二次創作小説(紙ほか)

145時間目 ( No.300 )
日時: 2016/03/11 21:29
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———Cクラス———


『……急に姿が消えたと思ったら、今度は消えた場所とは全く別の場所から現れた?』
『はい、クラス代表の位置非公開可能時間をギリギリまで使って坂本と吉井、そして月野が姿を現しました』
『グラウンドで姿を消したと思ったら、今度は食堂裏付近から現れたそうです代表』
『妙ね。あのC・Fクラスの包囲網の中どうやって抜け出してそんな場所から現れられるのかしら』
『代表の言われた通り、月野もいますし空から逃亡する可能性があると考えて上空も勿論警戒していましたが、どうやら別の方法を使われたようでして……』
『……どこに隠れているのか知らないけど、演劇部の木下君がまだ姿が確認できていなかったわよね。ひょっとしたら木下君が坂本君と吉井君を他クラスの生徒に変装させている可能性があるわ。まあ、あの二人は手錠で繋がれているし手元を見れば変装してるってすぐわかると思うから、次逃げられたと思っても焦らずにまずは周囲をしっかり見て怪しそうな連中の手元を確認してちょうだい』
『了解です。ところで代表。木下と、同じく未だに姿を確認できていない土屋はどうしますか?』
『……そうね。土屋君の方は行動不能になっているってFクラスの連中が言ってたし、木下君自体はそう戦力にはならないわ。一応見かけたら余裕があれば余計な事させないためにも戦死させるつもりでいてね。と言っても基本的にはFクラスの連中に任せて大丈夫でしょう』
『わかりました。では残る問題と言えば———』
『そうね、残りの問題。私たちCクラスの最大の障害と言えば月野先輩ね……だけど恐れることは無いわ。先輩の弱点はさっき説明した通りよ。それとさっきまでの戦い方を見るに、月野先輩は———Fクラスの連中を戦死させたくないみたいね。大方今後の為に戦力を温存したいからでしょうけど……それを利用しましょう。だから例の作戦でいってちょうだいね。さぁ———次で仕留める気でいくわよ!』

『『『はい代表っ!』』』


造Side


……おかしい、ここにきて明らかにC・Fクラスの動きが変わった……っ!?

『『ちぃっ!造から離されっ———!?』』

『『『オラァ!よそ見してんじゃねぇぞ異端者共がァ!!!』』』

ゆーさんに黒金の腕輪を使ってもらうためにも、さっきまでは出来る限り召喚フィールド内でC・Fクラスを対処してもらっていましたが、ここに来てゆーさんとアキさんたちがフィールドの外に追い込まれるような形でFクラスの皆さんから攻撃され始めます。そのせいで自分と二人の距離がどんどん離され始めました。

《ゆーさん、アキさん今行きま———》
「待ちなさい月野君。どこに行こうと言うのかしら?悪いけど逃がさないわよ」
「坂本たちと合流したいんだろうが……そうはいかない。俺たちと戦って貰わないとな」
「まあ、どの道あなた自身があたしたちに勝負を挑んだんだし、フィールドの外には出られないでしょう?ゆっくり楽しみましょうね小さい先輩さん」
《……くっ、行かせないってことですか。と言うか誰が小さいですか誰が!?———って、危なっ!?》

出来る限りゆーさんたちに近づきたい自分の前には、Cクラスの皆さんが立ちはだかります。えぇい、こっちもですか……!将を射んとする者はまず馬を射よとでも言いたいのか、相手はさっきまでの一時間とは戦法が大きく変化しました。積極的にクラス代表であるゆーさんを狙おうと必死だった先ほどまでとは違い、これは完全に自分を狙っている戦いとなっています。

「やっぱりね!代表の言う通り、距離を詰めればそこまで怖くないわ!」
「接近戦になればいくら月野の点数が高くても勝てるぞ!」
「無理にあの子本体を倒すんじゃなくていいからね!どうせ回避されちゃうのはわかってるし。狙うのは———」

「「「———狙うのは、あの厄介な箒!」」」

《やはり狙いは……武器破壊……っ!?さ、させませんよ!これでもくら———「Fクラス、前に出なさいっ!」———んなっ!?》
『イエス、マム!さあ、撃てるものなら撃ってくるんだ造ちゃん!俺を戦死させたくないんだろう?』

