二次創作小説(紙ほか)
- 152時間目 ( No.317 )
- 日時: 2016/03/11 21:56
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
———新校舎屋上———
明久Side
『気色悪い夫婦漫才は他所でやったらどうだ。まあ、そうやって繋がれたまま地獄でも一緒に過ごすんだな』
「「何が夫婦漫才だゴラァ!冗談じゃない!だったら———こんなもの、外すだけだ」」
ガチャン!
『『『…………は?』』』
Cクラスとの試召戦争もいよいよ大詰め。今の今まで僕と雄二を繋いでいたワイヤー付手錠を外して、C・Fクラスの皆と対峙する僕ら。ようやくこの厄介な手錠と雄二のアホから解放されたよ畜生め、あーすっきりした。
『な、なぜ貴様らその手錠が外せるんだ!?』
『それはそう簡単に外せる代物じゃねぇんだぞ!?何しやがった貴様ら!?』
『鍵はすでにスペアも含め全て処分しているはずだろ!?一体全体どうなってんだ!?』
……あ、やっぱりか。僕らの予想通り解放する気なんて微塵もないだろうから鍵は捨ててるだろうって思ってたけど……ホントに捨ててたんだね。何と言うか容赦ないと言うか徹底していると言うか意地が悪いと言うか……
「ま、大方予想通りだったな。鍵なんてアテにしてねぇよバカ共め」
「そうそう。僕らには鍵なんて必要ないからね」
僕らには鍵が無くてもこじ開けることが出来る、最高峰の忍がバックに付いているわけだしさ。そうだよね———
『そんなはずがあるか!そのワイヤー付手錠は特注品なんだぞ!テメェらのような素人如きが簡単に外せるはずがないだろが!?』
『一体どんな小細工しやがった!?これを外せるのはアイツ……そう、ムッツリーニくらいのハズだ!』
『だが奴は俺らのトラップにより死にかけて———』
「…………俺が、どうかしたのか?」
『『『……は?』』』
須川君たちがムッツリーニの名を出した瞬間、“変装”を解く屋上にいた男子生徒が一人。保健体育の帝王で盗聴盗撮のエキスパート、現代に生きるムッツリ忍者である……そう、その名も———ムッツリーニだ。
『『『……む、ムッツリーニだと……!?』』』
「君たちの言う通りだよ。鍵も無い状態でこれが外せる人なんて———ムッツリーニくらいさ」
「どんな小細工をしやがった、だと?何も小細工なんてしてねぇよ。ムッツリーニに外してもらっただけだからな」
「…………鍵の開錠など朝飯前」
そう豪語するだけあって、“回復した途端”一瞬で鍵を外してくれたムッツリーニ。まあ、ありがたいと言えばありがたいけど、一人の友人として君は一体どこでこんな技術を習得しているのか正直知りたいような知りたくないような複雑な気持ちになるよムッツリーニ。
『ま、待て待て待て!?な、何でムッツリーニが生きてる!?』
『少なくとも一歩も動けない程の瀕死のハズだっただろうが!?』
『てか、変装だと……!?や、ヤロウ、なんて汚い真似を!?』
色々と事情を知らない須川君たちはムッツリーニの出現に慌てふためく。そりゃそうだ、何せこのムッツリーニはさっきまで虫の息だったわけだし。 “彼女”の処置があと数分遅れていたら、確かにムッツリーニはそのまま鼻血の出し過ぎによる出血多量と言う情けない死に方で天に召されていただろうからね。僕らは元よりムッツリーニはちゃんと“彼女”に感謝しなきゃならないね。
「やれやれ……それ僕らが答える義理あるの?」
「その無い頭で一生考えてみるんだな」
「…………まあ、一生かかってもわからんだろうがな。それと———」
「「「———お前たちだけには汚いって言われるのは心外だ」」」
『『『ぐっ……』』』
ムッツリーニが生きていたことに悔しそうにしているFFF団の三人は無視するとして、今度は現在進行形で試召戦争中の相手であるCクラスの人たちと対峙する僕ら。
「さぁて、ワリィな待たせちまって」
「じゃあCクラスの人たち、やろうか」
「…………いざ尋常に勝負」
「ほう……どういうことかよくわからないけど、土屋が復活したんだな」
