二次創作小説(紙ほか)
- 144時間目 ( No.298 )
- 日時: 2016/03/11 21:26
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
Cクラス及び造反したFクラスとの試召戦争。最初の一時間はどうなることかと思いましたが、自分とアキさんゆーさん三人疲れは見えるものの何とか無事に乗り切れました。
「「《ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……》」」
「よくやったのお主ら!ほれ、水じゃ!」
隠し部屋に入ると、良く冷えた飲料水を持ってヒデさんがすぐに出迎えてくれました。良かった……ヒデさんも無事のようですね。
《あ、ありがとです……ヒデさん……》
「ひ、秀吉もお疲れ……雄二、これインターバルは……?」
「ハァ……約9分ちょい……だな。鉄人の地獄の持久走を思う出すハードさだぜ畜生め」
《そ、それでも……何とかなりましたね……今のうちに、息を整えたりしましょうか。おっと、解除(キャンセル)》
一旦召喚獣状態から元に戻り、座り込んでヒデさんから頂いた飲料水で水分補給を行うと少しは楽になりました。お水がこんなに美味しく感じるとは……まあ、あと数分もしたら同じように戦いの場に逆戻りなんですけどねー……正直しんどいですが頑張らなければ。
ああ、そうそう。少し補足しておきましょう。クラス代表には試召戦争中に皆さんに適用される基本ルールだけでなくクラス代表ならではの特別のルールがいくつか設けられています。その特別ルールの一つに“試召戦争中はクラス代表はどこにいるのか位置を公開しなければならない”と言うものがありまして。これが特に今回自分たちを苦しめているルールなのですが、このルールには実は補充のルールも備わっています。それは代表が戦争中のクラスに対して宣言さえすれば“一時間に10分はトイレ休憩等の理由を使って代表の場所を公開しなくてもいい”良いと言う補充ルールです。
まあ、それも結局10分経ったらまた次の一時間は代表の場所を公開する必要がありますが、10分でも休めればこうやって息を整えたり作戦会議に当てられますからね。そう、つまり一時間戦って10分休憩、また一時間戦って10分休憩といったサイクルでCクラスと戦うわけです。その間に自分がCクラスの皆さんを全滅させるor代表の小山さんを倒せばFクラスの勝ち。自分がミスをしてゆーさんを討ち取られればCクラスの勝ち、わかりやすいですね。
「ふぅ……少しは落ち着いたなお前ら。早速で悪いが状況整理だ。造、さっきの一時間で大体何人倒した?」
あっという間に飲料水を飲み干してから、すぐさま状況整理に入るゆーさん。貴重な時間です。出来るだけ有効に使わねばね。自分とアキさんも同じように一気に飲料水を飲み干して状況整理に加わります。
「えーっと、14人……と思いましたが、すみません。手応え的に最後多分仕留めきれなかったと思うので、10〜11人くらいですかね」
「ふむ、なら少なくともCクラスの5分の1はやれたったことだな」
「はい……悔しいですが思った以上に倒せていませんね」
「いやいや、一人で10人以上は十分すぎると思うんだけど造」
「いえ……限られた時間や状況下ですしもう少し倒しておくべきでした。やっぱりまだまだ足りませんよ。もう少しペース上げていきたいところなんですが中々難しいですね」
やはりいつもとは勝手が違い、補充室が使えないのはかなりのハンデですね。自由に補充が出来ないのは勿論、自分の武器の特性も相まって点数配分を考えて戦う必要があります。こちらには幸運なことに点数回復の手段としてゆーさんの黒金の腕輪もありますが、その特性上一つのフィールドには張りなおさない限り一回だけしか使えないので、結局1、2人倒してはすぐに移動と言うヒット&アウェーな戦術をせざるを得ず思った以上に戦果が振るいませんね。