更に厄介なことに、自分の持つ“二つの弱点”を見事に付かれます。おまけにどうやらFクラスの皆さんを攻撃したくないことが見抜かれているようで、Cクラスの皆さんを攻撃しようと必ずその射線上にFクラスの召喚獣が立ちはだかります。

「いいわよ!今みたいに箒を構えられたらあの子の射線に入っちゃダメだからね!」
「ヤバいと感じたら常にFクラスの連中を盾にしろ!思った通り攻撃できないぞ!」
「このまま一気に戦死させましょう!行くわよ皆、それとFクラス!」
《(囲まれたら本気でマズい……だったら)———これで、どうですっ!?》


———ブンッ! ゴオッ!


「「「うわっ!?」」」


《Fクラス 月野造 現代社会 243点 → Fクラス 月野造 現代社会 184点》


周囲を完全に囲まれる前に、クラスメイトを巻き込まないためにも攻撃ではなく吹き飛ばしを行って周りの召喚獣たちをフィールドの外に飛ばし無理やり場を仕切り直すしか手がないこの状況。ただいたずらに時間と点数が消費されてしまいます。

「ちっ、やっぱりそう来るか……だがその吹き飛ばしは何度も使えないだろ!もう一丁行くぜ、試獣———」
《こ、こっちだって……負けていられません!いっけぇ!》
「———召喚(サモン)!って、しまっ!?」


《Fクラス 月野造 現代社会 184点 → Fクラス 月野造 現代社会 75点》
                   vs
《Cクラス 太田廉 現代社会 168点 → Cクラス 太田廉 現代社会  0点》


「ああもう!ダメじゃないの!あれほど先にFクラスの連中に召喚させてから召喚しなさいって代表に言われたでしょ!?」
「す、スマン……補習室行ってくる」

それでも仕切り直され、再び召喚獣を召喚した隙をついて何とかこれで2人戦死させられましたが……これじゃあジリ貧ですね。

「やっぱり隙があればやられちゃうね。あの小っちゃい先輩油断ならないや……焦らず落ち着いてFクラスを盾にしながら召喚しようね」
「追い詰めているのはこっちだからね。さあ、Fクラス。さっさと召喚して」
『了解っス!試獣召喚(サモン)っ!』


《Fクラス 堀田喜一 現代社会 54点》


『さぁ撃てるものなら撃て造ちゃん!俺を戦死させても良いならな!』
《ぐっ……ほ、堀田くんを戦死させるわけには……》
「いいわよFクラス、そのまま私たちが召喚し終わるまで盾になってなさい。じゃあいきましょう試獣召喚(サモン)っ!」
「盾としてはかなり優秀よねFクラス。それじゃあたしも試獣召喚(サモン)っ!」

うぅ……困りましたね。堀田くんの召喚獣がガードしてるせいで速攻がかけられません……こんな作戦を指示しているんです、小山さんにさっきの一時間で完全に自分がFクラスの皆さんを戦死させたくないのがバレちゃってますねコレ。

145時間目 ( No.301 )
日時: 2016/03/11 21:30
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「その調子。次こんなことあったら同じように対応してねそこのFクラス。頼んだわよ」
『はははっ!女子に頼られるとか俺生まれて初めてじゃね!?すげぇぞ、俺今最高に輝いてるぅ!俺もしかしてカッコイイ!?いや、もしかしなくても俺超カッコイイ!』

「「「(輝いているっていうか……実質私たちの体の良い人質兼ただの盾だけどね。自分の身を人質にしてカッコつけるなんて……自分の所属クラスのハズのFクラスの皆さん足引っ張りまくりで正直カッコ悪いわ……)」」」

自分の目の前で自身の召喚獣を盾にしてCクラスの皆さんの召喚のサポートをする堀田くん。彼の召喚獣に遮られている間に、先ほど吹き飛ばしたCクラスの皆さんの召喚獣が再び召喚されてしまいました。

《ゆーさんは……間に合いませんか》

状況が状況ですし、すでに点数が100点を切ってしまいました。レッドゾーンに入っている状態ではまともに戦えません。本来ならば今すぐにでも点数を回復したい所ですが……ゆーさんとアキさんと随分離されてしまっています。ゆーさんの黒金の腕輪はフィールド内にいないと使用できませんし……おまけにこっちも再び囲まれて身動きが取れない状況です。これは、やむを得ないですかね……

《こうなったら———解除(キャンセル)っ!》


ボンッ!


