二次創作小説(紙ほか)
- 150時間目 ( No.312 )
- 日時: 2016/03/11 21:48
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「…………おつ、かれ……なんと、か……無事みたい……だな……」
《こーさん!ああ、良かったこーさんも無事で。大丈夫ですか?》
「…………俺は、まだ、まだ……平気、だ。それより……今のうち……に、秀吉の用意してた……水、飲んでおけ……」
「おう、サンキュー」
「命の水だね……ちょっとでも回復しとかなきゃね」
《ありがとうですこーさん。なら……解除(キャンセル)!》
C・F連合軍に追い詰められて、後がない土壇場で起死回生の一手を決め何とか作戦通りに約一時間の一時休戦期間を得た自分たち。流石に疲れて3分ばかり仰向けに倒れていましたが、ソファで横になっているこーさんに声をかけられたところで気合いで起き上がり(ちなみに自分は召喚獣化を解いて)ヒデさんが前もって用意してくれていた飲料水を飲みながら、作戦会議に移ることに。
「ふぅ……生き返るな。さて、それじゃあ造が作ってくれたこの一時間を無駄にしないように有効に使うとするか」
「そだね、ある意味でここからが“本当の勝負”なんだし」
「わかっています。まずは現在の戦況分析から入りましょう」
そう長々としのぎ切ったことを喜んでいる暇もありませんからね。すぐさま頭を切り替えて次の作戦に移らねば。
「まずは秀吉の件だ。FFF団曰く確か“秀吉を捕えた”と言ってやがったな」
「うん、言ってたね。“Aクラス付近を”コソコソとしていたところを、とかどうのこうのって」
「Aクラス付近……と言うことはつまり———」
「「「———そう言う事か(ですか)」」」
……三人でコクリと頷きます。なら多分“そう言う事”なのでしょう。
「で、ムッツリーニはどうだ?見た目かなりグロッキーだがあと少しはもつか?」
「とても辛そうですよこーさん……本当に平気ですか?」
「…………なめ、るな……これくらいで……俺は、くたばらん……」
「もう少しの辛抱だし、耐えるんだよムッツリーニ」
鼻血の出し過ぎによる貧血+暴行を受けたことでダウン一歩手前のこーさんですが、ソファで横になりながらも気丈にそう言ってくれます。見た感じ相当危険な状態ですが、本人曰くあと30分くらいなら大丈夫とのこと。こーさんも頑張って……
「さてと、なら今のところはほぼ作戦通りだな。造のお陰で残りのCクラスの連中は最初の一時間で11人、次の一時間で5人、そしてさっきの時間で18人の計34人戦死した。残りは代表の小山入れて16人か」
「秀吉の作戦も多分良い所まで行ってたはずだよね」
「なら、やはり作戦通り次で決めに行きますかゆーさん」
……なるほど、いよいよ次が勝負の時のようですね。どちらのクラスも休戦明けに勝負を決めに来ることになるはず。気合いを入れねばね。
「おう、そのつもりでいく予定だ。となると最後に一つだけ問題が残っているな」
「一つだけ問題……?え、それって何だっけ?」
「おいおい忘れんなよ、一番面倒な奴らが残っているだろ」
「面倒な奴ら……ああ、そっか。それってあの狂戦士達(バーサーカーズ)の事だよね雄二」
「あー……そう言えば残っていましたね、一番厄介な問題が」
あまりに厄介過ぎて放置していた問題があることを思い出す自分たち。アキさんやゆーさんへの嫉妬のゲージが臨界点を超えた結果、理性と言語を引き換えに得た超絶パワーでアキさん達を抹殺しようと校内をうろついているいわゆる狂戦士達(バーサーカーズ)と呼ばれるクラスメイトたちだけはどうにもならないと言うことで、さっきまでヒデさんもゆーさんもお手上げで放置していたんですよねー……
「今の今までは面倒過ぎて放置していたが、一時間後の“詰め”の為にも奴らは放っておくわけにはいかんだろう。考えたくはないが、放置したままじゃ下手をすりゃ奴らの存在が最悪の結果を招きかねんぞ」
「けどどうするのさ雄二、例えムッツリーニが回復して僕らの手錠を外してくれても……」
「ああ、明久。お前が懸念している通り正直奴らと戦うのは俺と明久とムッツリーニの三人がかりでもちょいと厳しいな。万全の状態のムッツリーニでさえあの連中を相手にするのはかなり骨だろう。今回はただでさえムッツリーニは弱っているしな」
「おまけに風の檻をぶち壊しちゃう方々ですからね。元々は一応捕縛用の能力ですのに全然効かないですし、どうなっているんでしょうね皆さん……」