「それと……さっきゆーさんを討ち取ろうとFクラスの皆さんまで召喚獣を出してきましたよね。仮に、ですが……さっきみたいに仮に敵味方入り混じって襲われたらかなり厄介なことになりますね」
「……それされたら一番面倒だな。小山の奴のことだ、次のラウンドで仕掛けかねん。俺たちの予想通り異端審問会の連中Cクラスと連合組んでやがったしな……ったく連中味方だと使えんが敵になるとこうもうっとおしいとはな」
「個人的には一思いに戦死させて地獄の補習室送りにしてほしいけど、“作戦上”は戦死させちゃマズいんだったよね。なんて厄介な……」
今後の戦力を温存するためにも、そして今回の作戦の“本当の”目的の為にも極力Fクラスの皆さんを戦死させるわけにはいきません。今のところはそのような状況になったらCクラスの召喚獣は確実に仕留めて、Fクラスの召喚獣はフィールドの外に吹き飛ばして消す方法しかありません。そんな切り替え非常に難しいですし骨が折れそうですよねー……まあ、嫌でも次辺りそうせざるを得ない状況になりそうな予感がありますが。
「とにかく造、さっきも言ったが無理せずに一人一人でいいから確実に倒していってくれ。一応今のペースでも十分倒せているんだしな」
「了解です。焦ったり慢心することには特に注意しておきますね」
「頼んだぜ。さて、それで秀吉。そっちはどんな具合だ」
「うむ……一応協力して貰えるそうじゃ。例の二人にはタイミングも伝えてある。しかしすまぬ雄二よ。お主の言った通り少し渋られての、貴重な交渉カードを切らざるを得なかったのじゃ。例の二つのこちらのアドバンテージを使ってしもうた」
と、申し訳なさそうにゆーさんに謝るヒデさん。いえいえそれでいいんですよ。
「安心しろ秀吉。どの道そのカードは早めに切っておくべきものだったしな。これで次は向こうもこっちも憂いなくやれるからな」
「グッジョブですよヒデさん!引き続きよろしくお願いしますね」
「任されたぞい。お主もしっかりの」
そう言ってヒデさんと拳をコツンと合わせてお互いを奮い立たせます。今回の作戦の要は自分とヒデさんの二人です。お互いの健闘を祈りましょう。
「ところでゆーさんとアキさんは大丈夫ですか?一時間ずっとFクラスの皆さんと戦いっぱなしでしたけど……」
「おう、最初のように狭くて逃げ場のない教室ならいざ知らず自由に戦えるなら何とでもなるさ」
「ハンデだったこのワイヤー付手錠にも慣れてきたからね、平気だよ」
「お二人とも。頼もしいですけど、無理はなさらずに。何せ皆さん色々危険な武器を持っていますし……」
木刀程度ならまだ可愛いもの。Fクラスの皆さんは一体どこから用意してきたのかわからない、とっても危ない武器を手にしてアキさんたちを襲っていますからね……ホントうちのクラスってある意味凄いですよね……素手で対処できているアキさんたちもアキさんたちで凄いですけど。
「まあ、問題があるとすれば完全に言葉も理性も失った連中を相手するのが骨だってことと……」
「他の連中も、いくら倒しても倒してもキリがないってことだけどね……どいつもこいつも床に沈んだはずなのにものの数秒ですぐ立ち上がってくるんだよね」
ハァ……と苦虫を噛み潰したような顔をする二人。ゆーさんの言った葉も理性も失った連中というのはアキさんたちへの怒りのゲージが最大値を振り切って大変な状態になったクラスメイトさんたちの事。遠目でしかまだ見ていませんが、何かどす黒いオーラを纏って頭をかくん、かくんと揺らしながらアキさんたちを探していたのを見た気がします。あれはこわい。
