二次創作小説(紙ほか)
- 147時間目 ( No.306 )
- 日時: 2016/03/11 21:39
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
———Cクラス———
『———で、どうかしら調子は』
『いい感じです代表。代表の推察通り月野はFクラスの連中を攻撃できないようです。あの連中を盾として召喚させてから明らかに月野から戦死させられた人数が激減しました』
『最初の一時間は11名戦死させられ17名がかなり点数を削られましたが、さっきの一時間は戦死者5名に負傷者4名です。Fクラスの連中を使って坂本たちと月野を分断させて腕輪を使わせないことも非常に効果的だったようですね』
『そう。良かったわ、作戦は間違ってなかったってわけね。盾にされても先輩に構わず倒しに来られたらマズいからさっきの一時間は4〜5名程度のグループに分かれて試してみたけど———そうと分かれば遠慮は無用。説明した通りここで月野先輩を倒しましょう。20名先輩討伐に当てて残りの人たちは補充試験を行うのと念のための近衛兵としてここCクラスで私と一緒に待機しておいて。勿論戦術はさっきまでの一時間通りにね』
『わかりました。ところで……さっきの一時間は月野のフィールドをかき消して逃走されることが多々ありましたが、その対策をいかがいたしましょう代表』
『それについては任せてちょうだい、策は考えてあるから。すでに手も打ってあるし』
『『『おお、流石です代表!』』』
『あ、月野や坂本たちがどうやって出たり入ったり姿を隠しているのかについてまだわかっていませんがそっちはいかがいたしましょう?』
『……確かにそっちはまだ判明していないけど、こうも見つからないとなるとこれは予め逃走経路として何か作っていた可能性が高いわ。流石にそうなると今日一日かけて探したところで見つかりっこないと思うの。だからそれよりも———ここで月野先輩、及び坂本君たちを倒しに行きましょう。そうすればそんな謎なんてどうでもよくなるからね』
『そう……ですよね。確かに、いつまでたっても見つからない・わからない逃走方法を見つけるよりもシンプルでわかりやすいです。わかりました代表』
『さて……そろそろ10分経つわね。代表の位置非公開可能時間も終わるわ。全員持ち場について!先輩たちが現れたら、勝負を決めにいきましょう!』
『『『了解!勝ちに行きますっ!』』』
造Side
『今度は職員室裏付近から……!?ああもう!ごみ収集場で姿が消えてどうしてそんな場所から出てこれるのよ!?』
『代表の言った通りそれを考えるのは後にしよう!数で押して月野をここで叩くぞ!』
『吉井……キサマまたナメた真似してくれやがったなオラァ……!』
『坂本……今度こそ貴様の息の根を止めてやる、覚悟しやがれェ!』
隠し部屋から出てすぐに、C・Fクラスに見つかる自分たち。遠目で見ると自分を仕留めに来ているのか、さっき以上に人数を連れてやってきているようですね。
「当たり前だが奴ら俺たちを休ませないつもりだな。CクラスもFクラスの連中も早速来やがった。で、どうするんだ造?」
「……ゆーさん、アキさん。動きやすいように一旦別れましょう。唯の推測ですがCクラスの皆さんはここで一気に自分を仕留めに来るはずです。戦力の大部分を自分を戦死させるために当ててくると思います。漁夫の利でゆーさんまで倒されては終わりですし、Cクラスの皆さんは自分に任せてください」
「つまり俺らはFFF団を何とかすればいいってことか。まあ、大体はさっきと同じだな。それで、黒金の腕輪の設定・再設定はいいのか?」
「はい。点数回復にこだわってしまった事が先ほどの間違いでしたから。とりあえず試してみたかったことを試してみようと思います。ゆーさんたちは自分を気にせず存分に戦ってください」
「わかったよ。でももしもの時は呼んでね。僕らもその時は腹をくくってCクラスと戦うから」
「念のため見える範囲でFFF団と対峙しておく。明久の言う様にヤバいと思ったらすぐに呼んでくれ。じゃあ造、後は頼んだ」