「これで坂本君、吉井君、土屋君、そして姿が見えない月野君の4人対私たちCクラスってことになるのね。いいわ、勝負よ!」
そう言って臨戦態勢に入ろうとするCクラス。ムッツリーニが戦力として復活しても関係ないと言わんばかりに全員その眼は勝利を確信しているようだ。確かに保健体育のフィールドじゃないなら、ムッツリーニもそこまでの脅威ではないからそんな風に強気になるのもわかるけどね。それにしても———いいのかなぁCクラスの人たちは。
「ああ、そうだ。ついでに言っておかなきゃならないことがあったんだ。“姿が見えない月野君”って言ってたけど……その造が今どこにいるか知ってる?」
「「「……月野が、今どこにいるか?」」」
「随分とまぁ余裕に見えるが……お前たちの代表を放っておいていいのか?下手すりゃ大変なことになると思うんだがな」
「…………良い事を教えてやる。造が今いる場所は———旧校舎一階だ」
「「「…………っ!」」」
その言葉に、Cクラスの人たちが一瞬怯む様子が見て取れた。ほうほうなるほど。ちょっと僕ら3人で鎌をかけてみたんだけど、この反応なら雄二の予想通りCクラス代表の小山さんが次の拠点としたのは旧校舎一階なんだね。
「……そう来たか。なるほど、確かにそれは大変だ———だが、残念だったな」
「ちょっとびっくりね。君たち代表の位置を読んでたんだ。でもね、こっちだって代表の位置がバレることも月野君が単騎で代表を仕留めることも想定済みよ!」
けれどそこは上位クラスのCクラス。一瞬怯みはしたものの、すぐさま気を取りなおして僕たちにそう気丈に振る舞う。
「こっちも良い事を教えてやるよFクラス。うちの代表はな、こういう事態に備えて近衛兵と月野が現段階で最も消費している科目の教師を3人、立会人として連れていって行っているんだ」
「いくら接近戦が可能になった月野君だろうと、一人では近衛兵が二人もいる状況で点数が低い科目の勝負になればそう容易く代表を討ち取ることはできないわ!」
「それにそうとわかればこっちのものよ!月野君より先に私たちが坂本君を討ち取ればいいんだから!土屋君が加わったところで、私たちとの戦力差がそう易々と埋められると思わない事ね!寧ろ最大戦力の月野君を手放したこと、後悔させてあげるわ!」
むむむ、このCクラスの対応力……どうやら彼らの言う通り一応僕らが囮になって、造が小山さんを討ち取りに行く今回のような場合の対処法もシミュレーションしているようだ。うーん、今更ながらやっぱりやるなぁCクラスは。
「いいわね、先生がフィールドを張ったら、坂本君に勝負を挑んでからすぐに召喚するわよ」
「近衛兵がいるとは言え、イレギュラーな月野相手だしな。代表の為にも速攻で終わらせような」
そう言って身構えて僕らに勝負を挑もうとするCクラス。……さて、なら僕らもやりますか。Cクラスの人たちが見えない位置で“小さく合図をする”僕ら。さあ、頼んだよ……
「ふむふむ、流石だなぁ。確かにこの人数相手だと、造もいないこの状況では僕やムッツリーニだけじゃ雄二を守れずに僕ら負けちゃうね。僕ら三人だけではCクラスを相手にどうしようもないね」
「わかっているようね。と言うわけで先生、召喚許可をお願いしますっ!」
「わかりました。では現代社会の———」
そう、僕と雄二とムッツリーニだけじゃどうしようもない。まともにやり合ってもすぐに全員討たれてしまうだろう。だから———
「このままじゃどうしようもないから後は“瑞希”にお任せするね」
「はいっ!わかりました、後は任せてくださいね明久君っ!」
———後は適任者に任せよう。さあ待たせたね“瑞希”!
「「「…………は、い?」」」
「———召喚許可を承認します」
「召喚許可が出たので、Fクラス姫路瑞希!この場にいるCクラス全員に現代社会で勝負を挑みますっ!試獣召喚(サモン)ですっ!」
ムッツリーニの時と同様に、屋上にいた女子生徒が“変装”を解く。その正体は僕らFクラス最大戦力にして僕の大事な人の一人である———瑞希こと姫路瑞希だ。瑞希の登場でここにいるCクラス全員が怯んだ隙に、勝負を挑まれるより先にこっちがCクラスに勝負を挑む。よっしゃあ!計画通りッ!