「「「なっ!?」」」

点数回復は間に合わないと判断し、張っていた現代社会のフィールドをかき消します。正直勿体ないとは思いますが、ここで倒れるわけにはいきません。悔しいですが、現代社会は捨てましょう。

「そして再び———起動(アウェイクン)っ!科目、現代国語!」


キィイイイイイイイン! ボンッ!


フィールドが消滅すると同時に、自分を取り囲んでいた召喚獣も消えていきます。完全に消え去ったことを確認すると、今度は現代国語のフィールドで起動。ただし今回はフィールドを地面に張るのではなく自身に纏わせて、400点オーバーから使用できる金の腕輪の能力【飛翔】を使ってC・Fクラスの皆さんの頭上を越えます。

「ちょ、ちょっと待ちなさい!それズルイわよっ!?」
「て、敵前逃亡よ月野君!」
《残念でしょうが、フィールドが張られていないなら敵前逃亡にはなりません!それでは失礼しますねっ!》

召喚フィールドが張っている状態なら間違いなく敵前逃亡になりますが、今は一度自分がフィールドを消したのでルール違反にはなりません。改めて自分がフィールドを張り直すか先生方に召喚許可を貰わない限り戦闘は出来ませんからね。正直腕輪の能力頼みの反則ギリギリの力技ですが、申し訳ないと思いつつも手段を選んでいられるほど余裕があるわけではありませんからね。

《(ゆーさん、ごめんなさい!勝手に離脱してしまいました……それに現代社会が……)》
「(わかってる!寧ろ良い状況判断だから気にすんな!それより……明久!)」
「(了解、このままいくよ!造、後は頼んだからね!)」

Fクラスの皆さんに囲まれているアキさんゆーさんの真上へと飛び、そのようにアイコンタクトをする自分たち。

『『『死ねぇ!吉井に坂本ォ!』』』

その直後、Fクラスの皆さんが武器を手にアキさん達に襲い掛かっています。ですがその攻撃が届く前に———


ボフッ!


『『『っ〜〜〜〜〜〜!?ぐっぅ!?』』』


———アキさんがこーさんから貰っていた逃走用の道具の一つ、けむり玉を地面に叩きつけたちまち周囲は真っ白な煙に覆われます。自分がこーさんを助ける時に使ったチョークの粉の簡易的なものではなく、こーさんが所有している正式な(?)けむり玉です。効果範囲も持続時間も比ではありません。

『く、くそっ!?また目が……』
『ゲッホゲッホ!?———の、喉いでぇ!?』
『は、鼻がツーンって……うぇえ……』

《———よし、アキさんゆーさん逃げますよ!掴まって!》

「「頼んだ造!」」

まともに吸い込んだFクラスの皆さんの喉と目と鼻を刺激して怯ませることに成功。その間にアキさんとゆーさんを真上から救助して、周囲にC・Fクラスの皆さんがいないと思われる付近の生け垣に急いで飛び込みます。もう召喚獣状態から戻る時間も無いでしょうし、そのままの状態で息を整えることに。

《ハァ……ハァ……》
「だ、大丈夫造?」
《へ、へーきです……それより、急ぎましょう》
「ああ。辛いだろうが仕方ない、対策会議すっぞ」

すぐに見つかるでしょうが、極力時間をかけるために生け垣で息を潜めつつそのまま緊急のプチ対策会議の開始です。褒めちゃダメですがCクラスの皆さん———いえ、小山さんは随分考えられている策を色々と講じてきましたね……

「やってくれたな小山の奴……上手く暴走しているはずのFクラスのバカ共をコントロールしてやがる。統率のとれたバカ程面倒なものはねぇな畜生」
「雄二と僕を常にフィールドから追い出すようにFFF団の連中を壁として使ってきたよね。唯の壁じゃなくて僕らを滅するために攻撃しかけてくるうっとおしい壁だけど」