「お互い頑張りましょうアキさん、ゆーさん。健闘を祈ります」
「「造もな(ね)!」」
向かって来る大勢のCクラスと数名のFクラスの生徒さんは自分が、武器を手にしながら呪詛を唱えて襲って来るFクラスの大勢はアキさんとゆーさんが相手をすることに。それぞれ二手に分かれてアキさん達は少し離れた広い中庭に、自分は向かって来る皆さんの方へと覚悟を決めて立ちはだかります。
「どうやら観念したみたいね、キミには随分手間取らされたわ」
「一人で私たち相手に随分頑張ったみたいだけど、悪いね月野君。ここで倒させてもらうわ」
「確か月野には吉井のようにフィードバックがあるんだったな。戦うならせめて痛みが長引かないように楽に倒してやる。もし戦死するのが嫌だったらここは黙って引いてくれ。その場合は———」
『———ああ。俺たちが坂本たちを抹殺するまで造ちゃんを保護してあげよう。もし大人しく俺たちに捕まるのならお菓子もあげるよ』
『もし我々の言うことを聞かないのであれば、心苦しいがここで戦死して貰わねばならない』
予想通り小山さんは自分を戦死させるために、ここで戦力の大部分を集中させてきましたね。見た感じざっと20人くらいですか……そしてやはりと言うべきか、自分対策にCクラスの生徒さん二人に一人は盾となるべきFクラスのクラスメイトがくっついていますね。第二ラウンドで苦戦した時と同じ戦術で来ましたか……周囲を皆さんに囲まれてそんなことを言われる自分。ですが———
「———起動(アウェイクン)科目、物理!」
キィイイイイイイイン ボンッ!
《Fクラス 月野造 物理 278点》
「「「……引かない、か」」」
《……ごめんなさい、そうもいかないんです。友人たちがピンチなのに自分だけ助かるなんてお断りですよ。それにここまで来たからには……負けられませんのでっ!Fクラス月野造!この場にいるCクラス全員に勝負を挑みますっ!》
白金の腕輪で物理のフィールドを展開。そのままこの場にいるCクラスの皆さんに勝負を挑みます。ここで引くですって?冗談じゃありません。ここは———戦って勝ちに行くに決まっているでしょう!
「見かけによらず強情ね、いいわ。勝負しましょうか!」
「さあ、Fクラス。召喚して俺たちの盾になれ」
「Fクラスが召喚したらあたしたちも召喚しましょう」
『『『了解っス!試獣召喚(サモン)っ!』』』
「「「Fクラスが召喚し終わったら……こっちも試獣召喚(サモン)っ!」」」
先にFクラスの皆さんが召喚して、その身を挺してCクラスの召喚を守ります。盾にされては攻撃できませんので速攻は出来ませんね。そのまま両クラスの召喚獣に四方を囲まれる自分。
《では、参りますっ!》
「「「こっちも、勝負っ!」」」
……さて、とりあえずはギリギリまで戦ってみて、頃合いを見てやってみたいことをやるとしましょうか。“あの戦法”は奥の手・最後の切り札ですし。それまではさっきのように何とか隙を作って一人でも多く倒さねばね。気合いを入れつつ襲い掛かってきた召喚獣を迎え撃つべく箒を構えます。
秀吉Side
「———ふぅ。これであと20人くらいじゃろうか」
リストにチェックを入れつつ嘆息するワシ。わかっておるつもりじゃったが、やはりこれは中々に骨の折れる役割じゃのう。精神的にも技術的にもかなりしんどいものじゃ。失敗すればこの試召戦争に負けかねんから普段の稽古や本番以上に気を張りつつやり遂げねばならぬしの。
「次は……この三人は最後にするとして、後は例の手におえん連中と今表に出ておる連中も後回し。ならば残りの人数やメンツを考えると……そろそろ一階のあやつらを何とかせねばならぬか」
まあ、泣き言を言っておる暇はないがの。造や明久、雄二にムッツリーニ。それに姫路や島田たちも恐らく頑張っておるじゃろうし。そう自身に言い聞かせ、再び作戦の為に動き出そうとした矢先———
『———この辺か?木下を見たと言う報告があったのは』
『見つけたら……い、イロイロ好きにしていいんだよな!?』
『ぐふふ……秀吉ィ、今行くからねぇ……待っててねぇ……』
「……っ!」
