二次創作小説(紙ほか)
- 151時間目 ( No.314 )
- 日時: 2016/03/11 21:52
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
———休戦終了5分前:Cクラス———
『———さあ、これが最後の作戦会議よ。坂本君吉井君の両名は新校舎屋上で開始するって明言しているわ。だからここにさっき補充した部隊を置きましょう。担当の先生は確保できているかしら?』
『はい、代表!代表に言われた通り、英語R・現代社会・化学・生物・地学・古典の6人の教師を確保しています!』
『よろしい、なら皆は英語R・現代社会・化学の先生を連れて屋上に行ってもらうわ。討伐隊として前戦力を以て坂本君たちを絶対に討ち取ること』
『『『了解ですっ!』』』
『そして念のために点を取れている上位2人は近衛兵として生物・地学・古典の先生と一緒に私に付いて来てちょうだい。考えたくないけれど相手は月野先輩と坂本君の策士二人だし、仮に突破された時のことも考えて屋上から一番離れている位置にある旧校舎一階の空き教室を新しい拠点にするわ』
『『わかりました!代表は必ず守りますっ!』』
『頼もしいわ、ありがとう。……じゃあそろそろ時間ね。みんな———勝つわよ!』
『『『はいっ!』』』
———新校舎屋上前———
須川Side
散々あの異端者共に振り回されてきた我々FFF団。だがついに、ついに追い詰めたぞ……異端審問会の血の盟約に背きし者共———吉井に坂本ォ……っ!
「屋上だな……奴らの墓場はっ!さあ殺るぞお前ら……!武器は持ったか!俺・横溝・福村を筆頭にぶちのめしに行くぞぉ!」
「勿論です須川会長!Cクラスと共に休戦終了直後に突入しますよ!」
「奴らに地獄を見せてやりましょう会長!」
吉井に坂本、それと姿は見えんがムッツリーニ……貴様らの命運もここまでだ。わざわざ逃げ場のない屋上を試召戦争再開場所に選んでしまった貴様らの頭の悪さをあの世で後悔するがいいさ……!そう気合いを入れて、いつものFFF団の正装である覆面と黒ローブを身に着ける我ら正義のFFF団。
『さあ、同士諸君。待たせたな!これより吉井坂本をあの世へと誘い、悲願であった全リア充抹殺作戦“Fクラスの変”の偉大なる一歩を踏み出す時である!さあ続け!』
『『『おー……』』』
『……?何だお前たち。随分と殺る気の無さげな掛け声だな』
『念願の奴らの血祭タイムだぞ、もっと喜んでいいのにどうしたんだ同士諸君』
『あのバカ共は自分から逃げ場のない屋上を絞首台に選んだんだ、遠慮なく殺ってやろうぜ!』
『『『…………』』』
何なんだ一体。使命に燃える我々三人と違い、他の審問員はヤケにノリが悪い。まあ、いいさ。大方未だに奴らがのさばっている事ではらわたが煮えくり返って暴走寸前ってところだろう、気持ちは非常にわかる。審問員たちの集中を乱さぬようにこれ以上は話しかけてやらないようにしておくか。きっと異端者共を見ればすぐに殺る気スイッチが入るだろうからな。そんな中、同盟している十数人のCクラスの協力者たちが屋上の扉の前までやってきた。
「今来たぞFクラス。状況はどうなっている?」
『はっ!吉井、坂本の両名は宣言通りこの扉の向こうにいる模様!屋上には奴ら異端者の他に別クラスの一般生徒男1人女2人がいますがご安心ください!あのバカたちを殺るには全く支障がない様子です!』
「…………」
と、横溝がCクラスにそのように報告すると何故か顔をしかめるCクラスの同盟者たち。ん?なんだ?