そんなタガが外れた一部のクラスメイトは置いておくとしても、他のクラスメイトの皆さんもとても厄介です。アキさんの言う様に何度アキさんとゆーさんが全力で叩きのめそうとも、数秒もしないうちに立ち上がってアキさんたちを襲い掛かっていました。
「あれはまるでゾンビだよ……そう言えば今更だけど肝試しの時って僕ら以外のFクラスの男子全員確かオカルト召喚獣はゾンビだったよね。悪い意味であの召喚獣に負けず劣らずな召喚者たちってことだね」
「そんなこともあったな。あれはホント本質をよーく捉えてあるなオイ」
「ぞんびの本質……?え、えーっと。何度倒されても蘇る不屈の闘志的な———」
「「「いや、間違いなく腐った根性としつこい執念って意味だろ(だね)(じゃな)」」」
「あー……」
納得しては申し訳ない気もしますが、正直今の状況では否定もできませんね……
- 144時間目 ( No.299 )
- 日時: 2016/03/11 21:26
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「まあ、それはともかくだ。まず理性を失ってる連中は無理に対処する必要はない。相手にせずにとっとと撒くだけだ。理性がないからあの連中には統率がとれていないからな。逃げるだけなら何も問題ない」
「で、ゾンビのようにうっとおしいFFF団はどうすんの?」
「どうもこうもねぇ。それこそそれは“秀吉”にかかってるんだ。俺らはただ秀吉が上手くやってくれるまで何とか耐えるほかねぇだろ」
「だよねー……ゴメンね秀吉。悪いけど僕らが倒されちゃう前にお願いするよ」
「むぅ、責任重大じゃな。まあ善処しようかの」
「ヒデさんファイト、ですよ!」
結局は全員が全員の役割を作戦通りに頑張るしか道は無いのですよね。苦しくても辛くても割に合わなくても、これも全て勝つためです。
「さてと。正直言うともうちょっと休みたいところだけど……雄二に造。そろそろ時間がヤバイみたいだ。準備は良い?」
「…………出る、なら……次……4番出口……使え。今なら……連中の、気配……ない……から……」
時間を計ってくれていたアキさんと、まだ回復しきっていないながらも必死で自分たちの為に外の気配を探っていたこーさんが自分たちにそう声をかけます。さてさて、非常に短いインターバルでしたが、第二ラウンドの始まりですかね。
「おう、俺は準備OKだ。状況整理も終わったし今のところこの調子で乗り切るしかねぇしな」
「ですね。あ、気配探ってくれてありがとうですこーさん。こーさんはもう少し休んでいてください。では———行きましょうアキさんゆーさん!」
「「っしゃあ!」」
「気を付けるのじゃぞ。お主らが出ていったらしばらくして別の出入り口からワシも出るからの」
「…………いって、こい……」
お二人に激励を貰ってから隠し部屋から勢いよく飛び出す自分、アキさん、ゆーさんの三人。
「おらっ!出てこいやこそこそと面倒な小細工仕掛けるしか能のないバカ共が!」
「吉井明久、坂本雄二、月野造参上ッ!僕ら三人はここにいるよ!倒せるなら倒してみなよ!」
「さぁ、勝負です皆さんっ!」
隠し部屋から出ると、学園中に響き渡るような声と共に注意を引きつけます。こうすることでヒデさんが別の出入り口から出やすくなり、加えて代表の位置をCクラスに公開したことにもなります。これでルールを破らずに済みますからね。
『っ!奴らが現れた!食堂の裏にいやがるぞ!』
『ヤロッ!?どっから出てきやがった!?』
『とにかく追え!逃がすな!100m11秒台は全員奴らを追うんだ!残りは回り込むのとCクラスに奴らの位置情報を伝えてこい!』
自分たちの声に反応して、早速Fクラスの皆さんが現れます。今回はある意味敵ではありますがFクラスの皆さんの機動力には感心してしまいますね。と、無駄に感心しながらも第二ラウンドの始まり始まり。さぁて、負けませんよ皆さんっ!
