね」
「そうだな。なら地学辺りでいくと良い。確かCクラスの連中あまり地学は取れてなかったはずだ」
「地学ですね。わかりましたゆーさん」
「雄二、僕らも気を引き締めよう。奴らが来るよ。造がフィールドを張ったら黒金の腕輪使うんでしょ?召喚野球の時みたいに忘れるようなマヌケはしないでよね」
「お?お前にしてはちゃんとわかってやがるな明久。わかってる、んじゃ設定(セット)する間は奴らを頼む。さてじゃあ———」

『『『いたぞ!Fクラス代表、我々Cクラスのために倒させてもらう!』』』

『『『いたぞ!異端者共代表、我々Fクラスのために殺させてもらう!』』』

「———いくぞ、明久・造っ!」
「応よ雄二!さあ来い異端審問会!」
「了解ですゆーさん!起動(アウェイクン)!科目:地学!」


キィイイイイイイイン! ボンッ!


《Fクラス 月野造 地学 387点》


《よし、ゆーさんっ!》
「設定(セット)!———これでいいな。時間まで粘ってくれ造!」

『会長っ!坂本もこっちに来やがりました!』
『飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ!総員、全力でぶちのめせぇ!』

そう言ってアキさんが面倒を見ていたFクラスの皆さんと対峙しにいくゆーさん。そんなゆーさんを見送りながら自分は自分でCクラスの皆さん6人と対峙します。

「……今度は地学で来たのね。しかも中々の高得点、金の腕輪がないことが唯一の救いかしら」
「怯むな!どうせ坂本を倒すにはあの子先に倒さないとならないんだ!囲みながら接近戦で挑むぞ!」
「いいか、さっきの代表の説明通り召喚したら間髪いれずに接近戦に持ち込む!攻撃の隙を与えたらすぐに戦死させられると思え!いくぞっ!試獣召喚(サモン)!」

「「「了解!試獣召喚(サモン)!」」」

《では……Fクラス月野造!そちらの6名のCクラスの皆さんに勝負を挑みますっ!》

忘れないように勝負を挑んで、このフィールド内にいる皆さんと対峙する自分。10分後に姿を消す予定ではありますが、ただ時間稼ぎするのは勿体ないです。出来る限りCクラスの皆さんの戦力を削らなければ。

「ハァッ!喰らえっ!」
《っ、早い……!》

召喚と同時に自分の懐に入り込もうとするCクラスの皆さん。まだ空中に点数が表示されていないにもかかわらず、攻撃に転じてくる召喚獣たちの攻撃を避けながら距離を空けます。

「なるべく固まっちゃダメよ!まとめて攻撃されかねないわ!」
「一定の距離を空けられる前にすぐにこの子を囲もう!確か代表曰くこの子の武器は距離を離さなければ使えないそうだしな!」
《……なるほど、見抜かれてますかね》

距離を取って攻撃に転じようとした矢先、四方八方を6体の召喚獣に囲まれる自分。……弱点なので味方以外にはとても言えないことですが、本来は3〜4メートルくらい離れていないと自分まで攻撃に巻き込まれてしまうのですよね……こんな作戦を出すとは、小山さんに弱点が見抜かれているかもしれませんね。

《———ですが、弱音は吐けませんよね。いっけぇ!》

囲まれているので後ろにも注意をしながら、牽制交じりに一番遠くの召喚獣に向かって点数を少しだけ消費して風の刃を放ちます。そうダメージは与えられませんが一瞬の隙はつけるハズ。その攻撃を皮切りに、このグランドが戦場へと変わっていきました。

143時間目 ( No.296 )
日時: 2016/03/11 21:24
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

雄二Side


『『『死ねぇ!坂本に吉井ィ!』』』

「ハッ!良い度胸だ———テメェらがまずクタバレや」
「色々と勝手に言ってくれて———君らに殺されるほどお人よしじゃないよ」

Cクラスの連中を造に任せ、俺と明久は大事な試召戦争中に暴動なんてバカをやらかしてやがるこの暴徒を相手にする。明久とワイヤー付手錠で繋がれていると言うハンデがある中、この暴徒たちは武器を持って容赦なく攻め込んでくるが……

「っしゃあ!」
『ゴフッ……!?』

こっちも大事な試召戦争の予定が狂わされたんだ。懐に入り込みアイツら以上に情け容赦なく鳩尾に拳を叩き込む。まあどうせしばらくしたら復活してくるだろうが、復活したらしたでストレス解消にまたぶちのめすだけだしな。こりゃ良いストレス解消のサンドバッグだ。