「造、アイツらは今に限って言えば人間として考えるな。暴走中のあいつらは猛獣以上のパワーと猛獣以下の知能を兼ね備えている化けもんだからな」
そうそう。余談ですが道すがら一度試しに点数を消費して風の檻で捕えて動きを止めようと試みたのですが……どういうわけか清水さんや清水さんのお父さん———とまではいかないものの、ものの数秒で檻を破られてしまうと言う結果に終わりました。どうもこの捕縛用の能力、暴走している方々を捕えるのにあまり役に立っていませんね……本来なら野生の熊でさえ簡単に封じ込められるハズなのに……
「……とりあえず自分も彼らを止める方法を考えておきますが、先に姫路さんと島田さんに会ってきますね。作戦の説明も必要でしょうしずっと閉じ込められて現在の状況は勿論、アキさんの無事も知りたくてたまらないと思いますので」
「おう、頼んだ造。俺らは“例の約束”があるし、まだここで待機しておく。その間に俺らも奴らを止める方法を考えておくな」
「…………気を、付けて……な。まだ何人か……校内……うろついている、はず……だし」
「ゴメンね、二人を頼んだよ造。……あ、そうだ!ちょっと待って造!」
「はい?どうしましたアキさん?」
「……その、さ。出来ればでいいんだけど、一つお願いがあるんだ。二人ともお腹空いているかもしれないし———」
と、隠し部屋から出る前にアキさんに呼び止められて、一つ頼みごとをされる自分。その内容は———ふふっ♪なるほど、アキさんらしいものですね。
明久Side
「くくっ……明久、中々やるなぁオイ」
「……何さ雄二。その憎ったらしい笑い顔はさ」
「———“お腹すいているかもしれないし、教室にある僕の鞄の中から二人分のお弁当と水筒を瑞希と美波に渡してくれないかな”……だとよ」
「……それが何さ。そしてその忌々しい顔は何さ」
「いいや?明久にしては随分と気が利くなと思っただけだ。いよっ!ハーレム男!爆ぜろ!」
「ええぃ、黙れ雄二。キサマこれ以上言うつもりならこっちにだって考えがあるからね」
「あ?言うつもりなら何だ?キレるってか?いいぜ、暇だし相手してやる」
「そんな必要はないよ。もしこれ以上余計なこと言うなら———これが終わったらすぐさま霧島さんに、雄二が“毎日お前が作ったみそ汁が飲みたい”って言ってたって伝えてあげるから覚悟しておくように」
「……すまんかった。マジですまんかった」
造に二人を任せて“約束”の時間までこの場で待機をする僕と雄二とムッツリーニ。こんな他愛のない話をしながら、少しでも体力を回復させる。秀吉が上手くやってくれていたなら、そろそろのハズだけど……
「それにしても……どうすんの雄二」
「何がだ明久」
「今暴走している狂戦士達(バーサーカーズ)のことどうするのかってのもあるけど……この造の作戦が上手くいったとしても、これから先もFFF団が暴走しない保証はないと思うんだけど」
「…………たし、かに……いつ……また、アイツらが……裏切るか……」
- 150時間目 ( No.313 )
- 日時: 2016/03/11 21:49
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
あれだけ造や秀吉が必死になって頑張ってくれたんだ、きっとこの作戦は上手くいくって信じてる。でもAクラス戦も控えている僕らは、クラス全員団結しなければあのAクラスに勝てるものも勝てないって思う。雄二もそれはわかっているようで、僕とムッツリーニの言葉にコクリと頷く。
「わかっている。狂戦士達(バーサーカーズ)の対処法は今もまだ考え中だが、この試召戦争が終わってからのFFF団の制御法はもうすでに考えてある。今回の決着が着き次第実行に移す予定だ」
ふむ、なるほど。どうやらコイツもただ闇雲に追われたり戦ったりしているわけじゃなかったようだ。腐っても元神童、何だかんだで地味に頼りになるね。
「そっか。まあ、ちゃんと考えてあるなら任せるよ。じゃあ後はこの場を切り抜けるためにもあの狂戦士(バーサーカーズ)を何とかする作戦を練ることと、例の約束まで———」
ガタンッ!
「「「っ……!?」」」
そんな話をしていると、突然まだ使っていない最後の出入り口から物音が。僕ら三人に緊張が走る。ピピーッ!っとロックが外される音とガシャンッ!と隠し扉が開く音が聞こえる。
「「「……誰だ!」」」
と、言いながら侵入者に声をかけながら身構えたのと同時に、僕らの前に“Fクラスにはいない女生徒”が一人飛び込んできた……!