各々がやれること、やるべきことをやり遂げてこの厄介な状況に打ち勝とうとしています。逆境なんて毎度の事ですし、それこそ自分たち“いつものメンバー”にとっては些細な事。ですからきっと彼女たちも———頑張ってくださいね二人とも、ここにいるアキさんも頑張っていますからね。そう思いながら、腕輪を装着して手を掲げてフィールドを展開します。
「ゆーさん、アキさん。準備は良いですね!起動(アウェイクン)!科目:現代社会!」
———同時刻:補充試験室———
美波Side
「———先生、終わりました。採点をお願いします」
「わ、私も終わりました!よろしくお願いします!」
「はい、わかりました。では採点までは30分ほどかかりますので。しばらく待っていてくださいね」
Cクラスとの試召戦争が始まっているにも拘らず、ここ補充試験室に閉じ込められたウチら。ホントはさっさとこの場から脱出したいところだけど、瑞希の案に従って脱出より先に補充試験を受けることを選んだウチ。たった今二つ目の補充試験を終えたウチらは、30分の祭典時間を利用して少し脳を休めることに。
「これで二科目分は補充できたわね。どう?瑞希。疲れてない?」
「はい、平気です美波ちゃん!次もドンと来い、ですよ!」
「あら、それは頼もしいわね。採点結果期待してるわよ♪」
そう言って頼もしくウチにそう言ってくれる瑞希。うんうん、良い表情じゃないの。
『———あのクソ共、食堂裏から出てきたそうだ!』
『今までどこにいやがったんだ……!ああ忌々しいぜあの二人』
『造ちゃんを洗脳して操り人形にしてるんだったな……これは正義のFFF団の名のもとに滅する必要がある!そうですよねCクラスの皆さん!』
『……知らないわよそんなこと。と言うかアンタらね、そんな変な戯言なんてどうでもいいからちゃんと私たちの代表の言う通りに動きなさいよ?』
『作戦の事を忘れて暴走したら許さんからな。あくまで最優先するのは俺たちCクラスの勝利であって、坂本の抹殺なんてとんでもないことはせめて戦争が終わってからやれ。いいな?』
『なるほど、つまりは先に吉井やどこかに隠れていやがるムッツリーニを先に始末しろってことですね!』
『『(何もわかってないなFクラスは……)』』
「「……っ!」」
と、瑞希と少し談笑していると廊下からそんな不穏な声が聞こえてきた。
「……今の、多分C・Fクラスの会話よね。それにまた騒がしくなってきたってことは———きっとアキたちが頑張っているんでしょうね。少なくとも今は無事ってことだろうし」
「はい……明久君、それに皆さんも。痛い思いとかしていないといいのですけど……」
廊下に耳を傾えてみると、忙しく動く物音とアキたちの名を呼びながら罵倒する声も聞こえてくる。バリケードされていて外の様子が見れないから今どんな状況なのかわからないけれど、少なくともアキたちは捕まっていないようね。
「予想通りCクラスの皆さんと手を組んでいるみたいですね。つまり……明久君たち5人とCクラスFクラスとの試召戦争ってことなんですね……」
「そうなるわね……全く、造反だなんてやってくれたわね須川たち」
……正直言うと、今すぐこの扉とバリケードを壊してでもアキたちを助けに行きたい。多分瑞希も同じ気持ちでしょうね。……でもきっと今は駄目。必ずチャンスは訪れるハズ。そのチャンスの時にしっかり動ける為にも、ウチらはアキたちの無事を信じて出来ることをちゃんとしておくべきなのよね。
「……とにかく今は補充試験に集中しなきゃね。休憩終わり!ウチ、次に受ける予定の補充試験の復習するわね」
「はい。私もそうしますね美波ちゃん。二人で頑張りましょう!」
改めて気合いを入れて、次に受ける予定の科目のノートと教科書を開いて少しでも点が取れるようにと復習を開始するウチら。さて、ウチらを閉じ込めた須川たちとCクラス……ウチらをこれで行動不能にしたと思い込んでいるようだけど———Fクラス、いえウチらいつものメンバーの底力、見せてやろうじゃないの!さあこれからが勝負よ!