「……待てよ。Fクラス代表たちはともかく月野はどうした。まさか屋上にはいないのか?」
『へ?……あ、ああそう言えばいませんね。ですが造ちゃんがいないなら逆にチャンスっすよ!』
『そうそう!造ちゃん巻き込んで怪我させる必要もないし、これで奴らを守るものは何もないと言う事!一緒にストレス発散も兼ねて思いっきり殺っちゃいましょう!』
そう、造ちゃんがいないなら好都合と言うもの。グロいシーンを見せることも無く異端者共を仕留める時に誤って怪我をさせることも無い。巻き込まないで良いならば、思う存分奴らをボコボコに出来るからな!Cクラスも憎き吉井と坂本を心置きなく殺れるってものだろう。
「(ボソッ)アホか……何で俺らまで坂本たちを抹殺することになってんだよ」
「(ボソッ)小山代表の言う通り、あれだけ頑張ってたFクラス代表もあの小っちゃい子もホントかわいそうだわ……」
「(ボソッ)つーかこいつ等やっぱバカだな……月野がいないってことは何らかの策を取られているってことだろうに」
「(ボソッ)D・Eクラス戦の時のように、月野君背後から私たちを一網打尽にする気かもしれないね」
「(ボソッ)ならこのワラワラしているFクラスの連中を壁として私たちの後ろに置いてかない?」
「(ボソッ)良い案だ、こいつ等でも壁にはなるだろうからな。この人数だし寧ろこのまま屋上に出てもこいつ等が邪魔でまともに戦えない可能性だってある。数人は前線で俺らの盾にして、他は月野に後ろを取られないようにバリケードとして使うか」
横溝に引き続き俺と福村もCクラスにそのように報告するが、何故か顔を見合わせて何やら相談している。異端者を抹殺するのに何か問題でもあるのだろうか?
「あー、コホン。少し相談なんだが……えっと、お前は須川だったな。あとそこの二人の……えっと?」
『ん?横溝と福村のことだろうか?』
「ああ、横溝に福村ね……えっと、この三人と俺たちCクラスで代表である坂本を討ち取ろうと思う」
「その間、念には念を入れて残りのFクラスの皆で逃げ道を塞ぎつつ誰も屋上に上がれないように屋上の外で私たちの後ろを守ってほしいの。ダメかしら?」
『えっ……?し、しかしそれは……』
そのように同盟しているCクラスに提案されるが……それでは坂本達を直接自分たちの手でぶちのめしたいであろう我らFFF団の同志たちが悔しがらないだろうか。
『それで構いませんよCクラスの皆さんっ!』
『ぜひそうしてください!俺たちは外にいますので!』
『では須川———会長。あとはごゆっくり!』
『へっ……?お、お前たち……それでいいのか?』
『『『ええ!後は全て、会長たちに任せますから!!!』』』
……俺のその予想とは裏腹に、さっさと後ろに下がるFFF団同士諸君。む、むぅ……譲ってくれるのはありがたいが、随分惜しいことをするものだ。折角の異端者狩りの絶好の機会だって言うのに。
『まあ、彼らの分まで俺たちがあの異端者共を完膚なきまでに叩きのめせばいいんだがな』
『ですね、会長。武器も持ちましたしこちらの準備はOKです』
『いつでも殺れますよ会長!』
「それじゃあ、そろそろ時間だ。Cクラスの皆、ついでにFクラス。後一分で休戦終了だ。時間になったら全員で屋上に乗り込んで一気に勝負に出るからな!」
「先生方も、屋上に入ったらすぐにフィールド展開をよろしくです!」
いよいよ審判の時のようだ。屋上の扉の前にて腕に付けている時計をじっと見つめ我ら正義の異端審問会は勿論、Cクラスや付いて来ている教師も緊張しながら息を呑んで今か今かと休戦終了の時を待つ。
時計を見ながら何故かふと俺は、二年になってからのあいつ等のやってきたことが思い出してきた。
……ある時は吉井がラブレターを二通も貰っていた。
……ある時は吉井に坂本にムッツリーニがバスの中で女子といちゃついていた。
……またある時は弁当を作ってもらっていたし、二人三脚で女子と楽しんでいやがった。
……キスもハグもその他諸々も経験済み、今回に至っては同棲生活という禁忌まで犯していると来た。
———判決。吉井・坂本・ムッツリーニ、拷問してから死刑。思い出すだけではらわたが煮えくり返る気分になってくる。アイツらがいるから俺がモテない……神や仏が許そうとも、俺たちFFF団が許さん。やはりこの全リア充抹殺計画“Fクラスの変”は何が何でも達成せねばならぬようだな。そんな決意を新たにしていると、再開時刻がすぐそこまで来ている———残り……5秒……3秒……1……
ピピピッ!
『『『さあ異端者狩りの時間だゴラァ!!!』』
時計のアラームを止めながら、屋上に続く扉をバンッ!と思い切り蹴り開ける。これまでの恨み、我らの恨み全てはテメェらにぶつけるためのものっ!さぁ、テメェらの命、貰い受けるぞ吉井に坂本ォ!