《Fクラス 姫路瑞希 現代社会 603点》
瑞希の唱えたキーワードと共に現れたのは驚異的な点数を引き下げた瑞希の召喚獣。勿論腕には400点オーバーから使用可能な金の腕輪が装着されている。
- 152時間目 ( No.318 )
- 日時: 2016/03/11 21:57
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「くくっ!油断したなCクラス。さてどうするんだ?姫路に勝負を挑まれた以上、試召戦争のルールに従いお前らは俺を討ち取る前に全員召喚獣を召喚して姫路と戦わなければ敵前逃亡扱いになって戦死になるぞ」
「ですが……ごめんなさい。もし戦死したくないのであれば、召喚獣を召喚した後はこの場から全員一歩も動かないでください。勿論召喚獣の操作も無しです。こちらはすでに金の腕輪の能力である【熱線】を打つ準備は整っていますから下手な真似をすると皆さん全員戦死ですからね」
「そう言う事。悪いけど瑞希の言うことはちゃんと聞いておいたほうが良いよ。今の瑞希なら召喚された瞬間に全員を補習室送りに出来るからね。多分5秒も持たずに皆まとめて戦死しちゃうだろうしさ」
「…………点数を見れば姫路にこの場の誰も勝てないことは一目瞭然。何せ補充する時間はたっぷりあったからな」
瑞希が召喚しただけでさっきとは逆に完全に僕らが優勢になる。恐らく沢山準備もシミュレーションもしてきたであろうCクラスも、瑞希がこの場に来るということは流石に想定外だったようだ。
「なんっ……なん、で姫路さんが……!?」
「どうなってんのよ!?Fクラス、アンタらちゃんと姫路さん達を監視してたんじゃなかったの!?」
「補充試験室で監禁しているって言ったよなぁ!?何やってんだよ!?何でこんな、こんなところに姫路さんがいるんだよ……!?」
『そ、そんなの俺らが知りたいですよ!?』
『監視していた奴ら今何してんだ!?』
『姫路さんが外に出たなら何かしらの連絡があるはずだ……何故それがないのに……!?』
「皆さんもう一度言います、動かないでください。まずCクラスの皆さんは大人しく召喚獣を出してそのまま待機してください。もし一人でも不穏な動きを見せたと判断した場合……申し訳ありませんが全員戦死させますからね」
「「「うっ……」」」
Cクラスも須川君たちも混乱の渦の中に捕えられたまま止めとばかりに、瑞希が念を押しながら召喚獣を前に出して警告してくれる。これではCクラスの人たちは身動き取れないだろう。
「よし、良くやってくれた姫路。これでCクラスの主要部隊の無力化は成功だな」
「…………GJ」
「お疲れ瑞希、すっごいねその点数!それにその啖呵もめちゃくちゃカッコイイよ!」
「そ、そうですか?えへへ……明久君に褒められちゃいました♪」
褒められて嬉しそうにしている瑞希の頭を撫でつつもこっそり抜け出そうとするようなCクラスの人がいないか注意深く監視する。これで残るは近衛兵二人に代表の小山さん一人となったね。さあ、こっちは足止め完了だ。後は……“造たち二人”に任せるからね!
造Side
Cクラスとの試召戦争、防衛戦、そしてFクラスの暴動……その全てに決着を付けるべく、小山さんを追い詰めようとする二人。一人は勿論自分こと月野造。そしてもう一人は———
「はぁ……あのね。だからAクラスの木下さんは召喚したら駄目ってことなの。わかるかしら?」
「……なるほど、そうね。確かに“Aクラスの木下優子”は召喚したら駄目かもしれないわね———“じゃが”な、それは本当に“ワシ”が“姉上”だったらの話じゃぞ小山よ」
「「「「「「…………えっ?」」」」」」
「“Fクラス木下秀吉”!Cクラス横尾に勝負を挑む!試獣召喚(サモン)じゃっ!」
ポンッ!