まあ、Cクラスの皆さんの立場で考えてみれば対策は簡単なことですよね。何度も回復されてしまう自分とゆーさんの白金黒金の腕輪のコンボはどちらかを潰しさえすれば回復できません。今回は嫉妬の怒りに燃えるFクラスの約半数の皆さんを自分とゆーさんを遮る壁として使い分断させ、点数回復させないようにしていました。

145時間目 ( No.302 )
日時: 2016/03/11 21:30
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

《ゆーさんがフィールド内にいなければ黒金の腕輪の再設定(リセット)が使えませんからね……》
「向こうさん回復手段のなくなった造を確実に潰しにかかってるな。黒金の腕輪が使えない=回復出来ない以上、造としては勝負を避けたいだろうが、俺を戦死させるわけにはいかないから造はどうあっても勝負を挑まざるを得ない……間違いなくさっきまでの一時間とは戦術が変わったな。逃げ回るのに長けた俺らを必死に追いかけて倒しにかかるより、現状最もCクラスにとって厄介な造を先に仕留めた方が都合がいいと判断したんだろう」

ゆーさんさえフィールドから追い出せば回復も出来ないのに点数をバンバン使わなければ戦えない自分との勝負に持ち込めますからね。時間が経てば経つほど自分にとっては勝ち目のない戦いをせざるを得ません。先ほどのように隙を見て攻撃して、後は回復できない科目を捨ててフィールドを解除して逃走するしか道がない状況です。

《あと一つ気になったんですけど、C・F両クラスで単独で行動する人が減りましたよね》
「さっきも言ったが見事に統制されていたな。ただ暴れているだけなら対処も楽だったFクラスが厄介な戦闘集団となってやがる。改めて有能な司令塔がいるとここまで動きが違うんだと実感しちまうな」
「FFF団の半分は僕らに、残りの半分はCクラスと一緒になって召喚獣召喚して造を戦死させようとしてたよね」
「あのバカ共喜んで盾になってやがったな……ったく、みっともねぇというか情けねぇというか……」

アキさんゆーさんを倒す為……亡き者にするためならば戦死しても構わないとでも言いたげに率先してCクラスの盾となっていたFクラスの皆さん。先ほどの堀田くんの行動何かがいい例ですね。

「Cクラスの奴らはCクラスの奴らで、単独で行動すれば造に絶対倒されるって最初の一時間で理解したようだな。必ずCクラス3〜4人、Fクラス1人以上の4〜5人のグループで行動してやがった。あれも小山の策なんだろうな」
「召喚獣を召喚するときは、造に召喚直後を狙った速攻をされないようにFクラスの召喚獣を先に出させて盾にしてから召喚してたよね。あれ絶対造が皆を戦死させたくないってバレているってことだよね」
《ですよね……うぅ、アレのせいで上手く戦えません。恐らくFクラスの皆さんを戦死させたくない“本当の理由”については悟られてはいないと思います。思いますが……何にせよ、こんなに早くから戦死させたくないことがバレちゃったのはかなり苦しいですね……》

身を挺して敵クラスを守る味方の生徒の行動で、自分は上手く戦えません。本来なら倒しても問題ないと思われるかもしてませんが……作戦上倒したら色々厄介ですから戦死させられないんですよね……

《厄介ですよね……更に厄介なことに自分の特性、弱点その他諸々完全に見抜かれてそこを攻められている点でしょうか。これだけしんどい試召戦争は久しぶりですよ》
「えっと、造の弱点っていうとつまり———」
《言わずもがな、武器である箒に耐久力が無いことと、接近戦に非常に弱いことですね》

そう、武器である箒の特性上非常に“接近戦”に弱い自分。例えば一学期のAクラス戦・優姉さんとの戦いや清涼祭・常村ことツネとの戦いでもその弱点を見事に突かれていましたっけ。