- 151時間目 ( No.315 )
- 日時: 2016/03/11 21:52
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
———同時刻:旧校舎空き教室———
小山Side
Fクラスとの試召戦争再開まであと少し。念のため坂本君たちが休戦終了後に試召戦争再開すると公言している新校舎から一番遠い旧校舎一階の空き教室を新しい拠点として、近衛兵を二人と3人の監督役の先生を連れてきた私。
「———では先生。気が早いかもしれませんが召喚フィールドをお願いしてもいいですか?」
「はい分かりました。では古典のフィールドを展開しますね」
更に念には念を入れて先輩が来る前に先輩がかなり消費している科目の先生にフィールドを展開して待機しておくことに。補充試験もギリギリまでやったしFクラスの生贄兼盾も用意している……これでやれることは全部やったわね。
「(ボソッ)ホントはこんな事しちゃいけないかもしれないけど……ごめんなさい先輩たち。何が何でも今回だけは勝たなきゃいけないんです……」
……今更ながら今回のこれ、ホントならかなりギリギリセーフな策だったわ。Fクラスのバカたちが坂本君や吉井君を抹殺したい、協力してほしいと相談された時に思いついた今回の策。Fクラスを使いD・Eクラスに試召戦争を促したり、先輩たちの内部からの妨害を行ったりと色々やったわね。
「?代表、何か仰いましたか?」
「ううん、何でもないわ。ちょっと疲れたなって思ってね。ゴメンね、代表がこんな弱音を吐くようなこと言っちゃいけないのに」
「いえいえ。代表今回の作戦が始まってからずっと動きっぱなしで指示出しっぱなしだったじゃないですか。お疲れなのもわかりますよ。弱音くらいドンドン俺たちにぶつけてください!」
「私たちは全力で代表をサポートしますし守りますからね!ですから絶対Fクラスに勝ちましょう!」
「そう……ね。負けられないわね……ありがとうね」
……そう、負けられない。クラス代表として……そして“アイツ”の為にも……今回だけは絶対に負けられない……
「さて……後は試召戦争再開して、Fクラスがどう動くかだけど……」
「そうそう、ちなみに代表。我々が勝てる確率はどのくらいですか?」
「うーん……90%くらい……かしら?」
「おお!凄く高いじゃないですか!」
うーん……個人的には10%で負けるってことを気にしてほしいんだけどなぁ……
「本来なら100%勝てるようにしてたんだけどね……流石に先輩たちは一筋縄ではいかないわよね。残り10%が正直怖いわ……気持ちで負けるつもりはないけど何だかとても嫌な予感がするのよ」
一応屋上にも先輩が消費している科目の先生3人を呼んでいるし、あの人数相手ではいくら接近戦が出来るようになったからって流石の先輩でも満足に戦えないと思うし……隙を見て坂本君を討ち取れれば勝てると思うんだけど……何故かしら。やれることはやったはずなのに、あと数秒で試召戦争が再開されるからか、不安感が拭い去らない。悪い予感が的中しなきゃいいんだけど……
「きっと大丈夫ですって!屋上はすでに我々の完璧な布陣で構成されています!」
「そうですよ!何も代表が不安になることはありません!試召戦争が再開されたら、きっとすぐにでも私たちCクラスの勝利宣言が聞こえて———」
《———それはどうでしょうかね。その作戦、どうも屋上にばかり気を取られていませんか?》
「「「っ!?」」」
《こんにちは、小山さんにCクラスのお二人さん。待ってましたよ》
と、どうしたことか掃除ロッカーの中からそんな声が聞こえてきたかと思うと……バンッとそのロッカーの扉を開けて私たちの目の前に飛び出してくる一つの小さな影が現れた。
———再び新校舎屋上———
須川Side
「……いよぅ、須川。随分と勝手な事やってくれたじゃねぇか」
「……覚悟はできているんだよね、須川君たちは」
俺・横溝・福村の異端審問会トップ層が屋上になだれ込むと、腕を組んで額に青筋を立てている忌々しき異端者代表である吉井と坂本が出迎える。
『この絶体絶命の状況で、随分とまあ余裕じゃねぇかクソ共が』
『勝手な事をやってくれた?覚悟はできているか?それはこちらの台詞だ異端者共よ。モテない男たちに見せつけるように女子を誑かした罪、最早死すら生温い』
『間違ってもここから飛び降りるような真似だけはするなよ。そんな楽にあの世にいかれては我々の気が収まらん。キッチリ拷問して輪廻すら絶ってやるからな』
数俊遅れてから、Cクラスの同盟者諸君も屋上へと入ってくる。そして何故かそのままボソリと坂本と吉井に話しかける同盟者たち。
「(ボソッ)その……正直悪いねFクラス代表さんに吉井君」
「(ボソッ)利用した俺たちが言うのも何だけど、こんなクズ発言するコイツらで追い詰めるようなことしてホントに申し訳ないわな……」
「ん?ああ、Cクラスは気にすんな。元はと言えばこれはFクラスのゴタゴタが派生した結果だしな。寧ろこの状況を見事に利用してここまで俺らを追い詰めたのは素直に感心するぜ」
「うんうん、悪いのはこの暴走しているFクラスだし、気にしないでよ。このバカたち統率して僕らを追い詰める作戦なんて目茶苦茶スゴイと思うしさ」
……?何の話をしているのやら。まあいいさ、そんなことはどうでもいい。重要なのは———
『そうだ、重要なのは貴様らがここで果てる。ただそれだけだ』
『さあ、大人しく審判されるんだな。まあ、安心しろ。お前たちは一人じゃないさ、二人仲良くあの世逝きだからなぁ!』
『その手錠で繋がれたまま、二人寄り添って死ぬがいい!』
そう言って武器を構えると、異端者二人は物凄く嫌そうな顔をする。
「うげ……冗談じゃないよ。なんでこんなアホ雄二と寄り添わなきゃいけないのさ。気持ちが悪いじゃないか」
「その通りだな、冗談じゃない。何故俺がこんなバカ久と一緒にくたばらなきゃならんのだ。吐き気がする」
「何だと雄二!」
「やるか明久!」
俺たちに囲まれているにも拘らず、そんな漫才めいた事をやりながら喧嘩をするバカふたり。えぇい……どこまでも嘗め腐りやがって……!