「ついでに———明久!」
「OK!」

明久に合図をして手錠で繋がれている方の手を思いっきり引っ張る。

『お、うぉおお!?』

すると、俺と明久の中央にいた敵の一人がワイヤーに引っ掛かって体勢を崩す。

「くらえやボケェ!」
『ぐぼほっ……!?』

そこにすかさず俺が左拳を叩き込む。そのままコイツはもんどり打って倒れ、地に沈んでいく。ハッ!他愛もない。……と、まあこんな具合に、ハンデであった明久とこの邪魔な手錠の扱いにも慣れてきたところだ。普段はただの世界一のバカだが、こういう時は地味に役に立ちやがる俺と繋がれているバカ。死んでも言うつもりはないが、まあ良くも悪くも息は合うからな。

『ええぃ、相手はたったの二人だぞ!ビビることはねぇ!』
『その通りだ!こっちは三人もいるんだからな!』
『そうとも!俺たちが負けるわけがない!正義は勝つのだからな!』

必死で戦う俺らの前で、相手の三人が口々にそんなことをのたまう。おいおい、それはなんて———

『『『ぎゃあああああああああああ!?』』』

———なんて見事な死亡フラグだ、おい。明久と共に一撃でぶちのめし、グラウンドに沈んでもらう。ま、ごく一部の頭と体のリミッターが外れている連中がいないならこんなもんか。

「何だったんだあいつら、異様に手応え無かったぞ」
「まあ、戦う前から勝負はついてたんじゃないかな」

明久の言う通り、戦う前から死亡フラグ立ててやがったしな。それにしても正義は勝つ?笑わせてくれる。当たり前だ、勝った方が正義だからな。つまりは俺らが正義だ。そう思いつつ、別の連中と対峙する。次は———武藤と君島か。

「さぁて……次はお前らか武藤に君島」
「殺す気で来たんだし、やられる覚悟は勿論あるんだよね二人とも?」
『っ!こ、こうなったら見てろよ……試獣召喚(サモン)!』
『俺も行くぞ、試獣召喚(サモン)!』

と、そんな中何を思ったのか突然召喚獣を召喚するこの二人。造が張っているフィールド内にいるから、普通に召喚は出来る。出来るが……何だ?何をする気だこいつらは?確かに召喚獣はゴリラ並のパワーがある恐ろしい存在だ。だが明久や造のように物理干渉のない召喚獣では俺たちに触れることはできないハズ。そんな召喚獣をこんな時に出すのは、一体どんな策が———

『Fクラス武藤啓太!Fクラス異端者の坂本に召喚獣の勝負を挑む!』
『同じくFクラス君島博!異端者代表の坂本に召喚獣の勝負を挑む!』

「「…………は?」」

…………何をやっているんだこの二人のバカは?

『どうした!ホラさっさと召喚しやがれ!お前を討ち取ればCクラスの勝利で目的の半分は果たせるぜ!』
『造ちゃんもやってただろ!召喚に応じないならお前の負けだぞ坂本ォ!』

…………その言葉に思わず明久と顔を見合わせてしまう。こいつらまさか“召喚に応じなければ戦死”のルールを使っているつもりなのか……?バカだ、ここにバカが二人ほどいるぞ。

「ハァ……あのなぁ。あのルールはあくまで試召戦争中の相手クラスの生徒に対して適用されるルールだぞ」
「まあ確かに今は君たちが造反してるけど、形の上では僕らってFクラスの仲間だしそのルールは全く意味ないんじゃないかな……?」
「そういうこった。明久でもわかることをわかっていないとは……悲しくなるバカだなお前ら」

『『あっ』』

「「隙ありぃ!」」

俺たちのその説明に呆けたこいつらに一撃を喰らわせる俺と明久。ちなみにこの二人FFF団からも———

『えぇい何バカやってんだそこの二人は!』
『邪魔だお前ら!遊ぶんなら別のとこでやりやがれっ!』
『もうあっち行け!召喚獣出してんなら造ちゃんを戦死させて戦いやすくするくらいお前らバカでもできるだろ!』

———そう厳しめのコメントを受けている。その温かい(?)仲間の声援(?)を受け、その二人は少し目に涙を浮かべつつ造とCクラスの連中が対峙している場所に移動してしまった。……何しに来たんだあの二人?