《この箒、耐久性に難ありですからまともに鍔迫り合いできませんし……そもそも点数消費しないと攻撃力0ですからね。それと点数を使って風を起こす能力ですが、これ至近距離だと自分を巻き込んじゃう上に武器である箒も壊れてしまいかねないので使えないんです》
「えっと、確か余裕を見て3mくらいが通常の間合い。1m以上近づかれるとその点数消費で風を起こす能力は使えないんだったっけ」
《はいです。1m以上近づかれると自分も巻き込まれて自爆しちゃいますのでまともに戦えません……前々からどうにかしなきゃとは思っていましたが、自分ホントに接近戦に弱いですよね……》
「造の場合能力が強力な反面、消費は激しいし戦闘条件は厳しいからな。役割としては完全に後衛、中〜遠距離で撃っては下がって回復を繰り返したり敵を牽制したりするサポート役が本来のスタイルだろうし」

召喚技術にも成績的にも、アキさんや姫路さん達のようにFクラスの主戦力とカウントされたり、校内アンケートでは試召戦争中で最も戦いたくないランキング上位に上げられてはいるもののその実ゆーさんの言う通り自分の本来の役割は後衛・サポート役です。この間自分は一対多数戦が得意であるとゆーさんが評価してくれましたが、それはあくまで味方がいる前提の話。基本は点数使い切りの戦い方ですし自分は完全に中〜遠距離タイプですから、味方がいない状況で点数が尽きれば逃げるしか道がないわけでして。

《自分の戦闘スタイルもかなり研究されているようですね……さっきの皆さん、完全に自分との戦い方と攻略方法を小山さんに教えられているようでしたね》
「さっきも言ったけど速攻を仕掛けられて遠距離からの召喚始めを狙われないように、Fクラスの連中に先に召喚させる策をとってたもんね」
《はい。それに一度撃ちだされた場合ほぼ防御不可の風の刃の対処もちゃんとしていました。自分が攻撃しようと箒を構えると、すぐに自分と一直線上にならないように予め横に回避しつつ自分との距離を詰めていましたね。接近戦に移っても焦らずに、無理に自分を狙うわけでもなく武器破壊を狙うあたりかなりシミュレーションされた動きに思えます》
「左右に動いて致命傷は避けつつ前進して間合いを詰める、武器の箒さえ破壊すれば手も足も出なくなる———造と戦う上での基本戦術だな。小山の奴、造の事尊敬しているだけあって造対策に抜かりは無いようだな」

それに小山さんは小暮さんの後輩。彼女に随分と鍛えられていますからね……自分の弱点対策はほぼ完璧だって思わなきゃならないかもです……

「で、雄二。ここまで対策されちゃったわけだけどどうする?何か新しい策は無いの?」
《このまま次も同じことされたら、現代社会が使えなくなったようにまた他の科目が使用不可になっちゃうますよね》
「……悔しいが今のところ何も思いつかねぇ。だから元々の作戦通り時間を稼ぎつつとりあえず動き回るしかねぇな。長時間隠れることが出来ない以上走り回りながら何か策を考える。“秀吉が上手くやってくれているなら”Fクラスの連中に関しては、時間を稼げば稼ぐだけ少しは楽になるはずだしな」
「見つからないようにできないなら、見つかっても追いつかれないようにするってことだね。まあ、今はそれしかないね」
「と言うわけで、造。悪いがここはとにかく逃げの一手だ。逃げまくって時間を稼ぎ囲まれたりどうしてもって時だけフィールドを出して対応してくれ。Cクラスに無理に勝負を挑む必要はないからな」
《はい、わかりました》

……正直、少しでもCクラスの皆さんを倒しておきたいですが、今はそんな余裕ないですからね。ゆーさんや自分たちが何か妙案が思いつくまではひたすら逃げて時間を稼ぐほかないでしょう。

「相当しんどい戦いになるだろが……やるっきゃねぇ。良いな明久、造!」
「へいへい、まあ結局こうなるわけだね」
《了解ですゆーさん。ならば早速———》

『『『いたぞ、奴らだ!!!ブチのめせェ!!!』』』

「「《いつも通り、鬼ごっこの時間だな(だね)(ですね)!》」」

———捕まれば即終わり、地獄の鬼ごっこの開始となります。とは言え自分もアキさんもゆーさんも、常日頃から追いかけられるのは慣れっこです。さぁ、命がけの鬼ごっこのスタートですよ!