『気色悪い夫婦漫才は他所でやったらどうだ。まあ、そうやって繋がれたまま地獄でも一緒に過ごすんだな』
「「何が夫婦漫才だゴラァ!冗談じゃない!だったら———」」
と、そう言って二人は手首に手をかけると———
「「———こんなもの、外すだけだ」」
ガチャン!
『『『…………は?』』』
…………どういう……ことだ……!?吉井と坂本はとてつもなく悪い笑顔をしたまま、今の今までこいつ等二人をつないでいたワイヤー付手錠が、この二人の手首から離れ、重力に従ったまま床に落ちていった……
- 151時間目 ( No.316 )
- 日時: 2016/03/11 21:53
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
———再び旧校舎空き教室———
小山Side
《こんにちは、小山さんにCクラスのお二人さん。待ってましたよ》
ロッカーの中から飛び出してきたのは……やはりと言うべきか、Fクラスの……
「……月野、先輩」
《どうもです皆さん。ゆーさんの予想的中で何よりですよ》
「つ、月野だと!?!?」
「さ、坂本君を守りに屋上に行っているはずじゃ……!?」
そう、召喚獣化している月野造先輩だった。そうよね、やっぱり来るわよね……私たちCクラス最大の障害だもの。それにしてもわざわざロッカーの中に隠れていたってことは……やはりこれは私たちがここに来るとわかっていたのかしら……
「先輩、待っていたってことは私たちの考えを読んでいたってことになりますよね。何故この場所がわかったんですか?」
《……警戒心が非常に強くここまで慎重に策を練ってた小山さんのことです。屋上でゆーさんたちが試召戦争再開すると言えば、用心して必ず一番新校舎屋上から遠いこの旧校舎の空き教室に来てくれるハズだとゆーさんが予想してたんです。……見事にビンゴでしたね》
適度に間合いを取りながら、にっこり笑ってそう言う先輩。……なるほど、流石ね坂本君。休戦終了後に屋上で再開するって宣言は、私たちをここにおびき寄せる罠だったってことなのかしら。けれども———甘いわ!