———さて、それは一旦置いておくとしてだ。この造が考え出したこの作戦、改めて当事者である俺たちはともかく関係ないはずの造と秀吉の負担が非常にデカいと感じる。一応納得はしているものの正直言うと、巻き込んでしまったのは悪いと思っているし出来ることなら代わってやりたい気持ちではある。明久たちの同棲生活が一つの切っ掛けではあっても、代表としてクラスをまとめられなかったのは……代表失格って言われてもおかしくないしな。

……まあ、代わろうにも代われない立場だが。どうあっても俺は俺だし、造は造だし秀吉は秀吉だ。立場を悔もうとも出来ることはそれぞれ違って来る。だからこそ出来ることを完璧にやり遂げなければならない。ちなみに俺に今出来ることはただ一つ。代表として死んでも戦死しない事。これがこの無謀な作戦を提案した造や実行している秀吉たちに対する礼儀だ。

「———さぁ、次はどいつだ!さっさとかかってこいや!」

……いかんな。こんな時に妙な感傷に浸っちまった。そんな感傷を吹き飛ばすように大声で叫びつつ拳を固める。とにかく今は明久と共に時間が来るまでこのバカ共の相手をするとしようか。


造Side


《はあっ!》
「うおっ!?」

現在Cクラスの皆さんを一人倒して5人と戦闘中の自分。皆さんが地学であまり点数が取れていなかったこともあって、厳しいですが何とか対処できています。

「なんで……なんでこうも倒されるのよ……!?」
「ダメージはほとんどないのに鬱陶しいな畜生……!」

牽制に1〜2点という少ない点数で生み出した風の刃を、相手の召喚獣の関節目がけて放ちます。それではほぼダメージは与えられませんが、関節に攻撃を受けた召喚獣はコテンとその場に倒れ込んでしまいます。要はちょっとした膝カックンの原理ですね。これなら時間稼ぎにはなりますし攻撃のチャンスが来れば、倒れてる召喚獣に目がけて一撃を加えられますからね。

《みみっちいですけど……これ繰り返せばチャンスが———セイッ!》

「「ああっ!?またっ!」」

《早速チャンス到来っ!喰らいなさいっ!》

そんなことを考えていた矢先、二体の召喚獣が自分の目の前で同時に倒れおまけにそれぞれの武器までも転んだ弾みで落としてしまいます。よしっ!これなら防御も回避も出来ないハズ。さっきの小さな風の刃ではなく100点分キッチリ使った風の刃を生み出してその二体の召喚獣目がけて放ちます。これで二人倒せる……と、その絶好のタイミングで———

『そこまでだ造ちゃん!』
『坂本は殺れなかったが、造ちゃんは戦死できる!さあ尋常に勝負だよ!』
《んなっ!?む、武藤くんと君島くん!?》

———どういうわけか、その倒れたCクラスの二人の前にゆーさんたちと戦っていたFクラス所属の武藤くんと君島くんが召喚獣を引き連れて現れます。な、何でこんな時にっ……!?

143時間目 ( No.297 )
日時: 2016/03/11 21:23
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「そ、そこのアンタら!ちょうどいいわこっちに来なさい!」
「坂本君倒せないならせめて私たちの盾になりなさいよ!」

『『へ?———って!?攻撃の真っ最中!?や、止めてくれ!?補習室は極力行きたくないのに!?』』

《武藤くんと君島くんの召喚獣を盾に……!》

咄嗟に武藤くんと君島くんの召喚獣を盾にして攻撃を免れようとするCクラスのお二人。マズ……イ!?このままじゃ彼らまで倒してしま———!?


———ザンッ!


《Fクラス 月野造  地学 262点 → Fクラス 月野造  地学 155点》
                 VS
《Fクラス 武藤啓太 地学  61点 → Fクラス 武藤啓太 地学  9点》
                 &
《Fクラス 君島博  地学  54点 → Fクラス 君島博  地学  4点》


『『《あ、危なかった……!》』』

あと一歩で倒しかけはしましたが、何とか途中で無理やり風の刃の軌道を変えることに成功した自分。よ、良かった……“作戦上”彼らを倒してしまうと後々困ります。点数も大きく消費してしまいましたしCクラスのあの二人を倒せなかったのは残念ですが、ここは仕方ないですね。思わず自分も、それから戦死しかかった二人もホッと息を吐きます。ホント良かったぁ……