《Fクラス 月野造 古典 31点》
&
《Fクラス 木下秀吉 古典 125点》
VS
《Cクラス 榎田克彦 古典 158点》
&
《Cクラス 横尾知恵 古典 142点》
———もう一人は、“優姉さんの制服を着た”自分の友人にして“Fクラス”のヒデさんこと“木下秀吉くん”です。
《よし、“ヒデさん”!いきますよ!》
「うむ!速攻じゃな!」
「んな!?こ、こいつAクラスの木下優子じゃなくて……Fクラスの木下秀吉の方だとぉ!?」
「ちょ、ちょっと待っ———」
「《遅いっ!》」
ヒデさんを優姉さんと思い込んでいた近衛兵である榎田くんと横尾さんのお二人は完全に不意を打たれて対応が遅れます。そんな二人の隙を狙ってヒデさんの召喚獣は日本刀を手に居合い一閃。自分は先ほど同様に相手の武装解除と武器奪取を行います。そして———
ザシュッ! ドスッ!
《Fクラス 月野造 古典 31点》
&
《Fクラス 木下秀吉 古典 125点》
VS
《Cクラス 榎田克彦 古典 DEAD》
&
《Cクラス 横尾知恵 古典 DEAD》
———これは当たり前のことですが、召喚者本人たちの対応が遅れれば当然その使役されている召喚獣も反応が鈍くなり……横尾さんの召喚獣はヒデさんの召喚獣に真っ二つにされ、榎田くんの召喚獣は奪い取った彼の武器であるトンファーによる殴打で自分に倒され両召喚獣ともあっけなく戦死。二対一ならこうもいかなかったでしょうが、一対一なら自分が有利です。そして自分やアキさんとまではいかないものの、ヒデさんも召喚獣の操作技術は幾度となく様々なトラブルに巻き込まれ多くの経験を積まれたお陰か学年でかなり上位に入ります。ですから自分たち二人、慌てふためく相手を倒すくらい朝飯前って奴ですよ。
「ふ、二人ともっ!?」
「……ごめん、なさい代表……」
「なん、で……どうしてこんな……」
《ふぃー……何とかなりましたね。ナイスですヒデさん♪お待ちしていましたよ!》
「うむ、お主もやるではないか。接近戦が出来るようになったようじゃな。見事なものじゃ」
ヒデさんと二人笑顔でそうお互い応えつつも、二人で小山さんに詰め寄ります。さて……随分と手こずりましたが———これでチェックメイトですね。
《さてと。では逃げられてはこれまでの作戦が水の泡ですし、念のために宣言しておきましょうかね。Fクラス月野造、今度はCクラス代表小山さんに勝負を挑みます》
「そうじゃの、最後まで気を抜けぬからな。同じくFクラス木下秀吉。Cクラス小山に勝負を挑むぞい」
「何で……何で……?あ、あなたは木下秀吉の方で……で、でも貴方はさっきの時間、Fクラスに捕まったって……聞いてたのに……なん、で……?」
これでルールに則って彼女は自分たちの勝負に応じるために召喚獣を召喚しなければならなくなります。例え二対一で、且つ勝ち目がない勝負であろうと。
《すみません、これも作戦でしたので。それと、屋上からクラスメイトさんが助太刀に来てくれることを期待しているかもしれませんが……今頃向こうも“姫路さん”によって制圧されているはずです》
「ひ、姫路さん……!?え、待ってください!?か、彼女も補充室で捕えられているはずでしょう!?」
「残念じゃろうが造の言う通り、ちょうど今も姫路が屋上にいるCクラスの精鋭たちを足止めしておるはずじゃぞ小山よ。何ならそこの補充試験室兼姫路たちの監禁部屋を覗いてみると良い。すでにもぬけの殻じゃからの」
「そんな……!?なにが、何が起きているのよ……どうなってるのよコレ!?」
何が起きているのか、どうなっているのかですか……色々と大変でしたし説明するのは長くなるでしょうが……まあしいて一言で言うならば———
「《———Fクラスの勝利ってことですかね(じゃな)》」
———二学年試召戦争———
〜Cクラス対Fクラス:Fクラス勝利〜