「見つけたっ!こんなところにいたっ!」
「き、キミは……!」
「お前……!」
「…………っ!」
———補充試験室(生徒指導室)———
造Side
《———お待たせしましたお二人とも!……それに先生も。ホントに待たせちゃって申し訳ありません!》
一度こっそりとFクラスに侵入して、アキさんのお弁当等を回収してから最初と同じように天井裏を伝って姫路さんと島田さん(+福原先生)が監禁されている補充試験室である生徒指導室に戻ってきた自分。
「月野!……良かった、あれから随分戻ってこないから心配してたけど、アンタも無事だったのね」
「月野君、お疲れ様です!……それでその、いきなりで申し訳ありませんが、明久君たちは……?」
するすると天井裏から降りながら、召喚獣状態を解除した自分に心配そうに駆け寄るお二人。少し疲れた表情に見えますが無事で何よりですね。
「ええ、大丈夫。アキさん達も勿論元気いっぱいですよ。———はい、これアキさんがお二人に渡してほしいと自分に託してくれたアキさん特製のお弁当です。“一緒に食べられなくてゴメンね、僕は大丈夫だよ”って伝えてほしいともアキさんが言ってました」
「これアキの……!そう、元気なら良かったわ。それに助かるわ月野。アキのお弁当ならウチらもすぐに元気になれるわ!」
「助かります月野君。私たち補充試験をさっきまで4科目ほど受けててお腹ペコペコだったんですよ」
……!補充試験を4科目もですか!良かった、姫路さん達自分の意図をちゃんと組んでくれていたようですね。これなら作戦もより確実性が増してきました。そうか、お二人はお二人の戦いをやっていてくれたんですね。感謝感謝です。
「ナイスですお二人とも!きっとお二人ともちゃんとやってくれるって信じてました。ではお昼を食べながら状況整理と……“これからの作戦”について説明したいと思います。では———おっとその前に、福原先生」
「え?あ、はい。どうしました?」
「うちのクラスの生徒さんが先生まで閉じ込めちゃって本当にすみません。もう少しの辛抱ですので。……それとこれ、一応自分のお弁当です。量が多いので、先生も良かったら一緒に食べませんか?」
「へ……?あー、そうですね。ではお言葉に甘えさせて頂きましょう」
「どうぞどうぞ。では———いただきます」
「「「いただきます」」」
てなわけで、少し遅めのお昼兼作戦の説明に入ることに。
〜お昼&造状況・作戦説明中〜
「———と、言うわけです。今のところ一応一つの問題を除けば作戦通りに進んでいると思います」
「……何というか、アンタら朝から今まで随分無理してたみたいね。無茶をしないで……と言いたいけど、そうも言えないのが正直辛いわ。まあ、その分今度何か奢るからね」
「月野君、これが終わったら明久君たちや皆さんと一緒にケーキバイキングにでも行きましょう。皆さんの分は私たち奢りますので」
全体の状況と休戦終了後の作戦をお昼を食べながら一通り説明すると、お二人は気の毒そうに自分たちを気遣ってくれます。いえいえ、辛いのは皆さん一緒ですしそうお気になさらずに。
「ですからある程度はヒデさんが何とかしてくださったハズですから、残りの問題は一つだけだと思います」
「残りの問題……それっていわゆる“狂戦士達(バーサーカーズ)”と呼ばれるFクラスの皆さんをどうするのか、ですか?」
「はいです。困りましたよね……」
そう、残る問題は十数人ほどいる暴走中の彼らの対処をどうするか。先ほどFクラスにこっそり侵入した時もゆらりゆらりと声にならぬ声をあげてアキさん達を探して校内を徘徊していました。アキさん・ゆーさん・こーさんが見つかればきっとリミッターが吹っ切れた身体能力でアキさん達をコロコロするまで止まらないでしょう。
厄介なのは言葉がまるで通じないことと、あの万全の状態のこーさんですら一対一ならともかくあの人数を相手に太刀打ちできるか危ういとされる戦闘能力ですね。こうなった以上一度物理的に止めて、正気に戻ってもらう他ありませんが……
「恐らく仮にこーさんが回復して、アキさん達が繋がれている手錠を開錠して3人で戦ったとしても……その方々を止めるのは難しいだろうとアキさん達が仰っていまして」
「こ、困りましたね……明久君たちもとても強いですけど、それ以上って……」
この先の作戦、彼らが暴走しっぱなしでは成功する確率がガクッと下がります、例えばサクヤさんや西村先生なら彼らを止めることが出来るでしょうが、サクヤさんは只今海外。西村先生は戦死者の補習監督で動けません。まあ、そもそも先生が一方のクラスの生徒に手を貸すのはルール違反になりかねませんから二人に頼むのは無理ですがね。さて、本当にどうしようかと考え始めた矢先———
「……ならOK。いけるわね」
「「……えっ?」」
———黙って自分の話を聞いていた島田さんが、そう言ってすっと立ち上がります。その眼は活き活きと、そしてただならぬ闘気を全身に纏わせて。
「し、島田さん……?あ、あの……」
「月野、今までよく頑張ってくれたわね。後は作戦再開までしばらく休んでいなさい。瑞希、アンタは月野の作戦通りここから出たら指定の場所に行っておいて。残りの問題は———ウチに任せなさい」
「み、美波ちゃん?美波ちゃんはどうするんですか……?」
「……ふ、ふふふっ……ウチ?ウチはね———」
それぞれの思いを胸に。休戦終了時刻が刻一刻と近づいてきます。恐らく……どちらに転んでも休戦終了直後、そう一瞬でこの試召戦争に決着が着く……そんな予感がします。自分たちの執念が勝つか、Cクラスの策略が勝つか———いざ尋常に勝負です!