———すぐ近くの曲がり角から、そんなワシを探しておるようなFクラスの連中の声が聞こえてきおった……
- 147時間目 ( No.307 )
- 日時: 2016/03/11 21:39
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「でりゃぁ!」
《あっぶな……ですが、チャンス———》
『させないよ造ちゃん!』
《———は、やっぱり早々こないですよね……》
迫る白刃をすんでの所でかわしつつ、その攻撃をしてきた召喚獣の狙いを定めて箒を構える自分。ですがすぐにFクラスの皆さんがその射線上に飛び出して来てインターセプトしてきます。……悔しいですがやはり、このままの戦い方では遅かれ早かれやられちゃいますね。
《Fクラス 月野造 物理 167点》
悔しいことにこのフィールドを張ってから10分も立っておらず、おまけに自分からは全く攻撃出来ていないのにすでに100点近くC・Fクラスの皆さんのヒット&アウェイで削られてしまっています。さっきまでの一時間以上に動きが洗練されてますね……
「いい加減、楽になったらどうかな?フィードバックって結構痛いんでしょ?かなり苦しんでるように見えるよ」
「正直何だか小さい子虐めているみたいで心苦しいんだ。もう一度言うが降参して大人しくしておいてくれないか?」
「もしここにいる何人かのFクラスの変な人たち『『えっ!?変な人たち!?』』に捕まるのが生理的に嫌なら、Cクラスで身柄拘束しても良いよ。大丈夫、代表もキミのこと気に入ってるみたいだしお菓子とか用意してもてなしてくれると思うし。それにここまでやったなら誰も君を責めたりしないって」
周りをたくさんの召喚獣に囲まれながら、そんな提案をしてくれるCクラスの皆さん。正直言うと、確かにフィードバックは辛いですし何のしがらみも無いならとても魅力的な提案ではあるのですが……
《……みなさん、随分余裕ですね。窮鼠猫を噛むって諺、知りませんか?》
「あらら、強情な先輩さんだこと」
ここまでやってアキさんゆーさんを裏切れるわけありません。無茶で無謀で無理難題なこの策に付き合ってくれた皆さんですからね……!
「まあ余裕というか、もう勝利を確信してるからだけどね。月野君が降参してくれるように、一つ君たちにとって悪いニュースを教えてあげるね」
《悪いニュース、ですって?》
「うん。さっきFクラスから伝令があったの。その伝令によるとね———君たちのメンバーの一人、“木下君を捕えた”そうだよ」
《っ!ヒデさんを、捕えた……!?》
「そうだ。何やら“Aクラスの教室付近でこそこそ何かやっているところを”捕えたそうだ」
ヒデさんを……Aクラス付近で捕えた……?そう、ですか……
「何を企んでいたのか知らないけど……その様子だと君たちにとって木下君は秘密兵器だったのかな?もしかしてこっそりと代表を討ち取ってもらう予定だったとか?」
「まあ、代表はそう言うことも見越して近衛兵置いているから何も問題ないがな。何にせよ木下を捕えられたのは残念だったな」
《……何のことかわかりませんね。それに、それを聞いたからって別に戦意喪失するわけないじゃないですか。ヒデさんの事は残念ですが、それとこれとは別問題です。負けませんよ自分は》
「そっか、降参してくれないなら仕方ないね———いくわよ皆!」
そして再び始まる休むことなき攻撃の嵐。なるべく鍔迫り合いにならないように、そして致命傷だけは避けながらも隙を伺います。伺いますが……これだけ統制された動きに加え何度もシミュレーションされたであろう計算されたCクラスの皆さんの動きに隙などありません。
耳元でブンッとCクラスの召喚獣の武器が空を切る音が聞こえ、装備であるローブが少し切れ味ある武器に掠り、どうしても躱せずに思わず武器の耐久力皆無の箒でいなすなど———徐々に危うい場面が増えてきました。それもそうですよね、こちらは動きっぱなしの上フィードバックがあるので点数はまだ幾分かあっても体力的にかなりいっぱいいっぱいですし……ああ、マズい……おまけに、何だかちょっと眠気が……これ、少しフィールドに長くい過ぎましたか……?