「この場所を読んでいたことは見事です———ですが!近衛兵っ!」
「はいっ!Cクラス榎田克彦、Fクラス月野に古典で勝負を挑みます!」
「任せてください!同じくCクラス横尾知恵、Fクラスの月野君に古典の勝負を挑みます!」
「「試獣召喚(サモン)っ!」」
《Fクラス 月野造 古典 31点》
VS
《Cクラス 榎田克彦 古典 158点》
&
《Cクラス 横尾知恵 古典 142点》
やっぱり早めに先生に頼んで召喚フィールドを展開してもらっておいて正解だったわね。古典は先輩が私たちとの戦いで消費している科目。これで少なくとも一撃で倒されることもないし……後は時間になるまで耐えればいいだけ。
「大方坂本君を倒される前に、私を討ち取ろうと考えていたのでしょうがそうはいきません」
「月野、何もお前を倒せるなんて思っては無いさ。悔しいが戦闘技術はそっちが上だってことくらい前の時間で分かってる。俺らが束になってもお前には敵わないだろう。だが———時間稼ぎをするなら話は別だ」
「これで坂本君たちを守るものはいないよ!皆が坂本君を討ち取るまで守りに入った戦いをすればいいだけだからね!」
この二人に勝負を挑まれた以上、先輩は私を討ち取るにはこの二人を倒さないといけない。けれどもこの先輩の残りの点数では遠距離から攻撃しても一撃では倒せないし、接近戦を挑まれても守りに入った戦いになれば二対一でこちらに分があるわ。後は先輩と言うFクラス最大の盾を失った坂本君たちを屋上に行った皆が討ち取れば———私たちCクラスの勝利よ。
「その点数では二人相手にするのは困難。先輩がこの近衛兵たちと戦っている間に、屋上のCクラスの皆が坂本君を討ち取ってくれます。それと……悪いですが科目変更もさせませんからね」
例え先輩が自身に有利なフィールドを白金の腕輪で張ろうとこの古典フィールドを干渉させようとしても、予め来てもらっていた3人の先生がいれば恐れることは無いわ。干渉を起こされてもすぐにまた別の先輩の消費している科目のフィールドに書き換えるだけだから。
《……なるほど、本当に素晴らしい作戦です。確かにこの点数差では二人を相手に戦うのは厳しいです。おまけに時間稼ぎするつもりで守りに入られては倒すのにとても時間がかかるでしょうね。このままじゃ二人を相手にしている間に屋上のゆーさんたちが討ち取られるでしょうね》
「そう言うことです。計算を誤りましたね先輩。まあ、もう一人誰か戦える人がいればまた違う結果になったかもしれませんが」
《……ふふっ、そうですね。ところで小山さん———
———貴女が仰る通り、“自分と共に戦えるもう一人の人物”が実を言うと存在するって言ったらどう思います?》
「…………は、い?」
な、何を……?先輩は何を言っているの?もう一人戦える人がいる……?そんなはず無いわよね……?だって、Fクラスの今の状況はと言うと———
「……先輩が何を言っているのかわかりませんね。坂本君・吉井君は屋上、土屋君は血の流し過ぎで動けないし木下君も捕えられている。姫路さんと島田さんも補充試験室で身動きがとれない。勿論他のFクラスが先輩に手を貸すはずがない———この状況では誰も加勢には来れませんよ」
《いえいえ、実はいるんですよ……ではお願いしますね!》
と、不敵な笑みを浮かべたまま先輩は廊下に向かってそう叫ぶように合図をする。……で、出まかせよね……?だって誰も他にFクラスに戦える人なんていないハズ———
「———ええ、任されたわ。アタシがそっちの横尾さんを倒すわね」
《了解ですよ。では自分は榎田くんを倒します》
「「「「「「…………は?」」」」」」
———そう言って現れたのは……やっぱり私の予想通りFクラスの生徒ではなく。でも予想の範疇を超えた人物だった。
「…………Aクラスの……き、木下優子……?」
「こんにちは小山さん、ご機嫌いかがかしら。悪いとは思うけど———アタシ、造くんと一緒に戦わせてもらうわね」
そう、それは私と同じ女子の制服を着た2-Aクラスの優等生である、Fクラス木下君の姉の木下優子の姿だった。ちょ、ちょっと待ちなさい……?月野先輩の言っていたもう一人戦える人って……まさか木下優子の事!?一緒に戦わせてもらうって……!?何をバカみたいな事言ってるの!?
「な、何を言っているのよ……いくら貴女がFクラスと仲が良いからって、今はFクラスとCクラスの試召戦争中よ。Aクラスの貴女が私たちに勝負を挑んだ段階であなたは補習室送りになるわよ。一体全体何を考えてるのよ」
「アタシが補習室送りになる?あら、そっちこそ何を言っているのかしらね。……まあいいわ。先生、アタシ木下がCクラス横尾さんに勝負を挑みますね」
「えっ?……で、ですが木下さん。小山さんの言う通りですよ。ルール上Aクラスの貴女はこのC・Fクラスの試召戦争に手を出したら自動的に貴女は補習室に———」
「“Aクラス”ですって?先生まで一体何を言っているんですか?」
……何よ?月野先輩や木下君を愛ですぎて、とうとうおかしくなったのかしら?それともまさかとは思うけど自分はFクラスに在籍しているって言うんじゃないでしょうね?
「はぁ……あのね。だからAクラスの木下さんは召喚したら駄目ってことなの。わかるかしら?」
「……なるほど、そうね。確かに“Aクラスの木下優子”は召喚したら駄目かもしれないわね———“じゃが”な、それは本当に“ワシ”が“姉上”だったらの話じゃぞ小山よ」
「「「「「「…………えっ?」」」」」」