『し、Cクラスの皆さん!俺らはやっぱり坂本抹殺に向かいますね!』
『け、健闘を祈ってますね!それじゃあ失礼しまーすっ!』

あと一歩で戦死という状態でしたし、そそくさとフィールドに出てもう一度ゆーさんを倒しに行く武藤くんと君島くんの二人。良かった……退避してくれるならこちらとしても助かりますね。

「ああもう!何しに来たのよあのバカたち!?」
「まあ、あの子の点数消費してくれたし一応盾としては使えたから大目には見るが……」
「……あれ?ねえ、ちょっと待って。何であの子邪魔になるはずのFクラスのあいつら戦死させないのかしら……?」
「そ、そうよね。助かったけど……あの子からしたら暴走してるあのバカたち倒しちゃっても問題ないはずなのに」
「わからん……わからんがチャンスだ!この隙に畳み込め!」
《うわっ!?……さ、流石にしんどいですねコレ》

そして再び始まる戦闘。とにかく振り回される武器を極力鍔迫り合いにならぬようギリギリで回避して、隙を伺いながらチャンスを待ちます。どうしても躱せなかったり危険と判断すれば吹き飛ばしの能力でフィールド外へ飛ばして仕切り直し。

「ちぃ、吉井並にちょこまかと回避して……」
「今倒されてくれるなら痛くないように倒してあげるわよ月野君!だから大人しくなさい!」
《む、無茶言わないでくださいねっ!?》

……最初にゆーさんが複数人と戦う場合の危険さを説明してくれましたが、今になってわかります。確かにゆーさんの仰る通りですね。味方がいない状態では3人でも大変なのに4、5人相手にするはかなり一苦労。攻撃のタイミング、前後左右だけでなく死角からも向かって来る敵の対処にその他諸々を考えるのは骨が折れますね。

それでも何とか2、3人を戦死させて補習室送りにさせながら、止めどない攻撃の雨を必死の思いで避けつつ待つこと約10分———


pipipipipi!


「「《———っ!》」」


自分・アキさん・ゆーさんの腕に付けていた腕時計のアラームが鳴り響きます。そのアラームと共に必死の攻防を繰り広げていた自分たち3人全員がアイコンタクト開始。

《(ゆーさん、時間です!)》
「(よし!よく耐えてくれたな造。明久、やれ!)」
「(了解、いくよ!目を瞑って二人とも!)」

ゆーさんのアイコンタクトの合図にアキさんがこーさんが託してくれた閃光弾を地面に叩きつけ、3人で次に来るであろう眩い光に備えて目を瞑ります。


———カッ!


「「「うわっ!?」」」

『『『ぐあっ!?』』』

「———今だ!Fクラス坂本雄二!試召戦争開始から一時間経ったので、試召戦争のルールに則りこれより10分間代表の位置非公開可能時間を使わせてもらう!」

まともに閃光弾の閃光を見てしまったC・Fクラスの皆さんが怯んでいる隙に、ゆーさんが高らかにそのように宣言。宣言が終わったら今度は自分の番です。グラウンドに残った点数を消費してプチ竜巻を起こす自分。周囲はたちまち土煙に覆われてしまいます。自分たちの姿をその土煙で隠しながらダメ押しで一発残りの点数ギリギリを使いCクラスの生徒さんの召喚獣がいるであろう場所に攻撃を放ってから———

《ゆーさん、お願いします!》
「おうよ!再設定(リセット)!」


キィイイイイイイイン!ポン!


《Fクラス 月野造 地学 7点 → Fクラス 月野造 地学 387点》


———忘れずにゆーさんの黒金の腕輪の能力の再設定(リセット)で点数を元に戻します。そして未だに視力が回復しきっていない皆さんを横目に———


ピッピッピッ……ガチャ!


———古びている今はもう使われていない焼却炉に偽装した隠し扉のロックを外して勢いよく中に飛び込み扉を閉める自分たち。……緊張した面持ちで、その隠し扉越しに周囲の様子を聞いてみると。

『あ、あの三人の姿が見当たりませんっ!?』
『ど、どこ行ったんだ!?』
『探せっ!まだ近くにいるハズだ!見つけたらすぐに皆殺しだぞ!』

悔しがる声、焦る声、アキさんゆーさんに対する恨みつらみを呟く声などが聞こえてきます。これはつまり———

「「《…………セーフ》」」

———そう、これはつまり無事に撒けたということのようですね。第一ラウンドこれにて終了。よ、良かった何とか乗り切りましたね……

「「《はぁ……疲れたぁ……》」」