「よし、隙ありっ!」
《っ!?ま、ずいっ!?》
と、そんな自分の一瞬の隙を見逃すCクラスではなく。真正面から上段で振り下ろされた武器に対応が遅れ、回避できずに思わず箒で受け止める自分。何度も言いますがこの武器である箒、前のアキさんの武器であった木刀以上に耐久性は無く。したがって———
バキィ……
———そしてとうとう訪れる最悪の展開。頼みの綱の自分の武器である箒が、その一撃をまともに受けて、鈍い嫌な音を立てて破壊されてしまいました……
《箒が……!》
「やった!やったぞ!あの厄介な武器を壊せた!」
「ナイスよ!これであの子はもう手も足も出ないわ!」
「こらこら、まだ油断しちゃダメよ。最後まで代表の言った通りに動かなきゃね。準備は出来てる?」
「勿論。ちゃんと先生2人呼んでおいたわ」
やはり普通に戦うのは無理がありましたか……結局一度も攻撃できずに武器を失い、取り囲まれてジリジリと壁際に追い詰められる自分。
《くっ……こうなったら、》
「おっと、無駄よ。先に言っておくけど月野君、武器を元に戻すのは勿論さっきみたいにフィールドを解除して逃げようったってそうはいかないわよ」
「竹中先生、もしも月野がフィールドを解除したらすぐに古典フィールドを展開してください」
「そのフィールドを干渉させようとするならその時はすかさず布施先生、化学フィールドをお願いします」
どうやらCクラスの生徒さんの後ろには古典の竹中先生と化学の布施先生が待機しているようです。なるほど……自分がさっきまでの一時間で使った、フィールドを解除して離脱する緊急避難の対策ってわけですか。敵ながらこれは上手い。ここでこのままフィールドを解除しようとしても、解除した瞬間あちらに有利なフィールドを張り直され干渉を起こして逃げようとしても次のフィールドを展開と言うことですね。
「……わかりました。正直一教師としては傍から見ればいじめのようですし、月野君一人にここまでやるのはどうかとは思いますが……」
「ルール的には一応問題はありませんので……すみませんが納得してください月野君」
《やはり緊急回避の対策はちゃんとされていましたね。はは……先生方は、お気になさらず》
待機されている古典と化学は点数が削られてまともに戦闘できない科目です。壊された自分の武器である箒を今すぐにでも直したいところですが、これを直すにはフィールドを一度解除して再び召喚されなければなりません。今のフィールドを解除した途端古典か化学のフィールドを展開されるでしょうね。逃げることも敵わず最後の足掻きさえさせて貰えないってことですか。これはまた随分徹底していますね。多分小山さんの策でしょうが、どうやらとことん自分を倒す気のようですね。
『さあ造ちゃん、大人しく投降するんだ』
『我々は造ちゃんに危害を加えるつもりは一切ない……やましい気持ちも多分ない』
『少し愛でたりするかもしれんが、誤差の範囲だしな』
まあ、フィールド解除して緊急避難する以前に、こうもCクラスの皆さんやここで手をワキワキとさせて近づいてくるFクラスの皆さんに囲まれたら逃げ出す前にすぐに拘束されちゃうでしょうけど。
「やめんかFクラス。気持ち悪い」
「月野君怯えてるでしょうが」
「やっぱこいつ等に任すのはこの子がかわいそうだ。無難に戦死させて補習室で待機してもらっておこう」
……さぁて、絶体絶命とはこのことですね。ここまで徹底的に対策をされれば逆に清々しいものですね、お陰でかえって気が楽になりました。いいでしょう……分が悪い賭けも悪くないです!どうせ倒されるのなら、何もしないよりもマシですからね……“アレ”試してみますか!
「さあ、これで終わりだ。せめて楽に戦死できるように一撃で決めてやるからな」
そう言って長刀を携えた召喚獣を使役して、Cクラスの生徒さんが一人自分の前に一歩前進します。もうすでに攻撃手段がないとわかっている為かFクラスの召喚獣を盾にはしていません。……やれやれ、随分と余裕ですね。
「それじゃあ……これで、ゲームオーバーだっ!」
《……勝負っ!》
そう言って彼の召喚獣が、武器も戦友も退路もない自分に止めをさしにかかります。その研ぎ澄まされた刃は無防備な自分に迫り———彼の宣言通り……
ザンッ!
———そう宣言通り一撃で。その刃は召喚獣の身体を切り裂いて、情け容赦なく戦死させます……